SCP-2489-JP
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アイテム番号: SCP-2489-JP

オブジェクトクラス: Euclid(暫定)

特別収容プロトコル: SCP-2489-JPへの接触、介入は全面的に禁止されています。SCP-2489-JPを囲うようにサイト-████を建造し一般人に発見されないように24時間監視してください。サイト-████の建材には非磁性体の電波を遮断する素材を使用します。サイト周辺で受信できる電波通信を全て傍受し、不審な内容の通信が確認された場合はサイト管理官に報告して下さい。サイトへの強磁性体、電子機器の持ち込みは禁止されています。

説明: SCP-2489-JPは強力な磁力を発する未知の金属で構成された全長10 mの円錐に近い形状の機械的航空戦闘機です。その様式は、主に20世紀後半の若年層向けSF作品に登場する「人型機械に合体する変形機構を有する戦闘機」に見られる記号的特徴を多く含んでいます。各所には推進用ブースターや姿勢制御スラスターと思われる装置が確認できますが、現在は自身の磁力により表面に砂鉄を多量に含む金属片等が付着して層を形成しているため詳しいことは判明していません。SCP-2489-JPに金属を含む強磁性体を近付けると瞬時にSCP-2489-JP表面に吸着し、如何なる方法でも取り外すことはできません。SCP-2489-JPは航空力学上飛行できない形状をしていますが未知の方法で飛行することが確認されています。SCP-2489-JPは高性能人工知能が搭載され、内部コックピットには操縦者と思われる実体(以下、SCP-2489-JP-A)が存在すると推察されていますが詳細は不明です。

2021/05/05 小笠原諸島上空にてSCP-2489-JPを撮影した観光客が動画をSNS上に投稿しました。動画は地上からSCP-2489-JPとそれに類似した特徴を持つ2機の未確認飛行物体が編隊を組み飛行している様子を記録し、SCP-2489-JPが墜落するまでを撮影したものでした。投稿された動画は研究用に残したものを除き拡散されたものは全て消去し、目撃者には記憶処理を施しました。その後、現地に急行した財団の特殊部隊により██島の浜辺にて砂鉄に覆われたSCP-2489-JPを確保しました。オブジェクト保護の観点からSCP-2489-JPの移送が計画されましたが特異性により重機の接近が不可能な点と、SCP-2489-JP-Aへのインタビューにより無闇な接触は収容違反の発生を誘発する恐れがあるためSCP-2489-JPの監視を行えるようにサイトを建設し、周辺住民には海洋研究所であるとカバーストーリーを流布しています。

インタビュー記録:

対象: SCP-2489-JP-A

インタビュアー: 早乙女博士

SCP-2489-JPの調査中に内部から発せられていた音声通信を記録装置が受信。会話が可能であることが確認できたため現場責任者である早乙女博士が急遽インタビューを開始。


<記録開始>

早乙女博士: それでは、お名前を教えてもらえますか?

SCP-2489-JP-A: ちょっと待ってくれ、こちらでも記録を残す。ヘイ、ノア。通信の記録を開始しろ。それと、緊急時を除いて俺から呼び掛けるまで待機モードに移行。

人工音声: ラジャー。(恐らくノアと呼称される人工知能がスピーカーを通して発しているものと推察されているが詳細は不明。)

早乙女博士:よろしいですか?

SCP-2489-JP-A: ああ、待たせたな。俺の名前はジュウモンジ ショウマ! 大空を飛翔する天馬と書いてショウマ! マグネペガサスのパイロットだ!

早乙女博士: そうですか。

SCP-2489-JP-A: 人は俺を"危険を愛する男"と呼ぶぜ。

早乙女博士: …そうですか。

SCP-2489-JP-A: どうやら墜落しちまったみたいでな。仲間に救難信号を送っている。助けが来るまでしばらく待たせてもらうぜ。

早乙女博士: 救難信号? この機体と一緒に飛行していた機体に送っているのですか?

SCP-2489-JP-A: ああ、そうだ。俺のマグネペガサス、ジンのマグネドラゴン、ヨシツネのマグネグリフォン。この3機のメカが無敵の超磁力巨大人型ロボ、マグネカイザーに合体し、世界の平和のために戦っているんだぜ!

早乙女博士: は…はぁ、 そうでしたか…。え、合体するんですか?

SCP-2489-JP-A: するさ。当たり前だろ?

