クレジット
タイトル: SCP-2645-JP - 失楽園のサイコロ
著者: ©︎tateito
作成年: 2022
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:6719937-19-5465
記録・情報保安管理局より通達
現在閲覧中の報告書は第5版です。
2042年8月30日 19:44 (UTC) 時点の版であり、
現在の版と内容が大きく異なる場合があります。
エジプトのアレクサンドリアで発見されたSCP-2645-JP(写真のほぼ全てのサイコロ)
アイテム番号: SCP-2645-JP
オブジェクトクラス: Safe Thaumiel
特別収容プロトコル: SCP-2645-JPはサイト-8122の低危険度物品収容ロッカーに保管されます。保管時に転がらないように底面に固定してください。月に一度、無作為に選ばれた地球上の地点でSCP-2645-JPを6の面が出るまで振り転がしてください。
説明: SCP-2645-JPは世界各地で発見される異常な性質を持ったサイコロです。2042年現在983個のSCP-2645-JPが財団によって収容されています。サイズや素材、色、細かい形状は様々ですが全て正六面体のピップタイプのサイコロ1です。
SCP-2645-JPは2016年に沖縄県名護市で初めて回収されました。当時の所有者であった産婆はまじない道具としてSCP-2645-JPを理解しており、妊婦との取引によりSCP-2645-JPを儀式の中で用いてその異常性を利用していました。それ以降同様のサイコロが相次いで発見され、収容されています。
SCP-2645-JPはそれが振り転がされ、出目が確定した時に異常性を示します。出目が確定した時点で、最も近い2妊娠初期3のヒト胎児に対し、出目に応じて出産後の知性に影響を与えます。出目を操作する試みが行われた場合、SCP-2645-JPは異常性を示しません。また、再度SCP-2645-JPをふり直して別の出目が出たとしても異常性を受けたヒト胎児は最初の出目の影響を受けます。
SCP-2645-JPは正確には知力を振り分けるという性質の異常性です。SCP-2645-JPは出目が少ない時には胎児から将来的な知力を奪い、出目が多い時には与えるということがわかっています。
出目とその影響は以下の表のような関係性があります。
| 出目 | 胎児への影響 | 成人時の平均IQ4 |
|---|---|---|
| 1 | 無脳症 | 計測不能 |
| 2 | 知的障害 | 41 |
| 3 | 境界知能 | 80 |
| 4 | 平均的知性 | 103 |
| 5 | 秀才的知性 | 128 |
| 6 | 天才的知性 | 163 |
SCP-2645-JPに影響されて産まれたヒト個体をSCP-2645-JP-Aとし、それぞれの出目に応じてSCP-2645-JP-A1からSCP-2645-JP-A6と分類します。
成長したSCP-2645-JP-AがSCP-2645-JPを模倣してサイコロを作ることがあります。その多くは通常のサイコロですが、極めて稀に異常性を含めたSCP-2645-JPの複製に成功する場合があります。複製されるSCP-2645-JPは必ずしもサイズや素材などを同一としていません。
2042年現在、財団は世界中のSCP-2645-JPの99.9%以上を収容したと評価されています。それに伴い、世界的に天才的知能を持つ人材の急激な減少が報告されています。統計部門による推定ではSCP-2645-JPの収容がその利用を減らし、SCP-2645-JP-A6が産まれなくなったことが主要な要因であるとされています。
財団がその役割を果たすためには多数の天才的な知能を持つ研究者が必要不可欠です。アノマリーの発見報告は増加の一途を辿り、優秀な研究者の需要も比例して増加しています。そして財団の優秀な研究者であってもアノマリーの異常性を科学的に解明できた例はほとんどありません。通常技術はアノマリーに対し陳腐化し、対抗することが困難です。統計部門による試算によると、22世紀に入るまでに現在のヴェール体制は崩れ破局的な変化が起きるとされています。
戦術神学部門はこの世界の大規模な改変が近づいていると警告しています。各分野を研究すればするほど神性実体への関わりが見出され、多くの神性実体が活動を活発化させつつあります。
これらの状況からO5評議会は人類が人類のままでは健全で正常な世界で生きていくことは不可能だと結論付けました。
財団という組織にとって人材はあらゆるものより優先され、それが喪われる事態こそ財団の破滅を招き、ひいては人類の破滅を招きます。財団に必要な人材を確保する非異常の手段や努力は考えられ得る限り行われましたが結果はあらゆる尺度から見て不十分であり、最後の手段としてアノマリーを活用せざるを得ません。
O5評議会の決定によりSCP-2645-JPのオブジェクトクラスはThaumielに再指定され、財団はその利用を開始し、複製方法の確立、異常性の解析、拡張を急いでいます。
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