アイテム番号: SCP-254
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 非使用時のSCP-254は標準収容ロッカーに保管されます。保管の際はSCP-254を床面に伏せ、偶発的活性化を防ぐため紐で固定してください。SCP-254はいずれかの部門長からの要請と2名以上のレベル3職員の許可がある場合にのみ使用が可能です。SCP-254をSCP-254-1がミーム的あるいは認識災害的なSCPオブジェクトと接触可能な環境下で使用してはなりません。いかなる場合も、単一の部門または場所で26日以上SCP-254を継続して活性化させてはなりません。再使用は、職員の完全な入れ替えが終わった後にのみ許可されます(すなわち、SCP-254に関与した経験のある職員が1名以上いる場合には許可されません。)
説明: SCP-254は長方形をした木製の額で、寸法は22cm×30cm、重量は1.5kgです。額の正面には中身のない真鍮製の写真ホルダーと、黒地に金色の文字で”今月の最優秀従業員”とプリントされたプレートが取り付けられています。背面には吊り下げ用の器具が取り付けられています。
SCP-254はカンザス州██████のガソリンスタンドの瓦礫の中から、195█/██/██に発見されました。事故によりスタンドが完全に破壊され、█名の従業員と██名の一般市民が死亡した事故の後、無傷のまま現場に残っていたSCP-254を財団エージェントが回収しました。
SCP-254を4人以上の従業員が働いている場所の壁に吊り下げると、SCP-254-1が出現します。SCP-254-1は吊り下げられてから直後の休憩時間の終了時か、次の作業シフトの開始時に現れます。SCP-254-1は性別、年齢、人種、名前、外見が一貫せず実体を持たない人間であり、通常の人間と同様の動作を通じて同等の力で物体に対して干渉することができます。SCP-254-1は自身の振る舞いや人格について、出現場所のミーム的共通認識に基づく模範的従業員のものを採用します。SCP-254-1の外見が決定されると、写真ホルダーにSCP-254-1を写した8X10サイズの光沢のある写真が出現します。これはSCP-254が別の場所に移動されるまでは変化しません。写真の下部には、SCP-254-1の新たな名前がプリントされています。この写真をホルダーから取り除く手段は判明していませんが、裂いたり破いたりすることは可能です。それらの行為を積極的または意図的に行うことは、SCP-254-1からの暴力的な反応を招きます(添付記録SCP-254-a:[データ削除]████/██/██インシデントを参照)。
SCP-254-1はその外見によらず、常に快活な態度を示します。SCP-254-1は天気、交通、前日夜のテレビ番組、スポーツなどの話題に関する会話を行いますが、その場にいる人物が知らない事柄を話題に持ち出すことはありません。SCP-254の影響下にある場所で働く人物は、SCP-254-1の突然な出現とその実体を持たない特性に対する警戒を示さず、SCP-254-1が”ここに勤めている”のだと主張します。影響を受けた人物は額を取り除くことに対して消極的になる、あるいは取り除く命令を記憶できなくなるため、除去には外部の職員があらかじめスケジュールを組んでから行う必要があります。
SCP-254-1は、単調な作業を素早く的確に行うことができます。専門的な訓練が必要とされる仕事を命じられた場合、SCP-254-1はそれに必要な経験を積んでいないにもかかわらず良好な態度を示して仕事に取り組みます。しかし、その結果は一般の従業員が取り組んだ場合と同程度のものに留まります。28-46営業日の間SCP-254-1は模範的な従業員としての態度を崩しませんが、これは通常の場合暦の上での月の終わりに終了します。SCP-254-1の出現がその月の終わり近くであった場合、次の月の終わりまでは優秀な従業員として振る舞いますが、ミーム的共通認識の変化がもたらしうる危険を鑑みSCP-254の26日以上の継続利用は許可されません。
その”月”が終わり、かつSCP-254が除去されていなかった場合、SCP-254-1はその勤務態度を悪化させ始め、非協力的な振る舞いと忘れっぽさを見せ出します。SCP-254が取り除かれない限り、SCP-254-1は”解雇”されるまでさらに悪い従業員へと変化していきます。解雇はSCP-254を壁から取り除くか、SCP-254-1に自身の免職を伝えることで成立します。SCP-254-1の態度悪化から約20日以内に解雇が成立した場合、SCP-254-1は単純にその場を離れて消失します。この時点以降に解雇が行われた場合、SCP-254-1は可能な限り破壊的な手段でもって職場に対する妨害行為を行い、しばしば付近の従業員に対して深刻な被害を与えます。
それと世界にも、だ。SCPオブジェクトを扱う我々にとって、もし外部からの適切な除去が手配されず、内部への命令文書の送付もなされなかった場合、職員として相応しくない振る舞いが自身に免職以上のものをもたらすということを肝に銘じておくように。 -O5-█
補遺: 事件254-0210gを受け、SCP-254-1を26日以上雇用する実験は他のSCPオブジェクトを収容していない隔離サイトでのみ行うこととする。例外は無い。 -O5-█
音声記録254-a13:
█████博士:”記録者、[編集済み]博士。SCP-254の実験#13を実行中。標準的なプラスドライバーを用いて、SCP-254から真鍮部分を取り除く。”
[15秒間、工具を使う音が続く。]
”螺子は通常でない手段により固定されているものと思われる。接着剤、あるいは他のなにかであろうか。”
SCP-254-1(以下、ガス(Gus)と記す):”何か溶剤をお持ちしましょうか?”