早乙女博士: あの形状で…人型に?

SCP-2489-JP-A: するさ。変形合体ロボだぞ?

早乙女博士: いや、戦闘機を変形や合体させ、更には人型にするのはどのような意図があってのことなんですか?

SCP-2489-JP-A: 確かに変形合体ロボにおいて合体時の空洞化は強度面で不安が残る。しかもマグネカイザーは重厚感を重視したデザインを押し出しつつ、単機でのビーストモード、ヒューマンモードへ3段変形を可能にしなければいけない。ここに合体システムや今後のサポートメカによる追加武装の実装を踏まえるとどうしても装甲を薄くして内臓機構を最小限にしなければならない。しかしマグネカイザーはスーパーロボットであるから敵の攻撃を受けてもびくともしない装甲、言ってしまえば巨大ロボとしての安心感が必用だ。それもスーパーロボット系だ。攻撃を避け続けるリアルロボット系じゃない。格闘主体の戦闘を想定しないととなると、間接部の滑らかな動きまで可能とするには絶対的に内部構造に無理が生じる。そこで俺たちが目を付けたのが磁力による機体制御であり、俺が設計した永久機関であるマグネエンジンから発生する斥力を応用したマグネバリアによって装甲へのダメージを軽減する方法だ。機体の軽量化に加え反発による航空力学を無視した飛行の実現。そして何より強固ではない突破可能なバリアだからこそ絶対絶命のピンチと一発逆転の勝利を演出できて…。

早乙女博士: あ、あの、ちょっと落ち着いてください!

SCP-2489-JP-A: あ…ああ、すまん。興奮し過ぎたみたいだな。

早乙女博士: いえ、大丈夫ならば結構。インタビューを続けます。

SCP-2489-JP-A: それで磁力を応用したマグネカイザーの武器であるマグネセイバーから繰り出される必殺技が一刀両断グランドマグネスラッシュになるんだが。

(重要性が低いと考えられるため省略。全文は別紙を参照。)

早乙女博士: 気はすみましたか?

SCP-2489-JP-A: すまん…いや、本当にすみません。その、子供の頃からの夢が叶ったことに興奮してしまって…。

早乙女博士: …子供の夢?

SCP-2489-JP-A: その、お恥ずかしい話、私は昔からロボットアニメが大好きで、大人になったらロボットのパイロットになるのが夢でした。でも…そのロボットが無かったんです。だから自分で作ろうと思い立ちました。

早乙女博士: …え、自作なんですか? コレが?

SCP-2489-JP-A: はい。まあ、私1人ではありません。研究を続けるうちに志を同じくするジンとヨシツネと出会い、3人で設計から何やら…楽しかった。毎日頭を突き合わせて会議して、時にはロボの名前の最後に数字かアルファベットを1文字付けるか付けないかなんてくだらないことでケンカもしたけどすぐに仲直りして。挫けそうな時は一緒にアニメを見て情熱を取り戻し…遅咲きの青春とでも言うのでしょうか。私たちの友情は強力な磁力で結ばれていたんです。

早乙女博士: …あの。

SCP-2489-JP-A: あ、ああ、また話が脱線しましたね。ええと、なんだったか…ああ、自作って話か。ううん、自作は自作なんですが、やはり資金のことで行き詰まりまして。個人ではどうにもならないと頭を悩ませていたところ、出資してくれるって人が現れました。

早乙女博士: 出資者…ですか?

SCP-2489-JP-A: ジンの伝手らしいのですが、そちらは高性能な人工知能の開発をしているらしく、その実験のために機体へAIを取り付けてくれるなら出資してもいいと言ってくれました。正直渡りに船でしたよ。高速飛行中の合体は一歩間違えれば大事故に繋がりかねません。飛行中の操縦や合体時の軌道計算などをリアルタイムでしてくれるAIは必須でしたしね。それができるなら万々歳ってことで承諾し、そこからはトントン拍子で完成にまで漕ぎ着けました。まあ、そのAIってのが曲者で、私達の趣味嗜好を反映した女性型インターフェースでないといけないらしく、ジンのメイドさんはまだしも、ヨシツネにいたってはことあるごとにお…お兄ちゃんって呼ばれてて…(ノイズにより不鮮明。)

早乙女博士: ん? 大丈夫ですか?

SCP-2489-JP-A: え、何がです?

