SCP-2588-JP
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アイテム番号: SCP-2588-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2588-JPはサイト-██の標準ヒト型生物収容室に収容されます。SCP-2588-JPは週に1回精神分析を実施され、その結果に応じて収容指定前に担当していた業務を一部継続することが可能です。

説明: SCP-2588-JPはサイト-██に事務員として勤務していたヒスパニック系男性のハーパー・グラハムです。SCP-2588-JPは本稿執筆時点で41歳です。

SCP-2588-JPは精神的な刺激やストレスを受けることによって、自身の両腕を非実体化させます。持続時間は本人が受けたストレスの度合いと対応するようであり、SCP-2588-JP自身の意志では制御できていません。非実体化している最中の両腕は通常時と変わらず視認可能ですが、他のあらゆる物体と干渉しません。それ以前に身に着けていた衣類や腕時計などはその限りではなく、一時的に同様の異常性を獲得します。

SCP-2588-JPは2020/03/10にその異常性を獲得したと推定されています。当時のサイト-██では収容違反が発生しており、副次的な被害を受けたSCP-2588-JPは極度の緊張状態に陥ったと見られます。監視カメラの映像から解釈できる最も有力な見解は、SCP-2588-JPが極端な感情の高ぶりによって異常性を獲得したというものです。SCP-2588-JPは自身の異常性の起源について十分な説明を提供できませんでしたが、前述の見解については概ね同意を示しています。また、SCP-2588-JPは重要度の低い作業に従事する事務員であり、財団に勤務していた12年間の中で異常存在に暴露したことは一度もありません。そのため、SCP-2588-JPが異常性を獲得し得るインシデントは2020/03/10の1件のみだと断定されています。補遺を参照して下さい。

以下は問題となった2020/03/10の出来事を記録していた監視カメラ映像の抜粋です。


映像記録

日付: 2020/03/10

序: サイト-██のカフェテリアに設置された監視カメラの映像。


映像開始。

[SCP-2588-JPはカフェテリアで昼食を取っている。]

[サイト-██の全職員の端末に収容違反の発生通知と、避難を促すアラートが送信される。職員達が避難を始めるが、SCP-2588-JPはそれに気付く様子が無い。SCP-2588-JPはイヤホンを装着した状態でスマートフォンを操作しており、恐らくはこれがSCP-2588-JPの注意力を鈍らせていたと推測される。]
付記: 後の事情聴取により、SCP-2588-JPはこの日、携帯義務のある端末をオフィスの自席に放置していたことが判明した。

[端末への通知からしばらく間を置いて、カフェテリアを含む収容棟付近のフロア全てに警報が鳴る。SCP-2588-JPはスマートフォンから目を離したのを切欠に自身の置かれている状況に気付いたようであり、慌てた様子で席を立つ。]

[SCP-2588-JPはカフェテリアから退避するために走り始めるが、テーブルに衝突しその場に倒れ込む。立ち上がろうとする試みはイヤホンが足に絡まることによって失敗する。SCP-2588-JPは助けを求めるようとものの、先ほどまで摂食していたパン類がまだ口内に残っており、叫びは不明瞭である。]

[SCP-2588-JP以外のほとんどの人員がカフェテリア周辺からの退避を完了する。少なくとも、監視カメラの範囲にはSCP-2588-JPしか映っていない。SCP-2588-JPは依然として倒れ込み、身じろぎしている。]

[何人かの保安職員が、事態の解決のためにカフェテリアを経由して収容棟に向かっていく。保安職員らはSCP-2588-JPに気付かず、SCP-2588-JPも痛みが原因で助けを求めることができない。SCP-2588-JPはより一層慌てた様子で退避しようとする。]

[この時点でSCP-2588-JPは異常性を発揮しており、SCP-2588-JPは自身が立ち上がれない理由が両腕の非実体化にあることに気付く。SCP-2588-JPは自分の腕を見つめる。]

映像終了。


付記: 収容違反の直接的な危害はカフェテリアに及ぶことなく解決され、SCP-2588-JPはカフェテリアで身を屈めている所を保護された。当初のSCP-2588-JPはひどく錯乱しており、事情聴取ができるような精神状態に回復するまでに時間を要した。



補遺: サイト-██の過去の監視カメラ映像の見直しにより、SCP-2588-JPが2020/03/10よりも前に異常性を獲得しており、それを秘匿していた可能性が指摘されています。以下はその根拠となった映像記録群の抜粋です。


映像記録

日付: 2018/11/26

序: サイト-██の事務員専用オフィス前の廊下に設置された監視カメラの映像。


映像開始。

[SCP-2588-JPが大量の書類を抱えた状態で歩いている。SCP-2588-JPは歩きながら書類を確認しており、前方に注意を向けていない。]

[ブレント・マディソン博士がすれ違いざまにSCP-2588-JPと衝突する。SCP-2588-JPは持っていた書類をすべて取り落とす。]

マディソン博士: おっと、失礼。

SCP-2588-JP: あっ、ごめ- ごめんなさい。あの、えぇと、すみません。

[マディソン博士は急ぎ足でその場を後にする。SCP-2588-JPは書類を拾い上げようとせず、深呼吸に専念している。15秒後、SCP-2588-JPはゆっくりとしゃがんで書類を拾い集めはじめる。]

