SCP-2547-JP
アイテム番号: SCP-2547-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2547-JPに隣接する道路は封鎖され、迂回する別の道路が敷かれます。███村にはSCP-2547-JP-Aの秘匿を目的とした外部コミュニティとの交流を断ち切る旨の工作がなされ、代わりにサイト81-██による支援が行われます。SCP-2547-JP-Aの消失傾向に伴い秘匿の試みや支援活動は中止されました。詳細は補遺を参照してください。
説明: SCP-2547-JPは201█年に岩手県███市内の███村を通る道路から分岐する形で発生した横幅1.1mの経路であり、隣接する山に通じているよう観察されます。SCP-2547-JPに侵入を試みた人物や物品はその過程で███村内部を通るランダムな道路上へと転移するほか、その他の干渉にも異常な反応を示す様子が確認されています。これらの特性から、SCP-2547-JPの探索は外部からの視覚的情報以上の成果を上げていません。
SCP-2547-JPの発生以降、███村では立て続けにナンバープレートが取り外されたバイクが路上に放置された状態で発見されています。また、これらの車体は███村から外部に持ち出された場合燃料タンク内部が空になった後に消失し、後日補給された状態で再発見されます。
SCP-2547-JPは定期的に機械の稼働音のような音を響かせると同時に、10名の人型実体(以下、SCP-2547-JP-A実体と呼称)を出現させます。SCP-2547-JP-A群は発生からほどなくして分岐点から80m奥に位置する場所で等間隔に直立した状態で静止しますが、おおよそ5分程が経過するとSCP-2547-JP-A実体は直立状態を解除し、現地での生活を開始します(以下、一連の流れを活性化イベントと呼称)。
SCP-2547-JP-A実体の外見は各個体毎に異なりますが、いずれも日本国内に在住しており、尚且つ5年以内に交通事故によって適切な医療機関に搬送される前に死亡が確認された人物と酷似している事が共通しています。
SCP-2547-JP-A実体は恒久的な不死性を有しているほか、共通して███村に強い帰属意識を有しており、コミュニティの維持に積極的な姿勢を示します。SCP-2547-JP-A実体は"今の生活を続ける上で関係無い話だ"としてSCP-2547-JPから現れる以前の言及を避ける傾向にありますが、聞き込みの結果からそれらの記憶を正常に維持している事が明らかとなっています。
SCP-2547-JP-A実体の出現後、血縁関係や恋愛関係など対象と親密な関係にあった人物の多くは対象が死亡した事実を忘却し、不明な根拠を元に「ここから遠く離れた地域で第二の人生を歩んでいる」などといった前向きな見識を示す様子が確認されています。
SCP-2547-JPは活性化イベント中に限り、付近に路上駐車されたバイクによる安定した侵入が可能となります。活性化イベント中にSCP-2547-JP-A実体に一定以上の損傷を与え直立姿勢を崩した場合、当該実体はSCP-2547-JPの非活性化と共に消失します。SCP-2547-JP-A実体は損傷の際に一切の流血を伴わないほか、骨折、内臓の破裂など一般的な損傷を負った際も共通して身体の各部位がひとつなぎになった状態を維持している様子が見られます。
SCP-2547-JPは当該地域の人口が目に見えて増加している点に疑問を持った活性化イベント中の調査により発見に至りました。また、活性化イベント中のSCP-2547-JP内部空間への干渉手段を確立するまでに推定160名のSCP-2547-JP-A実体が当該地域へと流出していました。
当初、SCP-2547-JP-A実体はサイト81-██にて標準人型実体収容手順に則った収容が行われる予定でしたが、対象の関係者がサイト81-██収容区域内の限定的知識を獲得する事態に発展したため急遽現在の収容プロトコルへと改定されました。対象の関係者に対する記憶処理の試みは、継続的に対象の近況を想起するといった現象のため失敗に終わりました。
補遺: バイクを用いた干渉手段が発見されて以降、サイト81-██から派遣された研究チームによるSCP-2547-JP-A実体の安定した消失方法が模索されました。
以下は実験記録の抜粋です。
| 実験記録(推定活性化数) | 消失数 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 実験記録-1(17回目) | 2名(0/4) | バイクによる突撃を行った初の試み。一度目の突撃にてエージェント・川崎は時速28kmを維持したまま███村南部へと転移した事で重傷を負い、バイクは60m地点で道から外れると同時に消失する様子が確認された。運転者の意図しない負傷を避けるため二度目の突撃では侵入直前でバイクから飛び降りる形式が採用され、4名の消失に成功した。 |
| 実験記録-2(18回目) | 4名(2/2) | 更なる損傷を目的とした兵器の装着が行われたが、SCP-2547-JP内部に侵入した瞬間、装着物はもれなく外部へと転移した。二度の突撃で計6名に損傷を負わせる事に成功したが、直立姿勢を崩したのは4名のみであった。損傷したSCP-2547-JP-A実体は再生せず、損傷状態を継続したまま現地での生活を開始した。 |
| 実験記録-8(24回目) | 10名(8/2) | 10名全員の消失が確認された初の事例。 |
| 実験記録-11(27回目) | 推定3名(不明/不明) | 午前3時42分に発生。外部からSCP-2547-JP内部に当てられた光はどれも不明な要因によりSCP-2547-JP-A群の手前で光量を大きく減衰させた。 |
| 実験記録-14(30回目) | 18名(9/1/8) | 二度目の突撃によって全てのSCP-2547-JP-A実体を破壊した際、即座に異なるSCP-2547-JP-A実体10名が追加で発生した。SCP-2547-JPは3度目の突撃によって7名に損傷を負わせた後非活性化した。 |
| 実験記録-19(35回目) | 不明 | 1時7分に発生。実験記録-11と同様の現象が発生したが、一度目の突撃の後に突如非活性化した。解放されたSCP-2547-JP-Aの存在は確認されなかった。 |
| 実験記録-21(43回目) | 10名(10) | 一度目の突撃によって10名全員の消失が達成された初の事例。SCP-2547-JPは5分の経過や二度目の突撃を待つ事無く非活性化した。 |
| 実験記録-34(50回目) | 20名(10/9/1) | 二度目の活性化の際、発生した10名の内7名が過去に解放され現地に居住していたSCP-2547-JP-A実体がSCP-2547-JP内部に再出現した事が確認された。各実体は目に見えて混乱の様子を示していた。 |
以降の実験記録により、以前9回を含めた個体消失数が100名を超過した際に以前開放されたSCP-2547-JP-A実体が再出現するサイクルが判明しました。再出現したSCP-2547-JP-A実体は他のSCP-2547-JP-A実体と同様の条件によって消失する事が明らかとなっています。消失後、対象の関係者からの見識が「第二の故郷で幸せな死を迎えた」といった内容に変容している事が確認されています。
以降、AIシミュレーションを用いた破壊プロトコルの改善により安定したSCP-2547-JP-Aの消失が記録され続けています。現在の記録を維持し続けた場合、█年以内に現地に流出した全てのSCP-2547-JP-A個体の消失措置が可能であると予測されています。









