SCP-2578-JP
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アイテム番号: SCP-2578-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2578-JPは低危険物保管ロッカーに保管されます。実験で発生したSCP-2578-JP-A群は検査の後、サンプルのみを残し焼却されます。

説明: SCP-2578-JPは一般的なマグネットフックです。壁面に貼られた状態で以下の条件を満たしたヒト(以下、対象)が直接接触した場合、異常性が発現します。

  • 現状に不満を抱いている。
  • 抑うつ・PTSD等の精神疾患の傾向を持つ。
  • 自殺を考えた・未遂した経験がある。

対象が接触すると、SCP-2578-JPのフックに輪状に結ばれた麻紐が出現し、続いて対象の身体の上にSCP-2578-JP-Aが出現します。

SCP-2578-JP-Aは発話能力を持たない小型人型実体です。SCP-2578-JPの接触者の外見を着衣物を含めて完全に再現しており、また遺伝情報も一致します。SCP-2578-JP-Aは対象と一致する遺伝情報を持つ筋繊維と皮膚及び体液、神経系、ケラチンを主成分とする骨格から構成されており生存に必要な複数の臓器を持ちません。このことからSCP-2578-JP-Aは出現後平均32時間程度で死亡します。

SCP-2578-JP-Aは出現直後から対象の身体を伝って移動を開始します。この際にSCP-2578-JP-Aが死亡した場合、SCP-2578-JPに出現した麻紐は消失します。SCP-2578-JP-Aは最終的にSCP-2578-JPに飛び乗ると、麻紐で首を吊り死亡します。その後麻紐はフックから滑り、SCP-2578-JP-Aの死体ごと落下します。対象は落下した麻紐に対して無関心になり、大抵の場合は放置されます。このプロセスを視認した対象はストレスの低減、軽微な万能感、トラウマの一時的な忘却等の効果を得ますが、これら全ては一過性のものであると判明しています。

このプロセスの後、対象が大きいストレスを抱える毎にSCP-2578-JP-Aが対象の視認可能な形で出現し、何らかの要因によって死亡するという現象が発生するようになります。この要因は縄による窒息に留まらず、溺死や落下死などである場合が大多数を占めますが法則性は未確認です。この場合でもSCP-2578-JP-Aの死体を視認した対象は精神状態の向上が見られますが、最初の視認時に比べ効果時間は4割程度短いことが判明しています。

補遺: SCP-2578-JPは東京都███区の長谷川 ██氏の家宅捜査中に発見されました。長谷川氏の自宅内では数個の乾燥したSCP-2578-JP-Aの死体が発見されており、SCP-2578-JPの異常性が無意識に行使されていた可能性が指摘されています。調査の結果、長谷川氏は軽度の双極性障害の診断が下されており、数回の自殺未遂を起こしていることも判明しました。知人へのインタビューから、長谷川氏は「ある時期から唐突に明るくなった」「明るく振る舞う時と前のように暗い時の差が激しくなった」等と評されていました。

長谷川氏の自宅からは輪に結ばれたロープや遺書と見られる紙片が発見されています。これらの購入履歴から、長谷川氏はSCP-2578-JP入手後も度々精神状態の悪化とSCP-2578-JPによる改善を繰り返していたと考えられます。また、遺書の内容に「自らけじめをつけたい」「自分で終わりにしたい」等が繰り返し記されていたことから、SCP-2578-JPの使用は精神状態の根本的解決には繋がらないと推察されます。

長谷川氏の死因は足元に出現したSCP-2578-JP-Aを踏み潰し転倒したことによる脳挫傷とされています。長谷川氏は死亡する直前に、SNS上に「上下する精神状態についての苦悩」「職場の仕事に関するプレッシャー」等について言及していたこととの関連性は調査中です。

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