アイテム番号: SCP-2445
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2445はサイト-81のAVB(異常車両駐車場)に保管されます。
説明: SCP-2445はほとんどマーキングの無い白いトレーラトラックです。注目すべき点は、右端の後部ドアの右下に書かれた次のようなラベルです。
ワンダーテインメント博士株式会社
ワンダーテインメント運通事業部
SCP-2445のトラック部分のボンネット下には改造されたエンジン部品(SCP-2445-1と指定)が収められており、通常のセミトラックのエンジンを大きく上回る馬力を出すことが可能です。SCP-2445-1は運転室内部の機械(SCP-2445-2と指定)によって操縦されます。現在、この運転室内部の機械はSCP-2445の異常性質の源と考えられています。
SCP-2445-2は0.6m×0.6m×0.6mの黒い金属製立方体であり、SCP-2445の運転室内部、運転手席と助手席の間に位置しています。SCP-2445-2を開けたり、内部を検査する試みは成功していません。2本の太いケーブルが運転室のダッシュボードを通ってSCP-2445-1とSCP-2445-2を接続しています。8本の比較的細いケーブルがSCP-2445-2からダッシュボードに延びており、ダッシュボード上には大きなタッチスクリーンが載っています。この画面の上部を横切って"ワンダービジョン"の文字が表示されています。スクリーンはSCP-2445-2の制御モジュールであるようで、SCP-2445を動かし始めると起動します。
起動すると、SCP-2445-2用のコントロールスクリーンはイントロメッセージを表示し、その後にログイン画面に切り替わります。ログインに必要なのはユーザー名、パスワード、皮膚サンプル、網膜スキャンのようです。
ログイン後、幾つかのオプションが列挙されます。オプションとその機能は以下の通りです。
- ワンダーファインダー: SCP-2445の周辺地域のヒートマップを表示します。このオプションの機能は配達場所を見つける手段のようです。学校や公園のような幼児の密度が高い地域は濃い赤色で表示されます。
- ワンダーハイダー: SCP-2445全体を裸眼から不可視にする装置が作動します。
- ワンダーズーム: 時間的異常をSCP-2445の周囲に作ります。SCP-2445の内部に比べ外部の時間の流れが著しく遅くなりますが、SCP-2445自体は時間が通常の速度で流れているかのように空間を移動することが可能です。作動中、"ワンダー空間歪曲処理機"("WonderSpatialDistortionFixer")という追加表示灯が点灯します。
- ワンダートランスファー: 子供のおもちゃを大きくカテゴリー分けしたメニューが開かれ、これらは全てワンダーテインメント博士により製造された製品のようです。メニューから対象を選択すると、一定時間後、SCP-2445のトレーラー内の棚に当該対象が包装されて出現します。対象の横の選択欄では個数を設定でき、これには明確な上限が設定されていません。特定のカテゴリーはロックされており、それらにアクセスしようとすると"季節限定商品!"や"この民族集団には適用不可!"といった通知が現れます。
- ワンダーホーム: ワンダーテインメント博士の主要な物流拠点にSCP-2445を回送します。オプションは現在ロックされており、これにアクセスしようとすると"焦らないで!"という通知が帰ってきます。
加えて、SCP-2445作動中に被る時間、空間的異常から運転者を守るために設計されたと思われる幾つかの装置がメイン運転室の中に存在します。これらの装置には未知の液体物質を含む静脈注射器が1セット、運転者の前面に直接位置するように設計されたヘッドアップディスプレイが1台、SCP-2445-2に直結された20の異なるリード線で覆われたヘルメットが1個含まれています。
発見情報: SCP-2445は2009/11/15の大規模な冬の嵐の際に、ウィスコンシン州██████付近で誤動作を起こしセダン車と衝突していたところを発見されました。開いたトレーラーからこれまでに知られていないワンダーテインメント製品が自発的に放出され始め、それらが飛び上がってSCP-2445の周囲で爆発し始めた時点で現地当局は警告を受けました。
放出された実例の数がトレーラーの載貨量の推定限界より高くなった頃に、機動部隊アルファ-13 "精肉卸売業者" が配備され、SCP-2445の収容のため派遣されました。45名がクラスC記憶処理を施され、花火を積んだトラックの大破に関するカバーストーリーが地域新聞に流布されました。
SCP-2445はサイト-81へ運転者同伴で移されました。この運転者は短期入院の後に正式に財団の保護下に入りました。
インタビュー2445-A: 以下のインタビューはSCP-2445とその運転者の発見・確保から間もない2009/11/20に行われました。運転者はクラレンス・プリンスという名前の白人男性であり、財団の医学的保護から解放されました。
[ログ開始]
エージェント ロバーツ: よし、始めましょう。お名前は?
