
ピクトグラム-1の再現。未特定の宗教的図像が中部・下部体節に重なるように描かれている。
特別収容プロトコル: SCP-2651-Aは月面エリア-32の収容チャンバーにある半球型の凹所に置かれます。このチャンバーには2台のカルデック計数機1、監視カメラ、1台のマイクが設置されます。装置は毎週点検され、必要に応じ修理されます。装置が修理不能になった場合、次回の定期補給配送の一環として要求する必要があります。SCP-2651-B個体及びSCP-2651-Cから放出される体液を除去するため、排水設備とスプリンクラーシステムがチャンバー内に設置されます。除去された体液は分析のため生物災害保管タンクに保管されるか、廃棄されます。
これまで観察された2651-SKIAイベントはいずれも差異無く実施されましたが、何らかの相違が観察された場合はイベントを記録し、レベル3/2651職員へと報告せねばなりません。
説明: SCP-2651は金属製の球体 (SCP-2651-A)、及びそれを取り巻く地球外起源のエクトプラズム実体2の一群 (SCP-2651-B及びSCP-2651-C) の総称です。
SCP-2651-Aはロジウム-プラチナ合金から構成されており、半径71.7cmです。この球体には現在の新原生代後期3の地球の地形モデルに類似する地形が描かれており、表面には大陸や島の輪郭が彫り込まれています。モデルからの顕著な逸脱は小型の超大陸であるプロト-ローラシアの西海岸沖にある3つの円形島と、東南極楯状地にある環状湖です。円形島、湖、及び球体上の他数ヶ所にはSCP-2651-B個体の様式的表現(ピクトグラム-1)と見られるものが存在します。SCP-2651-Aは電子ハム音や他の機械的ノイズを発しており、その内部構造を示しているものの、球体外表面によりソナーイメージング試行は妨げられています。
SCP-2651-B1~SCP-2651-B10は約1mの距離をとり、SCP-2651-Aの周囲を円状のパターンで浮遊しています。カルデック計数機の制約によりSCP-2651-B個体の完全な解剖学的分析は妨げられているものの、大まかなディテールは確認済です:
- 各実体は身長1mの直立した円錐形の身体を有し、本体と各肢は節足動物同様に節で分かれている。身体は3つの節に分かれている。
- 身体底部に繋がる4本の肢は先端が円形になっている。
- 身体中部には6本の触手があり、それぞれ長さ3mで先端には鉤爪を持つ。
- 身体上部には4つの円錐状の突起があり、おそらくは感覚器官の一種である。
- 一対の顎が円錐底部に存在する。
SCP-2651-B7はその身体に多数の明らかな腫瘍がある唯一の実体です。
SCP-2651-A周囲での運動を除き、2651-SKIAイベント実施中以外での実体群はほぼ不活発です。正常な活動は反復性の身体痙攣、肢痙攣、不規則な顎の打ち鳴らしからなります。SCP-2651-B7はこのような動作を行わない唯一の実体であり、動きがなくぐったりとしています。
SCP-2651-CはSCP-2651-Aの約1m上方を浮遊しています。身体はSCP-2651-Bと同様ですが、上部体節が大型の球形オブジェクトに置換されています。この”頭部”の球体は頻繁に形を変え、オルトサン地球外言語(Ortothan Extraterrestrial Language, OEL)4の方言の記号の形に凹み、発声可能な穴のパターンを形成します。2651-SKIAイベント実施時を除き、SCP-2651-CはSCP-2651-B個体と同様に動作します。球上には”我失敗せり”や”我知らざりける”といった文章が頻繁に出現します。
2651-SKIAイベントは年7回発生し、その中でSCP-2651-B個体とSCP-2651-Cは儀式を再演します。この儀式は遥か昔、SCP-2651が創造された頃に初めて実行されたものと推定されるものの、イベントの詳細は不明です。更なる情報に関しては補遺を参照してください。

洞窟へ繋がるトンネル。
発見: SCP-2651は2017年2月13日、エリア-13=32間輸送システムの建造中に偶然発見されました。使用されていたボーリングマシンはそれまで知られていなかった半球型(半径35m以下)の大型洞窟の進入路を開けた際に停止しました。異常活動の兆候が報告され、機動部隊ガンマ-4(“金髭船長の手下”)が仮収容のために派遣されました。
発見時、洞窟の床面は高さ2mの生体物質の懸濁液と、ピンク色の血液様の液体(以下ヘモロジンhaemorozinと呼称)で覆われていましたが、これはアノマリーの創造以来繰り返されて来た2651-SKIAイベントによるものと思われます。SCP-2651-Aは金属製の台座に置かれ、一部が液体に浸かっていました。台座周辺には黒い金属で作られた、SCP-2651-Bに類似する7体の像がありました。注目すべきことに、各像の触手の本数は1~7本でした。月面を描いた小さな球体も発見され、数ヶ所にピクトグラム-1が刻まれていました。
その後エリアが排水されると、SCP-2651-B及びSCP-2651-Cのものと外観上類似する青緑色の外骨格片が現れました。破片の多くには穿刺傷、鈍力外傷と一致する損傷、埋没した弾丸型の物体が存在しました。また、未特定の奇跡論ルーンが彫り込まれた銃に類似する機械装置群が様々な損傷状態で発見されました。
SCP-2651-Aの近隣には2m3の爆破装置であるAO-2651-1が置かれていました。装置内にはある種のエキゾチック物質からなる筒状のカプセルがあり、SCP-2117から回収された技術によって、10gの液状反物質を内包していることが判明しました。信号を受信すれば、爆破機構がこの容器を破壊し、周辺領域の全物質を巻き込んで液体を物質/反物質消滅させ、洞窟内の全物品を破壊するであろう激しい爆発を引き起こします。この爆破機構は容器を破壊する段階にあったようですが、大量の乾燥した生体物質が装置に入りこむことでプロセスは停止していました。
隣接する2つの像には、青緑の外骨格塊と筋肉組織に類似する凝固した物質で構成される、長い筋交い状の構造体が結合しています。この構造体はOELで以下の文章を形成しています:
[不明シンボル-16]の救援。聖神達5は血を受け取る。[不明シンボル-16]は(永遠に?)出血す。
洞窟内の斜面頂上には長さ20mのトンネルへの入り口があります。トンネルの側面側には他の部屋への入り口に見える箇所が複数存在しますが、いずれも崩落や黒い金属の障壁により封鎖されています。トンネル終端部にはエアロックの役割を果たす部屋がありますが、爆破が加圧システムを破壊したことで機能しなくなっています。エアロックの反対側には機械式リフトがあり、3kmのシャフトで金属製のハッチまで繋がっています。輸送系トンネルの位置に基づき、部隊のエージェントらは月面上にて堆積物の層に覆われ、溶接して閉鎖されていたハッチを発見することができました。ハッチには金属製のプレートが取り付けられており、筋交い状の線のパターンでOELの文章が書かれていました:
聖防衛軍[ピクトグラム-1]のメッセージ
[不明な黄色のシンボル]危険。非神(?)ここに騙りけり。侵入はコル-テウサ並びに第四世界への反逆なり。[不明シンボル-22]吸収による死に相当す。
2017年2月19日、SCP-2651及びAO-2651-1は月面エリア-32に収容されました。洞窟への損傷を防ぐためにトンネルの経路が変更された上で、翌日には建造が再開されました。
補遺: