SCP-2433-JP-J
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アイテム番号: SCP-2433-JP-J

オブジェクトクラス: none

特別収容プロトコル: 現在SCP-2433-JP-Jは財団機密サーバーに保存されており、セキュリティクリアランス1以上の職員は自由にアクセスし閲覧することができます。

説明: SCP-2433-JP-Jは特別収容プロトコルを番号以外で呼称する場合の、いわゆる"タイトル"および"通称"の取り扱いガイドラインです。2021年時点では数万文字にも及ぶ詳細なSCP-2433-JP-Jガイドラインが設けられていましたが、その文章量と特例判断事例の把握が困難であるなどの問題で、2024年現在では下記のとおり簡易なものに留まっています。

  1. 特別収容プロトコル番号以外で呼ぶ場合、その名称に特異性が関与しないこと。
  2. その通称が、他の似たオブジェクトを想起させる場合、取り違えを防ぐための措置を行うこと。

1についてはSCP-2433-JP-JはSCiPを番号での取り扱いに支障がある場合や、オブジェクト関連情報として秘匿の必要がある場合、また情報災害・認識災害が発生する場合、付帯番号(-1, -Aなど)の都合で非常に長くなり不都合が生じる場合などの条件の下、適用可能になります。
2については元の特別収容プロトコル番号を添える、区別できる特徴を盛り込むなどの対策が求められます。

下記に過去に行われた"会議1"の内容を添付します。

<会話記録2433-11_2021/██/██>

<録音開始>

狭間研究助手: 博士、SCP-████-JPの件ですが。

都留博士: ん? ████番って何だったっけ?

狭間研究助手: あの全身黒い人型実体ですよ。

都留博士: ちょっと待て、思い出すから。えーっと、キリンみたいに鼻の長いライオンだっけ?

狭間研究助手: 人型実体と言ったのが聞こえませんでしたか? 博士が『怪人鉄男』と呼んでるやつですよ。

都留博士: ああ、あいつか! 最初から『鉄男』って呼んでくれよ。

狭間研究助手: そう呼んでるのは博士だけです。というよりご自分の担当なんだから番号で覚えててくださいよ。

都留博士: 逆に私の担当なんだから勝手に名前を付けてもいいはずだ。鉄の身体を持っているから鉄男、至極わかりやすいだろ。

狭間研究助手: 博士だけの認識なのが問題なんです。報告会の時に鉄男で通じると思いますか?

都留博士: その時に番号を添えればいいだろう。大体、Dクラス職員にも6〜7桁の番号が付いてるが、番号だけじゃどこのどいつか覚えちゃいられないよ。ただでさえ入れ替わりや番号の使い回しがあるというのに。

狭間研究助手: 名前で呼ぶと情が湧いたり愛着が湧いたりするのが良くないんじゃないでしょうか。教室で飼ってるブタを食べる授業みたいに。

都留博士: 愛着が湧いた方が世話にも身が入るし、結果的に味も良くなると思う。それに君はそういうの気にせず食べる人間だと思っていたよ。

狭間研究助手: おっと、人格攻撃はハラスメントですよ。博士のことも職員番号で呼ぶようにしましょうか?

都留博士: 150421番、発言許可願います!

狭間研究助手: 許可する!

都留博士: こんなの刑務所じゃないか。やっぱり愛称があった方がいいんだ。

狭間研究助手: でも番号以外の勝手な名前で呼称したりすると、職員間の認識の食い違いが発生する懸念もあります。

都留博士: 番号だけで把握できる職員が一体何人いるんだ。あの"クソトカゲ"だって正式な名称は"不死身の爬虫類"なのに食い違いは発生していない。

狭間研究助手: 逆に173のことは誰も"彫刻"とは呼びませんよ。

都留博士: 問題はそれだ、彫刻は一般名称すぎる。なので私は命名法に『〇〇+男』などの基準を提案する!

狭間研究助手: それに関してはどうでもいいんですが、博士独自の呼び名を付けてるのがダメなんです。ちなみに報告書としては『ブラックバード(その鳥は飛び去った)』とされていますよ。

都留博士: 贅沢な名だね! おまえは今日から『怪人鉄男』だよ!

