SCP-2482-JP
アイテム番号: SCP-2482-JP
オブジェクトクラス: Keter Nagi1
特別収容プロトコル: SCP-2482-JP-aはサイト-81██に収容され、1週間に1回の頻度で複数の職員により礼拝プロトコルが行われます。新たにSCP-2482-JPに類する実体が出現した場合、その発生源を特定し、回収してください。
説明: SCP-2482-JPは毎年10月31日に日本国内に出現する人型実体です。SCP-2482-JPは身長200cmほどであり、平均的な日本人と同程度の発話能力、論理的思考能力を持つと見られています。SCP-2482-JPは一般的にピエロと形容される姿をしており、常に包丁を所持しています。現在SCP-2482-JPの着用品を着脱させる全ての試みは、後述のSCP-2482-JPの消失を招きます。
SCP-2482-JPは毎年10月31日の00:00に日本国内のランダムな住宅街に出現し、11月1日の00:00に消失します。又SCP-2482-JPは骨折などの損傷を受けた場合も霧散し消失しますが、SCP-2482-JPは瞬時に他のランダムな住宅街に再出現します。SCP-2482-JPは再出現の際、前回出現時の記憶を保持しています。消失はSCP-2482-JPが自主的に引き起こす事も可能で、拘束や行動の阻害などを受けた場合も消失します。この特性によりSCP-2482-JPに対する精密な検査は全てSCP-2482-JPの消失を引き起こし、失敗に終わっています。
SCP-2482-JPは出現すると自身から最も近い住居を目指し、移動を始めます。この際SCP-2482-JPは交通規則等を遵守しないため交通事故等によって損傷、消失する事例が頻繁に発生しています。SCP-2482-JPは住居の玄関の前に着くとノックやインターフォンを用いてその住居に存在する人間(以下、対象)と会話を試みます。対象と会話をすることが出来なかった場合、SCP-2482-JPはその他の住居を目指す、又は消失し他の住宅街に再出現します。対象と会話をすることが出来た場合、SCP-2482-JPは対象に対して菓子を要求する旨の発言をします。この際、SCP-2482-JPは度々所持しているナイフで対象を恐喝します。対象がSCP-2482-JPに対して菓子を与えた場合、SCP-2482-JPは感謝の言葉を述べ、消失します。SCP-2482-JPは瞬時に他の住宅街に再出現しますが、その際菓子は消失しています。対象がSCP-2482-JPに対して菓子を与えなかった場合、SCP-2482-JPは対象に対して対象を罵倒する発言、対象の周囲の人間に対して危害を加えるという旨の発言をし、消失します。現在、SCP-2482-JPにより何らかの危害が加えられた事例は確認されていません。
以下はSCP-2482-JPに対して行われたインタビューの記録です。
対象: SCP-2482-JP
インタビュアー: ██研究員
付記: SCP-2482-JPがサイト-81██の居住棟に出現した際の記録<再生開始>
██研究員: それでは、インタビューを開[言葉が遮られる]
SCP-2482-JP: おい、菓子を寄越せ。寄越さねえんだったら、テメエの腹にこれをぶっ刺してやる。[SCP-2482-JPが包丁で何かを刺すような動作をする]
██研究員: SCP-2482-JP、落ち着いてください。あなたは何者ですか?
SCP-2482-JP: おい、さっさと菓子を寄越せ。でなけりゃテメエの家族の皮を剥いでやるぞ。
██研究員: 分かりました。では、質問に答えていただけたら、菓子を与えましょう。
SCP-2482-JP: [沈黙]。しょうがねえな、俺はピエロ、見たら分かんだろ。さっさと菓子を寄越せ。じゃなきゃぶっ殺すぞ。
██研究員: あなたは何故、菓子を集めているのですか?
SCP-2482-JP: 俺は腹が減ってる。だから菓子が欲しい、それだけだ。さあ答えたぞ。さっさと菓子を寄越せ。でなけりゃテメエの目玉をくり抜くぞ。
██研究員: 何故菓子にこだわるのですか?別に腹が空いているだけなのであれば他の食べ物でもいいのでは?
SCP-2482-JP: そりゃ、ハロウィンだからだろ。さっさと菓子を寄越せ。ぶん殴るぞ。<再生終了>
終了報告書: インタビュー後、SCP-2482-JPは保安職員により拘束され、消失しました。
追記: SCP-2482-JPに与える菓子に追跡装置をつけた所、与えられた菓子は長野県██村に転移していることが判明しました。その後現地のフィールドエージェントにより祠に供えられた多量の菓子が発見されました。又、祠内部にてSCP-2482-JPに関連すると見られるピスティファージ実体2(以下、SCP-2482-JP-a)が発見されました。以下はSCP-2482-JP-aを発見した際の映像記録です。
<再生開始>
エージェント・陽助: SCP-2482-JPに与えられた菓子が転移しているとみられる地点に到着しました。[重要度が低いので省略]
エージェント・陽助: SCP-2482-JPに与えられた菓子を発見しました。祠のような場所の前に積み上がっています。[菓子を咀嚼する音]
エージェント・陽助: 祠内部から物音がしました。確認します。[エージェント・陽助が祠内部に侵入する]
エージェント・陽助: 内部にピスティファージ実体を確認しました。[カメラが菓子を摂食しているSCP-2482-JP-aを映す]
[SCP-2482-JP-aがエージェント・陽助を認識する]
SCP-2482-JP-a: おい、なんだお前!人の家に勝手に入っちゃ駄目だろ!
