アイテム番号: SCP-2614
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2614はシュミット博士の個人オフィスにある鍵付きの容器に保管されます。SCP-2614の研究リクエストは彼のオフィスへ申請してください。
説明: SCP-2614はテレビドラマ“ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア”第5シーズンのDVDコピーです。ディスクには何度も繰り返し使用したことによる劣化と一致する若干の傷があります。オブジェクトにはその起源を示すようなマークがありませんが、表面のタイトルロゴは黒のマーカーペンで書かれた“BOOKSHELF(本棚)”という単語に隠れています。
再生時のSCP-2614は、登場人物の1人が映画“█████ ██████”を視聴している最中に操作を行わない限り非異常です。当該シーン中に作動している遠隔操作機器の再生ボタンを押すと、視聴者はその機器の方向パッドを使ってカメラの視点を動かし、中央ボタンで前進させることが可能になります。カメラは自由な動きが可能で、完全な操作が可能です。この操作を実行すると、オブジェクト排出後に徹底的にイソプロピルアルコールで洗浄しなければ以前の非異常状態に戻すことができません。
カメラの制御を把握した後、番組内の時間はリアルタイムで経過し始めます。即ち、登場人物たちは本来なら場面転換が発生する段階を過ぎてもお互いに交流を続けます。これは早送り・巻き戻しができません。ドラマ世界の日付から判断すると、次の時系列的場面であるディメオ・ファミリー経営のストリップクラブまでカメラが移動するのには3日と14時間掛かります。
カメラ視点は固形のオブジェクトを透過することができません。ソプラノ家の外にカメラを操縦した場合、理論上は宇宙空間まで上昇できると想定されています。しかしながら、これは移動速度を考えると現実的な案ではありません。
この観測点の移動には、三次元的な制限がありません。最近の研究ではマサチューセッツ州ボストンまでカメラを移動することに成功しました。作中世界には複数の都市があり、実在の人物たちが居住していることが示されています。しかしながら、番組のリアリズムにも拘らず、テレビドラマ独特の演出および性質はそのまま続きます。例として、主要登場人物の声は周囲に人がいる場合でも異常なほど明確に聞こえます。これら ― “メタ異常”と表現できるかもしれない現象 ― が登場人物や“傍観者”によって知覚されることはありません。
視点は環境操作ができませんが、作中世界のテレビやコンピュータの画面まで移動し、その画面が視点を完全に埋めるまで接近することによって、他の視覚的メディアへの入場が可能です。この時点から、カメラはその世界に存在する他の画面にも入場が可能となり、潜在的には無限にこれを続けることができます。
研究者たちはこれらの架空世界を完全にマッピングするのは不可能であると認めていますが、努力は進行中です。これらの媒体は親宇宙と根本的に異なる可能性があるため ― 例としては、存在すべき俳優が登場人物の1人を演じている世界観など ― そこから更に変化のある、あるいは完全に未知のメディアへの入場も可能です。
以下は架空世界旅行と、“基準外”ないし“超基準”と表現できる材料の評価の転写ログです。