3/2600-JP LEVEL 3/2600-JP
CLASSIFIED
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Item #: SCP-2600-JP
Object Class: Keter
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白亜紀末の地層から発掘された魚類の復元図。突発的なSCP-2600-JP事象によって形質に異常な変化が生じている。
特別収容プロトコル: SCP-2600-JPは現在未収容です。地球外生命体との接触を可能な限り回避することでSCP-2600-JP事象の発生確率を低下させることが可能と考えられていますが、地球外生命体の来訪の阻止は困難な上、有史以前から多数の来訪が確認されていることから、現時点での接触の回避は無意味であるとされています。巨大隕石の落下や火山活動の活発化などもSCP-2600-JPの発生原因となる可能性があり、また該当事象は人類の脅威ともなるため、発生の兆候が確認された場合は可能な限り阻止します。
財団の生物学部門が主要生物のゲノム解析を行い、SCP-2600-JP発生の有無を常に監視します。万一SCP-2600-JPが発生した場合、影響生物が人間でない場合は1000年以内に該当生物を絶滅させてください。放置した場合、緩やかなSK-クラス:支配シフトシナリオが発生する可能性があります。また人類にSCP-2600-JPの影響が強く及んだ場合、ほぼ確実にTK-クラス:文明変質シナリオが発生するとみられています。これを阻止する方法は現時点では全人類の殺害以外に発見されていません。
SCP-2600-JPと惑星上のアノマリーの数との因果関係は不明ですが、SCP-2600-JPの発生機構を解明することでアノマリーの数をコントロールすることができる可能性が指摘されており、高優先度プロジェクトとして財団の古生物学部門、生物学部門、宇宙物理学部門などが共同で研究を行っています。
説明: SCP-2600-JPは地球を含む生命の存在する惑星の生態系に発生する異常な進化です。SCP-2600-JPが発生すると、その惑星に存在する生物の一部が特定の形態に向けて急速に進化し始め、その惑星の支配種となります。
SCP-2600-JPは、財団がこれまでに接触した245の地球外生態系のうち、およそ8割が地球の過去に支配種であった古生物の化石と酷似した化石を有しており、また現在の惑星の支配種の形態も地球のものと酷似している場合が多かったことから存在が確認されました。その後の詳細な古生物学的調査の結果、宇宙歴における生命の誕生時期が地球と大幅にずれている惑星であっても、高確率で地球とほぼ同時期に同じような形態の支配種的生物が登場していることが判明したため、SCP-2600-JPの影響は光速以上の速さで他の惑星の生命に伝播すると考えられています。また後述の"収斂因子"仮説に基づくと、この事実は"SCP-2600-JPに暴露した地球外生命体が、何らかの方法で短い期間に数多くの生命存在惑星に訪れていた"ことを示します。
惑星P4-222に存在する非常に高度に成熟した文明を持つ地球外生命体との限定的な通信によれば、SCP-2600-JPとは惑星の生物の進化を特定の方向に急激に収斂させる働きをもつ未知の"収斂因子"を原因として発生する現象であり、SCP-2600-JPに暴露した生命体との接触によって"収斂因子"が感染することで惑星間で影響が伝播するようです。この説は地球外生命体からの情報である点から疑いを持って考慮すべきですが、現時点ではSCP-2600-JPの特性を説明するひとつの有力な仮説とみなされています。SCP-2600-JPを媒介する因子は未だ発見されていません。
SCP-2600-JPは多くの場合、特定の範囲に存在する生命をもつ惑星に同時期に発生しますが、特定の惑星に突発的に発生する場合もあります。突発的なSCP-2600-JPの発生直前には、巨大隕石の衝突や火山活動の活発化、ポールシフトなどの惑星レベルでのイベントが発生していることが確認されていますが、この事実とSCP-2600-JP発生との因果関係は不明です。また突発的なSCP-2600-JPは多くの場合早期に終息します。
現在までに地球の生命は、少なくとも4回の大規模なSCP-2600-JP事象を経験しています。各事例についての概要は以下の通りです。なお、これらの情報の証拠となる古生物学的証拠は、一般には秘匿されています。完全なレポートは添付ファイルを参照してください。
発生年代 |
説明 |
石炭紀 |
