SCP-2636
評価: +12+x

アイテム番号: SCP-2636

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 事件2636-アレフ-エグザルフを受け、取扱方は2014年██月██日に更新されました。

SCP-2636はサイト-115のタイプ45隔離チャンバーに収容されます。サイト-115に収容されていた全ての異常オブジェクトは別のサイトに移動されました。移動不能なオブジェクトは文書S115-RE-5-Dに概説される強化保安要件の下に置かれています。SCP-2636の栄養源として、ヤギ、ヒツジ、ブタまたはウシの血液を日に0.5リットル提供してください。発声を阻止するため、SCP-2636の呼吸括約筋は外科的に改変されました。SCP-2636に対するクラスΩ-3記憶処理薬の投与は承認されました。

SCP-2636に関する全ての手順は遠隔操作ロボットを用いて行われます。SCP-2636と接触した全ての物品は封じ込めチャンバーから取り出す前に除染してください。

SCP-2636-1の周囲の保安境界は、暗視カメラと武装警備員によって監視してください。SCP-2636-1への進入は研究チームのみに認められます。

Potrix caprarum sapiensの全ての野生個体は、さらなる研究のために捕獲してください。

2014年██月██日: 事件2636-アレフ-エグザルフにおいて、UAP-5982-1からUAP-5982-8の終了は成功しています。現在、遺体は個別にサイト-115内のタイプ-101冷凍保存チャンバーに保管されています。

2015年██月██日: SCP-2636aは終了されました。現在、遺体はサイト-115内のタイプ-101冷凍保存チャンバーに保管されています。

説明: SCP-2636は未知の種(以降、Potrix caprarum sapiensと呼称)に属する二足歩行の哺乳類型爬虫類の雌個体で、身長3.4メートル、体重135キログラムです。対象の皮膚は滑らかで無毛であり、体色は暗赤色で腹面は灰白色です。SCP-2636の主要感覚は視覚と聴覚で、大型の眼と耳を有しており、耳は放熱器官としても機能しています。全ての嗅覚器は事実上痕跡的です。歩行方法はsemi-digitigrade1で、爪先は3裂し、体重を分散するための肉球が存在します。手には親指と4本の指が存在します。頭部と背部には長さ5から20センチメートルの柔らかな棘が生えています。

SCP-2636の消化器官は植物や菌類を消化することも可能ではありますが、主に液状食物、特に血液の消化に特化しています。このため口器に歯や機能する下顎は存在せず、先端が骨化した筋肉質の口吻から構成されています。胸腔の上部、鎖骨の直下には毒嚢が存在します。この毒素は強力な出血毒で、獲物の体内臓器を溶解することが可能です。SCP-2636の呼吸器官は、胸腔上部と背部に位置する一連の8個の括約筋から構成されています。

SCP-2636は自己認識の証拠、数学的能力、芸術的表現能力を示しており知性があると考えられていますが、単純な身振り手振りや絵文字を用いたもの以上のコミュニケーションには成功していません。SCP-2636は人間の言語を話すことが不可能で、筆記による言語の習得にも進展は見られませんでした。SCP-2636の生来のコミュニケーション手段は歌に似た一連の発声で、これは未だ解読されていません。SCP-2636は音に非常に敏感で、持続的な大きな騒音(100デシベル以上)は対象に血涙、耳出血、血汗を引き起こします。組織分析から、SCP-2636は発がん性物質や汚染物質に非常に脆弱であることが示されました。また、SCP-2636の免疫系は人間の持つ多くの疾患に耐性がありません。

SCP-2636の血液と他の体液は、Mycobacterium leprae potrixと命名されたらい菌の変異体を含んでいます。Mycobacterium leprae potrixの症状は通常のらい菌より急速に進行して重症化し、抗らい菌薬に耐性を持つことが判明しています。

SCP-2636-1はメキシコ、[編集済]に存在する先コロンブス期の神殿群です2。SCP-2636-1の建築様式は地域内のいかなる先住民族のものとも一致せず、内部の寸法と芸術品からは、これがSCP-2636の属する種によって作られたことが示唆されます。SCP-2636-1の最古の区画3はおよそ紀元前12,000年、最新の区画4はおよそ紀元前7,500年のものと測定されています。

