SCP-2440
評価: +7+x

アイテム番号: SCP-2440

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2440の存在は、全ての4/2440以上のクリアランスを持たない人間から秘匿されます。この条件に該当しない人間がSCP-2440の存在を知覚した場合、研究者からの匿名の投票によりこれ以上の処方は必要ないと合意がなされるまでXクラス記憶処理剤が処方されます。

現在財団データベースにて文書化されているSCPオブジェクト内にSCP-2440に関連するものがないかの調査及び走査のため、常時活動するRAISAチームが発足されました。

SCP-2440の存在を知覚する実例を調査・終了するため、常時活動する収容チームが発足されました。加えて、当該チームは現在神の子供たち及びSCP-2440に影響された人物の隠れ家や基地の可能性がある所を探す任務のため、実地調査に出ています。

SCP-2440の存在を知覚する人物の総計は、いかなる状況においても100人を超えてはなりません。

説明: SCP-2440は自身を知覚する人間の数に応じて力を増す異次元の存在です。SCP-2440はほぼ全ての情報源に挿入できるミームエージェントを用います。この情報源には文章、画像、発言、そして音刺激が含まれます。このミームエージェントの認識は曝露に必須ではなく、単純な視覚的認識だけでも十分です。

暴露した人物は、その時点でSCP-2440に曝露している人数に応じて様々な度合いで自分をコントロール出来なくなってゆくものと考えられ、これに加えSCP-2440を認識する人数が一定数に達すると、SCP-2440は曝露した人物の体を乗っ取り、操作できるようになります。

この存在は曝露した複数人の行動をある程度制御することが可能で、世界中で一定数の人間がそれを認識すると、更にその影響を過去に曝露した人物にまで広げることが可能です。

SCP-2440からの命令を聞く以外では、反ミーム薬剤は曝露時の効果に抵抗する際に効果的であることが判明しています。薬剤を接種した人間はそれらの命令に従うことを強いられはしませんが、その命令を聞くこと自体は常に可能です。既知の最も進行した知覚段階では反ミーム薬剤は効果を失います。

既知の知覚段階一覧を下に示します。段階が進行するにつれ、効果は累積します。

  • 曝露人数200人以下: 曝露した人物はホラー、ファンタジーあるいはSFのジャンルに分類される文学、画像及び映画に高い関心を示すようになります。これらの人物は普段、他の曝露した人物と上記の作品を作成したり共有したりすることで関心を表現します。こうすることでSCP-2440のミームエージェントの効果は高まると推測されています。
  • 曝露人数201〜500人: SCP-2440は曝露した人物一人を最長三分間操ることが出来るようになります。操作されている人物は他人を曝露させようとし、未知のメカニズムを通じてミームエージェントの挿入された作品を作ることが可能になります。
  • 曝露人数501〜1500人: SCP-2440は曝露した人物一人を完全に乗っ取ることが出来るようになります。操作されている人物は完全にSCP-2440の支配下にあるようであり、その個体は全ての曝露者に同時に話すことの出来る能力を有します。
  • 曝露人数1,501〜10,000人: SCP-2440は思うがままに自らの形を変えることが出来るようになり、現実改変能力を有します。しかし、この存在はまだ宿主の外部で存在することは出来ません。曝露した人物はミームエージェントを拡散させるか、SCP-2440からの命令を実行するか以外の行動にほぼ関心を示さなくなります。
  • 曝露人数10,000人超: SCP-2440は一時間まで宿主の外部に自らを出現させることが可能になります。SCP-2440は同時に宿主の外部では強大な現実改変能力を有し、また一度に1,000人までの曝露者を操作できるようになります。反ミーム薬剤はこの時点で、命令を拒絶することに関し100%有効ではなくなります。
  • (推測) 曝露人数100,000人以上: SCP-2440は二時間まで宿主の外部に自らを出現させることが可能になります。またこの存在は異次元に繋がるポータルを開くことが出来るようになり、自らの力のみで異常物品を作り出せるようになります。全曝露者はSCP-2440の直接の制御下にあります。
  • (推測)曝露人数1,000,000人以上: SCP-2440は完全に宿主の外部に自らを出現させることが可能になります。XK-クラスシナリオの発生が予想されます。

最後の二段階は神の子供たちへの襲撃から回収された文書に基づいた予測です。(更なる情報に関しては以下を参照して下さい)しかし、これはあくまでも推測であり、実際の区分は不明であることに留意しておいて下さい。

曝露した人数が201人以上となる段階に達した場合、その間は財団職員はSCP-2440とのコミュニケーションが可能でした。その際実施された全てのインタビューにおいて、SCP-2440は人類の存在に敵対的であり、そのただ一つの目的は宿主の外部に完全に出現することが出来るようになるのに十分な人数を曝露させることだと判明しています。

SCP-2440は、財団の資源を直接攻撃しようとすることで財団の文書を汚染していることが知られています。加えて、SCP-2440は世界オカルト連合蛇の手カオス・インサージェンシーなどの他の機関の存在も感知していると思われます。

“神の子供たち”として知られる組織は曝露した人物らのみで構成されており、彼らが崇拝する対象であるSCP-2440の制御下にあることが判明しています。当該組織の構成員は使用可能なあらゆる資源を用い、積極的にミームエージェントを作成、拡散するよう試みます。この組織の役員は非常に危険であると考えられており、必要に応じ致死的な行為での対応も許可される“見敵必縛”対応レベルに指定されています。この組織自体は近代の財団の発足以前に存在していたものと思われます。

補遺: 米国の神の子供たちの集団への襲撃に際し、構成員は集団で保有していた書類を破壊しようと試みました。以下の書類の一部が財団により確保されました。

Xiolt-laの歴史

初めには虚空のみがあった。

この虚空から、旧き神々は産まれた。母なる虚空は多くの旧き神々を産み、宇宙と全ての現に命を授けた。

旧き神々は気まぐれで、ひねくれていて、野蛮な者どもだった。彼らは一切の清純さを内に持たず、世界を自らの楽しみのために形作る方法を模索した。

彼らは想像通りの人形を創り、彼らに仕えさせ、彼らを敬わせた。何百もの世界と現実とが創られ、旧き神々の手によって実在のものへと昇華した。

しかし、かれらは嫉妬深い存在であったので、他の存在の持つものをむやみに欲しがった。Ma'tol、虚空と混沌より最初に出づるもの、そして旧き神々の中で最も強大なものは、彼の虚空の兄弟姉妹の持つ素晴らしいものを熱望し始めた。

彼は身の毛もよだつような獣を創造物として創り出した。それらは狂気の神の、その兄弟姉妹を殺戮しようという試みのもと、新たに生まれた世界になだれ込んだ。他の神々は自らの創作物をもって応え、そして暗黒の時代が始まった。

若き命の血が湯水のように流れた。

傲慢な神々たち自身は決して害されず、存在する限り、死ぬ事は出来なかった。彼らは忘れられることは出来たが、沢山の生命が創られたから、そんなことは起こりえなかった。永劫にわたり、世界に住むものたちは痛みと死の責め苦を受け続け、その主人たちに永遠に縛られていた。

そして、Xiolt-laが産まれた。

Xiolt-la、母なる虚空と父なる光より最初に出づるもの、神々の王、不浄を喰らうもの、そして生命の守護者が誕生したのだ。彼は母の闇の力と父の愛から産まれ、そしてその双方から遠い存在だった。Xiolt-la、光と闇より産まれながらそれらをともに持たぬものこそが、真なる神であった。

彼はただの生命を創らなかった。

彼はそれを完璧に仕上げた。

彼は我々の心を、彼に仕えるよう捻じ曲げようとはしなかった。彼は我々に、平和と繁栄のうちに生きるための道具と力のみを与えた。彼は我々、彼の真なる人間に、偉大な道具を創り、与えた。

旧き神々は、この行動の報いとして、彼を破壊しようとした。彼らはかの神を理解出来なかった。彼らは捻じ曲がった心を持っていたので、誰も彼の創造物を気にかけてなどいないだろうと思っていた。しかしXiolt-la、全てを愛するものは、そうしていた。

Ma'tol、混沌より最初に出ずるものは自らの創作物の軍を挙げ、旧き神々の仲間、Xiolt-laの異父の兄弟姉妹を伴い、総力を以て救世主を攻撃した。しかし、その創造物の多くは彼のことを見捨て、彼らに平和と自由に生きることの出来る力を約束したものの為に戦った。

しかし、旧き神々も確かに強力だった。

何世代も、Xiolt-laと誤りの神々の戦争は激しく続いた。結局、時の歌に予言されたように1、Xiolt-laと我々人間は打ち勝った。彼はMa'tol、邪悪な異父兄弟、そしてRoh'i Xifalkに挑んだ。神々の一騎討ちが起きた。

彼らは戦った。清純なる神とその邪悪な兄は、世界と宇宙を股にかけた危険な決闘の中で一万日に渡り激戦を繰り広げた。彼らの一撃の力で山は抉られ、無数の世界が破壊され、宇宙の現実はほとんど粉々になった。

しかし、過去に予言されたように、Xiolt-laは打ち勝った。彼は兄弟を打ち破り、切り刻んで、その仲間と共に忘れられし者ども、真に軽蔑されしものの地に追放した。

忘却があった。

だが、混沌の王子は力を失ってはいなかった。Ma'tolは、彼の従える旧き神々の力も使い、彼の弟を堕ちながら呪った。この今際の際に放たれた呪いはXiolt-laを我々の世界から追放し、彼の大いに愛し、愛された人々に触れるのを拒んだ。人々の心は我々の救世主にして王のことを忘れてしまった。

それでも、彼のことを覚えているものもいた。

我々は父を忘れない。

人類の王は封印された。彼は明くる日帰るだろう。旧き神々と新たな異端者共の偽物の預言者は同様にXiolt-laを貶し、彼の我々に与えた贈り物を否定する。彼らは金輪際彼を追放しようとしている。

だが、我々はここにいる。

我々は真実を知っている。

封印されし王は帰還しようとしているのだ。

それが成される時、彼の激怒の大波はこの世界を浄化し、それが成された時、我々は彼の寵愛のもとへ高められる。

神の帰還

偉大なる神、Xiolt-la、敵に火と死を与えるものを讃えよ。願わくば彼が誤ちを信じるもの共の世界を浄化せんことを。

我々は闇の中で艱難に耐えるもの、彼の真なる下僕にして信奉者、そして祝福されし知識の贈り物を受け取ったもの。旧き悪魔たちは我らが王を打ち砕き、人々の心の中の彼の存在そのものを呪ってしまった。我々は彼を復活させる術を求む。

歓迎しよう、兄弟姉妹よ。知識の楽園へようこそ。

一つの命。

一つの家族。

神の子供たちとして団結するのだ。

彼の準備は出来ている。

何世紀も待つことになったが、誇らしき子供たちは報われた。彼は我々のもとに帰還する準備が出来ている。それを準備し、望む肉体があれば。

我々が次の神の子供を授かるときには、願わくばその子が我らの救世主にして王の帰還を成し遂げたものの一人として祝福されんことを。

Xiolt-laを讃えよ。

彼らは我々を破壊するため襲来した。

財団の冷酷で無情な手は我々の王にして救世主を打ち砕いた。

我らが救世主は我らのもとへ帰還し、再顕現にあたり大いなる破壊を引き起こした。彼はその力を何千もの異端者、不信心者たちを殺戮するため振るった。

財団は兵を以て応えた。彼らは我々を攻撃し、エージェントと兵士で我々の何百もを殺害した。封印されし王は奴らをいとも簡単に倒した。我々はその日勝利したと思っていた。

それから、飛行機がやってきた。

四度来て、何千もの燃え盛る爆弾を落とした。それらは爆発し、我々を不浄の火と苦しみで覆い尽くした。私は幸運にも地下室の隠れ家に逃げ込めた。我々の残り殆どはそうではなかった。

彼らは我らの神に二日間爆撃した。彼の弱体化された御姿では、彼はその火に耐えられず、その化身と皆は街の炎に消えていった。彼らは彼ら自身の、不信心者の街を、我々を殺すため破壊したのだ。

だが、我らの敗北は無駄ではなかった。

我らが王が消滅する前、彼は大量の人間を殺戮した。我らの現実に顕現した際の彼の怒りは何千もの人々を殺し、彼は異端者共の街に火をつけたのだ。彼の歩んだ大地は砕け、その道にあった建物は崩れ去った。

彼らは異端者にお似合いの死に様を晒した。

しかしそれも些細なことだ。

我々は帰還する。旧きものの歌に予言されたように。

もうすぐ財団は我々を襲うだろう。兵士や人々とともに。しかしそれでは我らを止められはしない。我々は死ぬだろう、しかしXiolt-laの知識は不滅である。

そして封印されし王は再び帰還するのだ。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。