SCP-2664-JP
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財団記録・情報保安管理局より通達

当該文書は収容に値しない異常物品についてナンバリングが実施されていたため、
1ヵ月後に欠番指定の後、アーカイブ処理層へのデータ移送が実施されます。

— RAISA管理官、マリア・ジョーンズ


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SCP-2664-JP

アイテム番号: SCP-2664-JP

オブジェクトクラス: Safe Anomalous

特別収容プロトコル: オブジェクトの収容の必要はありません。当該オブジェクトはサイトの設備の一部として使用されています。

説明: SCP-2664-JPは地下サイト-786の5番廊下に設置されていた、外部入力式の圧力隔壁です。サイトの建設当初、当該オブジェクトは他の隔壁と同様の手順、製法で作成されたのにも関わらず、物理、融解、腐食への異常な耐性を有していました。そのため、建設部門に対しての調査が実施されましたが、結果として起源は明らかになっていません。

その後、サイト-786の研究員によって複数の実験が行われましたが、耐久力以外の異常性は認められないと判断され、サイト設備の一種として用いられることとなりました。詳細は実験記録2664-JPを参照してください。

補遺: 2002/09/04、サイト-786に収容されていた自律性を有する複数のオブジェクトの収容違反が確認されました。このインシデントに伴い、3名の職員が死亡したと推測されています。以下はSCP-2664-JP付近の監視カメラによって撮影された当時の映像の書き起こしです。

映像記録


日付: 2002/09/04


[記録開始]

10:09:20 インシデント発生。緊急アラートの発令。出口付近にて勤務を実施していた第一群のサイト-786の職員5名が、5番廊下からサイト外部へ脱出する。

10:10:31 1名の職員が外部へ脱出すると同時に、SCP-2664-JPの作動を試みる。しかし引き返してきた職員に引き留められ、作動を中断する。2名はカメラの画面外へ脱出する。

10:12:54 第一機動部隊6名が到着。2名ずつA、B、Cのチームに分かれる。A、Bチームがサイト内部へ進入し、CチームがSCP-2664-JP付近で待機する。

10:22:22 施設中層にて勤務を実施していた第二群のサイト-786職員4名がAチームに救出される。サイト-786職員のうち2名には負傷が確認できる。カメラの画面外で誘導を実施するAチームと入れ替わりで、SCP-2664-JP付近で待機していたCチームがサイト内部へ進入する。

10:25:41 1名のサイト-786職員が救助場所から引き返してサイト-786へ再進入する。映像データ、並びにサイト所属職員の証言より、同サイトに勤務していたメアリー=ヨーゼフと確認されている。

10:28:39 施設深部で勤務を実施していた第三群のサイト-786職員2名が第一機動部隊Bチームに救助される。入れ替わるように再進入を実施した職員を探査しにAチームがSCP-2664-JPに引き返してくる。Aチームがサイト-786に再進入する。

10:32:55 1名の負傷したサイト-786職員が救助場所から引き返して、SCP-2664-JPの直前で停止する。映像データ、並びにサイト所属職員の証言より、同サイトに勤務していたウェイブラー研究員であると確認されている。

10:33:20 ウェイブラー研究員がSCP-2664-JPを作動する。SCP-2664-JPによって5番廊下が完全に封鎖される。

10:32:35 ウェイブラー研究員がSCP-2664-JPの前で蹲り、体を震わせている。

10:34:17 サイト-786の内部から2分間に渡り、絶え間なく女性の悲鳴が観測される。分析の結果、10:25:41時点でサイト内に引き返した職員であるメアリー=ヨーゼフの声紋と一部が一致している。ウェイブラー研究員は耳をふさいだまま蹲っている。

10:37:28 サイト-786の内部から数度に渡り男性の叫び声が観測される。分析の結果、10:28:39時点でメアリー=ヨーゼフを追ってサイト-786へ再進入したAチーム2名の声紋と一部が一致している。ウェイブラー研究員は耳をふさいだまま蹲っている。

10:38:40 第二機動部隊6名が到着し、ウェイブラー研究員と会話をする。生存者無しと判断し、研究員の保護を実施した上で、機動部隊がカメラの画面外へ引き返す。


[記録終了]

