SCP-2471-JP
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アイテム番号: SCP-2471-JP

オブジェクトクラス: Euclid

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衝立式衣桁の参考画像

収容プロトコル: SCP-2471-JP群は、サイト-217に設置された自動管理システム倉庫に保管されています。新たに出現したSCP-2471-JPは模様や形状の特徴を元に由来に関する調査が行われます。2040年5月時点で、SCP-2471-JPは27点存在します。

説明: SCP-2471-JPは、異常な性質を持つ衝立式衣桁です。SCP-2471-JPは、不定期かつ瞬間的に分裂します。新たに出現したSCP-2471-JPには毎回異なる大きさ、模様のイエネコ(Felis silvestris catus)あるいはイエネコ型オブジェクトの全身毛皮の剥製1枚が掛けられています。出現するSCP-2471-JPの大きさは掛けられた毛皮に合わせたものとなり、最小で15cm×10cm、最大で200cm×200cmのものが確認されています。衣桁、剥製共に経年劣化は確認されていません。

以下は、SCP-2471-JPの製作者であった故・柳洗寺法求氏の日記の抜粋です。
SCP-2471-JPは2018年6月1日に非異常性の老衰で死亡した柳洗寺氏の遺言により、財団神学部門の藤原博士に譲渡され収容に至りました。

昭和15年8月30日
今朝、猫のミケが亡くなった。
ああミケ、可哀そうに。子猫だったお前を拾って1年、なぜ、こんなに若くして死んでしまったのだ。お前ほど健気で純粋で善き生き方をしたものはない。たとえ畜生だとしても、必ずや御仏によって極楽へ導かれるだろう。
しかし、猫には9つの命があり、必ず9回転生しなければならない定めだという。残り8回の生を安らかに生きられるよう、お前の剥製を作り菩提を弔うとしよう。

昭和16年1月30日
ミケの剥製が届いた。ちょうど蔵にあった稚児用の衣桁に掛けられたので、これを奥の仏壇の横へ置いて毎朝読経するとしよう。

昭和18年8月30日
ミケの3周忌法要の最中、突如として衣桁が増えた。増えた衣桁にはミケが2回目の生を過ごした証が掛けられていた。私は、そう直観した。
今世のミケの毛皮は、まるで浮浪者のように土と埃にまみれてボサボサであり、決して楽ではない生だったのだと偲ばれる。私の供養が足りないばかりに、お前に苦労させてしまった。大変申し訳ない。

昭和18年9月9日
また衣桁が増えた。かろうじて猫の子だと分かる小さな毛皮だった。3回目は生まれてスグに死んだのか。何とも無常なことだ。

昭和20年3月11日
疎開者を受け入れるための部屋が足りず、奥の間も空ける必要があり、仕方なくミケを蔵に移した。さきほど様子を見たところ、新たなミケが大変むごたらしく焼けた姿で現れていた。
私は田舎で平穏無事に過ごしているが、東京などの都市では激しい空襲が続いているらしい。
地獄絵図を彷徨ったミケのことを思うと、非常に胸が苦しい。

昭和25年12月29日
ようやく戦争の混乱が治まったので、ミケを奥の間に戻した。ミケは1匹増えていた。
毛皮に汚れや怪我は無く、どうやら普通の生を送れたようだ。良かったなぁ。

昭和50年9月12日
約25年ぶりにミケが帰ってきた。なんと、今回のミケは天井まで届きそうな体格で尾が二本あった。飼い猫は10年生きると猫又という妖怪に変ずるという。それだけ長く大切に可愛がられていたのだろう。少々、正道から外れているのが気にかかるが、生が安定してきたのだ。喜ぶべきだろう。

平成元年元日
これで7回目のようだ。今回はシャム猫。シャム猫には僧の代わりに仏像を守ったというありがたい逸話がある。どうやら正道に戻れたようで安心した。

平成14年9月9日
8回目。丸々と太った凛々しい黒猫。昔と比べて猫は健康長寿になったなぁ。それに比べて、私は年々衰えを感じるようになった。果たしてミケの弔いを終えるまで、私の命はもつのだろうか。

平成26年2月5日
9回目。艶やかな三色の衣、ミケの善性が滲み出るような美しい姿。
無事にミケは極楽へと旅立ったのだ。良かったなぁ。

平成30年5月1日
そろそろ私の命が尽きるという予感がある。まだ体が動くうちにと思い身辺整理を行っていたところ、蔵の衣桁が増えている事に気が付いた。私の成仏を待っているのか、まだまだ平和な現世を楽しみたいのか。とにかくミケは未だ極楽へ向かっていなかったのだ。悩んだ末、遺言書にミケの衣桁を懇意にさせて頂いている藤原住職へ頼む旨を追記した。
ミケよ、猫らしく悠々自適に生きてくれ。お前の気が済むまで、私はいつまでも待っているから。

補遺: 各種検査の結果、SCP-2471-JP群と柳洗寺氏および日記で言及されていたミケとの因果関係性は認められませんでした。

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