SCP-2433-JP
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SCP-2433-JP-24。

アイテム番号: SCP-2433-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2433-JPは標準的書類保管箱に担当Dクラス職員の手で収容されます。SCP-2433-JPを収容するサイトには現地政府の法的に認可された裁判所を設置し、国家資格もしくはそれに類する権限を保有する裁判員・検事官・弁護士を雇用・待機させることで全ての裁判を非公開かつ財団内で実行するための準備が整えられます。新たなSCP-2433-JPが発見された場合、現地の法執行手順に介入することで裁判の開催地を当該サイトへ誘導して下さい。

既知のSCP-2433-JP実例には常にその所有者として一枚ごとに一人のDクラス職員が割り当てられており、これらの職員は月例の解雇手順、倫理委員会によるDクラス割り当て正当性評価プロトコルから除外され、その死後に過不足無い犯罪歴への名誉回復を受けることが予定されます。

予期せぬ異常性への暴露を防ぐことを目的としてレベル1以上の財団職員がSCP-2433-JPに直接接触することは禁止されているため、SCP-2433-JPを移動させる必要がある場合、当該作業に関与する職員は一部の管理要員を除き全てDクラス職員から選出して下さい。

説明: SCP-2433-JPはローマ・カトリック神学に関連した官僚災害を発生させる23×32cmサイズの羊皮紙です。SCP-2433-JPは複数枚存在し多岐にわたる形態のバリエーションが確認されていますが、いずれも16世紀前半に発行された贖宥状1を模倣したものと思われる装飾や記述が施されている点が共通しています。

SCP-2433-JPの主な異常性は以下の「放棄」「取得」の2段階に分けて発揮されます。

放棄: SCP-2433-JPの現在の所有者(対象Aと指定)が他者(対象Bと指定)へとSCP-2433-JPの所有権を移した場合、対象Aがこれまでの生涯で犯したあらゆる法典・法律上の犯罪歴が、その刑罰の軽重・処分の進行度合いにかかわらず公的な記録上から抹消され、対象Aを除く関連人物の認識においても対象Aがそれらの犯罪に関与していないものとして整合性が取られた形で改変されます。

  • この"所有権の移動"には必ずしも両者の合意や法的手続きを必要とせず、対象BがSCP-2433-JPを自身の所有物として認識することあるいは把持・接触していることが条件となっていると推測されています。これらは以下の事例を含むものです。
    • 対象Aから対象Bへの譲渡
    • 対象Bによる対象Aからの購入
    • 対象Bによる対象Aからの強奪
    • 対象Aが対象Bへと強制的に手渡す
    • 対象Aが逸失したものを対象Bが拾得する

取得: 対象BがSCP-2433-JPを取得すると、公的な記録及び関連人物の認識上において対象Aが犯した犯罪(SCP-2433-JPによって抹消された対象Aの犯罪歴)全ての実行主体が対象Bへと改変されます。この現象は対象Aと対象Bの犯罪歴の累積数及び悪質さの度合いによっては、しばしば所在地における法執行機関による即時の逮捕・収監・裁判・刑罰の執行の開始を併発します。これらの現象には明らかに非合理的・前時代的な処理が含まれる場合もありますが、対象Bを除く関係人物や法執行機関の構成員は違和感を持ちません。

  • SCP-2433-JPの所有者がSCP-2433-JPを破棄・焼却しようとする試みは、その際にSCP-2433-JPが発揮する異常な耐久性によって現在まで成功した事例は確認されていません。そのため、対象Bが異常な法執行という副次効果から逃れるためには、何らかの形式により別の第三者(対象Cと指定)へと自身の所有するSCP-2433-JP所有権を移動させる必要があります。この際対象Bもまた放棄段階の対象となるため、対象Cの犯罪歴には対象Aと対象Bの犯罪が累積して付加されることが判明しています。

財団戦術神学部門は、本来の贖宥状の宗教的位置づけを考慮した場合にSCP-2433-JPによって消去されるべき罪とは法律上の犯罪crimeではなく伝統的な十戒などの神定法に規定される宗教的罪sinであるという前提から、このプロセスの神学的分析において「SCP-2433-JPの本来の異常性は宗教的罪を消失させるものであり、犯罪歴の抹消はこれらの混同による副次的な効果である」という仮説を支持しています。しかしながら犯罪歴と異なり宗教的罪の多寡を定量化する手段が財団内において未だ確立されていないため、この説の科学的立証は成されていません。

また、SCP-2433-JPは法的人格を有する何者かに約14日以上所有されていない場合、現地点から消失し、付近の人物の近辺へと転移します。この際特に強盗・殺人などといった重い犯罪歴を持つ人物がより優先的に選出されていることが判明しており、現在の収容プロトコルはこの性質を踏まえてSCP-2433-JPの官僚災害効果が財団外部へ影響を与えないことを主目的として制定されました。

収容経緯: SCP-2433-JPは、日本国の東京地方裁判所において1名の一般人男性が2件の強盗殺人、7件の詐欺、13件の"人道に対する罪"、34件の威力業務妨害、297件の不法投棄、17598件の様々な泡沫的道路交通法違反により起訴され、裁判では"打ち首獄門"を求刑された上、即日で"男子として最大の恥辱を与えた上での死刑(原文ママ)"判決が出されたことで財団に認知されました。

また、現場に到着したエージェントがSCP-2433-JPを確保した際に取得イベントが発生したことで、小規模な財団業務に関する混乱と機密情報漏洩が発生しました。こうした事態の発生と国家機関による財団職員の公的な名誉が毀損されることを防ぐため、現在の収容プロトコルでは明確な犯罪歴を有するDクラス職員のみがSCP-2433-JPへと直接接触することを許可されています。

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映像記録[01:14:26]

補遺: 19██/██/██。担当Dクラス職員の事故死によりSCP-2433-JP実例の一枚(SCP-2433-JP-24)の所有権が新たなDクラスへと割り当てられた際、当該Dクラス職員が不明な要因により突如発火、爆発しました。

当事案の直前、現地上空から発光する不明な高速飛翔体が当該Dクラス職員が所在していたサイトに降り注いだことが複数の財団保有記録機器によって観測されており、その後の調査では爆発の中心部から強い硫黄臭が検知されています。この発火と爆発によるSCP-2433-JP実例への損傷被害は確認されませんでした。

この事案を受けて、戦術神学部門は以下の提言を提出しました。


戦術神学部門

提言 2433-JP-アルファ

硫黄と火。これらはしばしば地獄に関連づけられ、"神の怒り"を象徴するものでもある。旧約聖書におけるソドムとゴモラの滅びを引くまでも無く、贖いがたい罪には天より裁きが下されることを考えると、SCP-2433-JPが蓄積した"罪"がある種の臨界点を突破したことで法執行機関によっては処理しきれない特殊な事態が発生したと仮定することが出来る。

我々戦術神学部門は、これはSCP-2433-JPに神学的兵器としての有用性があることを示していると提唱する。SCP-2433-JPを用い、人道的限界を超えた度し難き大量の世俗的罪を任意の対象に付与するのだ。それによって対象には神の怒りを降り注がせ、財団は至極容易に彼(ら)を葬り去ることが可能だろう。

- Y. レナー
アブラハム副部門主任

現在この提言は倫理的懸念と設備保全コストから、関連する財団職員が"臨界状態"となったSCP-2433-JPの所有対象とならない形でSCP-2433-JPを運用し、兵器として実用化する方法が考案されるまで保留されています。

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