狭間研究助手: 待ってくださいこれはちゃんと引用元があって、神話における4匹のカブトムシと北欧の森に住むと言われる……

都留博士: ああーん? そんなの『漆黒の堕天使(アイスヴァイン)』と大差ないだろ。報告書はポエムの発表場所じゃないぞ。

狭間研究助手: コントの発表場所でもありません。安心してください、博士のもダサさでは負けてませんよ。

都留博士: しかし分かりやすさにかけては右に出るものは居まい。

狭間研究助手: 体が鉄以外にも特徴はあるんですよ。嘴状の鼻と鶏冠のようなツノとか、移動方法が飛翔だとか。

都留博士: でも人型なんだろ。じゃあ『黒くてクチバシがあってトサカのある空飛ぶ鉄男』でどうだ。

狭間研究助手: わかりやすさにも限度はあります。例えば口裂け女が収容されたとして『ポマードが苦手な美人怪異、整形手術に失敗した外科医へ復讐する 〜私、キレイ?〜』と付けられても嫌でしょう。

都留博士: ラノベか? 「おいSCP-なんちゃらが収容違反したぞ」 「何ィ、SCP-なんちゃらと言やあ『ポマードが苦手な美人怪異、整形手術に失敗した外科医へ復讐する ~私、キレイ?~』じゃあねえか!」 「そうでぇ、その『ポマードポマードポマード苦手です整形手術の復讐待つ襲来待つべっこう飴食う食むところを裂くところ藪医者工事のツラ工事怪異怪異怪異のシューリンガン都市伝説のグーリンダイ……

狭間研究助手: それはラノベじゃなくて落語じゃん。

都留博士: 3文字中1文字合っているから赤点回避だ。まあタイトルが長くなるのに関しては昨今飽和状態にある報告書に全部目を通すのは不可能で、読むにも内容を推測できないと手をつけられないという職員が多い傾向があるというのが根底にあるのが悪いのであって……

狭間研究助手: そういえばSCP-████-JP - 『ウワーッ!』もいましたね。

都留博士: 調査記録に名前を残そうとした瞬間に襲われて「ウワーッ!」って断末魔がそのまま登録されてしまったアレか。

狭間研究助手: びっくりマークまで正式名称なんですかねコレ。

都留博士: そうだ。ガイドラインには「!」ひとつで100デシベルの音量と書いてある。

狭間研究助手: じゃあこっちのSCP-███-JP - 『サイッ!!!!』は400デシベルですか?

都留博士: いや、「!」が1個増えるにつき10倍の音量とされているので、数字で言うと130デシベルだな。

狭間研究助手: それでも窓が割れる音量ですよ。

都留博士: 「ねえおかあさ〜ん、きょうね〜どうぶつえんにいってきたの〜。いっぱいどうぶつさんがいてね〜、ゾウさんとね、キリンさんとね、あと『サイッ!!!!』 [窓の割れる音]
「あらよかったわね〜『サイッ!!!!』 [窓の割れる音] がいたの〜? ねえパパ懐かしいわね〜私たちも若い頃『サイッ!!!!』 [窓の割れる音] をよく見に行ったわよね〜」

狭間研究助手: 「はっはっは〜お前らそれを二度と名前で呼ぶなよ、番号で呼べ〜」

都留博士: 小芝居をしている場合ではない。 例えば……見ろこの報告書を。SCP-████-JP『逆さまの存在改竄、そのまさかさ』、逆から読んでも『さかさまのそんざいかいざんそのまさかさ』だ。 なにウィットに富んでンだ、殺すぞ。

狭間研究助手: 字面からオブジェクトの性質がわかりやすくていいじゃないですか。

都留博士: いちいちこの名前で呼ぶのか? さーかさかさか言ってるとそのうち舌が噛みちぎれるぞ。アラララァ Ah。

狭間研究助手: 長いならそれこそ番号でいいじゃないですか。

都留博士: だから私が言いたいのは『怪人〇〇男』とか『妖怪〇〇女』でいいじゃん、って話であって……

狭間研究助手: 人型でないオブジェクトが大半じゃないですか。"クソトカゲ"も『怪人トカゲ男』ですか?

都留博士: そういうのは『〜ゴン』とか『〜ドン』でいいよ。

狭間研究助手: じゃあピカチュウは「ピカゴン」で、天才バカボンは「バカドン」ですか?

都留博士: そこまで言ってない。それにバカボンは人型だろう!

狭間研究助手: じゃあ「怪人バカ男」じゃないですか!

都留博士: そこまで言ってない!!

[緊急警報が鳴り響く]

自動アナウンス音声: 収容違反が発生しました。エリア████の職員は直ちに避難してください。繰り返します。収容違反が発生しました。エリア████の職員は……

SCP-████-JP "ウワーッ!": こんにちは! さっきボクのこと呼びませんでした?

都留博士&狭間研究助手: ウワーーーッ!!
 
 
 
[検閲済み]
 
 
 
SCP-████-JP "メリメリグシャッボキッバリバリゴクン": 誰か呼んだ?

<録音終了>

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