エージェント・陽助: すいません。あの大量の菓子が気になって。
SCP-2482-JP-a: あーそれは俺がハロウィンで奪ったやつだ。というかこの村にも若者が来るんだな。長い道のりだっただろ、ゆっくりしていってくれよ。
エージェント・陽助: お気づかいありがとうございます。インタビューをしてもよろしいでしょうか?
SCP-2482-JP-a: 嗚呼、いいぜ。この村の名産はなあ何と言ってもあのワサビだ。あのワサビは本当に[言葉が遮られる]
エージェント・陽助: すいません。今日はこの村について聞きに来たわけではなくて、あなたについて聞きに来ました。
SCP-2482-JP-a: そうなのか?それならそうと先に言ってくれよ。何を聞きたいんだ。
エージェント・陽助: ではあのピエロ、SCP-2482-JPとあなたはどのような関係ですか?
SCP-2482-JP-a: あーハロウィンのことについて聞きてえのか。あのピエロは俺だ。いや、正確には俺の分霊か。
エージェント・陽助: 何故あのようにお菓子を要求しているんですか。
SCP-2482-JP-a: あんたもここに来るまでに分かっただろ?この村はもう人が全然いない。
エージェント・陽助: まあ、そうですね。小さめの家が数個あっただけでした。
SCP-2482-JP-a: そうだ。人が居ねえってのは俺達にとっちゃ死活問題だ。誰からも忘れ去られて餓死しちまうからな。
エージェント・陽助: 昔はもっと信仰されていたのですか?
SCP-2482-JP-a: そうだ。昔はたくさん人が居てな、祭りとかで捧げ物として色々な物を貰えたんだよ。今はどうだ?ヨボヨボの爺さん婆さんしか居ねーし、あいつら俺の事なんてすっかり忘れてやがる。祠の掃除だって忘れてるし、捧げ物もくれないし、もう祭りやってないし。もう俺餓死寸前なのに誰も心配してくれないしさあ。[嗚咽]。
エージェント・陽助: 大丈夫ですか?SCP-2482-JP-a: ああ、久しぶりに人と話したもんでな。ありがとう。餓死しかけていた時ふと思い出したんだ。何十年か前、俺と同じような奴らと集まった事があってな。
エージェント・陽助: 他のピスティファージ実体と接触したのですか?SCP-2482-JP-a: そうそう、そいつ等も……まあ俺よりは幾分かマシだが、俺と同じようにそろそろやべーなって感じだった。
エージェント・陽助: あなたと同じ様に信仰が得られなくなっていたと。SCP-2482-JP-a: そう、そこで奴らの1人からハロウィンなるものを聞いたんだ。なんと、1年に1回、10月31日だけ家に押し入って脅迫して菓子を奪って良いらしい。しかもそれが今の人間の中で人気なんだと。
エージェント・陽助: あの、ハロウ[言葉が遮られる]
SCP-2482-JP-a: 訳が分からなかったが、しめた!と思ったね。だから俺はこれまたあいつの言ってたピエロなる格好をして毎年街にハロウィンしに行って捧げ物を貰ってるって訳。いやー本当に助かったよ。まあ、今でもハロウィンする直前は毎年餓死寸前って感じだけどな。でも、物騒だなお前らは。子供まで人を脅して菓子を奪ってんだろ?
エージェント・陽助: あの、ハロウィンはそういう行事じゃないですよ。
SCP-2482-JP-a: [沈黙]。え?いやいやそんな事ないだろ。俺は見たぞ。恐ろしい姿をした子供が家に行って、そこの住民を脅迫してるのをな!
エージェント・陽助: その子供は何と言っていましたか?
SCP-2482-JP-a: 「お菓子をくれなきゃ、イタズラするぞ。」確かにそう言ってた。子供でさえそんな脅しを使って、菓子を得ようとする。ハロウィンってのはなんて恐ろしい行事なんだ!そう思ったね。
エージェント・陽助: その、ハロウィンという行事は仮装をして子供達が家を回ってお菓子を貰う行事で、別に脅迫としてイタズラするぞって言ってる訳じゃなく、ただの決まり文句です。
SCP-2482-JP-a: [10秒間沈黙]。まじで?え?包丁とかで脅したりしちゃ駄目なの?
エージェント・陽助: 駄目です。
SCP-2482-JP-a: 怒鳴って菓子巻き上げるのも?
エージェント・陽助: はい。
SCP-2482-JP-a: 家族に危害を加えるって脅すのも?
エージェント・陽助: はい。
SCP-2482-JP-a: ええ……そうなの……
エージェント・陽助: そうです。
SCP-2482-JP-a: えっと……なんか……ごめん……お菓子食べる?
<再生終了>
SCP-2482-JP-aはその後最寄りのサイト-81██に収容されました。その後SCP-2482-JPの出現は確認されていませんが、インタビューにて言及されていた他のピスティファージ実体によりSCP-2482-JPと同様、又はそれに類する実体が出現する可能性があるため、SCP-2482-JPにはオブジェクトクラスNagiが割り当てられました。