SCP-2640-JP
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バーテン.jpg

SCP-2640-JP-A
(SCP-2640-JPにて撮影)

アイテム番号: SCP-2640-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2640-JPの周囲には鉄柵が設置され、民間人の内部への進入を防ぎます。SCP-2640-JPは表向きに改修工事現場として扱われます。実験時以外でのSCP-2640-JP内部への進入は禁止されており、実験の実施には担当職員3名からの許可が必要になります。

説明: SCP-2640-JPはフランス国内に存在する建造物です。外見や用いられている建材に異常な点はありません。SCP-2640-JPの内部はバーを模した構造になっています。収容以前のSCP-2640-JPは"ベルガマーの酒場"という名称で認知されていました。

SCP-2640-JPの内部に進入した人物 (対象と表記) は進入後24時間以内に非異常的な要因によって死亡します1。対象の死体は共通して微笑んだ表情を浮かべていることが確認されています。現在までに行われた検証の結果から、対象の死亡を回避することは不可能であるとされています。

SCP-2640-JPの内部には人型実体 (SCP-2640-JP-Aに指定) が存在しています。SCP-2640-JP-Aはバーテンダーユニフォームを着用しており、複数の男性的特徴を有しています。SCP-2640-JP-Aは自らを"スカー"と呼称し、対象に対して友好的に接します。現在までにSCP-2640-JP-Aの経歴に関する情報の取得には至っていません。 対話記録2640-JPを参照してください。

SCP-2640-JP-AはSCP-2640-JPのスタッフとして振る舞います。この振る舞いの一環として、SCP-2640-JP-Aは対象に対して何らかの飲料物を提供します。提供される飲料物は対象ごとに異なりますが、多くの場合においてアルコール分を含むものを提供する傾向にあります。例外として、18歳未満の人物が侵入した場合には蒸留酒は提供されず、16歳未満の人物が進入した場合にはノンアルコール飲料を提供します2。この際に提供される飲料物は非異常性のものであることが判明しています。

SCP-2640-JP-Aと会話をしている間、対象は虚偽を含む発言をすることが不可能になります。これはSCP-2640-JP-Aの有する異常性質に由来するものであると推測されています。この影響はSCP-2640-JP-Aとの会話を中断する、もしくはSCP-2640-JPから退却することによって除去されることが確認されています。

SCP-2640-JPはインターネット上にて流通していた"訪れると死ぬ酒場"という噂について調査を行った結果、発見されました。その後の実験と検証によって異常性が判明し、オブジェクトクラスと特別収容プロトコルが制定されることとなっています。より詳細な発見経緯については別途資料を参照してください。

対話記録2640-JP: 以下はSCP-2640-JP-Aの経歴や過去などの情報を探ることを目的として行われた対話記録の一部抜粋です。話者はSCP-2640-JP-AとD-32252の2名でした。記録の全容については別途資料を参照してください。

<記録開始>

[D-32252がSCP-2640-JP内部に進入する。それに伴い、入口に設置されたドアベルが鳴る]

SCP-2640-JP-A: ようこそ、ベルガマーの酒場へ。お好きな席にどうぞ。

D-32252: じゃあ……ここにしましょうかね。

[D-32252がカウンター席に座る]

SCP-2640-JP-A: はじめまして。私、当店のマスターを勤めているスカーと言います。お見知りおきを。

D-32252: はあ、よろしくお願いします。

[D-32252がSCP-2640-JP内部を見回す。内部にはアンティーク調の時計などが置かれている]

D-32252: なんだかレトロな雰囲気があって素敵ですね。この時計とか、昔ながらって感じがして好きです。

SCP-2640-JP-A: そう言って貰えると嬉しいですねえ。雰囲気なんかも、店としては大事ですから。

D-32252: そうですねえ。レコードとか、かなり懐かしいですし。

[D-32252が8秒間沈黙し、壁面に壁掛けられたレコードを眺める]

D-32252: ……こういったレトロチックなものを集めるのが趣味だったりするんですか?

SCP-2640-JP-A: いえ、これは先代の趣味ですね。彼はこういったものを集めるのが趣味でして、よく買ってきては店に飾っていたものです。

D-32252: 先代、ですか。となると、スカーさんはいつからマスターを?

[SCP-2640-JP-Aが沈黙する]

D-32252: スカーさん?

SCP-2640-JP-A: ああ、すいません。少し考え事をしていました。私がマスターを継いだのは、ちょうど3年ほど前のことでしたね。

D-32252: なるほど……。もしよければ、その経緯や先代のことについて教えてくれませんか?

SCP-2640-JP-A: ふむ……要するに、私の過去について知りたいと。

[D-32252が首肯する]

SCP-2640-JP-A: 個人的にはあまり言いたくないんですけどねえ。それに、聞いてもいいことはないですよ?

D-32252: そこをなんとか、お願いできませんか。

SCP-2640-JP-A: そう言ったって、こちらにも事情がありますし……。

D-32252: ……そう、ですか。

SCP-2640-JP-A: ……貴方は、大切な人というものを持ったことはありますか?

D-32252: 大切な人、ですか?

SCP-2640-JP-A: はい。恋人や家族、友人など……心の底から「大切」と言えるような人はいますか?

D-32252: ……います。妻と娘がそうですね。

SCP-2640-JP-A: 最近はどうです? 奥さんや娘さんと仲良くやれてますか?

