SCP-2527-JP
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アイテム番号: SCP-2527-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2527-JP及びSCP-2527-JP-1は低危険度収容ロッカーに収容してください。SCP-2527-JP-1を実験に使用する場合はSCP-2527-JP担当職員の許可が必要です。

説明: SCP-2527-JPは20██/██/██に自殺した真桑友梨佳氏の死体です。死亡場所は鳥取県██市の廃アパートの一室1であり、死因は天井の梁に下がった縄による縊死でした。死体に腐敗の兆候は確認されていません。
また、SCP-2527-JPの外皮系(以下、SCP-2527-JP-1)は全てメチレンジオキシメタンフェタミン2に類似した不明な化合物に置換されていることが確認されています。

SCP-2527-JP-1を経口摂取した場合、摂取した人間(以下、対象)は非異常性の薬物を摂取した際と同様のプロセスで幻覚を経験します。通常の薬物摂取による幻覚と異なり、SCP-2527-JP-1を摂取した際に経験する幻覚は全てが一定の内容となっており、「ピンク色の砂が映された後に視点が切り替わり、セーラー服を着た若年の女性がこちらを見て幸せそうに微笑んでいる」と表現されます3。対象の証言から、若年の女性は生前の真桑氏を模していると推測されています。

SCP-2527-JP-1は、摂取量が増加するごとに幻覚の持続時間も増加することが確認されています。
また、SCP-2527-JP-1を約11g以上摂取した対象はその2時間後に死亡します。

周辺住民へのインタビュー及び発見時のSCP-2527-JPの傍に落下していたボイスレコーダーの音声から、生前の真桑氏は鳥取県を中心とした指定暴力団「薬夾会」に委託された非合法なアルバイトに従事していたことが判明しています。
以下はボイスレコーダーに収録されていた音声の書き起こしです。

<再生開始>

00:03 ボイスレコーダーでも遺書になるのかな。まぁいいや。買ってきちゃったし、もう時間ないから。もういいでしょ全部。いいんだってば。

00:09 (沈黙)

00:20 分かってる、そんなこと私が一番知ってる。知ってるから、お願いもう黙ってて。今からちゃんと、ちゃんと言うから。

01:11 (嗚咽)

02:04 どうやったってここから出られないって思ってた。一生ずっとこのままだって。生まれも育ちも田舎だから、お小遣いだってずっと500円だから、5万円は大金だって。一緒になって思ってたくせに、止めてくれなかったくせに、何で今更。責める権利ないでしょ。

02:57 ピンク色の砂糖菓子を誰かのところに運ぶだけの簡単なお仕事で、5万。最初は軽い気持ちで受けたんだった。ウーバーみたいなもんでしょって。分かってるよ、そんなんじゃなかったから、今こんなことになってるんだって。

03:18 知ってたよ、こんなの砂糖菓子なんかじゃないって。でも、だってしょうがないじゃん、パパもママも先生も止めてくれなかったくせに、今更、今更なんでそんなこと言うの?薄暗い廊下のポスターがさっきからずっと見てる気がする、欲しいものは諦めなきゃいけなくて、羨ましがられる側になりたくて、人生変えたかっただけなのに。

03:36 制服を着て届けに行けって言われてたけど、あれって脅しだったのかな。こっちはいつでもお前の学校に乗り込んでいけるんだぞ、っていう。うるさい、分かってる、どうでもいいって。

04:02 やめてよ、そんなこと言わないで、だって私が悪い訳じゃないじゃん。ただ、ただ気になっただけで。

04:15 (不明瞭な発言)

04:27 砂糖菓子の値段を見る度に、愛されてるし求められてるんだなって思ってた。あれが愛の薬とかエクスタシーとかって呼ばれてるの、笑っちゃうでしょ。私とは違いすぎて。だってこれは私じゃない。私じゃ、ないのに。
小さなピンクの塊がここまで価値があるのに、私は何なんだろう。同い年でちやほやされてる子だっているのに、私はなんでこんなところで。

05:21 砂糖菓子で手に入れた幸福は続かない。バレたくない。バレたら人生が終わる。バレたら、もう。薬物乱用防止って書かれたポスターの目がずっとこっちを見てる。

05:59 眠れない。心臓がずっと、ずっと苦しい。手足がざらざらする。逮捕も嫌。殺されるのも嫌。早く楽になりたい。そんなの分かってたくせにって、ねぇお願いもう黙ってよ!

06:18 スマホの中でのんきに笑ってる子たちの映像が未だに頭から離れない。
どうして、今でも、私はこんなに惨めなんだろう。あの子たちと私が同じなわけないでしょ、私はただの砂で砂糖菓子を羨むしかできないんだから。これからもこの先も、ずっと。

07:00 私だって、砂糖菓子がくれたあの幻覚くらい、愛されてみたかっただけだったのに。

07:22 (生前の真桑氏により、ボイスレコーダーの電源が切られる)

<再生終了>


発見経緯: SCP-2527-JPは警察内部に潜入していたエージェントが「薬夾会」の構成員にインタビューを行った際にその存在が示唆され、その後現地の財団職員の捜索によって発見されました。発見時のSCP-2527-JPは脚部が切断され、頭皮と顔面の皮膚が全て剥ぎ取られていたことが確認されています。
以下はインタビューログの書き起こしです。

対象: 海田 正輝(34)

インタビュアー: エージェント・桜木

付記: 対象は薬夾会の構成員であり、20██年に起こした非異常性の暴力事件で拘留されている。

<インタビュー開始>

<無関係な会話のため中略>

エージェント・桜木: 聞きたいことというのは、彼女についてです。ご存知ですか?

<エージェント・桜木がSCP-2527-JPの写真を提示する>

海田氏: え、こいつ見つかったの?何だよ、俺ら必死こいて探してたんだけど。

エージェント・桜木: あなた方も彼女を探していたんですか?

海田氏: 探してたも何も、こいつパクって使ってたんだぜ?大事な大事なお客様へのお届け物。初めはちょっと表面がざらついてるとか角が欠けてるとかその程度だったのに、その程度じゃ済まなくなったのかつい最近結構な量持っていきやがったんだよ。

エージェント・桜木: なるほど。彼女について、他に何か知っていることはありますか?

海田氏: あんま覚えてねぇよ。他にもこういうガキ使ってたからさ。あとはまぁ、なんかいっつも不幸そうな顔しててイラついたってくらいか?確かに少ないかもしれないけど金は貰えるんだからさ、上手いことやりゃあいいのに変な気起こしやがって。

エージェント・桜木: そうですか。実は、彼女はまだ見つかっていません。二日ほど前に家出をし、現在も行方不明とのことです。何か知っていますか?

海田氏: 何だよ見つかってねぇのかよ。ん?じゃあ、あれってこいつ……ってことはないか。ないよな。

エージェント・桜木: あれ、とは何でしょうか。詳しく教えてください。

海田氏: シャバでやらかす前に、そのピンクのラムネの元が手に入ったって話聞いてさ。家出した女が関わってるから実質タダでいくらでも作れるって、嘘みたいな話。変な幻覚しか見えないけど、重度のヤク中なら気にしないしロリコンにも売れるからいいって聞いたんだよ。
他の薬と混ぜて薄めたら幻覚もちょっとはマシになるらしいし、アーティスト気取りはエモいって言って買うらしいし。おかげで東京に持って行く羽目になったって兄ィがぼやいてたわ。まぁ、その経費差し引いても儲けになるから楽しそうだったんだけどな。

<録音終了>


インタビューで示唆されたSCP-2527-JP-1を加工したMDMAについて、現在調査が進められています。

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