SCP-2690-JP
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オーギュスト・ロダン作『地獄の門』

アイテム番号: SCP-2690-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 民間人による接触を防ぐためSCP-2690-JPへアクセス可能なシャフトの入り口に警備員1名を駐留させます。SCP-2690-JPに進入する職員には携帯型スクラントン現実錨(Scranton Reality Anchor)の所持が義務付けられます。SCP-2690-JP-1から半径10mの位置に12基のSRAを等間隔で設置して下さい。SCP-2690-JP-1に対する封鎖の試みは結果として引き起こされる事象が予測不可能であり、現行の収容体制を維持することが容易であるため予定されていません。

空想科学部門による付記

収容覚書: SCP-2690-JP-Aは確保・収容・保護の対象に含まれず、個体ごとにナンバリングされず、個別に詳細を記録されず、探索されず、実験されず、インタビューの対象と見なされません。SCP-2690-JP-Aは基底世界へ存在する権利を持たないため、SRAによってその存在を希釈され、記録と記憶から完全に抹消されます。

説明: SCP-2690-JPは静岡県立美術館の収蔵庫1内に設けられた深度60mの蓋付きシャフトからアクセス可能な地下空間です。SCP-2690-JPは内部の現実性2が0.1Hmである点を除き顕著な異常特性を示しません。

SCP-2690-JP-1はSCP-2690-JPの中央に存在するブロンズ製の門です。外観はオーギュスト・ロダン作『地獄の門』と酷似していますが、SCP-2690-JP-1とオーギュスト・ロダンの関連性は同氏に関する遺品/記録の調査結果から否定されています。SCP-2690-JP-1の上部に記されている銘文の内容は『地獄の門』とは異なります3。SCP-2690-JP-1は構造解析によってポータルとしての機能を有すると判明していますが、カント計数機による現実性の測定結果が下限値を下回ったため、接続先に対する探査は中止されました。後述するSCP-2690-JP-Aの特徴は接続先の環境に由来していると推測されています。

SCP-2690-JP-AはSCP-2690-JP-1から放出される異常存在群の総称です。現在確認されているSCP-2690-JP-Aには異常な実体、場所、概念構造が含まれています。放出後のSCP-2690-JP-AはSCP-2690-JP内から外部への移動を試みます4。移動に成功したSCP-2690-JP-Aは即座に消失し、ランダムな収容施設に報告書及び関連記録を伴って再出現します。報告書及び関連記録には既知の人物・施設・機材についての記述が存在し、それらは記録上の明確な矛盾を含んでいたとしても出現した施設内の職員に違和感なく受け入れられます。再出現したSCP-2690-JP-A、報告書及び関連記録は、そこに記述された人物・施設・機材と共に72時間後に消失します。SCP-2690-JP-AをSCP-2690-JPからの移動以前に収容する試みは、関連する全ての人物・施設・機材、SCP-2690-JP-Aの報告書及び関連記録の消失という結果に終わりました。再出現後および移動以前に収容され消失したSCP-2690-JP-Aが再度発見された事例は存在しません。空想科学部門は消失事象とSCP-3309の類似性を指摘しています。SCP-3309との相違点として、SCP-2690-JP-Aの報告書及び関連記録は以下の特徴を有している場合があります。

  • 異常存在への理解に基づいた適切な収容手順が採用されている。
  • 将来的にK-クラス世界終焉シナリオを引き起こす可能性が極めて低い異常存在について記述している。
  • 文書には不適切な記述、書式及び文法上の誤り、論理破綻が殆ど含まれていない。

SCP-2690-JP-Aに共通する特徴として極めて低い現実性強度が挙げられます5。SCP-2690-JP-AはSRAが形成する1.0Hmの現実性力場内で存在を維持できず、保有する異常性や質量に関係なく急速に希釈され消失します。現実性力場への曝露によって消失したSCP-2690-JP-Aが再出現した事例は確認されていません。SCP-2690-JPからの移動後に再出現したSCP-2690-JP-Aはこれらの特徴を有していません。