SCP-2588-JP: [不明瞭。恐らくは「ええ、大丈夫です。」という独り言を繰り返し呟いている。]

映像終了。


付記: SCP-2588-JPが書類を取り落としてから拾い上げるまでに不自然な間が生まれた理由は、SCP-2588-JPの両腕が非実体化していたことに起因すると考えられる。


映像記録

日付: 2019/02/14

序: サイト-██のカフェテリアに設置された監視カメラの映像。


映像開始。

[ヴァネッサ・リアナ研究員が自宅で焼いたチョコクッキーをカフェテリアに訪れた他の職員に配っている。SCP-2588-JPはイヤホンで音楽を聴いているが、頻繁にリアナ研究員に視線を向けている。]

[リアナ研究員はSCP-2588-JPの視線に気付いたようであり、SCP-2588-JPの元へ向かっていく。]

リアナ研究員: こんにちはグラハム、あなた─

SCP-2588-JP: [遮って]チョコ苦手で。

リアナ研究員: え?

SCP-2588-JP: え、あっ、つまりその、[咳をする]クッキー……

リアナ研究員: [クッキーが入ったカゴに目をやって]あぁ、そういうことね。チョコじゃないものあるけど、いる?

SCP-2588-JP: あー……

[SCP-2588-JPは座ったまま手を太ももに擦るような動作を繰り返すが、監視カメラの角度からは鮮明ではない。リアナ研究員はアーモンドクッキーをカゴから取り出し、SCP-2588-JPに差し出す。]

SCP-2588-JP: ……えっと、え- 遠慮しとくよ。他の人達の分に回してあげ- あげて欲しい……あー、その、お腹いっぱいなんだ。

リアナ研究員: そっか、じゃあ良い一日を!

[リアナ研究員がSCP-2588-JPを離れ、職員の多い方向へクッキーを配りに向かう。]

SCP-2588-JP: [不明瞭。恐らくは「そちらこそ」という独り言を繰り返し呟いている。]

映像終了。


付記: SCP-2588-JPは普段からチョコを含む様々な甘味を好んでいるため、会話中の主張は虚偽である。クッキーを受け取らなかった真の理由は、SCP-2588-JPの両腕が非実体化していたことに起因すると考えられる。


映像記録

日付: 2019/08/██

序: サイト-██の事務員専用オフィスに設置された監視カメラの映像。


映像開始。

[SCP-2588-JPは自身が提出した書類の不備について、グレン・フォーガス博士から叱責を受けている。深夜帯ということもあり、オフィスは二者を除いて無人である。]

[会話を省略]

フォーガス博士: どうにも数字が得意ではないようですね?

SCP-2588-JP: [沈黙]

フォーガス博士: SCiPの収容プロトコルは、1つの誤字が現場の人間を殺しかねません。数字は特に。

SCP-2588-JP: [沈黙]

フォーガス博士: このままだとあなたはずっと普通の仕事しか出来ませんよ。ここで言う「普通」とは「異常なオブジェクトに関連しない」ということです。

SCP-2588-JP: [沈黙]

フォーガス博士: 面接の時に熱く語ってくれましたね、異常存在の収容に関わる仕事がしたいと。私は今でもあなたがそのポストに就けるようにサポートしているつもりです。

SCP-2588-JP: [沈黙]

フォーガス博士: 正直、最近ではその熱意すらも感じられなくなって寂しいですよ。

[SCP-2588-JPは手に持っていた書類を地面に取り落とすが、それを拾い上げようとはしない。]

フォーガス博士: [咳払い]高いスキルが求められる仕事ですが、どちらかと言えばもっと……活力や、精神についての心配をしています。

SCP-2588-JP: [沈黙]

フォーガス博士: プライベートな部分にまで口出ししたくはありませんが、最近のあなたは人と関わり合いになることをひたすらに避けていると感じます。周りの人達が皆あなたに良くしてくれているにも関わらず。

SCP-2588-JP: [沈黙]

フォーガス博士: またもう一度、あなたが収容プロトコル関連の業務を割り当てて貰えるよう動きます。良いですね?

SCP-2588-JP: [沈黙の後、頷く。]

フォーガス博士: 今度は私もなるべく近くで面倒を見ますから。

SCP-2588-JP: すみません、はい……僕……すみません。

フォーガス博士: [溜息]では失礼します。たまにはどこか旅行へ行って羽を伸ばすのも良いですよ。

[フォーガス博士がオフィスから退室する。]

SCP-2588-JP: [不明瞭。恐らくは「すみません」という独り言を繰り返し呟いている。]

[約3分後、SCP-2588-JPは取り落とした書類を拾い集め始める。]

映像終了。


付記: SCP-2588-JPが取り落とした書類をすぐに拾い上げなかった理由は、SCP-2588-JPの両腕が非実体化していたことに起因すると考えられる。


自身が異常性を長期間に渡って隠匿していたという指摘と、その証拠として上記映像群の提示を受けたSCP-2588-JPは謝罪の旨のみを返答しました。SCP-2588-JPが従来の業務を継続する旨のプロトコルは凍結が予定されています。

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