SCP-2517-JP
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アイテム番号: SCP-2517-JP
オブジェクトクラス: Eparch
レベル3/2517-JP
Confidential


分類委員会覚書: Eparchクラスは、それ自体が異常では無いものの異常に関連しているオブジェクトの分類として定義されています


特別収容プロトコル: SCP-2517-JPの調査/研究任務に配置される全職員は事前に10.5以上の認知抵抗値を有すると認定されることが不可欠です。SCP-2517-JPの調査/研究を目的とした前哨基地が長野県██村の近隣に位置する滝の裏側に建設されます。同基地から学術機関に偽装した調査チームを村へ派遣し、持ち帰った物品/情報を元にSCP-2517-JPの研究が行われます。村へ入ろうとする人物は尋問し、クラスB記憶処理を施して解放します。

"ななかど様"信仰に関する調査は現在も進行中です。

説明: SCP-2517-JPは長野県██村で信仰される宗教の指定名称です。SCP-2517-JPの教義における最終目標は"第四世界1"への到達です。歴史資料の調査結果と村民の証言は、SCP-2517-JPが2000年以降に外部から██村に持ち込まれた可能性を示唆しています。SCP-2517-JPはGoI-005("第五教会")との関連が疑われていますいました。調査の結果、SCP-2517-JPに異常性は認められず、GoI-005との関連性も存在しないことが判明しました。

発見: SCP-2517-JPは、██村近隣の崖下で発見された死体が所持していたビデオカメラの映像記録からその存在が明らかとなりました。映像内には異常実体が確認され、閲覧者は精神に異常な影響を受ける事が判明しています。記録されていた会話内容に第五主義と関連する要素が多数確認されたため、SCP-2517-JPはGoI-005との関連性を疑われました。映像記録はサイト-8199の中脅威度物品保管ロッカーに収容されています。カバーストーリー「行方不明」が適用されました。

以下は調査チームが持ち帰った物品/情報の選定リストです。完全版のアーカイブは要請に応じて閲覧可能です。

指定番号: #07

説明: 青磁の香炉。蓋には1つの穴が開いている。香料を入れて加熱すると少量の煙が噴出する。

備考: 村民は煙の吸引を"魂の洗浄"と呼称し定期的に行います。観察下の実験では煙との相互作用による異常な影響は確認されていません。

指定番号: #14

説明: 村民が食事の前に必ず歌唱する民謡。内容は"宇宙コウモリ"の到来によって"第四世界"への昇華が達成されるというもの。

備考: "宇宙コウモリ"、"第四世界"について説明を求められた村民は具体性を欠いた称讃以上の情報を提供できません。歌唱に関連する異常な影響は確認されていません。

指定番号: #21

説明: 三角形に切り取られた根菜類のみのサラダ

備考: 村民は3を"偉大なる彼の数字"であると述べています。観察下の摂食実験で異常な影響は確認されていません。

指定番号: #28

説明: 毎年2月22日に行われる祭り。当日は村民全員が祭りに参加する。主な催しは村はずれの祭壇を中心とした飲食や演奏・演舞である。祭りの最終段階で祭壇の周囲に村民が集結し、その時点での村民の総数が偶数であれば村長の宣言によって祭りは終了する。偶数でなければ1体の木製人形が祭壇に奉納される。

備考: 事前に行われる人数確認の際に人形制作の有無と制作係が決定します。祭りおよび奉納による現実への異常な影響は確認されておらず、回収した人形は異常性を示しません。

指定番号: #42

説明: 7という数に対する顕著な罪悪感あるいは忌避感、恐怖

備考: 既存の宗教に存在する特定の数字への非異常な忌避感と類似の情動であると考えられます。

指定番号: #49

説明: 村から約77mの地点に存在する全焼した建造物

備考: 焼け跡から発見された物品群は宗教的建造物の存在を示唆しています。

指定番号: #63

説明: SCP-2517-JP以前に██村で信仰されていたと思しき宗教について記された文書

備考: #49の瓦礫撤去作業中に発見されました。大部分が焼失しているものの、判読可能な記述から"ななかど様"と称される存在が崇拝の対象であったことが明らかになっています。

補遺: インタビュー記録

対象: 円城 矢代(██村村長)

インタビュアー: エージェント・彼岸

付記: インタビューは学術機関による調査の名目で行われました。


[記録開始]


対象: 村の宗教に興味をお持ちとうかがっています。

インタビュアー: そうなんです。私たちは今まで様々な宗教を調べてきましたが、この村に伝わるそれは他に類を見ない独自性を持ち──

[無関係な会話は簡略化のため除外]

インタビュアー: ありがとうございます。非常に興味深いお話でした。

対象: あの方の受け売りなもので、そこまで褒められると少々気恥ずかしいですね。

インタビュアー: あの方というと、こちらの村に現在の宗教を伝えた人物のことですか?

対象: ええ、そのお方で間違いありません。彼は私たちに光を齎してくれました。

インタビュアー: その方について覚えていることを教えて頂けますか?

対象: 名前については存じ上げません。名乗ることなくどこかへ行ってしまわれたので。覚えている事ですか……[唸り声]

インタビュアー: その方が村にいる時、変わったことは起きませんでしたか?

