アイテム番号: SCP-2525
オブジェクトクラス: Keter Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-2525は強化鉄で構成された5m x 5m x 3mの格納装置内に収容されます。収容セルは床と壁に遠隔作動可能な通電パネルが備えられた半径20mの補助収容ユニットで囲まれます。収容セルに窓はなく、強化された高セキュリティの扉が一つあるのみです。SCP-2525は防弾ガラスで保護された有線カメラにより絶えず監視されます。収容セルに対するいかなる損傷に対しても機動部隊オミクロン-9(響きと怒り)の隊長に報告がなされ、修理が必要と見なされれば彼らによってプロトコル2525-フィリグリーが開始されます(詳細は文書2525-フィリグリー参照)。
SCP-2525-1は、床から0.5mの位置にレーザー動作検出システムが設置された1.5mのPMMAチューブ内に収容されます。レーザーが作動した場合、クラーク博士と機動部隊オミクロン-9の隊長に警報が送信され、直ちに彼らによってプロトコル2525-アルカトラズが開始されます。
プロトコル2525-アルカトラズに関わる機動部隊オミクロン-9隊員は、各々ヘビーアーマーを着用し高電圧スタンガン警棒と高電圧テーザー銃を装備しなければなりません。メンバーのうち一人は追加で短距離超音波放射装置を携帯しなければなりません(仕様は文書2525-アルカトラズ参照)。機動部隊オミクロン-9に所属する隊員は、財団の標準持久力試験で95/100以上を記録していなければなりません。
説明: SCP-2525は地球外起源の人型生物であり、身長は2.3m、体重は145kgです。対象は二組のあご、複眼、翅脈を備えた膜上の翅、つがいに使用されていたと考えられている退化した第二の腕を有しています。上腕はそれぞれ1.4m以上で、先端には3本の指があり中央の指の長さは0.3mです。対象は通常兵器に対する耐性が非常に高いキチン質の鱗で覆われていますが、それが対象の動きを阻害することはありません。実験により100V以上の電流と1.5MHz以上の周波数の濃縮音に対する高い感受性が明らかになっています。
SCP-2525は俊敏かつ頑強であり、高い知性を有しています。対象は人間に対して敵対的であり、これまでに幾度と無く視界に入った職員に対してみだりに攻撃を仕掛けています。各上腕の長い指は鉄板に穴を開けることが可能であり、対象は長時間かけて収容セルの壁を損傷させることで収容違反を試みています。対象は収容セルを収容している各層を分解することで█回に渡って収容違反をし、構造の改善と積極策の再考が必要となりました(文書2525-フィリグリー参照)。収容違反中に職員が対象が中にいる収容セルへ入る必要があった時、対象は高所からの攻撃と職員を捕らえるためのトラップを用いた攻撃的かつ略奪的なふるまいを示しました。
SCP-2525は人間の耳には聞こえない高周波の音と舌打ち音、加えて範囲12mの直接的精神テレパシーを用いてコミュニケーションを行います。実験により人間の意思や行動への指示は出来ないことが証明されているため、対象の話す言語が翻訳されるまではこのコミュニケーション法が最も安全だと考えられています。テレパシーの影響の可能性が推測されていますが、対象は口語を理解しているように見えます。
SCP-2525は████/██/██にカスケード山脈で報告された爆発後に回収されました。SCP-2525と共に回収された巨大宇宙船の部品は現在はサイト-██に保管され、金属とポリマー製のシリンダーはSCP-2525-1に指定されました。
SCP-2525-1は高さ40cm直径9cmのシリンダーで、片側にひれ型の三脚を備えています。内部の80%は粘性の物質で満たされており、SCP-2525の成分の金属とポリマーと同様、この物質の判定は今のところ不可能です。
8〜32日毎に一度、SCP-2525-1は活性化し空中に1mの位置に浮上します。初期位置に戻るまで10〜12秒間その位置で静止します。この活性化段階中、SCP-2525は緑色の光線を放射し、その内部物質は沸騰しているように見えます。
SCP-2525-1の活性化状態は、SCP-2525による通信の受信を示します。これらの通信に含まれる情報の本質は直接確かめることは出来ず、SCP-2525を伴って行われるインタビューにより記録されます。現時点ではSCP-2525は一定した量の情報を与えられており、その情報にはプロパガンダ、煽動的演説、地球や人類文明、サイト-22を中継地点とした地球侵略の計画が含まれています。この情報源は不明ですが、情報はhomeworldから来ているとSCP-2525は主張しています。その世界の位置は不明です。
SCP-2525-1によって放送される情報の収集はクラス-1優先事項に指定されています。
インシデントログ2525-アルファ-12
クラーク博士が現地を離れ医療処置を受けていた████/██/██の12:56にSCP-2525-1が活性化。プロトコル2525-アルカトラズ中は次席研究員T██████ L███がクラーク博士の代理となった。次席研究員L███はSCP-2525の言語の音声録音を詳細に研究していたが、彼がSCP-2525と直接コミュニケーションするのはこの事件が最初だった。(事件報告はセキュリティ映像と後述のインタビューログにまとめられている。)
12:57: プロトコル2525-アルカトラズ開始。機動部隊オミクロン-9の隊員が安全に収容ユニット内へ入りSCP-2525を鎮圧。
13:04: 次席研究員L███が収容ユニット内へ入りインタビューを始める。SCP-2525はクラーク博士がどこにいるか知りたいと要求。初のテレパシー経験により次席研究員L███は明らかに動揺する。次席研究員L███は機動部隊メンバーの助けを断り、SCP-2525にクラーク博士は手が空いていないと知らせる。インタビュー続行。
13:45: SCP-2525が非常に非協力な為インタビュー継続時間が大幅に増加。SCP-2525は重要度の低いと考えられる情報しかもらさず、プロトコル2525-アルカトラズは撤回。収容ユニットから隊員が後退中、SCP-2525は通常と比較して活動的ではなかった。次席研究員L███によると、SCP-2525は何度もクラーク博士の所在を尋ねていた。
無神経かもしれませんが、再び医療処置中にシリンダーが活性化した場合に備えて、もし可能であればクラーク博士の化学療法を今後サイト上で行うことを提案します。SCP-2525は私を信用しておらず、私を嫌っていることは明らかです。私を信用させることは困難を極めるでしょう。 - 次席研究員L███
インシデントログ2525-アルファ-13
████/██/██、クラーク博士が要請を受け、機動部隊オミクロン-9を伴いSCP-2525収容ユニットへ入る許可を得る。クラーク博士は収容セルの扉を閉め、SCP-2525と対話する。クラーク博士側の会話の転写は以下。
SCP-2525、ナサニエル・クラークだ。私がいない間に助手とトラブルがあったと聞いたんだが?
