SCP-2611
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アイテム番号: SCP-2611

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2611はサイト-47のJ棟にある標準的なクラスCヒト型生物収容室に収容します。SCP-2611には非常に高脂肪な食品の提供は行われず、2~3日ごとに軽い運動を少なくとも1時間、サイトの医師が安全と判断した範囲で随時行う必要性があります。SCP-2611はまだ自身が入院していると考えています。45日ごとに(もしくは必要に応じて攪乱プロトコルごとに) SCP-2611に記憶処理を行い、再入院の偽装手続きを行ってこの思い込みを維持してください。

SCP-2611-1を大人しく保つために、SCP-2611は1日あたり少なくとも8時間、テレビ番組を視聴する必要があります。SCP-2611-1は追加の番組を要求することも可能ですが、これらのテレビ番組は以下の内容に限定されます ― 裁判中継、昼のメロドラマ、スポーツ中継、工作番組、トークショー(過度な体重増加の危険性についての医療情報を含むものを除く)。テレビ番組はSCP-2611またはSCP-2611-1に視聴を許可する前にスクリーニングしなければいけません。

説明: SCP-2611は身長156cmの人間女性です。SCP-2611は自身の過度な体重(現在は約250kg)が原因でほぼ身動きが取れず、病院のベッドで寝たきりの状態です。SCP-2611は肥満に関連する幾つかの疾患、特に睡眠時無呼吸や糖尿病に苛まれています。SCP-2611-1の存在を除き、SCP-2611には特筆に値する要素がありません。

SCP-2611-1は、SCP-2611の左脇腹に位置する、知覚力を持った脂肪細胞の塊です。SCP-2611-1はSCP-2611の重要な臓器に完全に癒合しています。収容当初のSCP-2611-1は、SCP-2611の身体を時々(主にSCP-2611が無意識の時に)ごく限られた範囲で制御できるのみでした。しかしながら、過去█年間でSCP-2611-1はSCP-2611への制御力を拡大しています。現在、SCP-2611が周辺環境を完全に認識できるのは1日あたり約1~2時間だけと推測されています。

SCP-2611の身体を制御している間のSCP-2611-1は、基本的な意思疎通を行い、SCP-2611に移動を強制し、SCP-2611の身体機能の大半を操ることが可能です。以前、SCP-2611-1はこの制御によってSCP-2611に食品の大量摂取を強制していました。

SCP-2611-1は会話・学習・高度な思考が可能な一方で、その主な興味はSCP-2611が以前に視聴していた昼間のテレビ番組に向いています。SCP-2611経由で実施された複数回のインタビューでは、対象の起源・性質・更なる関心についての情報は得られていません。全てのインタビューは常に、視聴中のテレビ番組とそこから伝達される情報に焦点を置いた内容です。どのようにしてSCP-2611-1がSCP-2611を操り、自らの思考と記憶を保持しているのかは未だ特定されていません。SCP-2611-1は記憶処理薬の影響を受けた様子を見せませんでした。関連する有用な研究情報のログが編纂され、閲覧可能となっています(補遺:SCP-2611インタビューログを参照)。

回収以来、SCP-2611の健康状態は悪化し続けており、SCP-2611-1を外部に摘出もしくは別の宿主に転送する方法も、現時点ではありません。研究が進行中です。

回収: SCP-2611とSCP-2611-1は、SCP-2611が20██年8月に過度の体重増加で入院したことによって財団の注目を集めました。入院の3ヶ月前まで80kgだったSCP-2611の体重は90日間で倍増し、SCP-2611の関節と筋肉に極度の負担をかけていました。定期検査において、睡眠時無呼吸症候群を診断するために行われた睡眠ポリグラフ検査により、夢遊病と、当時はまだ統合失調症だと考えられていた挙動が明らかになりました。MRIスキャンで、大規模かつ密度の高い脂肪塊がどういう訳かSCP-2611の主要臓器と癒合しているのが判明した後、財団の医師が介入してSCP-2611-1の存在を確証しました。SCP-2611はサイト-47へ移され、以来█年間そこに留まっています。

補遺: SCP-2611インタビューログ

全てのログは無関係な情報を大規模編集されています。以下に残っている情報は、実際の研究価値を有すると考えられています。未編集ログを調べたい方はクロウ博士に直接要望書を提出してください。

20██年6月3日:

████研究員: それで、SCP-2611の話の続きなんだが。君は常に彼女の体内にいたのか?

