SCP-2631-JP
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アイテム番号: SCP-2631-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2631-JPは移動不能であるため、存在する地下空間を補強し、エレベーターシャフトによって地上と接続して下さい。地上設備は3名以上の警備職員によって侵入を妨害して下さい。 SCP-2631-JPの情報は、セキュリティクリアランス3/2631-JP以上を持つ担当職員と倫理委員会、O5職員のみがアクセスできます。財団の遠宇宙活動が活発化し影響の隠蔽が悪影響を及ぼす場合、開示範囲が変更されます。

SCP-2631-JPによる影響は、現在収容されません。

説明: SCP-2631-JPはアルミニウムを主成分とした金属で作られた、横41m*高さ17m*奥行10mの機械で、空調の室外機に似通った内部機構を持ちます。██県████町███山の地中、海面下2200mの洞窟空間内に存在します。形成された鍾乳石から、紀元前12000年頃から存在すると推定されています。

SCP-2631-JPの異常性は、周囲のヒューム粒子1の微小運動を活発にさせることです。ヒューム粒子の微小運動の激しさをマクロ超物理学上で表す指標をヒューム温度2と呼称します。通常の室外機と同様に、内部の熱交換器状の機構と接触した空間のヒューム温度が上昇し、未知の原理により弱いヒューム流抵抗性を持つ大型のプロペラの回転によって、押し流されている事が観測によって明らかになっています。 SCP-2631-JPは試料採取、外装の部分的破壊、軽微な部品の取り外しなどに成功しているため、破壊可能であると考えられています。しかしながら、熱交換器部分を損傷する試みは、現実構造に未知の影響を及ぼす可能性がある3ため禁止されています。 熱交換器のパイプは空間に固定されたポータルに接続されています。その先の探査は出来ていませんが、装置の目的から基底現実よりもヒューム温度の高い宇宙であると考えられています。

SCP-2631-JPの発見と解明から、ヒューム温度にまつわる実験が行われました。以下は明らかになった事実です。

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地表付近のヒューム温度における現実圧の発生。薄橙色で示したのが、高ヒューム密度の内世界を持つ現実改変者

・ヒューム温度が高いと、ヒューム粒子の密度差による現実圧が強まり、現実改変が起こりやすくなる事が確認された。
・ヒューム温度が低いと、密度差があってもヒューム粒子が強い現実圧を発生させず、現実改変が起こりにくくなる事が確認された。
・異常事象の少ない複数の並行世界で、ヒューム温度が極端に低い事が確認された。
・全世界的なヒューム温度測定プロジェクトの結果、SCP-2631-JPの付近でわずかに高いのを除き、地球上ではほぼ一定のヒューム温度が計測された。一方で、宇宙空間では地球から離れる程ヒューム温度が低下することが確認されている。

また、遠宇宙での計測は計画中ですが、計測結果に基づくシミュレーションではヒューム温度がほぼ0Kであると推定されています。

回収経緯: ███山は元来、呪術の効果を高める神域として蒐集院によって管理されていました。財団移譲後、初期のカント計数機4では0.95Hmと測定され、単純な弱低ヒューム領域としてSafeクラスオブジェクトに分類されました。 しかしながら、改良されたカント計数機5では0.91Hmとなり、この変化の原因を調査する過程でSCP-2631-JPが発見されました。

この変化は、付近でのヒューム温度の高さによりヒューム流が大きくなっているため、現実性が本来の密度より低く測定されたことに由来すると検証されました。

補遺: XACT定常時間溝によってSCP-2631-JPによる影響を完全に収容した場合、地球上のヒューム温度は急速に低下し、3年以内にヒューム勾配による現実改変は殆ど発生しなくなると考えられています。O5-█,O5-█,倫理委員会,SCP-2631-JP担当研究者による討議で、SCP-2631-JPの影響は収容されない事が決定されました。

SCP-2631-JPは、どこかのヒューム温度が高い宇宙が、現実改変の起こらない快適な居住区を作るために、まだヒトが原始的な生活を送っていたころの地球に押し付けたヒュームの室外機なのだろう。
我々はこの厄介な排熱のおかげで、世界中で起きる様々な現実改変事象に対応し、人々の目から遠ざけ収容する事に奔走させられている。
この宇宙の本来のヒューム温度がほぼ0Kだとすれば、地球上のヒューム温度が高く、ヒューム勾配によって現実改変事象が起こる事自体が"異常"であると考える事が出来る。
だが、我々はこれの影響を収容しない
第一に、ヒューム温度の低下が既に収容された現実改変存在から実効的な異常性を失わせることが、我々の理念に反するからである。
第二に、ヒュームの湧きだし/消滅が発生している区域が、周辺への流動を失うことで、極端な現実性を持つ危険性があるためである。
そして第三に、偶然に生まれた高ヒュームの人間が現実を大きく揺るがしてきたこの世界こそが、我々が隠し通しつつも守るべき世界だからである。
O5-█

補遺2: 2031年2月18日、SCP-2631-JPの稼働が突如として停止しました。各機構へのポータルを介したエネルギー供給が停止しています。ポータルの崩壊によって熱交換器内容物の漏出が考えられるため、解体・封鎖処理が進められています。封鎖処理の完了次第新たな特別収容プロトコルが制定されます。

また、ヒューム場を加熱する機構の製作が提案されていますが、反対意見も多く、現在対応は審議中です。

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