上記のインシデントの終息後、評議会によるサイト-786の管理体制の見直しについての会議が実施されました。収容違反したオブジェクトの管理はサイト内に残存している、もしくは新規で開発された機械を用いる事で再収容が可能か同等の効果が得られる点を考慮し、また、1956年に制定された管理体制そのもののSCP-2664-JPへの依存度も同時に問題視され、サイト-786の全面的な改修が実施されることとなりました。

更に、SCP-2664-JPを無断で作動させたウェイブラー博士に対しての処分に関しての会議が実施されました。その過程で研究員に対して動機の判明を目的としたインタビューの実施が予定されていましたが、当人は回答の拒否を続けています。ウェイブラー研究員への処分は保留とされ、現在も拘留中です。

追記: アノン博士による映像分析、並びに他の関与職員への聞き取りにおける再審査の結果、ウェイブラー研究員が当時の上司であったスラグ博士の命令によってSCP-2664-JPを作動させた可能性が浮上しました。研究員に対し再度、インタビューの実施を試みた結果、以下のような回答が得られました。以下はその書き起こしです。

[前略]

あの日、私は第一群として機動部隊によって救助されました。その中には私だけではなく、上司であったスラグ博士の姿もありました。私たち二人はそのまま、救助場所に立てられたテントの中での待機を命じられました。

少し経ったとき、メアリーがどこかへ行くのがテントの入り口から見えました。恐らくサイト-786へと戻るのだと思いました。メアリーは数年間研究し続けていたオブジェクトに関する発表が控えていて、その研究成果が全てサイトのデータベースに取り残されたままであったから、だと思います。確証はありません。

それからまた少し経って、スラグ博士が目に見えてイライラし始めたのが分かりました。博士は異常物品に対して並々ならぬ嫌悪感を抱いており、そのストレスを日ごろから言葉やちょっとした嫌がらせとして、私たちにぶつけていました。もちろん、私たちは黙っていました。上司に、経験の長い者に付き従うのがここの掟だと、最初のオリエンテーションで聞いていましたから。

しかしその日は、スラグ博士の様子が日ごろに増しておかしかった。多分、収容違反という今まで博士がやってきた事全てをぶち壊すような事態になったのが、いっそう彼を駆り立てていたのだと思います。そして、たまたま一緒のテントの中にいた私は彼に暴力を振るわれました。負傷していたのはそのためです。

更に、それだけでは終わらなかった。スラグ博士は私に、これ以上の被害を出さないため、異常存在が外部に進出するのを避けるためにも、SCP-2664-JPを作動させるべきだと懇切丁寧に語りました。暴力を受け、心身共に疲労していた私は、深く思考することなく、それを受け入れてしまった。従わなければ、もっとひどい暴力を受ける事が分かっていたから、そこから逃げ出したくて仕方なかっただけかもしれません。

私は機動部隊の見回りをすり抜け、SCP-2664-JPを作動させにサイトまで戻りました。メアリーの事は、もう考えてさえもいませんでした。早くこれを終わらせて、それで、やっぱり、その後のことは考えられませんでした。オブジェクトを作動させました。しばらくそこから動けませんでした。

動けないまま蹲っていると、メアリーの悲鳴が聞こえました。その次に、機動部隊の方々の悲鳴が聞こえました。そこでようやく、自分のしたことの意味を理解しました。私はそれでも逃げる事も出来ずに、蹲ったままでいました。隔壁を開けるという選択肢はありませんでした。私はここでも逃げたのです。

そうして第二機動部隊の方が来ました。私は生存者は存在せず、これ以上の調査は無駄だと言いました。そして私は今この場所で罪の裁きを待って、いたはず、なんです。結局、ここでも、自分可愛さに上司を売って、私は、逃げ出した、のですね。

それなら、こんな私を、誰が裁いてくれるのでしょう。

[後略]

ウェイブラー研究員の証言に関連した調査の結果、スラグ博士はこの証言通りハラスメント的な態度を部下に示すことが多く、実際に職員への精神的な被害が確認されました。この結果を受けてスラグ博士は人格矯正プログラムの実施後、別サイトへの異動が決定しました。並びにウェイブラー研究員の拘留措置は解除され、職務へと復帰しました。なお、インシデントの状況証拠としての価値が存在するため、関係者各位への記憶処理は実施されません。


 
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