SCP-2459-JP
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SCP-2459-JP内部

アイテム番号: SCP-2459-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2459-JPはサイト-8122の低脅威度物品ロッカーに収容されています。オブジェクトを用いた加熱実験は倫理員会の許可を得た上で行って下さい。

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ダイヤル

説明: SCP-2459-JPは経年劣化のあるNational製の電子レンジNE-EH22です。構造や素材に流通品との差異はありませんが、底部に油性マジックで書かれた「食育用」の文字が確認できます。

単一の生物に由来する物品を入れ最大出力で15分の加熱を行った場合、SCP-2459-JP内部には素材となった生物に近似した外見の実体(SCP-2459-JP-1)が出現します。SCP-2459-JP-1はファインダー越しにのみ存在が確認されており、加熱終了時には通常手段で加熱されたものと差異のない物品のみが残されます。加熱終了前に扉を開けた場合、また加熱開始後にダイヤル操作を行った場合、内部の物品とSCP-2459-JP-1は消失します。

SCP-2459-JP-1が外部からの刺激に明確に反応した事例は確認されていません。この対話不可能性は扉による音声の遮断に加え、SCP-2459-JP-1が内部の高温環境で錯乱・衰弱していることが原因であると推察されています。

加熱実験例
投入物品 SCP-2459-JP-1 行動
アジの干物 アジ1匹 当初は活発に跳ね回るが徐々に沈静化、眼球破裂や背びれの燃焼にも関わらず生命反応を示し続けた
豚バラ肉300g 全長10cm程の豚1頭、身体的特徴は投入物品に加工された個体と同一 ファインダーに向けて突進を繰り返し激しく暴れる様子が観察される、体表に重度の炎症を負い顔面と前腕の崩壊を伴いながらも生命反応を示し続けた
同上 同上 出現時に体の損傷は見られなかったが前回以上に激しい衰弱が見られ、より早い段階で活動を停止、 生命反応は同様に継続した

SCP-2459-JP-1は概ね投入物品と一致する体積の大きさで出現します。現在、由来する生物が生存している物品、及び一度加熱を行った物品の再加熱でSCP-2459-JP-1が出現した事例は存在しません。

補遺: SCP-2459-JPは兵庫県██市で発生した年金不正受給事件の捜査の際に容疑者である築田 ██氏の自宅から発見されたオブジェクトです。██氏は自身の父親は生存していると頑なに主張し、妻及び同居する知人4名も同様の主張の下で捜査に激しい抵抗を行いましたが、翌日には全員がオブジェクトを囲み服毒自殺を行った状態で発見されました。築田家では長年██氏の父親を中心とした共同生活が営まれており、オブジェクト発見の半年ほど前からは異臭、騒音等のトラブルが頻発していたことが近隣住民の証言から判明しています。

インタビュー記録

対象: 築田 松子(築田 ██氏の娘)

付記: 対象は当該事件の発覚原因となった通報を行った人物であり、オブジェクト発見時は警察に保護されていました。心身への影響を考慮し現在財団管理下の病院に入院しています。


<録音開始>

インタビュアー: あの電子レンジはどこから入手したのですか。

築田氏: あれは、その、幸聖様1が持ってきた物です。皆でもっと命を知ろう、幸せを噛み締めて生きようと言っていました。

インタビュアー: 固くならず自然に話してもらって大丈夫です。それは家の中でどのように用いられていましたか。

築田氏: あれを使ってたのはいのちの会の時だけでした。木曜日の夜にみんなで、幸聖様とお父さんとお母さんに私、田島さんと坂口さんたち家族、タカコおばさん2、絶対に全員で集まって食べるご飯なんですけど。昔はご飯への感謝の言葉をみんなで発表してたんです。でもアレがきてからはお肉とかをチンして、焼ける姿を見ながらみんなでありがとうって声をかけるようになって。

インタビュアー: あなたはそれをどう感じていましたか。

築田氏: お腹減ってる時はちょっと嫌だったな、早く食べたくて。でも幸聖様は焼かれながら感謝されたから兎は仏様になれたんだってよく話してくれてたから。私達に命をくれるんだ嬉しいな、お返しにいっぱい感謝してあげないとって頑張りました。ただ拍手の係の時は手が痛くて、太鼓とか踊りの方が好きだったなぁ、ありがとうっていいながらやるんですけど。

