クレジット
タイトル: SCP-260-FR - Le Phare de Bois / 木製の灯台
著者: Boule De Neige
投稿日: 2016/11/9
アイテム番号: SCP-260-FR
脅威レベル: 黄 ●
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-260-FRは、損傷あるいは強制開放の試みがあった際に警報装置が作動する収容棚に収容してください。SCP-260-FRを用いた実験はすべて、クリアランスレベル3以上の職員への申請対象となっています。実験時を除き、何らかの形でSCP-260-FRを取り扱う職員は必ずバイザー付きのヘルメットを着用してください。Dクラスを用いた実験は監視カメラで常時監視をしてください。 最後の実験以降、SCP-260-FRの影響を可能な限り増大させないため、SCP-260-FRを用いた実験は中断されています。
SCP-260-FRの影響を受けた人物は全員、クラスA記憶処理を施した後に医学的監視下に置かれ、2時間観察されなければなりません。対象人物の精神状態が改善された場合は、その人物は正常であるとみなすことができます。改善されない場合、その人物を終了してください。
説明: SCP-260-FRは高さ52cm、重さ約3kg、直径15cmの木製の灯台のミニチュアです。灯台は青色と白色の縞が入った2階構造で、上部には赤い木製の円柱で表された灯火が存在します。灯台には荒海の中、波と格闘し泳いで灯台に帰還しようとする5名の人物(SCP-260-FR-1と呼称)の様子を描いた彫刻が施されています。
SCP-260-FR-1を窓ガラスや鏡、監視カメラを通して観察した場合はいかなる効果も発生しません。SCP-260-FR-1を直接視認した人物は全員、様々な影響を顕著に受けます。対象の人物は自身が大海原にいると錯覚し、現実の環境との接点を完全に失います。加えて、SCP-260-FRの灯火部からまばゆい光が出ていると認識します。
効果の実験において、全ての対象に以下の効果が発現しました。
- 強い恐怖心と混乱
- 体温の低下
- 肺に出所不明の水の出現
- SCP-260-FRの光に近づかんとする、耐え難い欲求
対象の人物はSCP-260-FRの光に安心感を覚えているとみられます。対象は光の出所を見つけると、灯台に全力でしがみついてその場にとどまり続け、第三者からの働きかけがなければ疲労によってそのまま死に至ります。その人物を昏睡させることでSCP-260-FRの影響から脱することができます。
対象のほとんどは、SCP-260-FRの影響を受けた後に数多くの精神病に疾患します。対象は常に恐怖と苦痛を覚えるようになり、SCP-260-FRの光を再び目にしたいという強い願望を露わにし、SCP-260-FRの収容室へ到達するために暴力を用いることさえあります。クラスA記憶処理の使用により、症例の75%でこれらの精神病は消失します。対象の精神病の既往歴がこれらの割合に影響を及ぼすという説について研究が進められています。複数の実験によって、対象の体重と血中の酸素が異常に減少していることが明らかになっています。この減少はSCP-260-FRと接触した時間と比例しています。観察を行って以降、SCP-260-FRの発する光の光度がより増大し、色合いも淡い黄色から鮮やかな赤へと変化していることに留意してください。従って、SCP-260-FRは人間と接触することで成長する可能性があります。
SCP-260-FRは2016/07/26に████の町の一般住宅で発見されました。この家ではSCP-260-FRの影響で住人5人が死亡していました。ラッピングやケーキが存在することからこの家族の記念日であったとみられ、後に当日が父親の誕生日であったことが判明しています。
補遺:
実験A - 2016/08/05
対象: D-1632
方法: 5m離れた対象にSCP-260-FRを視認させる。
結果: 対象は空中で腕をばたつかせ始める。呼吸が困難になっているとみられる。対象はSCP-260-FRをじっと見つめた後、SCP-260-FRに向かって泳ぐ真似をしながら移動し、SCP-260-FRにしがみつきました。SCP-260-FRを掴む筋肉の緊張はその後█時間緩まなかった。ガラス越しに観察していた研究員はSCP-260-FRの影響を受けなかった。
分析: SCP-260-FRは直接視認すると強制的に影響を受ける。死体の検死によって、肺に██mlの水が存在することが判明している。対象の死体は数日間栄養を摂取していない状態であったことが判明している。SCP-260-FRは接触した対象から栄養分と脂肪分を吸収しているとみられる。脳波の解析によると、D-1632の身体の挙動は対象が認知している挙動とは異なっていた。これにより、対象は海にいると完全に信じ込んだ状態で、歩いてSCP-260-FRまで移動することが可能となっている。
実験B - 2016/08/08
対象: D-5583
方法: 対象を鎖で壁に固定した状態でSCP-260-FRを視認させる。
結果: 対象は1時間抵抗した。対象は力尽き、██分後に死亡した。
分析: 検死の結果、窒息によって死んだことが判明した。SCP-260-FRの影響を止めず、対象の人物がSCP-260-FRに到達できない場合、対象は溺死します。
実験C - 2016/08/09
対象: D-0745
