SCP-2665-JP
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SCP-2665-JP

アイテム番号: SCP-2665-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2665-JPの実例は現在、サイト-409 サイト-731のSRAパネルの配備された、標準生物飼育ユニットにて保護されています。当該オブジェクトへの給餌、並びに糞尿の処理等は全て自立型ロボットによって実施され、知的生命体のSCP-2665-JP実例への接触はいかなる状況でも認められていません。

SCP-2665-JPの実例は現在財団の管理下に存在している1個体以外にも、類似した異常性を有した個体が存在する可能性が、当該オブジェクトと同時に回収された文書(後述)より示されています。そのため、フィールドエージェントによる別個体の捜索が現在も続けられています。

説明: SCP-2665-JPは知的生命体の因果律に干渉可能である、限定的な現実改変能力を有したルリビタキ(Tarsiger cyanurus)です。遺伝子情報の95%はルリビタキ由来ですが、残りの3%はジュウイチ(Cuculus fugax)、2%は複数の動植物を含む改造を受けていると推測されています。当個体はGoI"グリーン・スパロウ財団"の機密実験所への立ち入り調査を実施した際に、複数の異常生物と同時に回収されました。また、その際に以下のようなメールデータが発見されており、GoI"マナによる慈善財団"の関与も示唆されています。

SCP-2665-JPは知的生命体によって直接的な接触が行われることによって、異常性を発現させます。

異常性の第一段階として、SCP-2665-JPに直接的な接触を実施した知的生命体(以下:対象)の周辺において、異常なヒューム値の変動が不定の秒数確認されます。変動の値は後述する対象を中心とした相互的関係性によって差が確認できます。

第二段階に移行すると、対象の相互的関係性の内部から1つの関係性が恋愛関係、もしくはそれに追随するものに現実、過去改変が実施されます。その際、関係性の変更に応じたエピソード記憶の追加等も確認されています。結果として対象と関係性の変化した知的生命体は、一切の疑問を有することなく、変化した関係性に従事するような行動を取るようになります。この際、記憶処理で過去改変によって生じたエピソード記憶を消去した場合でも、再び関係性に対して整合性を取るようなエピソード記憶の追加が確認され、相互的関係性の解消は認められませんでした。

異常性の最終段階は変化した相互的関係性について、生殖行為が可能である場合のみ発現します。対象と関係性の変化した知的生命体が生殖行為を実施し、どちらかが妊娠した場合、その子どもは第二段階で観測可能なヒューム値の変動の差に応じた強度の現実改変能力を保有するようになります。当オブジェクトの詳細な異常性の記録に関しては、下記の実験記録-2665-JPをご覧ください。

実験記録-2665-JP


目的: SCP-2665-JPの因果律への干渉に伴う、現実改変能力の強度の調査、並びに異常性の詳細の把握。

投入人材: Dクラス職員を主とした、インシデントによる接触を含む4名。

実験方法: 投入人材による直接的なSCP-2665-JPへの接触。その際、カント計測器によるヒューム値の変動の記録、並びにSRAパネルによる現実改変能力の妨害を実施する。