インタビュアー: なるほど。では今のような使い方になった経緯を教えて下さい。

築田氏: 去年の夏に幸聖様がすごく痩せてきて。幸聖様は、いっぱい感謝された命は戻ってくるんだよ、心配ないよってみんなに話してくれました。でも動かなくなってから3日経ってもそのままで、私も頑張って清めたし、お世話もしたけど駄目で。そしたらお母さんが、お言葉がない、お言葉を聞かないとって泣いて、お父さんは感謝が足りなかった、もっと感謝しようって言い出して。田島さんと坂口さんたちも一緒に相談して、じゃあ、いのちの会をしよう。そうなったんです。私はお手伝いはできませんでしたけど、田島さんとお父さんが幸聖様を、その、細かくしました、アレに入れられるように、小さく、幸聖様を。

インタビュアー: 続けて下さい。

築田氏: 9月の木曜日でした。あの日、初めて幸聖様を温めたんです。そしたら、ちゃんと中で動いてて、嬉しかった。やっぱり戻ってきてくれたんだって。豚さんや魚さんと同じで元気に動いて、扉をバンバン叩いて返事してくれた。約束通り戻ってきてくれた、私達に元気をくれた。あの時はずっとみんなでありがとう、ありがとうってずっと、本当に嬉しくて。

インタビュアー: 加熱した物は、その、食べたのですか。

築田氏: やめてください、しませんそんな。温めた後の幸聖様は戻ってくるときに備えて祭壇に祀るんです、ちゃんと冷やして。

インタビュアー: なるほど、失礼しました。その後の変化を教えて下さい。

築田氏: でも何回もやってるうちに、幸聖様は扉までも辿り着けなくなって、真ん中でグチャグチャになるのをみんなでありがとうって言いながら見ているだけになりました。春になるといつ温めてももう全然動かなくて、口だけパクパクしてました。でもお母さんは嬉しそうにずっと相槌を打っていて。お言葉が聞こえるって言って、みんなに伝えてました。もっともっと感謝を示そうって。いのちの回のたびに祭壇が綺麗になっていったから、すごくお金がかかってたはず。でも田島さんはそれでお母さんと喧嘩するようになって、それで、気づいたらいなくなってた。お父さんも気にする必要はないよって、そう幸聖様が、おじいちゃんが言ってるって、絶対ウソだった。田島さんがいなくなった後、夜に、お母さんとオバさんが一晩中なにかチンしてた、何度もしてた。ご飯だったのかな、でも、でもね、冷凍庫の缶に入ってたのは何だったの。知らないよ私、だってお肉なんてなにも話さないし、声なんか聞こえない。温めても聞こえるはずなんて無い。でも聞こえないのに、おじいちゃんはグチャグチャになりながら毎日やめて、死なせてって叫んでた。わかってた。そうだったのに、私。

インタビュアー: 築田さん落ち着いて下さい。必要であれば休憩をはさみましょう。

築田氏: 大丈夫です、大丈夫。でも、その頃に私、やっと気づいたんです。

インタビュアー: 何にでしょうか。

築田氏: もしかして今までの鳥さんや豚さんも私達の感謝なんて全く届いていなかったんじゃないかって、戻って来たくなんてなかったんじゃないかって。みんなもう死んでて、その後なんて何もないのが正しいんだって。そう気づいたら、もう、全部気持ち悪くて。私、おじいちゃんをチンするのが嫌になったんです。

<録音終了>


終了報告書: 松子氏の供述通り発見時のオブジェクト内及び築田氏宅の冷凍庫からは細断された肉片が多数発見されました。個包装で保存された立方体状の肉片は築田氏の父親のもの、空き缶に詰められた粗雑に挽かれた肉片は行方不明となっている田島氏のものであることが判明しました。

加熱実験及びインタビューの供述から、同一個体に由来する物品の加熱で出現するSCP-2459-JP-1は行動や衰弱程度において何らかの一貫性を持つと考えられます。この一貫性が何に由来するのかを調査するため、SCP-2459-JP-1との交流を目的としたヒト由来物品の加熱実験が認可されました。担当職員は遅延解雇3が許可されているDクラス職員から実験に適切な人員を選出して下さい。

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