D-32252: 実は、最近は会えてないんですよ。というのも、僕は犯罪者なんです。強盗して、捕まって。そういったこともあって、僕は妻と娘に近付けなくなってしまったんです。

SCP-2640-JP-A: 強盗はいけないことですが……それでも、家族と会えないのは辛いでしょう。寂しくないんですか?

D-32252: 辛いし、寂しいです。でも、またいつか会える日が来ると信じてます。そう考えれば、この辛さや寂しさも乗り切れるんです。

SCP-2640-JP-A: なるほど。

[SCP-2640-JP-Aが考えるような素振りを見せ、沈黙する。数秒後、SCP-2640-JP-Aが口を開く]

SCP-2640-JP-A: 私の過去を知りたいんでしたっけ。

D-32252: ええ。……教えてくれるんですか?

SCP-2640-JP-A: [微笑する] 少しだけ、ですけどね。

D-32252: いいんですか?

SCP-2640-JP-A: ええ。……というのも、貴方の話を聞いていると昔のことを思い出してしまって。そう、あれは5年ほど前のことです。ウイスキーを呑もうとして、バーに行ったんですよ。

D-32252: ウイスキー、お好きなんですか?

SCP-2640-JP-A: ええ。死を前に狩られることを拒む麦の穂はなく、それらが数々の工程を経て美酒になる。それが、とても大好きでした。

D-32252: なんだかよくわからないけど、とにかく好きなんですね。

SCP-2640-JP-A: はい。とまあ、そうして訪れたバーで彼と出会ったんです。

D-32252: 彼、とは?

SCP-2640-JP-A: ジェシー・ダリエです。ここの元マスターで、私の親友でした。彼とはすぐに意気投合して、気が付いたら一緒に呑むようになっていました。この写真も、その時に撮ったものです。

[SCP-2640-JP-Aがカウンターの上に置かれている写真立てを取る。写真立てにはSCP-2640-JP-Aとジェシー・ダリエが談笑している様子を写した写真が収められている]

D-32252: スカーさん、見た目変わってないんですね。5年も経てば大分変わると思うんですけど、もしかして何か美容関係のことやったりしてるんです?

SCP-2640-JP-A: いや、これは私の体質的なものですね。それに、私は美容とかファッションとかには疎いもので。そこら辺はよくわからなくてですねえ。

D-32252: まあ、ファッションとか時代によって変わりますからね。

SCP-2640-JP-A: そうなんですよね。キラキラとしたドレスが流行ったかと思えば、いつしかシンプルなスーツが流行り出していて……。人もファッションも、忙しなく変わっていってしまうんですよねえ。

D-32252: そうですね。……ところで、スカーさんがここを継いだ理由ってなんなんですか? それに、ダリエさんは今どこに?

SCP-2640-JP-A: [沈黙] 実は、ダリエはもう死んでるんです。

D-32252: えっ。

SCP-2640-JP-A: ダリエは心臓に持病がありまして。昔から「長生きはできない」と言われていたみたいなんです。でも、彼はそのことを表には出しませんでした。他の人に心配を掛けないようにと、隠していたんです。

D-32252: スカーさんにも言ってなかったんです?

SCP-2640-JP-A: ええ。しかも、隠してたのはそれだけじゃなかったんですよ。

D-32252: それだけじゃない? 他にも何かあったんですかね。

SCP-2640-JP-A: 実は、ダリエは妻と娘に逃げられていたらしくて。どうやらバーの経営が傾いた時に見切りをつけられてしまったんだとか。でも、彼はずっと妻と娘のことを愛していたんです。

D-32252: スカーさんは、どこでそのことを知ったんですか?

SCP-2640-JP-A: 一緒に呑んでるときに、彼がポロっと言葉をこぼしたんです。ダリエは酒が入ると泣き上戸になるんですが、よく「妻や娘に会いたい」や「死にたくない」と言っていました。その時の彼の泣き顔を、私は忘れられません。

D-32252: ……結局、ダリエさんは娘さんや奥さんと会えたんですか?

SCP-2640-JP-A: 残念ながら、最期まで再会することはありませんでした。私は運良く彼の死の瞬間に立ち会えたのですが、彼はずっとうわ言のように娘と妻の名前を呼んでいました。それを見て、はじめて強く思いました。いいえ、こんな私を一人の「友達」として扱ってくれた彼だからこそ、そう思えたのかもしれません。

D-32252: どう思ったのですか。

SCP-2640-JP-A: 最期くらい、安らぎの中で……とね。それからは知っての通りです。ここを引き継ぎ、訪れる皆さんに安らぎを提供しているのです。抱え込んだ思いを吐き出して、楽になっていただきたいのです。ただ──

D-32252: ただ?

SCP-2640-JP-A: 最近は一見さんしか来なくてですね。吞み終わりにいい笑顔を浮かべて「また来るよ」と言うのですが、それ以降来ることはないんです。

D-32252: それは……

SCP-2640-JP-A: とはいえ、仕方ないことですから。少しでも気持ちが晴れたり、笑ってくれるだけで嬉しいものなのです。……おっと、少々語りすぎてしまいましたかね。

[SCP-2640-JP-Aがバックバーに置かれていたウイスキーボトルを手に取る]

SCP-2640-JP-A: まあ、呑んでください、ここはただの酒場ですから。マッカランの18年もの、とっておきですよ。

<記録終了>

上記記録の終了から18時間後、D-32252は死亡しました。死因は非異常性の心筋梗塞によるものでした。また、上記の内容からSCP-2640-JPとSCP-2640-JP-Aの起源に関する情報の取得に至りました。現在、取得した情報の正確性の検証が行われています。


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