SCP-2642-JP
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アイテム番号: SCP-2642-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2642-JPはSCiPnetの2642-JPスロットに登録され、公開されます。

SCP-2642-JP-Aはそれぞれを個別にナンバリングし、所定の手順で実験・記録したのち標準的な非活動性無機物オブジェクトの取り扱いに則り保管します。

SCP-2642-JP-Bは監視され、サイト-120の管理下に置かれます。

説明: SCP-2642-JP-Aは内部のヒューム値を安定させる機構1を備えた、箱状の物体です。カント計数機やそれと同等のヒュームを計測する機能を果たす機器/機構を伴う例も散見されています。2全ての例において中身が空洞であることがわかっていますが、これを開閉する機構が存在しておらず、物を保管するなどといった目的のために生産されたわけではないことが明らかになっています。SCP-2642-JP-Aは上記の仕様により内部がヒューム的に密閉されており、外界の現実から隔絶された状態にあります。

SCP-2642-JP-A-aは2000年のSCP-2642-JP-Bの発見を受けて財団に作成された実験器具です。財団の現実性研究チームはSCP-2642-JP-A-a(通称"スクラントン・リアリティ・ブラックボックス/SRBB")を、SCP-2642-JP-Bないしよりアクセスが容易な現実性希薄空間へこれを投下し虚数やダークマターなどのような概念上の存在であった「現実性を決定するもの」3の正体や振る舞いを探る実験に用いる器具として開発しました。当初はカント計数機を備えた状態での投下が予定されていましたが、初回実験でカント計数機を通じて内部空間が観測可能な状態に置かれることで外界の現実と内部の現実の間にパスが繋がり、そこから箱の中身が"漏れる"ことが判明したためオン/オフを切り替えられる仕様に変更されています。

SCP-2642-JP-Bは2000年に財団現実性研究チームによって発見された現実性希薄空間です。SCP-2642-JP-Bは非次元的な空間であり、周囲のあらゆる現実から隔離された現実的半真空状態にあります。この特性により現実性を有する空間から半ば独立、剥離した空間を形成しているため、この現実的中立性から財団の注意を惹き、上記の実験などの研究利用が計画されています。留意するべき点として、後述のインシデントからSCP-2642-JP-Bは他次元からもアクセスできる可能性が指摘されています。

SCP-2642-JP-Aはいくつかのパターンに渡るサンプルが複数回収されており、それぞれ個別にナンバリングされています。財団が作成したものであるSCP-2642-JP-A-aを除いて一番初めに確認されたSCP-2642-JP-A-bはSCP-2642-JP-Bから回収されており、SCP-2642-JP-A-aとの類似性と差異から並行次元の財団により開発ものであるとされています。SCP-2642-JP-A-bは発見以降しばらくAnomalousアイテムとして扱われていましたが、「筐体計画」の発令とそれに伴う各種政治的交渉の過程で接触した犀賀派4により類似したオブジェクトが複数もたらされたことで正規ナンバーとしての収容対象に分類されることとなりました。

SCP-2642-JP-a-3を用いて行われた実験で確認されたSCP-2642-JP-A-aの挙動とSCP-2642-JP-A-b出現時の挙動の違いを確かめるため、これら複数のSCP-2642-JP-Aの比較実験が行われました。実験の概要は以下の通りです。

参考記録-2642-JP-A
実験概要: SCP-2642-JPに投下後、内部の現実性を維持する機構をパージ。内外の現実圧の差によって発生する疑似的な現実改変現象を観測することで、現実子の振る舞いを確認する。
対象 備考 結果
SCP-2642-JP-A-a-3 基底世界の財団により作成 64秒経過後に崩壊
SCP-2642-JP-A-b SCP-2642-JP-Bより出現したときの挙動。SRAの挙動が不安定だった 箱が捻じれ、破損

実験記録-2642-JP-A
実験概要: 参考記録にある通り、他次元に由来する現実子の振る舞いに基底次元との差異が生じた。犀賀派よりSCP-2642-JP-Aが複数種もたらされたため、上記の問題について調査するため同じ手順で比較実験を行う。

追記: 蛇の手の協力により、各種並行次元においてSCP-2642-JP-Aを作成・回収することができたため、これらも活用する。
対象 備考 結果
SCP-2642-JP-A-c 犀賀派から入手 回転した
SCP-2642-JP-A-d 犀賀派から入手 "華麗なる大円舞曲"に似た音声が流れる
SCP-2642-JP-A-f 蛇の手により作成 弱度の再生能力を獲得
SCP-2642-JP-A-k 蛇の手により回収 反重力を発揮、垂直に飛行した

以上の実験が財団空想科学部門の興味を引き、空想科学部門の協力のもとで現実子の振る舞いに対する検討が進められ、その結果O5-12の主導するチームにより、碳博士の発表した仮説をもとにした空想科学理論が提唱されています。

碳博士により提唱された空想科学的推定である収斂性輪唱仮説カノン・ハイポゼシスは、「物語は収斂して道になり、輪唱されて踏み固められる」という一文に象徴されるとされ、上位存在群の活動はある程度幅を持ちつつも5統一的な指向性や類型性を持っていることを踏まえたうえで、それらの反復性と流動性について論じたものです。この仮説は"空想的"なものであり、実証性を欠きまた実証に対するペイメントに疑問が残るとして空想科学部門によって棄却されています。この理論は上記の経緯により再発見されるまで長らく注目されることはありませんでした。

「筐体計画」の発令に伴い結成された時空異常科学・超常宗教学・現実子学/奇跡論などの専門家による因果検討チームは当初予言されていた通りの尽日THE COUNTOVERの到来を再確認しました。その一方、実験-2642-JP-Aの結果を受け、並行世界間における現実子の振る舞いの違いから推定される因果性の相違を提言しています。これを受け空想科学部門を受けもつO5-12が当該部門のもとで上記因果検討チームの一部メンバーと超常宗教学者・異常芸術批評者・文学者に協力を募り、碳博士の理論を発展させた正典分岐理論カノン・セオリーを提唱しました。

空想科学において、我々の世界を構成する"現実"は上位存在群による干渉を受けるとされます。収斂性輪唱仮説カノン・ハイポゼシスにおいては上位存在群の活動は類似した指向性を持ち、それらは反復されることで現実が収束し、場合によっては徐々に方向性を変えていくとされました。そして、正典分岐理論カノン・セオリーにおいては上位存在群によって現実は"決定"され、異なる"決定"により世界が分岐するとされます。現実子の振る舞いの違いはこの"決定"された現実の違いによるものであり、上位存在群-下位物語層の関係において選択された"道"はそれぞれ異なる性質の現実を内包しながら分岐していくと推定されます。この理論を採択することで我々にとっての現実であるところの下位物語層が相互にいくつかの矛盾を持ちながらも共存していることが証明できます。


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