実験番号 投入人材 関係性の変化した人物 詳細
2665-α D-9988 D-76774 SCP-2665-JPにD-9988を接触させた所、装備していたカント計測器から0.8~1.3Hm/mの間隔で20秒のヒューム値の変動が確認された。結果として同サイト内でDクラス職員として勤務していた、D-76774との関係性の変化が生じた。第二実験としてDクラス2名を同じ部屋にて生活させた結果、その2ヵ月後に妊娠。誕生した子どもは微弱ながらヒューム値の変動を自発的に行う事を可能としていた。D-76774への不妊手術を実施済。
2665-β D-22233 ハナイシ研究員 SCP-2665-JPにD-22233を接触させた。その際、D-22233の周囲を小型のSRAパネルを設置した状態で実験を実施した。カント計測器において0.95~1.15Hm/mの間隔で10秒ヒューム値の変動が確認された。結果として実験の補佐をしていたハナイシ研究員との関係性の変化が生じた。第二実験として同名を同じ部屋で生活させた結果、その1ヵ月後に妊娠。誕生した子どもは殆ど非異常性に近い個体であった。そのため、SCP-2665-JPの現実改変、並びにそれに伴う現実改変者の誕生に対してのSRAパネルの有用性が確認された。ハナイシ研究員への不妊手術を実施済。
2665-Ω ウェイブラー研究員 コニー・デイビス 旧収容サイト-409へのカオスインサージェンシーの襲撃に伴い、オブジェクトの緊急輸送のために接触。ヒューム値の変動間隔は不明。コニー・デイビスは数年前に異常物品の回収のためにウェイブラー研究員とインタビューを実施した一般人という関係性であった事は特筆すべき事項である。仮説に基づき、財団による両名の関係性への妨害が実施されましたが、5ヵ月後に妊娠が判明。堕胎行為自体がコニー・デイビスの生命危機に関わるとして、評議会の判断により、誕生した子どもはサイト-298によって収容、並びに経過観察の上で第二次判断がなされる事で決議された。コニー・デイビスには記憶改竄措置、並びに不妊手術を実施した上、監視を付けた上で一般社会へ解放された。

補足: 実験で誕生した個体のうち、特に収容コストの低いものは終了せずに経過観察という形で収容措置が実施されています。


以下はD-9988を用いた第一実験において誕生した児童への施設でのインタビューの一例です。

回答者: SCP-2665-JP-α(便宜上。実際には本名であるベイカーと呼称)

質問者: アデリー保育士

前書: SCP-2665-JP-αは無自覚的なヒューム値の変動により、先天的に免疫力を向上させる能力を獲得している。そのため、財団の収容施設において自身の現実改変能力について伝えた上で経過観察中である。

<記録開始>

アデリー保育士: それじゃ、ベイカー君の将来の夢を聞かせてもらおうかな。

SCP-2665-JP-α: うん。僕はみんなを助けたい!

アデリー保育士: みんなを助けたい、ベイカー君は良い子ね。例えば、どんな風に?

SCP-2665-JP-α: 僕は、病気にならないって先生言ってたよね。

アデリー保育士: そうね。あなたはとっても健康な子なの。

SCP-2665-JP-α: だから、みんなに分けてあげたいの。

アデリー保育士: その、病気にならないのを?

SCP-2665-JP-α: うん!

アデリー保育士: 凄くいいと思うわ。みんなが病気にならなくなるのは、素敵なことね。

SCP-2665-JP-α: 外の人にも、みーんな!

アデリー保育士: [10秒の沈黙] 待って、外の人?

SCP-2665-JP-α: うん。鳥さんが教えてくれたの。困ってる人がたくさんいるよって。

アデリー保育士: それは [サイト-731に連絡] ええ、はい。異常な言動が確認されています。至急、担当者への連絡を。

SCP-2665-JP-α: 早く色んなところに行けるようになりたいな。

<記録終了>


終了記録: SCP-2665-JP-αの発言より、SCP-2665-JPには未知の異常性が存在する可能性が示唆されました。引き続き詳細なインタビューを継続的に実施すると共に、当該オブジェクトの実験の凍結、並びに影響を受けた児童の監視体制の強化が決定されました。

補遺: 2004/06/01、実験2665-JPにおいて誕生し、財団によって保護されていた児童が各管理施設の屋上から飛び降りるというインシデントが発生しました。インシデント発生直前にそれぞれの屋上においてヒューム値の変動が確認されており、発見時の児童の様相から、現実改変能力を行使したと推測されています。以下は各児童に関する状態のリストです。

対象 発見時の状態 現状
SCP-2665-JP-α 外見上の変化無し。後の解剖調査により、肝臓部の変形、縮小が確認された。 頭部への外的損傷により死亡。
SCP-2665-JP-β 特筆点無し。 頭部への外的損傷により死亡。
SCP-2665-JP-Ω 両脚部、左腕、右腕の一部、右眼がそれぞれルリビタキの適応する部分1に酷似した状態に置換された形態で発見。また、右脳の縮小と胃部の変形が後に確認された。 肋骨から内臓部へかけての重大な損傷。収容サイト-298にて治療中。
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