クラレンス・プリンス: 誰だ?
ロバーツ: ご協力頂けるならお互いすぐに終わるのですが。
プリンス: 話す人間を間違えたら面倒事に巻き込まれると思うのですが。誰なんだ?
ロバーツ: 私は次元間交通安全管理機構のメンバーです。あなたの車の性質と運んでいた貨物について情報が必要なんです。
プリンス: はっ、これは驚いた。バッジも何も持ってねえのか?
エージェント ロバーツは財団の標準IDタグを取り出す。
プリンス: 畜生、さっき言ったことに大した意味はねえんだ。名前はクラレンス・プリンス、ごく普通の運通特務員だよ。
ロバーツ: プリンスさん、運転されている車についてお話し願えますか?
プリンス: ああ、古いが頑丈なやつなんだ。ずっと運転してきたし、あいつみたいに進むのは見たことがねえ。実際、考えてみても、あの車みたいなのは絶対にない。あれはタイヤのセットもまるきり違うんだ。
ロバーツ: 推察するにあなたが言及なさってるのは-
プリンス: もちろんエンジンだ。つまらん宇宙映画から出てきたみてえなんだよ。当然、チカチカするライトと科学っぽい感じの仕掛も沢山で。でも修理も燃料も要らねえんだ。反論出来ねえよな。
ロバーツ: では箱の内側は?
プリンス: あー、車庫の奴らが「ワンダービジョン」って呼んでたやつか。コンピュータみたいなんだが、なんていうか、することがちょっと違うんだよ。ちょっと慣れてみろ、一回基本を掴んだらあれは夢みてえに走るんだ。
ロバーツ: あなたの雇い主についてお話しいただけますか、プリンスさん。
プリンス: 博士のことか?会ったことが無いから言えないね。俺はもっぱら車庫の奴らか積荷の奴らとしか関わってねえし、彼奴らのことも話せるようなのは特に無い。どっか調子が悪くなったら車を車庫の奴らのとこに持って行く。駐車しなくちゃいけねえときは積荷の奴らのとこに持っていく。 運行路をもらったら、出発する。
ロバーツ: どのようにしてワンダーテインメント博士の元で働き始めたんですか?
プリンス: ああ、俺はずっとアトランタからの運送をやってたんだ。俺は超真面目だったりなんだりしたと思う、ある日出勤したら俺のトラックがどっかに行ってて、俺の指導員だったジェリーが、俺が昇進するって言ったからな。気がついたら、イギリスのガードマンの仮装みたいなチンピラ共が俺をバンに押し込んでどっかに連れてったんだ。幾つか書類を書いて、この識別バッジのここの所の顔写真を撮られて、それで俺は一生安泰ってわけだ。俺が荷物を運ぶ、会社は金を払う。給料は超いいぜ。
ロバーツ: あなたの車が誤動作を起こした原因は何だったのですか?
プリンス: あいつは空いてる道でも天気が悪くても、最高の走りで獣みたいなやつだろ?けど、ワンダーズームにはマジで気をつけないといけない。車庫の奴らには光速で動く分には氷の上でも運転に支障は出るはずないって言われたが、あいつらと話す必要があるんだ。見たことないぐらい後ろがV字に折れ曲がってて、気づいたら、あー、俺は外の排水溝に突っ込んでて、それでケツのとこから火花が出てたんだからな。
ロバーツ: なるほど、ありがとうございます。これで完了です、プリンスさん。
プリンス: 構わんぜ、管理人さん。おい、これで切符切られたりしねえよな?
[ログ終了]
インシデントログ2445-D: 2012/03/15、SCP-2445の定期テスト中にクラレンス・プリンスはSCP-2445-2へのログインに失敗し、繰り返し試行しても同様でした。数回の試みの後、SCP-2445-2のメインディスプレイに以下のような通知が現れました。
焦らないで、財団のおバカさん達!
ワンダーテインメント博士はあなた方が私たちの最新製品、ワンダーシッピングの見本を楽しんで頂けたなら幸いと思います。
残念ながら、トライアル期間は終了しました。でも気にしないで!私たちは出来るだけ早く製品回収担当を送る予定です。
ご協力に改めて感謝を!
追伸 クラレンスには最後の明細を郵送するとお伝えください。光速での氷上牽引はきちんと作動しますが、カープールレーンでドリフトして車を回そうとするのは別です。