発見: SCP-2690-JP及びSCP-2690-JP-1は2017年12月23日に静岡県南部で検知されたヒューム値変動の調査中に発見されました。SCP-2690-JP-1は当初閉鎖されていたものの、周辺を調査していた職員の1人が接触した瞬間に開放されました。SCP-2690-JP-1の開放と同時に放出されたSCP-2690-JP-Aは、直後に職員の所持していた携帯型SRAの形成する現実性力場に接触したことで希釈され消失しました。発見時のSCP-2690-JP内には財団の記章が刻印された総数不明の墓石、用途不明の機材、「プロジェクト・ルーン」「論理安定指数の不足」「オペレーション・ディガップ(Dig up)」と題された資料などが確認されていたものの、それらはSCP-2690-JP-1の開放と同時に消失しました。

補遺1: 事案記録2690-JP(2018/02/28)

予定されていたSRAの交換作業6中に17名の作業員がSCP-2690-JP-1に殺到しました。作業員は2手に別れ門扉の閉鎖を試みましたが、複数のSCP-2690-JP-Aが妨害を行ったため失敗し、駆け付けた機動部隊た-5("腐卵衆")により拘束されました。作業員に対する検査の結果は彼らが如何なる類のミーム汚染・認識災害・精神影響・記憶影響に曝露していないと示しました。

音声記録2690-JP


あの作業中に俺たちがあんな事をした理由を話す。まず俺の事なんだが、俺は現実錨関連の技師で普段はメンテナンスや交換作業に携わっている。SCP-2690-JPには定期オーバーホールの前にやる交換作業の為に招集されて、同僚たちと地下空間に入った後はいつも通りに気を引き締めて仕事をこなしていった。作業の内容はSRAメンテナンスマニュアルに載ってる交換手順そのままと考えてくれて良い。

作業中は皆なるべくSCP-2690-JP-1の方を見ないようにしていた。おっかない見た目のアノマリーに驚いて大事故なんて冗談じゃない。ただやっぱり気になっていたんだろう、休憩中は皆が横目でSCP-2690-JP-1を見ていた。別に禁止されているわけでもないしな。眼に入ったのはハッキリ言って地獄のような光景だった。SCP-2690-JP-Aたちは千差万別の外見で例えば[空想科学部門により検閲]、だけどそのどれもが溶けて崩れて消えていくんだ。あれを見れば誰もが等しく同情の念を抱くという確信がある。これを記録し終えたらすぐにでも記憶処理を受けてしまいたい。

休憩を終えて作業を再開しようって時に、誰ともなく機材を床に置いてSCP-2690-JP-1に近付き始めた。強制されてるとか操られてるとかそんな感じはなく、自分の意思に従っているようなしっかりとした足取りで。俺もその中の1人に過ぎなかった。あの時はただただSCP-2690-JP-Aに対する憐れみだけで動いていた気がする。あいつらは門から出て来て何かを成す間もなく希釈されて消えるだけ。あまりにもあんまりじゃないか。だから俺たちはあの門を閉じようとした、なのに邪魔されちまった。しかも俺たちを止めようとしたのは厳つい機動部隊の連中だけじゃなかった。あの場にいた誰よりも必死だったのはSCP-2690-JP-Aたちだった。溶けながら崩れながら、それでも門扉を閉じさせまいとした奴らの気持ちを理解できない。

閉鎖を試みた全ての作業員が類似の証言を行ったため、将来的な収容プロトコルの改定(主にSCP-2690-JP-1、SCP-2690-JP-Aの目視を禁ずる旨の追加)が予定されています。事案以前にも複数の職員がSCP-2690-JP-1、SCP-2690-JP-Aを目視していたにも関わらず問題が発生していなかった点、再現実験において同様の事態が発生しなかった点を考慮し収容プロトコルの改定は見送られました。

補遺2: SCP-2690-JP-1の上部に記されている銘文

我を過ぐれば忘却の都あり、
我を過ぐれば永遠の憤怒あり、
我を過ぐれば失望の民あり

使命はわが造り主を動かし、
大いなる犠牲、比類なき意志、
神の双子として、我を造れり

造り主は我より先に二振りの槍を
造られし、しかしてわれ槍に及ばず、
汝等こゝより出るもの一時の希望に縋れ

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