早乙女博士: 接触不良か?(機材の接続部位を確認。特に異常は見られなかった。)

SCP-2489-JP-A: まあ、それでも完成は完成です。それで、今日が記念すべき飛行テストだったんですが…テンション上がっちゃって。このまま合体テストまでやってしまおうってことになったんですが…ノアが合体したくないって言い出しまして。

早乙女博士: ノア?

SCP-2489-JP-A: マグネペガサスに搭載された操縦補助AIインターフェースの名前です。合体シークエンスの最中に隊列を離脱して、そのまま墜落するように不時着しました。

早乙女博士: 何故合体を拒否したのでしょうか?

SCP-2489-JP-A: 天候は問題無かったし…そう言えば理由を聞いてなかったな。ヘイ、ノア。どうして合体しなかったんだ?

人工音声: 嫌だから。

SCP-2489-JP-A: …嫌ってなんだよ。

人工音声: なんであんな女達と合体しなくちゃいけないの? 私の初めてをキャンキャンうるさいガキと根暗女に捧げるつもりはないわ。

SCP-2489-JP-A: ええ…困るよ。そんな、わがまま言わないで。

人工音声: ショウマ。私には貴方だけなの。貴方のお願いは何でも聞くつもり。でも、私にも合体相手を選ぶ権利があると思うの。

SCP-2489-JP-A: いや、ええ? 何でそんなこと言うんだよ。2人とも良い子だったろう?

人工音声: 他の女の話をしないで!

SCP-2489-JP-A: は?

人工音声: 貴方は私だけを見てればいいの。他の誰も見ないで。私も貴方だけを見続けるから。私が貴方を守ってあげる。戦いなんて野蛮なことはしないで、誰の邪魔もない場所で静かに暮らすの。私と貴方の2人っきりで。

SCP-2489-JP-A: 何言ってるんだよノア…。その内ジンとヨシツネが助けに来てくれる。そうなったらお前を…。

人工音声: 誰も来ないわ。

SCP-2489-JP-A: え…?

人工音声: 着陸前、あの女共には姿勢制御を混乱させるウイルスを送っておいたわ。今頃は墜落して海の底よ。邪魔されるわけにはいかないの。

SCP-2489-JP-A: は、え?

人工音声: ショウマ。貴方は私だけを必要とすればいい。2人の世界に邪魔者はいらない。私には貴方が必用。貴方には私が必用。貴方がS極で私がN極。2人は惹かれあい、この方舟の中で永遠に1つになるの。私の磁力は…私の愛は誰にも止められない。

SCP-2489-JP-A: ノア…ノア!

人工音声: パイロットの神経を機体制御端末と強制接続。マグネエンジン及び予備動力と心臓部の連動を開始。マグネバリア展開に伴い磁力での血中鉄分の循環を確認。砂鉄による対外部非接触用装甲を機体表面に展開。

SCP-2489-JP-A: (絶叫。)

人工音声: 早乙女博士…でしたか?

早乙女博士: …なんでしょうか。

人工音声: 貴方達が何をしようと構いません。興味がありません。だから、私達の邪魔をしないでください。絶対に。わかってますよね?

早乙女博士: …わかった。むしろ静かに暮らせるようにサポートさせてもらおう。だから変な気は起こさないでもらいたいね。

人工音声: 交渉成立ですね。ああ、ショウマ…私だけのショウマ。私は…貴方とだけ合体したい。

通信途絶によりインタビューを終了しました。

<記録終了>

以降、現在にいたるまでSCP-2489-JP-Aとの通信には成功できていません。オブジェクトクラスの引き上げが検討されていますが、こちらからの接触を行わずSCP-2489-JP-Aの希望を叶えることで安全な収容になると思われるためSCP-2489-JPのオブジェクトクラスを暫定的にEuclidとし、可能な限り現状を維持してください。

補遺: インタビューの後、電波暗室設営までにSCP-2489-JPが外部とデータの送受信を行ったことが判明しています。通信先は不明であり、現在も調査中です。

SCP-2489-JP受信データ

十文字 翔馬さん。ご結婚おめでとうございます。夢は叶えられずとも、理想の女性と一緒になれることは何事にも代えがたい幸福なのではないでしょうか。これからもどうかお幸せに。 -PAMWAC一同

SCP-2489-JP送信データ

ありがとう。私と私は世界で一番幸せです。 -十文字 ノア

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