SCP-2611-1: アハハ! ええ、勿論よ。他に何処があるって言うの? あぁもう、ジェリーったら、そいつの事は注意しとかなきゃダメじゃないの! そうそう。

████研究員: 他のところに住んでいたことは無いのか?

SCP-2611-1: どうして? ここが私の家なのよ。

20██年11月14日:

SCP-2611-1: ちょっと、ウーピー、彼女にそんな失礼なマネするんじゃないわよ! バーバラはね、そんな扱い受けるような事は何もしてないんだから!

████研究員: そうだ言ってやれ! ハハッ。俺もこの手の番組は好きだよ。

SCP-2611-1: 知ってる。最後の奴が見てたつまんないのよりずっといいわぁ…

████研究員: 最後の奴?

SCP-2611-1: あっ、ヤバ。何でもない。その調子よバーバラ!

████研究員: 最後の奴というのは誰のことだ、26-11(Twenty-Six-Eleven)?

SCP-2611-1: シーッ…今日はキアヌが出演するみたいよ…

以前の宿主に関するこれ以上の情報はSCP-2611-1との会話で得られていません。SCP-2611-1に質問する試みは、対象が反応しない結果に終わっています。

20██年2月19日:

████研究員: マジかよ。あいつ今、アレ呑み込んだか?

SCP-2611-1: [オエッという音] うわぁ、マジキモ…

████研究員: おいおい、よくこんなもん昼番組で放送しようと思ったな…

SCP-2611-1: 殺して。こいつ殺してよ。私が死んだって構わないから。

████研究員: 何?

SCP-2611-1: マジでキモイって言ったのよ! 誰よこんなん考えたの! ったく。アハハッ。

現在、この時の肉体を制御していたのはSCP-2611だと考えられていますが、後の覚醒中にSCP-2611は自身の発言内容を記憶していない事が判明しました。これは、SCP-2611-1が従来の想定以上にSCP-2611の記憶と精神状態を制御下に置いている、もしくはSCP-2611-1による制御中にSCP-2611が記憶を損なうような精神的トラウマを経験している可能性を示唆しています。更なる研究が必要とされています。

20██年4月30日:

SCP-2611-1、泣きながら: 神様…どうしてあいつらはあの子をあんな目に合わせるの? 彼女は貴方が好きなのよ、ジョン! 貴方を愛してるの!

████研究員: 全くだ。やれやれ、今回の放送内容は君には堪えたんじゃないか?

SCP-2611-1: うん。嗚呼、私ってすごく孤独なんだわ…他の誰かが訪ねて来てくれれば良いのに…

████研究員: 他の?

SCP-2611-1: ああ、ホープ、心配しないで。彼も直に分かってくれる、理解してくれるわ。

上記のログに続き、世界中の病院で幾つか研究が行われましたが、有意な結果は得られませんでした。人間人口の中にどれだけのSCP-2611-1実例が野放しで存在するか、現在は不明です。しかし、過去20年間の北米とヨーロッパにおける肥満の急上昇率を考慮すると、その数は極めて膨大である可能性があります。

現時点では、学校に通っている肥満の児童をスクリーニング検査する努力は何ら結果を得るに至っていませんが、寄生の初期段階 ― 体重増加と損失時間の長さで特徴づけられる ― に該当する███名は全員監視されています。後期段階に進行した人物はまだ確認されていません。

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