SCP-2456-JP
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アイテム番号: SCP-2456-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2456-JP-1は標準的な人型収容室に収容されます。SCP-2456-JP-1が収容に協力的であることに鑑み、セキュリティクリアランスレベル0相当の事務作業に従事することが許可されています。形式部門からの要請により、SCP-2456-JP-1は業務中にSCP-2456-JPの異常性を発現させることが可能である文書を発見、あるいは異常性が不随意的に発現する可能性があると考えた際は、随時形式部門担当者に連絡を取ることが義務付けられています。

更新版収容プロトコル: SCP-2456-JP-1は、1日に1度以上『フィルイン』を利用して文書を生成し、収容室内でSCP-2456-JPの異常性を発現させてください。生成した文書は、異常性発現の可否、影響を受けたか否かに関わらず、その結果と共に形式部門に報告してください。

説明: SCP-2456-JPは36歳のアメリカ人男性、クラーク・ディッキンソン氏(SCP-2456-JP-1)に付随しており、氏の説明によれば形而上学的陰茎および睾丸と表現される不可視の身体部位です。SCP-2456-JP-1へのインタビューによれば、SCP-2456-JPはSCP-2456-JP-1の本来の陰茎および睾丸の位置とは無関係の部位に形成されていることが分かっていますが、それが具体的に身体のどの部位に存在するかについては、本人を含め認識することができません。

この点についてSCP-2456-JP研究チームは、脊椎への電気的神経探査試験による神経支配領域の確認を実施しました。この試験によって、SCP-2456-JP-1は脊椎のどの部位に電気刺激を加えてもSCP-2456-JPに対する感覚を受ける一方で、特に第2・第3仙骨神経への電気刺激が最も強い感覚を受けているという結果が得られました1。このことから、SCP-2456-JPはSCP-2456-JP-1の全身あるいは神経系全体に遍在しているとする仮説を研究チームは示しています。

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冊子上に記述された論理構造に対して、異常性を発現させる実験中のSCP-2456-JP-1。

SCP-2456-JPは、一定以上の瑕疵あるいは破綻が存在する任意の論理構造内に干渉することが可能です。当該論理構造に干渉が可能であるかどうかは、SCP-2456-JPに一定の基準があることが分かっていますが、SCP-2456-JP-1の主観的意見以外に判断材料がないため、実験による基準策定が形式部門によって進行中です。現時点において判明している条件は以下の通りですが、これに該当しない実験結果が複数あることに留意してください2

  • SCP-2456-JP-1がその内容の大筋を理解することが可能である3
  • 論理構造の中核を構成する要素が明確である。
  • 「A=BでありB=Cであるとき、A=Cである」のような単純な論理構造でない。
  • 論理構造の中に矛盾点、破綻、瑕疵、不確定要素が存在することをSCP-2456-JP-1が認識できる。

SCP-2456-JPを論理構造内に干渉させると、SCP-2456-JP-1は軽度の性的興奮を覚えます。この状態を数分から1時間程度継続させた場合、SCP-2456-JPは当該論理構造に適した形式の統語論的構成素を導入・混合します。この際SCP-2456-JP-1は軽い掻痒感を認識していることが分かっています。

SCP-2456-JPから統語論的構成素を混合された論理構造はSCP-2456-JP-2に変化します。SCP-2456-JP-2は、元の記述が変更されることによる論理的瑕疵の解消と、一部の例で更に付帯的概念の発生が確認されています。この記述の変更は軽度の官僚災害的性質を帯びており、当該論理構造をSCP-2456-JP-2に変化する以前に視認し内容を理解している人物による観察でも、以前から瑕疵や矛盾が存在せず、言語的・論理的・法的な観点から見て完全に有効なものとして認識されます。以下のリストは、実際にSCP-2456-JP-1が収容以前に作成し、意図的に異常性を発現させたことが確認された文書記録の抜粋です。