単弓類の1種の繁栄をもたらし、ペルム紀末には超大陸パンゲアの北部に高度な文明を構築した。現在は枯渇したとみられる未知のエネルギー源を用いたとされ、ペルム紀末の大絶滅はこのエネルギー源の過度な採掘が主な原因とする説もある。 |
ペルム紀末 |
突発的なSCP-2600-JP事象。ペルム紀末の大絶滅と同時期に発生し、眼球と肋骨、顎の無い爬虫類が爆発的に数を増やしたが、数万年で終息した。 |
白亜紀末 |
突発的なSCP-2600-JP事象。隕石落下直後に発生した。恐竜の大部分が血管系を持たない1種の生物に進化したほか、魚類や両生類にも影響が表れた。数万年で終息したが、全恐竜が絶滅した。 |
第三期 |
人類の繁栄をもたらした。 |
現時点でSCP-2600-JPの影響を受けていないと思われる地球文明は、白亜紀後期に構築された1種の恐竜によるもののみです。他惑星を含めた古生物的調査から、SCP-2600-JPの影響を受けていない文明は他の文明に比べて著しく存続期間が長いことが確認されています。これは後述のアノマリーの数との相関関係を加味しても非常に長く、突発的なSCP-2600-JP事象が無ければ永続的に存在できるのではないかと考えられています。
特筆すべきことに、SCP-2600-JPの影響の進行度とその惑星上に存在するアノマリーの数は正の相関関係にあるようです。これは地球だけでなくSCP-2600-JPの影響を受けたとされる全ての惑星に共通しています。
警告: 以下のファイルはレベル4/2600-JP機密情報です
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これまでの外宇宙生命体とその古生物的調査から判明した複数の事実から、上記のアノマリーの増加とは、惑星がSCP-2600-JPに対して示す一種の"免疫反応"であるとする仮説が有力視されています。この仮説を支持する証拠は以下の通りです。以下のアノマリーに関連する諸現象をまとめてSCP-2600-JP-Aと呼称します。
- SCP-2600-JPの影響とアノマリーの数には明らかな正の相関がある。
- SCP-2600-JPの影響に伴って出現したアノマリーは、そのほとんどがSCP-2600-JPの影響が特に発現した生物種のみに対して危害を及ぼす性質を有する。
- 一度SCP-2600-JPが終息すると、その惑星では同様の特徴を持つ外宇宙生命体との接触によるSCP-2600-JP事象は二度と発生しない。
- 地球の人類を含む外宇宙の生命体が生命の存在する他の惑星に接触すると、接触から1年以内にその外宇宙生命体に対して甚大な被害をもたらすアノマリーが出現する。この特性により、惑星はSCP-2600-JPから自らの生態系を保護していると考えられている。
- 脅威度の高いアノマリーの分布はSCP-2600-JPの影響が特に発現した生物種の分布とほぼ一致している。
またこれらのアノマリーの数や脅威度は、巨大隕石の衝突や火山活動の活発化といった、惑星に甚大な影響を与える事象が発生すると減少することが判明しており、突発的なSCP-2600-JPはこういった"惑星の損傷によるSCP-2600-JP因子への対抗力の低下"が原因であると考えられています。
これまでの古生物学的データによると、SCP-2600-JPに暴露した結果進化した生物は全て、他の生命体を駆逐する強力な環境形成作用を示すことが判明しています。惑星上のアノマリーが廃墟を含めた都市部に集中的に発生している点から、SCP-2600-JP-Aとはこの環境形成作用に対抗するために惑星が講じる措置であるとの仮説が提唱されています。
SCP-2600-JP-Aに対して有効な対策を講じ、滅亡を回避したSCP-2600-JP影響生態系は現時点では確認されていません。古生物学的調査からは、SCP-2600-JPの影響を受けた文明は、必ず成立から10000年以内には滅亡していることが判明しています。他星および地球の過去の支配種がこれまでにアノマリーの増加に対して講じたとされる対策の抜粋は以下の通りです。完全なレポートは添付ファイルを確認して下さい。
"脱出"型
惑星: P2-023、P6-331、P8-190など多数
対策内容: 他の惑星への移住
結果: 上記のカウンター的特性をもつアノマリーの出現や環境の不適合により多くは滅亡。またこの行為はSCP-2600-JPの感染を広げる主な原因であると考えられている。
"Treg"型
惑星: P3-672、P1-199、P4-229など
対策内容: 自らの惑星由来のThaumielクラスオブジェクト相当のアノマリーを人口密集地域に移送して活性化させ、その範囲内での有害なアノマリーの影響を抑制する
結果: 短期的には成功したものの、人口の拡大に伴うエネルギー問題や環境の汚染などによって効果範囲内で文明を維持することが不可能となり滅亡した。
