SCP-2607
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特別収容プロトコル: 財団は、SCP-2607のアウトブレイクが記録された国々において、性感染症への意識向上と予防のためのプログラムへの大々的な匿名寄付を実施しています。抗ウイルス薬のアシクロビルおよびバラシクロビルの特許は財団フロント企業によって購入され、SCP-2607収容の試みを後押しするために実質的な割引価格で販売されています。幾つかの国においては、“テレフォンセックス”の実践、とりわけ大規模に商業化されているものを禁止または規制する努力が行われています ― これらの試みは概ね成功しておらず、幾つかのケースではこれらの“テレフォンセックス”用の回線が、財団にとって監視がより困難な地域に移転して活動を続けるだけの結果に終わっています。

SCP-2607の任意の株のキャリアと特定された人物は拘留し、他のキャリアの可能性がある人物を割り出すために性行為の経歴を聞き出した後、SCP-2607の封じ込めの一環として開発された適切な抗ウィルス薬を投与します。単純ヘルペスウィルスの医療記録は、定期的に“テレフォンセックス”回線の従業員/常習的使用者、および性的なロールプレイングをテーマとするWebサイトのユーザーと相互参照します。SCP-2607のアウトブレイクを示す可能性があるパターンは全て、可能な限り早急に調査されなければいけません。

SCP-2607-1と-2のサンプルはバイオサイト-66の極低温貯蔵施設に収容されます。Dクラス職員のSCP-2607曝露を含む研究提言はサイト-66の倫理委員会連絡員から承認を得なければならず、全ての被験者は実験終了時に適切なSCP-2607抗ウィルス薬で治療されなければいけません。

説明: SCP-2607は、それぞれSCP-2607-1および-2と指定されている、類似した異常な感染手段を持つ2株の単純ヘルペスウィルスの総体的呼称です。SCP-2607株はどちらも、性器ヘルペスの大部分の症例要因となっているHSV-2に似た症状を引き起こします ― 即ち、初期曝露から約7日以内に性器に水疱が発生し、完治するまでに数週間ほど持続します。SCP-2607株は異常性の無い単純ヘルペスウィルスと同様に性的接触を介して伝染することもありますが、それぞれ特定の非物理的な性的活動によっても伝染します。

SCP-2607-1の主要な異常感染経路は、俗に“テレフォンセックス”と呼ばれる、仮想的な性行為の口述ないしロールプレイングを介したものです。SCP-2607-1の伝染には、感染者と未感染の通話相手が、単純ヘルペスウィルスの伝染に繋がり得る肉体的性行為のシナリオを口述していることが必須条件です。口述内容に適切なコンドームの使用が織り込まれていた場合、伝染率は約30%低下します。研究により、SCP-2607-1は直接存在下での性的ロールプレイング(つまり、電話が関与しない“テレフォンセックス”)でも感染することが示されています。直接の性的ロールプレイングは感染率をおよそ50%低下させます。SCP-2607-1は録音またはテキストベースの性的ロールプレイング経由で伝染することはありません ― 感染者と通話相手は直接的なオーディオ接続を共有する必要があります。

SCP-2607-2の主要な異常感染経路は、オンライン上のエロチックなロールプレイングを介したものです。SCP-2607-1に似て、こちらの場合も感染者と未感染の相手が、非異常性ヘルペスウィルスの伝染に繋がり得るシナリオを描写していることが必須条件です。SCP-2607-1と異なり、感染者と相手の掛け合いが即時である必要はありません ― メッセージの返信に最長3週間の間隔が空いても伝染は成功し得ることが観察で明らかになっています。SCP-2607-2はまた、SMSにおけるメッセージの送り合いを通した性的ロールプレイング(“セクスティング”)および電話を介しても伝染しますが、この場合の感染率は約75%低下します。電子媒体によって媒介されていない性的ロールプレイング(直接口述、または筆記や印刷物を介したもの)はSCP-2607-2を伝染しません。

SCP-2607-1は1983年、性行為無しに単純ヘルペスウィルスに感染したと主張する多数の人物が同一の“テレフォンセックス”回線を利用していたことが判明した時点で、財団にその存在を特定されました。“テレフォンセックス”回線の記録は、これらの感染者が全員同一のオペレーター ― 当時セントラル・ランカシャー大学の生徒だったエラ・ピッカリング女史 ― との性的ロールプレイングに従事していたことを示しました。拘留されインタビューを受けたピッカリング女史は、過去に性的関係を持ったのはパーティーで知り合った“シメオン・プレスコ(Simeon Plesko)”という名の同級生のみだと主張しました。ピッカリング女史はこの男性と一回しか性行為を行っておらず、「[私が]起きる前にアパートを出てって、それ以来一度も連絡してこなくなった」と述べました。セントラル・ランカシャー大学の記録には、同一の名を持つ生徒への言及が残っていません。シメオン・プレスコは要注意人物2607-Αに指定されました。

SCP-2607-2は2005年、MMORPG1 “ネヴァーウィンター・ナイツ”の中でも、プレイヤー同士の性的ロールプレイングに専念していたサーバー“欲望諸島”のほぼ全てのアクティブメンバーが単純ヘルペスウィルスの治療を受けていることが判明した時点で発見されました。ユーザーによって単純ヘルペスへの感染が最初に報告される約1週間前、問題のサーバーは“ネヴァーウィンター・ナイツ”の拡張パックである「パイレーツ・オブ・ザ・ソード・コースト」のリリースに合わせて、「乱交・オブ・ザ・ソード・コースト」と称し、船員同士のグループセックスをテーマとするイベントを開催していました。このイベントにおいて"Sim_Plex" というユーザーネームの人物が特に活動的に振る舞っていたことが確認されています。IPまたは支払い情報を経由してこのユーザーを追跡する試みは失敗に終わりました。調査はまだ進行中です。

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