文書形式 概要 記述の変更箇所 付帯した概念 付記
不動産売買契約書 甲は乙に対して民家と土地を売却する。 甲から乙への引渡日が記入されていなかったが、これが2013年5月31日に確定した。 契約締結時には無かった、太陽光発電設備の取付に関する付帯契約が発生した。 SCP-2456-JP-1は、当時不動産売買にあたって太陽光発電設備の契約ノルマがあったとコメントしている。
不動産賃貸契約書 甲は乙に対して、甲が管理する集合住宅内の一部屋を賃貸する。 退去前の通告期間についての記述が印刷のスレによって不明瞭だったものが、1か月前の通告と記述された。 退去時に乙が負う原状回復義務について、乙に毀損の責任があるものは、その費用負担を甲:乙=1:9で確定させる付帯契約が発生した。 この契約の直前に、SCP-2456-JP-1は他の賃借人との間に原状回復義務に関するトラブルを起こしていた。
遺言状 SCP-2456-JP-1の祖父が死亡時に残したもので、遺産分配について詳述している。 不動産および現金資産についての分配のみが記述されていたが、動産についても民法の規定に則って分配する旨の記述が追加された。 SCP-2456-JP-1の祖父が保有していた書籍については、SCP-2456-JP-1に優先して分配してほしいという記述が追加された。 SCP-2456-JP-1はこれについて、読書家の祖父の遺産を自分が引き継ぎたかったと同時に、稀覯本を複数所有していることを知っていたために優先的な相続を企図していた。



インシデント2456-JP01: 初期収容の直後、安全のために1週間に渡ってSCP-2456-JP-1の行動を監視・制限していた際に、不随意的にSCP-2456-JPの異常性が発現していたことがSCP-2456-JP-1本人から報告されました。この時SCP-2456-JP-1は睡眠中であり、入眠から覚醒までリアルタイムで測定されていたバイタルサインが後日確認されましたが、身体的な異常は確認されませんでした。本インシデントにおける影響は以下の通りです。

文書形式 概要 記述の変更箇所 付帯した概念
クロスワードパズル懸賞専門誌 SCP-2456-JP-1の要請により当日朝に提供したもので、一部の問題が解きかけの状態でベッドサイドに置かれていた。 SCP-2456-JP-1が解きかけていた問題が全て完答されていた。 懸賞品の当選者には、同誌の最新号がおまけで送付される旨が追加された。

本事案は、後に推定されるSCP-2456-JPの異常性発現要件から逸脱しているものであり、不定の期間異常性を発現させない場合に予期せぬ暴発を招く恐れがあるものと判断されました。

これを受けて形式部門は、異常性の暴発の予防ならびにその発現要件をより効率的に解明することを目的として、財団法務部門所属上席弁護士シェルドン・カッツの協力のもと、SCP-2456-JP専用アプリケーションプログラム『フィルイン』を開発しました。本プログラムは、SCP-2456-JP-1が最も慣れている文書形式であり論理構造上の瑕疵を含ませやすい、民法・商法に則した契約書形式の文書を自動的に生成するものであり、その際にランダムに瑕疵や論理的矛盾を含ませることが出来ます。

『フィルイン』の開発以降、SCP-2456-JP-1は任意のタイミングで異常性を安全に発現させることが可能となり、研究の進捗を大幅に効率化することができました。これを受けて特別収容プロトコルは改訂され、財団コントロール下での定期的な異常性発現を行わせることとなりました。

以下は『フィルイン』の運用と形式部門主導の実験によって、現時点までに判明している各条件における干渉の可否4をまとめたものです。

条件 干渉の可否
売買契約書書式 可能
賃貸借契約書式 可能
就労契約書書式 不可
金銭消費貸借契約書書式 可能
債務保証契約書書式 可能
法学論文 可能
歴史学論文 不可
文学論文 不可
心理学論文 可能
経済学論文 不可
経営学論文 可能
冒険小説 可能
恋愛小説 不可
ホラー小説 不可
ノンフィクション小説 可能
コメディ小説 不可
推理小説 可能5
童話 可能
官能小説 不可
各国憲法 不可
条約書式 不可
聖書 不可
刑事判決書 可能
民事判決書 不可
アメリカ合衆国大統領教書 可能
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