█████博士:”いや結構だ、ガス。カッターナイフを取ってもらえるかな?写真を切り取ってみようと思う。”
ガス:”ええ? 本気ですか? この額、あるべきところにあるって感じでしっくりきてるんですけど。”
█████博士:”いやいや。別に君を貶めるつもりじゃないんだ、ガス、君はよく働いてくれている。これはあくまで実験のためだ。”
ガス:”わかりました、博士。信じてますからね。”
[紙を切り裂く小さな音がする。]
ガス:”……何してるんですか博士? やめて欲しいんですけど?”
█████博士:”もうあとちょっ……”
[2人の声が途切れ、強くぶつかるような音が5回記録される - SCP-254-1が█████博士の頭をテーブルに叩きつけているものと考えられる。その後、カッターナイフで[データ削除]ような濡れた音が記録される。]
-テープ終了-
実験記録254-b: SCP-254-1をセクター-██の用務員として雇用し続ける実験。
26日目:標準雇用期間が終了。SCP-254-1の勤務態度は良好なまま。
32日目:勤務態度の悪化が初めて記録される。SCP-254-1は█████研究助手のデスクに汚れたぼろ布を放置した。指摘ると謝罪し、ぼろ布を回収した。
34日目:SCP-254-1がセクター-███の床をモップがけしている最中に、走っていた技術職員が洗剤液入りのバケツにつまずいて転んだ。SCP-254-1が悪態をついているのが記録されている。
35日目:月末。遅番の研究員はSCP-254-1を”不機嫌”と形容した。セクター-███の休憩室のキッチンは掃除されておらず、█████博士のゴミ箱の周囲にコーヒーがこぼれていた。
36日目:SCP-254-1が明らかに酔っ払っていたため、監督職員からの叱責を受けた。(メモ:奇妙である;SCP-254-1の飲食が確認されたことは一度もない。)
39日目:SCP-254-1は洗剤液を掃除用具入れに戻し忘れた。精神障害を煩った被験者(実験記録[編集済み]を参照)がトイレでアンモニア系の洗浄剤を見つけ、事故を起こしかけた。SCP-254-1は注意不足について叱責を受けた。同僚の█████ ███████清掃員がSCP-254-1と口論しているのが発見された;両者ともに口論の原因を正確に述べることができなかった。
43日目:SCP-254-1が再び勤務中に酔っ払っているのが確認された。清掃の結果は明らかに常軌を逸したものになっている。
48日目:セクター-███の火災警報が作動する。のちに誤報と判明。犯人は特定されなかったが、誤作動した警報機の近くでSCP-254-1が事件の数分前に目撃されている。正体不明の物体により廊下のカメラが妨害されており、セキュリティ映像は記録できていなかった。
56日目:SCP-254-1は生鮮食品を研究室の冷蔵庫から取り出して放置したことと、複製されていない実験記録をシュレッダーにかけたことで、████博士からの叱責を受けた。SCP-254-1は████博士を[編集済み]と呼び、[編集済み]と脅した。警備員が呼び出された。
58日目:████博士のホワイトボードに包丁が深く突き立てられているのが発見された。████博士の施錠された文書保管金庫が開けられ、中身が盗まれていた。████博士のオフィスへのドアに警備員が配置された。SCP-254-1と█████ ███████がスタッフ休憩室で声を荒げて口論しているのが確認された。
59日目:█████ ███████清掃員が作業に入ったが、監督者への報告がなされなかった。数時間後、[編集済み]検死室に併設された冷蔵倉庫内に閉じ込められ、重度の低体温症に陥っているところを発見された。████博士のオフィスを護衛していた警備員が、頭部への殴打により無力化された;████博士のデスクの椅子にモップの頭で粗雑に形作られた人型のオブジェが置かれ、折れたモップの柄で刺し貫かれているのが発見された。SCP-254-1はこれらの事件において目撃されていない。
60日目:████博士の要請により、[データ削除]の許可を得てSCP-254が壁から取り除かれた。SCP-254-1は建物を出て非物質化した。
61日目:深夜、セクター-███のカメラにSCP-254-1が捉えられた。停電および複数のバックアップシステムの停止により██件の封じ込め違反が発生、██名の直接的死者が発生し、SCP-███のアウトブレイクに伴う浄化処理によってさらに██名が失われた。(事件記録254-0210gを参照)