
SCP-2487-JP指定区域
アイテム番号: SCP-2487-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: サイト-81LTはSCP-2487-JP周辺地域に対しカバーストーリー「不安定な地盤」を流布し、民間人の侵入を防止しています。██川へと合流するルートには堰堤が建設され、分岐する全ての水路には網が設置されます。週に1度、担当職員による乳歯回収のための巡回作業が行われます。回収された乳歯はSCP-2487-JP由来の水に放置する事で処理されます。
SCP-2487-JP-Aの生息する洞窟の入り口は樹木により外部からの発見を阻害し、生息区域は封鎖されます。意図せぬ無力化を防止する目的でSCP-2487-JP-Aに対する職員の積極的な交流は禁止されています。
説明: SCP-2487-JPは岐阜県██山を流れる渓流に当てられた指定です。SCP-2487-JPを流れる水は地下からの湧き水や雨水といった本来の水源に追加して原因不明な水量の増加が確認されており、水源に依存しない継続的な水流が存在しています。
SCP-2487-JPでは水流に混じってヒトの乳歯の出現が確認されます。発見される乳歯の種類に明確な規則性は認められず、財団の観測下では上顎右の第二乳臼歯が最も多く回収されています。乳歯は年間520個ほど出現する物と推定されており、DNA鑑定の結果、これらは全て同一のDNAを持つ事が判明しています。出現する乳歯は水中に放置されていると虫歯の進行と同様の過程を得て徐々に体積が減少し、2年ほどで完全に消失します。消失の際、一般的な水の中では同様のDNAを有する血液の濁りが発生しますが、SCP-2487-JP由来の水の中では水質に一切の変化が見られませんでした。
SCP-2487-JPの下流は一般的な渓流と同様、複数の水流に分岐しています。多くの場合、回収されない乳歯は最も水量の多い水路に従い██川へと合流しますが、稀に後述する山中の洞窟内といった異なる場所に流れ着く事例も確認されています。また、分岐水路の一つである███湖の一部区域はSCP-1389-JPに指定されていますが、地理的な隔たりのほか、異なる渓流が███湖に通じる水流の主流となっているためSCP-2487-JP由来の乳歯の侵入は現在まで確認されていません。
SCP-2487-JP-Aは人型の外見を有する17 12 17体の粘土製の実体群です。SCP-2487-JP-Aは身長約0.8mで、身体構造は硬化した外皮、それに固着した医療用ガーゼ、ヒトの骨格を模した陶器、内部を流動する液状の粘土、口元に並ぶSCP-2487-JP由来の乳歯により成り立ちます。これらの乳歯はSCP-2487-JP-A1個体につき平均7個備わっており、これらの乳歯は前述した消失過程の進行傾向を示しません。
SCP-2487-JP-Aは幼児に酷似した行動を示し、5歳児と同等の知能レベルを持つと判断されています。SCP-2487-JP-Aは██村のはずれに位置する山中の洞窟内にて集団で生活しており、1日の大半を睡眠に費やしています。洞窟内で見られる行動パターンとして、粘土を成形した泥団子を用いた料理の模倣行為を行い、他のSCP-2487-JP-A個体へと分け与えるといった物があります。SCP-2487-JP-Aは声帯構造を持たず発声が不可能である事から、これらの取引きはSCP-2487-JP-A同士のコミュニケーションの根幹を成していると考えられています。
SCP-2487-JP-Aは太陽光を始めとした強い光を直接浴びると身体表面が硬直し、一切の立ち振る舞いを停止します。この状態のSCP-2487-JP-Aは同質量の構成要素と明確な差異はなく、異常性は認められません。
SCP-2487-JP-Aは排泄を行いませんが、月に一度その場に静止し、体内の液化粘土の約30%を断続的に体外へと排出します。この際、泥団子を取り込む事で失われた液化粘土を補給しますが、洞窟内で作成された泥団子以外の補給を行った場合、SCP-2487-JP-Aは表面の軟化やそれに伴う機能不全を引き起こす事が判明しています。
SCP-2487-JP-A初期対応時、担当職員はそれらの特性を把握していなかった事から2体が輸送過程で、3体が収容室内での経過観察途中で異常性を喪失しました。この事からSCP-2487-JP-Aは外部の人間からの干渉に激しい忌避感やストレスを抱いているようであり、人間を発見し次第逃避行動を取る様子が見られるようになりました。洞窟内での生態がSCP-2487-JP-Aの維持に適した状態にある物と判断されたため、洞窟入り口の封鎖が行われ、洞窟内での収容を維持する方針が確立されました。
補遺: インシデント-1389-JPに付随するサイト-81LT管理官の独断で行われたサイト内部改革の発覚事案を受けて、SCP-2487-JPの収容体制に関する再調査が実施されました。調査の結果、乳歯の回収業務に割り当てられていた人員はサイト-81LT内のSCP-1389-JP-A収容業務に転属しており、SCP-2487-JPの収容は事実上放棄されていた事が判明しました。
██川への合流を防ぐために設置された網は放置され、溶解途中の物を含め923個の乳歯が回収されました。これらは小石などによる網目の詰まりによって水流が横に逸れていたために大多数は両岸へと流れ着き、乳歯の原形を留めた状態で発見されました。
SCP-2487-JP-Aが生息する洞窟内の入り口は開放されており、地面には複数回侵入したと思われる足跡が残されていました。再発見されたSCP-2487-JP-Aは職員から逃走する様子は見られず、むしろ積極的に接近する傾向を示していました。また、初期対応時に計5体が異常性を喪失したと報告されていた個体数は、再発見時には初期発見時と同じく17体の個体が発見されました。再発見されたSCP-2487-JP-Aのうち6体は、古着の布を再利用して作られた子供服を着用していました。
侵入者の特定を試みた結果、近隣の集落に住む老夫婦が関連人物として特定されました。しかしながら老夫婦の住む世帯はSCP-1389-JP-Aの介護を行っていたために記憶処理が実施されており、侵入期間中の記憶に関する詳細な情報を得る事は叶いませんでした。
再発見後の洞窟内では時折、不明な地点から発声に類似する音が発せられる様子が確認されています。発声パターンは全て同一であり、「なぁな」あるいは「やぁや」と形容されます。
SCP-2487-JP、およびSCP-2487-JP-Aの収容プロトコルに関する再審議の結果、放棄された期間中にも自発的な収容違反が発生しなかった事から追加の収容手順は不要と判断されました。サイト-81LTでは現在、収容体制維持の定期確認が実施されています。