SCP-2488-JP
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【警告】

セキュリティクリアランスレベル4: コード2488 未所持者によるアクセスは、速やかに断絶されます。

職員コード
パスワード
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    SCP-2488-JP-p-14のステージⅠ/2488におけるレントゲン写真。咽頭部に頭胚の存在が認められる。

    アイテム番号: SCP-2488-JP

    オブジェクトクラス: Keter

    特別収容プロトコル: SCP-2488-JPはその性質から完全収容に至っていません。SCP-2488-JPに関する全ての情報は、漏洩時に甚大な社会的混乱を引き起こすと予想されるため、永続的に秘匿される必要があります。半年間の調査ののちSCP-2488-JP収容任務に適格であると判断された職員にのみ、セキュリティクリアランスレベル4: コード2488が付与され、SCP-2488-JPに関する情報へのアクセスが可能となります。
    現在、全国の警察・医療機関に勤務するフィールドエージェント94名が新たなSCP-2488-JPの発現を監視しています。SCP-2488-JP-pがSCP-2488-JPを発症した場合、回収部隊2488-ぬ-β(“ヒポクラテスのおつかい”)が現場へ急行し、SCP-2488-JP-pに精密検査を行った上でクラスA記憶処理を施してください。SCP-2488-JPの目撃者がいる場合は全員にクラスA記憶処理を施した上で、適切なカバーストーリーを流布してください。また、レントゲン撮影や外科手術、解剖実験などにおいて偶発的にSCP-2488-JPの情報が漏洩した場合は、情報処理班2488-ら-σ(“ホワイトデー”)が即座に展開し、発覚から4時間以内に各情報媒体に対して包括的な処理を実行してください。
    財団の定期検診等において、SCP-2488-JPを発症した財団職員が発見された場合は、ガブラ・マーゴ術式に基づく外科抜頭措置が行われます。

    説明: SCP-2488-JPは人体に発現する異常な生理学的サイクルです。その過程には歯の生え変わりのプロセスとの類似点が散見されますが、関連性は不明です。SCP-2488-JPはその進行度に応じてステージⅠ/2488: 頭胚形成期ステージⅡ/2488: 頭胚成長期ステージⅢ/2488: 頭部遷移期の3段階に大別され、加えてそのサイクルの途中でステージO/2488: 頭詰ずづまり期が約23%の確率で発現します。1つのサイクルが終了してから次のサイクルが始まるまでの期間は個人によって異なります。これまでの症例では最短で1年後、最長で10年後です。

    SCP-2488-JPを発症した患者はSCP-2488-JP-pに指定されます。世界██の国と地域において、3歳から92歳までの年齢で発症が確認されています。日本では20██年の発見以降発症率が微増傾向にあり、現在は人口比にして0.0001% 0.0003% 0.0007% 0.0012%の人間がSCP-2488-JP-pであると推測されています。

    以下はSCP-2488-JPの症状概観です。太字部分の固有名称は、すべて財団医療センター病理研究部によって定義されました。

    ステージⅠ/2488: 頭胚形成期
    12月頃、SCP-2488-JP-pの咽頭部において、SCP-2488-JP-p自身の頭部を1/20000のスケールで模した器官が形成され始めます。この極小再帰的頭部状器官を頭胚ずはいと呼称します。頭胚は頭蓋骨、脳、延髄、眼球、表情筋、口腔、鼻腔、皮膚の順で約半年かけて形成され、ステージⅢ/2488の直前にはSCP-2488-JP-pの頭部の1/20の大きさにまで達します。
    ステージⅢ/2488の直前まで、頭胚側の脳は脊髄を介してSCP-2488-JP-pの脳と神経的に接続しており、SCP-2488-JP-pの脳が受容した感覚情報や保持している記憶情報、そしてニューロンの結合・配置情報といった各情報が、頭胚側の脳にもそのまま移植されます。
    ステージⅠ/2488初期には、SCP-2488-JP-pが頭胚形成に伴う喉部の違和感を訴えますが、大抵の場合冬場の乾燥に因る「喉のイガイガ」や「喉詰まり」として誤認するため、SCP-2488-JPの発症を自覚することはありません。