SCP-2636-1の中央室は音響に関する高度な知識の下で建造されています。演壇の上に立った個人の発声は、部屋全体において無理なく聞き取ることが可能となります。高めの声で話すと音は内部構造を通して拡散し、SCP-2636-1の外部からも聞き取ることが可能となります。

この中央室は天然の洞窟構造の上に作られており、洞窟は後にSCP-2636-1の建造者によって拡張されました。洞窟内の室は明らかに倉庫、住居、死者の留置に用いられていました。洞窟内からは、紀元前12,000年から西暦2,000年の間の様々な時期のPotrix caprarum sapiensに属する頭蓋骨が合計で3409個発見されました。中央室には2つの副室を経由しなければ進入することができません。小神殿と呼ばれる、石造りの一部屋からなる建築物が主要建築物の外に存在しています。この建築物の目的は不明です。

SCP-2636-2はミイラ化した断片的な動物遺体を革紐で束ねた塊で、高さ4.7メートル、重量は500キログラムです。SCP-2636-2は主に骨、臓器、四肢から構成されており、頂点には6個のヤギの頭部がピラミッド状に積み上げられています。SCP-2636-2の製作年代は不明ですが、用いられている動物種からはヨーロッパ人の植民後に製作されたことが示唆されます。SCP-2636-2が熱帯環境下でどのようにこの保存状態を維持しているのかは不明です。

UAP-5982-1からUAP-5982-8はSCP-2636-2に外見的に似た生命のある実体で、腐敗の兆候を示さず、全高は50メートルに達します。SCP-2636-2はこれらの実体を象ったものだと考えられています。UAP-5982個体が事件2636-アレフ-エグザルフの間以外に観察されたことはありません。

2015年██月██日: SCP-2636aはSCP-2636と同じ種に属する、死亡した雌の胎児です。SCP-2636aは遺伝的にSCP-2636と同一で、妊娠は単為生殖の結果であることが示唆されます。SCP-2636aの初期発生時に起きた事象は事件2636-アレフ-エグザルフと指定されています。

補遺-01: SCP-2636-1内の特定の彫刻や絵画は、SCP-2636の性質に関するさらなる情報を提供すると見なされています。以下は、これらを推定される時系列順に配列したものです。

  • 牧歌的風景の中のPotrix caprarum sapiens。像からは夜行性の狩猟採集生活に加え、原始的な菌類栽培も営んでいたことが示唆されます5
  • 人類による大量殺戮を受けるPotrix caprarum sapiens6。人間は誇張された口と不相応に小さな目を持つ、ずんぐりした醜悪な姿に描かれています。
  • Potrix caprarum sapiensの、人里離れた密林の地下への撤退。地上にはPotrix caprarum sapiensの死体を冒涜する人間の姿が描かれています。生存した個体は傷ついて病を患ったように描かれています。
  • Potrix caprarum sapiensによるSCP-2636-1とSCP-2636-2の構築。
  • 月相の経過。添えられたシンボルはその繰り返しを意味しています。雌のPotrix caprarum sapiens個体が休眠状態のSCP-2636-2の前に行列を作っています。全ての雌個体は妊娠しており、SCP-2636-2に祈願の身振りを取っています。
  • SCP-2636がSCP-2636-2の前に立ち、両手を腹部で重ねています。腹部の透視図により発達過程の胎児が示されています。SCP-2636-2は腕の1本を伸ばしてSCP-2636の腹部に触れています。SCP-2636-2の歌を意味する光輪のモチーフは前例のないもので、典型的な内容とスタイルからは大きく外れています。
  • SCP-2636がSCP-2636aを出産しています。音楽的モチーフは、人間の到来以前の段階、人間との対立、そしてSCP-2636のシンボルを組み合わせたものです。これは神のモチーフと命名されました。
  • SCP-2636aがSCP-2636-2の前に置かれています。SCP-2636-2には再び歌を意味するモチーフが描かれています。さらに、SCP-2636-2はミイラ化しておらず生きているように描かれています。
  • SCP-2636aがSCP-2636-2に騎乗し、Potrix caprarum sapiensの群れを伴って人間に向けて突き進んでいます。全ての個体が神のモチーフを共有しています。SCP-2636-1は空中に浮遊しています。