"HIV"型
惑星: P4-443、P9-288、地球(ペルム紀末)
対策内容: アノマリーの徹底的な破壊と同時に大規模な地下資源の開発や核実験を行い、アノマリー数と脅威度を減少させる。
結果: 即座に突発的なSCP-2600-JP事象が発生し、SK-クラスシナリオもしくはTK-クラスシナリオによって滅亡した。
"免疫チェックポイント"型
惑星: P5-991、P8-610
対策内容: アノマリーに"自己生態系"であると一方的に認識させるトリガーを開発し、強力な現実改変を用いてその形質を全支配種に適用する。
結果: アノマリーの抑制には成功したものの、惑星環境の破壊や大規模な戦争などの非異常要因によって滅亡。現在プロジェクト"Sustainable Infection"の一環として該当トリガーおよび形質適用法を惑星P8-332、P1-003、世界オカルト連合と共同で研究中。
== プロジェクト"Sustainable Infection" 概略 ==
≪ 目的 ≫
現在の人類を形成しているSCP-2600-JP事象を安定的に継続させると同時にSCP-2600-JP-Aの活性を抑制することで、地球を"無症候性キャリア"状態にし、人類社会の長期存続化を図る
≪ 説明 ≫
プロジェクト"Sustainable Infection"は財団、世界オカルト連合、P8-332およびP1-003における国際的なアノマリー研究機関と共同で行われる大規模計画であり、主に以下の4つの施策からなります。
- "免疫チェックポイント"型SCP-2600-JP-A対抗措置を確立・実施し、アノマリーの人類への影響を抑制する
- 過度な環境形成作用をもたらす開発によるアノマリーの発生を軽減化する
- 大規模な核実験、地下資源の開発などによる突発的SCP-2600-JP事象を阻止する
- 世界的戦争など、これまで他惑星でSCP-2600-JP終息の原因となった、非異常の諸問題による人類の滅亡を阻止する
プロジェクト"Sustainable Infection"に関する詳細な情報はO5評議会員および3惑星連合委員会の職員に制限されています。
≪ タイムライン ≫
1973年: プロジェクト"Sustainable Infection"発足。
1987年: オレンジヒキガエル(Bufo periglenes)に突発的SCP-2600-JP事象が発生し、細胞の一部が変形運動を行う多核体を形成していることが判明。現在の地球で報告された初めてのSCP-2600-JP事象。
1989年: 第3、第4の施策の喫緊の課題であった冷戦が、財団の政治学部門の協力のもとミハイル・ゴルバチョフにより終結される。
1991年: ミハイル・ゴルバチョフによりソビエト連邦が崩壊。この施策はソ連の平和的かつ長期的な存続が不可能であり、早期の崩壊を促すのが望ましいという3惑星連合委員会の研究結果に基づくものである。
1993年: 通常の小型生物隠匿駆除プロトコルにより、オレンジヒキガエルが根絶される。一般の研究機関で保管されている該当種の標本は、秘密裏に異常な形質の変化が認められないものに交換された。
2001年: P1-003において自己生態系トリガーのプロトタイプが完成。地球における自己生態系トリガーは未開発だが、P1-003の研究機関が構築した理論に基づく研究が進行中。
2003年: P1-003の支配種がアノマリーを利用した全世界的戦争により滅亡。3惑星連合委員会は2惑星連合委員会に改称。
2016年: 第2、第3、第4の施策を推進するため、世界オカルト連合との協力により、「持続可能な開発目標」が全世界に発表・導入される。この達成目標には他星の支配種の非異常な滅亡原因とそれに対する対処が全て盛り込まれており、達成されれば事実上第4の施策は完了したものとみなすことができる。
2018年: 昨今のアノマリーの指数関数的増加により、財団による秘密裏でのアノマリー収容活動は10年以内に実施不可能となることがO5評議会によって宣言される。プロジェクト"Sustainable Infection"に割かれる金銭的・人材的リソースが大幅に引き上げられる。
2019年: 財団の保有するSCPオブジェクトのうち、2惑星連合委員会内に設立された脅威審議会において低脅威度かつ破壊可能と認められたものは、必要に応じて世界オカルト連合及びP8-332の協力のもと破壊するプロトコルが制定される。
2020年: 地球における自己生態系トリガーのプロトタイプが完成。今後約5年で実用化可能なレベルまで性能を向上させ、10年以内には"免疫チェックポイント"型SCP-2600-JP-A対抗措置の実施を予定している。