アイテム番号: SCP-2506
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2506はスポルジュスキー等級の構造安定封印(CSS)を施したLタイプヒト型異常存在収容室(HACC)に収容されます。実験および/またはインタビューが承認される前には、SCP-2506のHACCに取り付けられた全てのCSSの完全な検査が必要です。全ての実験および/またはインタビューは遠隔から実施するものとし、SCP-2506は常にHACC内に留めておきます。実験目的であれば1つ以上のCSSを無効にすることができます。
それ自体は異常性質を持たないものの、現在のSCP-2506-1は当プロジェクトの一部と見做されており、常時SCP-2506の下に留めておかなければいけません。本来のSCP-2506-1は安全保管ロッカーに収容したままにします。
説明: SCP-2506は、2006/08/05に誕生したサラ・ミォという名の韓国系アメリカ人女性です。SCP-2506はタイプ-D(I)の現実操作能力1を示しており、発声による指示を介して物体の位置を変位・転送することが可能です。SCP-2506は、存在しない物質や、生死に関わらず有機物に対しては影響を及ぼすことが不可能です。
SCP-2506は機械工学と電気工学において年齢にそぐわないほど高度な適性を見せていますが、これは本質的に異常とは考えられていません。
現在のSCP-2506-1は、SCP-2506から“ナイルズ”と呼称される、異常性を持たないワニの縫いぐるみです。SCP-2506はSCP-2506-1を集中力を高めるための補助具として利用しており、SCP-2506-1は自身の能力を正常に機能させるために必須の道具だと考えています。実験によってこの可能性は否定されています。異常性質を活性化させるにあたって、SCP-2506はSCP-2506-1に対し、1つ以上の物品を要求します。これに続く10~30分以内に、SCP-2506の1.5m以内の不特定の場所に問題の物品が実体化します。ごく稀に、要求された物品は、壁や家具などの周辺環境にある別な物体や要素の内部に出現することもあります。
補遺2506-01: 予備収容と回収に係る覚え書き
SCP-2506は2015/09/07、ミネソタ州スプリンググローヴにて、孤立した道路でドラッグレースをしている不明な集団についての通報が地元警察に入った際に回収されました。対応した警察部隊は、TJ100ターボジェットエンジンを動力とし、その他に電動芝刈り機・ゴーカート・自転車・数枚の著しく焦げたトランプなどをパーツとして組み込んだ自作車両に乗り、時速150km以上で走行中のSCP-2506を発見しました。拘留後、SCP-2506は数種類の飲料・マンガ1冊・技術誌“Power Engineering Magazine”の最新号1冊を、スプリンググローヴ警察署のオフィスに自発的に実体化させるという形で異常性質を見せました。聴取基地によってこれらの出来事に関するやり取りが傍受された後に財団の収容部隊が派遣され、予備収容は目撃者への影響を最小限に絞って達成されました。
後日、初期収容の数日前にオランダのギルゼ=レイエンで、TJ100ターボジェットエンジン1機の唐突な消失により、超軽重量飛行機の試験機が墜落事故を起こしていたことが判明しました。対情報プロトコルは標準的手順に則って施行されました。
補遺2506-Inc-01: 事案報告書2506/IncRep/01:v3.22-AES管理概要
2015/09/08、SCP-2506を最初に取得する試みにおいて、対象は自身の母に会いたいという欲求を表明しました。母親が出現することはありませんでした。取得の試みはその日の後に再設定されました。
補遺2506-Int-01: SCP-2506取得 d.d. 2015/09/08
質問者: ラングストン=キーズ博士 (LK)
回答者: サラ・ミォ (SCP-2506)
タイムスタンプ: 2015年9月9日(水) 02:24:30 GMTLK: こんにちは、サラ。私はソフィー。気分はどうかしら?
SCP-2506: 大丈夫、だと思う… でも何処にいるのか分からない。警察のマックルさんとお話ししてたところから少し思い出せなくて、気が付いたらここにいたの。
LK: ソフィーと呼んでくれて構わないわ、私たちはここでは友達。病院みたいなところよ。私たちは、とても素晴らしい才能のある子供たちの世話をしているのよ。貴方もその一人でしょう?
SCP-2506: (肩をすくめる) よく分かんない。物を作るのが上手だから? パパはいつか私がNASAでロケットを作るようになるだろうって言うんだ。でも私はレースのほうが好きだな。
LK: (笑い) それには確かに気付かされたわね。でも私が言いたかったのは物作りのほうじゃないの。貴方が使ってたエンジンなんだけど…
SCP-2506: …マックルさんからやめろって怒鳴られた時、私がレースに使ってたやつ?
LK: そう。貴方が使ってたあのエンジン… あれは何処で手に入れた物?
SCP-2506: ナイルズが持ってきてくれたの。 (縫いぐるみを見せる) ナイルズはね、物を持ってくるのがすごく上手いんだ。
LK: かっこいいワニさんのおもちゃね。どのぐらい昔から持っているの?
SCP-2506: ナイルズはおもちゃじゃないもん。ナイルズは私の友達。生まれた時から一緒だったと思うな。ママは、私が生まれた時にベン伯父さんが持って来たって言ってる。
LK: そうだったのね。それで、ナイルズとお話しすると、彼が頼まれた物を持ってきてくれるのね?
SCP-2506: うん。でも死んじゃったペットを連れてくることはできないし、ママやパパも連れてこれなかった。頑張ったけど、ダメだったの。どうしてナイルズがママやパパを連れてこないのかは分からない。
LK: すぐにまたママとパパに会えるわよ、これは約束。私たちはただ、ナイルズにどういうことができるかはっきり知りたいだけ。
SCP-2506: ナイルズは特別なの。
LK: ええ、勿論そうよね。ねぇ、ほんの少しだけナイルズを借りてもいいかしら、サラ?
SCP-2506: どうして? 私のナイルズよ。
LK: なら気にしないで、サラ、大したことじゃないから。そうね、何か遊べるものをいくつか持ってくるようにするわ。ここで遊びながら待ってるだけで構わないのよ。
回収に続き、SCP-2506-1は収容後最初の夜にSCP-2506のHACCから除去された。実験で異常特性は明らかにならなかったが、SCP-2506-1に異常な性質が結び付いているという疑いを除外するため、SCP-2506-1は同一のコピーと入れ替えられた。