SCP-2454

アイテム番号: SCP-2454

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2454個体群はサイトΔ-4の測地線ドーム生息域に居住させます。個体群には1日2回、魚と柔らかい昆虫を餌として与えます。個体群は毎月1回の健康診断の対象となります。

説明: SCP-2454は肉体的・奇跡論的に増強された12匹のアホロートル(Ambystoma mexicanum)の総称です。各SCP-2454個体は同種の標準的な個体よりも顕著に大きく、体長4~6mです。各SCP-2454個体の背部には未発達の翼に似た1組の突起物があり、さらに背骨に沿ってより小さな突起が幾つか存在しています。これらの“翼”は機能性を持たず、純粋に装飾的な特徴のようです。

翼が機能しないにも拘らず、全てのSCP-2454個体は空中を“泳ぐ”ことによって補助無しで飛行できます。SCP-2454個体は時速90km以上の速度で飛行し、最大で地上5kmの高度に達することが可能です。飛行中のSCP-2454個体は自らの周囲に熱を帯びた空気の泡を形成します — この泡は生物にとって安全な環境を維持し、空中デブリや高速で移動する物体に対する障壁の役割を果たします。

SCP-2454個体は口から小さな火炎を吐くことができます。この炎が大部分の生物に害を及ぼすほどの熱さに達することは滅多に無く、急速に消散します。SCP-2454個体はしばしば自分の身体や休息場所を暖めるためにこの炎を使用します。さらに、SCP-2454個体には体表に微弱な電流を生成する能力があり、お互いに身体を擦り付け合いながらクーイングを行う様子から、この電流を意思疎通または求愛儀式の一種として用いているように見受けられます。

特筆すべき事に、SCP-2454個体は非異常なアホロートルよりも遥かに知的です。個体は殆どの人間の言語を理解することができ、初歩的な意思疎通が可能です。これは主にパントマイム、クーイング、大きな棒で地面に大雑把な図を描くことによって行われます。

SCP-2454個体は非常に人懐こく、頻繁に職員を誘って自らの背に乗せようと試みます。個体は飛行を積極的に好んでいるらしく、長期間にわたって無視された場合は職員を捕えて強制的に空中に持ち上げようとします。

ごく稀に、SCP-2454個体は急速な自発的変異を起こして、成体と思われる姿になります。この際に小さな鉤爪、牙、鱗に似た無数の突起が身体に現れます。短期間の後、個体は退行的な変異を起こしてネオテニーの状態に戻ります。これらの変化やその無作為な発生の裏にある理由は不明です。

SCP-2454はアンストーマ・メリナムという人物の家において、彼女が休暇中にペットの世話を見てほしいと隣人に依頼した際に発見されました。隣人はアンストーマが数匹のアホロートルを飼っていることは把握していたものの、それらを実際に見たことは無く、通常の大きさであると仮定していました。SCP-2454を見た隣人はパニックを起こして警察に通報しました。潜入エージェントからの通知を受け、財団は12匹の個体を確保しました。帰宅したアンストーマもまた拘留されました。

補遺2454-1: アンストーマ・メリナムへのインタビュー

質問者: エージェント クロウ
回答者: アンストーマ・メリナム


[記録開始]

クロウ: 記録のために、あなたのフルネームを述べてください。

メリナム: アンストーマ・コスタ・メリナム。

クロウ: ではアンストーマ、これからあなたの風変わりな… ペットについて幾つかお訊きしたい事があります。

メリナム: あの子たち無事よね? 傷付けたりしてない?会わせてくれる?

クロウ: 安心してください、全く以て無事です。あの生物に危害を加えるつもりはありません。彼らが具体的にどのような経緯を経てあの姿になったのか、どのように世話をしていたかについて、もう少し情報を提供していただけませんか。訊かれる前に答えておきますが、いいえ、我々はすぐに彼らをあなたに返却することはできません。この後、あなたが彼らと会えるように手配することは可能です。

メリナム: 分かったわ。アホロートルの話をしてるって考えていいのよね?

クロウ: 他にも我々が懸念すべき動物がいますか?

メリナム: 私は何年も前から沢山ペットを飼ってた。主に爬虫類なんだけど、しばらく前に逃げ出したヘビが数匹いるの。他のペットたちにはアホロートルほど深く取り組んでなかった。

クロウ: 今日はアホロートルの話のみとしますが、いずれは他の動物の話もお訊きするかもしれませんね。

メリナム: 分かった、具体的には何を知りたいのかしら?

クロウ: 彼らはどういう経緯であの状態になったのですか? 一般的なアホロートルとは似ても似つきません。

メリナム: ああ、それは簡単よ。成長を促すように考案された特別な餌と、あの子たちの安全を維持しながらちゃんとした姿に育つのを助けてくれる魔法をほんのちょっぴり。

クロウ: 何処で魔法を学びましたか? 我々の記録が示す限りでは、あなたは生まれつきの異常能力者ではなく、そのような能力を付与できると確認されている異常な団体に加わった経歴もありませんね。

メリナム: 大学3年の時に、1学期だけドイツの大学に留学したの。結構沢山の事を教えてくれたわよ、主に初歩的な変形術と軽い植物操作。残りは卒業後に数年かけて独学で勉強した。あの子たちを成長させ、健康に保つ特殊なハーブを育てるために魔法を使ったわ。

クロウ: その大学についてもう少し教えていただけますか? 所在地は? 名称は? 教授やクラスメイトの名前は?

メリナム: ベルリンの、南部に近い所にある小さな大学。名前がちょっとよく思い出せなくて…

クロウ: いいでしょう。アホロートルに話を戻しますが、あなたの目的は正確には何だったのですか? どうもあなたは彼らに飛び方を教えたようですが、それなら飼い慣らした鳥の方が遥かに上手くやってのけるでしょう。仮にある種のドラゴンを作りたかったとすれば、何故ごく普通のトカゲではなく両生類を選んだのですか?

メリナムは数秒間、無言で貧乏ゆすりをしている。

クロウ: 教えてください、アンストーマ。我々はあなたがあの生物を何に使うつもりだったかを明確にする必要があります。

メリナム: ちょっと恥ずかしい。

クロウ: あなたをどうのこうのと判断する気はありません、情報を求めているだけです。そうすれば我々だけでなく、あなたにとっても有利に働きます。

メリナム: オーケイ。“ヒックとドラゴン”って映画を知ってる? 数年前に公開されたやつ。

クロウ: 名前は聞いていますが、観たことはありませんね。

メリナム: メインキャラのトゥースレスっていうドラゴンはね、アホロートルがモデルなの。それで、ちょっと思いついたというか、その、私は生物操作術を多少かじってるから… 自作しようとしたのよ。誰だって人生で1回ぐらいドラゴンを飼いたいでしょ。

クロウ: つまり、映画のキャラクターを好きになったからこんな事をしたんですね?

メリナム: そ- そうよ。だから恥ずかしい事だって言ったじゃない。

クロウ: 恥ずかしいかはさておき、あなたに危険な動機が無いと分かったのは幸いでした。今日はこれで十分です。

メリナム: じゃあ、あの子たちに会わせてもらえる?

クロウ: 恐らく。必要な手配をしてきます。

[記録終了]

その後2回のインタビューを経て、SCP-2454に関する知識を持ち。また個体群に慣れ親しんでいるという理由から、暫定的にアンストーマ・メリナムをSCP-2454の世話役として財団で雇用することが決定しました。

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