    ステージⅡ/2488: 頭胚成長期
    3~4月に入りSCP-2488-JPがステージⅡ/2488に移行すると、頭胚の成長は安定します。それに伴って、喉部で増殖した破頭はとう細胞が準活性化し、喉周辺の神経を麻痺させます。このため、SCP-2488-JP-pがステージⅠ/2488において感じていた喉部の違和感は完全に解消されます。
    成長中の頭胚は通常のレントゲン写真や外科手術による視認が困難な場所に固着しているため、SCP-2488-JPが財団外の個人や組織によって偶発的に発見される可能性は非常に低いです。発見された場合の処置については特別収容プロトコルを参照してください。
    SCP-2488-JP-pが生存した状態で、ステージⅢ/2488移行前の頭胚を摘出する試みは全て失敗しています。


    ステージⅢ/2488: 頭部遷移期
    7~8月になると、SCP-2488-JPは最終段階であるステージⅢ/2488に移行します。ステージⅢ/2488は午前1~3時の間、かつSCP-2488-JP-pの脳がノンレム睡眠に移行している際にのみ行われます。
    以下SCP-2488-JP-pの頭部を旧頭部、頭胚が成長した頭部を新頭部と呼称します。ステージⅢ/2488のあいだ新頭部が休眠状態にある一方で、旧頭部側の意識は頭液ずえき (後述)への還元が完了するまで明瞭に残存しています。
    まず、破頭細胞が活性化して頸部の細胞を食べ尽くすことで、SCP-2488-JP-pの胴体から旧頭部を分離します。所要時間は約3分です。最初の2分間ほどは、分離による刺激で覚醒したSCP-2488-JP-pの旧頭部が、その激甚な痛みを知覚し続けます。それに伴いSCP-2488-JP-pは叫ぶような挙動を試みますが、頸部の著しい破損のためその発声は不明瞭な風切り音となり、隣室にいる他者などからは寝息や寝言の類として誤認されます。そして2分が経過すると、喉奥から新頭部が旧頭部を押し上げて生えてくるのに従い、周辺の神経組織が圧死して、SCP-2488-JP-pは徐々に痛みを感じなくなります。
    また破頭細胞から分泌されるホルモンの働きにより、血中のヘモグロビンのうち外気と触れたものが即時分解されるため、この際に流出する血は赤色ではなく無色となります。このようにステージⅢ/2488において血液や体細胞が分解・還元されて生じる液体を、頭液と総称します。頭液には極めて気化しやすいという性質があるため、SCP-2488-JP-pが目を覚ますまでにその大部分が気化します。故に、ステージⅢ/2488ではSCP-2488-JP-pの出血量の多さにも関わらず周囲に血痕がほとんど残りません。
    新頭部の肥大化と抜け落ちた旧頭部の分解は同時に進行します。所要時間は約5分です。ステージⅢ/2488の際、前述の通り新頭部側の脳は休眠状態にありますが、SCP-2488-JP-pが就寝した時点までの全記憶を引き継いでいます。よってSCP-2488-JP-pは起床後も頭部遷移に気づかないまま、次回のSCP-2488-JP発現まで通常と同じ生活を営みます。
    一方で旧頭部は速やかに頭液に還元され、自然分解されます。起床した際に少量の頭液が残っている場合がありますが、SCP-2488-JPは大抵夏場ゆえの寝汗と誤認します。脳波検査により、旧頭部側の脳はその総質量のうち30%が頭液に還元されるまでは明瞭に活動していることが確認されています。SCP-2488-JP-pの人格と記憶は新頭部に受け継がれていますが、SCP-2488-JP-pの意識は新頭部に移植されることなく、この段階で不可逆的に途絶します。


    ステージO/2488: 頭詰まり期
    ステージO/2488は、何らかの原因でステージⅡ/2488の終盤に破頭細胞が活性化不能となり、その結果ステージⅢ/2488への移行が不可能になった段階を指します。頭胚の成長も途中で止まり、旧頭部が残存し続けるため、この症状は頭詰まりと呼称されます。本来なら遷移しているはずの旧頭部を用い続けていると、SCP-2488-JP-pの脳神経組織が劣化し、視力・聴力の低下や嗅覚・味覚障害、記憶・認知障害などが現れてきます。
    ステージO/2488に対しては、「既存の旧頭部を外科手術によって胴体から分離することで、破頭細胞の再活性化を促し遷移を再開させる」という治療法が有効です。この場合旧頭部は頭液に還元されないため、別途に破砕処理を行う必要があります。財団職員のSCP-2488-JP-pに対して行われるガブラ・マーゴ術式は、この治療法を踏まえたものです。

    補遺1: 以下はSCP-2488-JPの前主任研究員█氏の日記の抜粋です。一部の記述には打ち消し線が引かれていました。

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