補遺-02: SCP-2636の初期回収は2013年██月██日から2014年██月██日にわたって行われ、大規模な追跡の後にアリゾナ州[編集済]近郊で完了しました。回収エージェントに対して用いられた罠の複雑さから、SCP-2636は少なくとももう1個体の助けを借りて行動していたことが示唆されました。この個体または個体群は地域の追跡調査から逃れ、これ以上の活動は記録されていません。

事件報告2636-アレフ-エグザルフ

日時: 2014/██/██

場所: サイト-151(座標██-██.█-██.█)

事象タイプ: LK(局地的脅威)

概要:

現地時間0222、SCP-2636は出産を開始し、同時に歌のような発声を始める。この発声は事象の間中継続した。この発声は以前に観察されていたいかなるパターンとも一致せず、激しい痛みを示唆するものであった。

SCP-2636の発声音量は着実に上昇を続け、サイト-151の構造に圧力を加え始める。音量が最大に達した時点で、SCP-2636を中心とした爆発力が発生する。

この時点で、UAP-5982の8実体がサイト-151周囲の地面から出現。

SCP-2636は空中に上昇し、地面から25メートルの地点に浮遊する。SCP-2636は6枚の翼を展開する7。この時点でSCP-2636の発声はおよそ140デシベルにまで上昇し、UAP-5982の8実体もこれに合わせて同様の発声を始める。

発声音量はピークを越えて減少を始める。UAP-5982の各実体はSCP-2636の下に手を添え、地面へと下ろす。機動部隊エータ-87隊員の乗るヘリコプターが接近するが、UAP-5982-4は集束された光線のようなものを発射して全隊員を殺害する。

地面に降りた時点で、SCP-2636は眠りに落ちる。

発生した被害と異常性

  • サイト-151の89%の職員の液化。
  • 生存した全職員の視聴覚の喪失。
  • サイト-151の79%の主要構造の崩壊。
  • サイト-151内の全ての水が、Mycobacterium leprae potrixを含んだ血液に変質。
  • UAP-5982の8実体の出現。
  • SCP-2636aの生成。

復旧作業: サイト-151は秘儀戦闘群第7分隊の支援を受け、地域部隊151-ヘー("ジャレッド・クランプの不幸クラブ")、151-ヨー("柱の男")、151-カフ("ヘヴィ・メタル・クイーン")、機動部隊エータ-87("福がある残り物")によって奪還された。UAP-5982の全実体は2014年██月██日、時刻2030までに終了された。生存した職員はサイト-04、サイト-78、サイト-115において集中治療が行われた。SCP-2636aの遺体とSCP-2636の隔離下への移動は成功し、何事もなくクラスΩ-3記憶処理薬が投与された。

事件発生地が居住地から離れていたことと、メディアに対する隠蔽工作により、周辺住民に対し配給水への混入以上の記憶処理薬の使用は必要ないと判断された。

財団の死傷者: 管理スタッフ5名、研究スタッフ16名、保安要員20名、Dクラス職員11名、機動部隊員45名。

喪失物品: SCP-███、SCP-████、SCP-████、E-█████からE-█████、E-█████

補遺-03: SCP-2636aの破壊的な性質を鑑みて、SCP-2636aの予防的な終了措置が提案されました。この措置はO5評議会の投票によって8-5で可決され、倫理委員会に承認されました。SCP-2636aはそれ以上の事故なく終了されました。

SCP-2636aの遺体の分析から、胎児は重度の奇形を患っており生後2ヶ月以上生存することは不可能だったであろうと推定されました。これに加え、SCP-2636aが単為生殖の結果であること、SCP-2636-2が依然ミイラ化した状態で生命を宿していないことから、今回の事象はSCP-2636-1に描かれているものから大きく乖離していることが示されます。現在、この乖離による影響は、それが存在するかどうかも含めて不明です。

補遺-04: 2015年██月██日 ― SCP-2636のさらなる生理的検査の結果、妊娠の前段階にあることが示されました。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。