対象: そういえば、[両腕を左右に広げる]こーんなに大きなコウモリが洞窟にいたと子供たちが言っていました。まあ、結局それらしい物は見つかりませんでしたが。[笑い声]

インタビュアー: 分かりました。ありがとうございます。

インタビュアー: 次に、この村で以前信仰されていた宗教についてお話頂けますか?

対象: あぁ……まあ構いませんよ。ただ、あまり面白い話は期待しないでください。

インタビュアー: 問題ありません。

対象: この村は遠い昔、様々な事情で元々いた場所に住みづらくなった者たちが集まってできたんです。彼らは元の場所との縁を快く思っていなかった。それで"ななかど様"と言う名の縁切りの神様を祀ることにしました。"ななかど様"は異端として故郷を追われた宗教学者から皆に伝わったそうです。

対象: 代を重ねるごとに信仰は形を変えてゆきました。元の場所との縁を持っていたのは最初に集まって村を作った者達で、彼らの子孫はそういった事にそれほど興味を持たなかった。子孫たちは、戦禍や村を襲う獣を恐れ、そういった存在との縁を切りたいと願ったんです。上の世代が少なくなると、子孫たちの願いに合わせるように"ななかど様"の御利益が変化したと伝わっています。外から来る脅威との縁を断ち切るといった風に。

対象: 私が知っているのはここまでです。戦やら台風やらで資料の殆どが失われ、これ以上の情報は何も残っちゃいません。当然ながら、そんな状態で信仰を保つことは出来ませんでした。だからこそ、縋るものも無く日々を闇の中で過ごしていた私たちにとって新たな宗教はまさしく救済の光でした。

インタビュアー: 御利益によって防がれているはずの外的脅威によって教義に関する記録が喪失し、信仰心を保つことが難しくなったため、新たな宗教を受け入れたという事ですね。

対象: 仰る通りです。

インタビュアー: では、こちらの写真をご覧ください。これは村はずれで見つかった焼け跡です。こちらについてご説明いただけますか?

対象: ゴミでも燃やしたんじゃないでしょうかね。

インタビュアー: 調査の結果、この焼け跡には元々神社が立っていたと明らかになっています。

対象: それはそれは……こんな場所に社があったとは知らなかった。村にある資料は全て見ましたが、これについて言及しているものはなかったはずです。いつの時代に焼けてしまったんですかねえ。

インタビュアー: 火災が発生したのはごく最近だと判明しています。

対象: そうでしたか。まあ、最近は乾燥が酷かったので自然に火がついたのかもしれませんな。

インタビュアー: 火元を調査したところ、火は神社を円で囲むように発生し内側だけを焼いていました。これは明らかに人為的な着火と誘導があったことを示しています。

対象: [ため息]つまりどういうことですか?さっきから何を仰りたいのかさっぱりです。

インタビュアー: 私達はあなたがた村人が神社を燃やしたと考えています。

対象: [沈黙]

インタビュアー: 神社と村の距離および位置関係から考えて、社が燃えている時に誰も気付かない可能性は限りなく低い。しかし、村人たちはあなたを含め全員が見ていないと証言しています。

対象: [遮るように手を振る]もう結構です。なぜそこまで拘るんですか?

インタビュアー: 正確な情報を提供していただきたいだけです。神社を燃やした理由、お話しいただけますか。

対象: [ため息]あの方が去った後、新たな信仰に私たちは喜びましたが同時に後ろ髪を引かれるような気分でもありました。

インタビュアー: 何故ですか?

対象: 実のところ、"ななかど様"についての資料は損なわれてなどおりません。御利益が外部との悪縁を断ち切る形になってから、この村はまさに平穏そのものでした。ただ、何も無いだけだとどうしても有難みが無いというか、当たり前になってしまって。

インタビュアー: 信仰が薄れていたと。

対象: そんなところです。そこに来て紹介された新しい宗教はとても魅力的で、私たちは実感の無い縁切りよりも、将来性があり具体的な利益を保証してくれる"第四世界"への到達を選びました。

対象: しかし、乗り換えみたいな事をしてしまった手前どうしても申し訳なさがありました。だから一種のけじめと言うか区切りと言うか、今まで護ってくれていた事への感謝の意味も込めて村人総出で"ななかど様"の社を焼きました。

インタビュアー: つまり、あなた方は自分たちをあらゆる悪縁から切り離してくれていた神への信仰を、罪悪感から逃れるために社ごと焼き払ったんですね。

対象: そうとも言えます。

[記録終了]


備考: ██村はその地理的条件からすれば不自然なほどに戦禍や獣害、自然災害などの被害を受けておらず、全国的に飢饉が発生した際も餓死者を出していません。村外で発見された██村についての歴史的資料もこれらの情報を裏付けています。加えて、第五主義が村に持ち込まれたのは"ななかど様"への信仰が希薄になっていた時期と一致します。上記の事実から██村にかつて存在した"ななかど様"信仰は、現実に影響を及ぼす異常存在であった可能性が極めて高いと考えられます。 ──エージェント・彼岸

前哨基地からの報告を受けたサイト管理官の指示により、"ななかど様"信仰について調査が開始されました。SCP-2517-JPは異常存在の影響を受けた可能性が高いと考えられ、暫定的にEparchクラスへの分類が行われました。

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