方法: ゴーグルを除く潜水器具を装着した対象を、鎖で壁に固定した状態でSCP-260-FRを視認させる。
結果: 観測結果は、実験Bのものと同一だった。
分析: 検死の結果、窒息によって死んだことが判明した。水中で対象を生存させる効果を持つ潜水器具の使用も効果がないと判明した。
実験C - 2016/08/13
対象: クマネズミ(Rattus rattus)、チンパンジー(Pan troglodytes)、イエネコ(Felis silvestris catus)、イグアナ(Iguana iguana)
方法: 様々な生物の種にSCP-260-FRを視認させる。
結果: 対象は通常通りのふるまいを見せた。
分析: SCP-260-FRの影響はヒト(Homo sapiens)にのみ作用する。
実験E - 2016/08/15
対象: D-8635/D-3341/D-2087/D-7401/D-0245
方法: 20/30/40/50/60分間、SCP-260-FRを視認させ、その後さまざまな医学的処置を施す。
結果: 対象がSCP-260-FRと長く接触を続けるほど、体重の減少が促進した。D-3341は、クラスA記憶処理剤を摂取した後も理性を取り戻さなかった。対象は終了された。
分析: SCP-260-FRとの接触によって、対象は平均で毎分█g体重が減った。クラスA記憶処理を使用しても、症状の消失が保証されるとは限りません。
実験F - 2016/08/19
対象: D-8635
方法: SCP-260-FR-1実体を視認することなく数時間SCP-260-FRとの接触を継続させる。
結果: 実験後、対象の体重の減少は発生しなかった。
分析: 体重が減少するにはその人物がSCP-260-FRの影響下にいる必要がある。
実験G - 2016/08/20
対象: D-4214/D-8643/D-7009
方法: 10/50/100m離れた対象にSCP-260-FRを視認させる。
結果: D-4214に影響が即座に現れる。D-8643とD-7009がSCP-260-FR-1の認識下に入るためには十分な距離まで接近する必要があった。
分析: SCP-260-FR-1以外の部分を見ても効果は発動しない。
音声記録 260-FR-A:
インタビュー対象: D-5362。1時間前にクラスA記憶処理を施している。
インタビュアー: ホワイト博士
前書き: 対象はSCP-260-FRの影響を30分間受け、精神状態が悪化している。対象は実験の終了以降、何かを見たいと泣き続けている。
<記録開始>
ホワイト博士: ごきげんよう、D-5362。
D-5362: お願いだ、先生! もう無理だ、もう一度見せてくれ! あんたの望むことは何でもする!
ホワイト博士: 何のことを話してるのですか?
D-5362: 俺の言ってる意味、あんたは分かってんだろ!(涙を流す)
ホワイト博士: 落ち着いてください。何のことか説明してください。
D-5362: あんたも聞こえてんだろ? 波が! 波がやってくる! 光を見つけなければ!
ホワイト博士: その光についてもっと詳しく教えていただけますか。
D-5362: あの光は……とても美しくて……小さな生き物のようだった……。とても脆く、とても優しかった! 博士、光、波にあの光がやられてしまう、そんなのは駄目だ!
ホワイト博士: なぜあなたはもう一度光を見たいと思っているのですか?
D-5362: あんたは理解できないよな……あの地獄の真っただ中に見えた小さく燃えるような黄色い輝きのことは……あの光が俺を救ってくれた! あの光が俺のことを再び暖めてくれた! 守らなければ! 波が! 波があの灯火を消そうとしている! あの灯火はとても優しく見えた……。波があの灯火を消し去ってしまう、お願いだ。私もあの波に連れ去られてしまう。(涙を流す)
ホワイト博士: 今日の出来事は今すぐ忘れていただく必要があります、D-5362。
沈黙
D-5362: あんたも俺からあの光を奪おうとするんだな? すでに俺のすべてを奪ったのに、俺から奪おうというのか? あの光はお前らのことなど必要としていない! 光はお前らにはふさわしくない! 今すぐ俺に返せ!(対象はホワイト博士を殴打し、ドアの方へ走っていく。)
ホワイト博士:(警備員に向けて) 彼を取り押さえろ!
<記録終了>
音声記録 260-FR-B:
インタビュー対象: D1568。1時間前にクラスA記憶処理を施している。現在のところSCP-260-FRの影響を受けた最後の対象である。
インタビュアー: ホワイト博士
前書き: 対象はSCP-260-FRの影響を17分間受けた。クラスA記憶処理を施して以降は精神状況の改善がみられる。
<記録開始>
ホワイト博士: ごきげんよう、D-1568。気分はどうですか。
D-1568: こんにちは、先生。おかげさまで良好だよ。ちょっと何かを失ったような、そんな気分はあるが、それだけだ。
ホワイト博士: 今日起きたことについて何か覚えていることはありますか?
D-1568: ああ、よく覚えているよ。網膜を焼き尽くすような赤い光のイメージがはっきりと。何故かは分からないが、最近はあの赤い光のことが頭から離れない。
ホワイト博士: 光が赤だとおっしゃいましたね? 間違いはありませんね?
D-1568: ええ。ああ、そうだよ、見間違うことなんかないさ。あれは私の目を蹂躙するほどにとても強い光を放っている。まさに燃え盛る炎のように。
<記録終了>
ページリビジョン: 5, 最終更新: 05 Mar 2024 19:04