うーむ、私は病気なのだよ。その治療を受けているから、君のインタビューの際にいつもそばには居られないかもしれない。彼にも私と同じぐらい協力的であってほしいんだが…どうかね?
そんなこと無いさ。T██は君の話す言葉の翻訳作業を頑張ってくれている。彼はそれが得意なんだ。君も我々ともう少し直接的にコミュニケーションを取りたくないかい?
君が知る必要のあるのは、インタビューに関してしばらくの間はこのままかもしれないということだ。私の治療がどれほど上手くいくかに掛かっているんだよ。もしまた問題が起こりそうなら、君の環境が今よりかなり不快なものになるかもしれない。わかってくれるかね?
この時点でSCP-2525の爪の一つがクラーク博士の頭上0.2mの位置の壁に穴を開けた。機動部隊隊員は電気ショックを用いてSCP-2525を鎮圧。クラーク博士を収容ユニットから連れ出した。無事プロトコル2525-フィリグリーが実行された。
私の腫瘍学医師は協力的なので、次席研究員L███の負担を軽くするために必要なことは何でもするつもりだ。彼にプロトコル2525-アルカトラズへの参加継続を強く求めるが、SCP-2525に彼の存在を慣れさせる手助けをするためだ。 -ナサニエル・クラーク博士
インシデントログ2525-アルファ-22
(注: クラーク博士の死後のSCP-2525に対する最初のインタビュー。聞き取れる次席研究員L███からの会話の転写は以下。)
いや、彼は今日ここにはいない。彼は…彼は死んだんだ。もし君が-
そんなもの私に向けるんじゃない。彼や他のことを君が気にするなんてらしくないな。
馬鹿な。やれ。
電気ショックがSCP-2525に与えられる。
私は彼について話すのに興味は無い、いいか? これは今から標準的インタビューで君が騒ぎ立—-
この時点でSCP-2525は咆哮を上げ、4本のショック警棒と1本のテーザーを受けているにも関わらず拘束を破壊。次席研究員L███は収容ユニットから逃げ出し、機動部隊隊員は鎮圧された。超音波装置はうまく機能せず、事件中に破壊された。機動部隊隊員全5名は収容セルから追い出され、SCP-2525は扉を閉鎖。報告された負傷は僅かだった。違反プロトコルが実行された。
エージェント M████████とサイト管理者Bresescuによる協議後、次席研究員L███が予備機動部隊隊員を伴い収容ユニットに再入場した。SCP-2525は収容セルの壁越しに声が聞こえる状態。
次席研究員L███: SCP-2525、聞いているか? [休止] 我々に出て行って欲しいようだ。
エージェント M████████: プロトコル2525-アルカトラズは継続中です。対話して下さい。
次席研究員L███: こんな状況にふさわしいプロトコルがあるだろうに。えー、SCP-2525、君にまだ協力する意思があるなら、今我々が話しているようなインタビューを続けても構わないかね? [休止] SCP-2525?
SCP-2525は職員が話している81秒間全く発声しない。
次席研究員L███: くそっ。奴はクラーク博士のことでぶっ壊れてると思う。彼の名前をもう何回も聞いてる。
エージェント M████████: からかってるのか?
次席研究員L███: 「彼を助けられる」もしくは「彼を助けられた」といった様な声を確かに聞いたよ。私は知らないがね、条件法が本当に—
SCP-2525は大きな唸り声を上げ、それは金切り声で終わった。
エージェント M████████: 研究員をここから連れ出せ!扉を開けろ!
収容セルの扉は動かず、アセチレントーチで開けるまでに20分を要した。機動部隊オミクロン-9はセルを確保し、首が切り落とされたSCP-2525を発見した。████/██/██、対象はNeutralizedに分類され、SCP-2525-1はanomalousオブジェクトに再分類された。
補遺: インシデント2525-アルファ-23: インシデント2525-アルファ-22から21日後、anomalousオブジェクト25341が活性化。その際サイト-22のランチルームにいた職員は「緑の光線が次席研究員L███に入った」と報告。収容は再開され、対象はSCP-2525へ再分類された。