SCP-2696-JP
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SCP-2696-JP(民間人により撮影)

アイテム番号: SCP-2696-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2696-JPの収容はその性質上困難であるとされています。SCP-2696-JPの出現が確認された場合、目撃者および関係者に対する記憶処理と適切なカバーストーリーの流布が行われます。また、SCP-2696-JPの早期発見を目的として、財団ウェブクローラ("Stella")によるインターネット上の監査が行われます。インターネット上にてSCP-2696-JPに関連する情報が確認された場合、該当情報をアーカイブ・削除したうえで投稿者の特定を行います。

説明: SCP-2696-JPは爆発物を使用した際に低確率で出現する人型実体です。自らを「コリー・ブロー」1と呼称しており、外見は標準的なヒト男性のものに類似しています。また、思考・運動能力も平均的な成人男性のものと同一であることが明らかになっています。後述の点を除き、SCP-2696-JPに異常な点は存在していません。

SCP-2696-JPは爆発物2の起動を行った地点に出現します。出現時の様子からSCP-2696-JPはクラスⅢ相当の空間転移能力を保有していると推測されています。出現後、SCP-2696-JPは爆発物が爆発した地点に存在する煙3に関連する発言を行います。その発言の多くは「あの雲はキノコ雲4と呼ばれているが、その名称は間違っており、正しくはブロッコリー雲と呼称すべきである」という旨のものとなっています。この際、SCP-2696-JPに対する呼びかけを行うことにより、対話を行うことが可能です。

SCP-2696-JPは一定時間(5〜10分)が経過すると同時に消失します。消失後のSCP-2696-JPの行方を追跡する試みは機材の不調によって全て失敗しています。また、一度消失した場合、再度出現するまでに1日以上のインターバルが存在していることが明らかになっています。このことから財団はSCP-2696-JPの異常性について何らかの制約が存在していると推測しています。

補遺2696-JP.1: 発見

SCP-2696-JPは2012/03/16にサイト-56の第2実験室に出現したことを契機として財団に補足されました。当時、サイト-56の第2実験室では爆発性を持つアノマリーの実験を行っており、室内にはアノマリーの爆発に由来する煙が存在していました。当時、財団は実験にて用いていたアノマリーの有する未知の異常性によって人型実体が発生したと推測していましたが、その後の検証において該当アノマリーと出現した人型実体が無関係であることが明らかになり、結果として別個にナンバリングされることになりました。

その後、財団は性質の解明を目的として複数回の実験・検証・調査を行いました。その結果として現在のSCP-2696-JPの性質が明らかになっています。また、それ以外にも民間の研究機関などにおいてもSCP-2696-JPが出現していたことが明らかになりました。これを受けた財団は隠蔽作戦の一環として関連企業に対するカバーストーリー「集団幻覚」などの流布を行いました。現在運用されている特別収容プロトコルは、SCP-2696-JPの性質とこれらの事案を加味して制定されたものであることに留意してください。


補遺2696-JP.2: 対話記録

2013/06/21、サイト-24の第5実験室にてSCP-2696-JPが出現しました。当時、サイト-24の第5実験室では爆発物を用いた実験が行われており、これを感知したことによってSCP-2696-JPが出現することになったと推測されています。この際、該当する実験の担当者であったスミス博士はSCP-2696-JPに対して対話を持ちかけました。以下はSCP-2696-JPとの対話時に記録された音声の転写です。

音声記録2696-JP.1
Record 2013/06/21

話者:

  • SCP-2696-JP
  • スミス博士

«記録開始»

スミス博士: それで、あなたは何故あの雲のことをブロッコリー雲と呼ぶんですか?

SCP-2696-JP: そりゃ、形がブロッコリーに似てるからですよ。下が細くて、上が爆発するように広がってる。そんな物体はブロッコリーしかありませんから。キノコなんてよく分からないものよりも、ブロッコリーっていう見知った野菜の方がしっくり来るでしょ?

スミス博士: 別にしっくり来るわけではないですね。私としては、形が同じならどちらでもいいのではないかと思います。それに、キノコ雲という呼び方で慣れてしまっているので、どちらかと言えば違和感を感じますね。というか、そもそもあれはキノコ雲ではないと思いますけど、その辺りはどうなんでしょうか?

SCP-2696-JP: そんなの分かんないよ。それにキノコってまだまだ分かってないことが多い、言っちゃえば得体の知れない物体なのに。気持ち悪くないの? 変な弾力もあるし、本当にこの世のものなのか疑っちゃうんだけど。それに食べれるのと食べれないのがあるし。

スミス博士: 気持ち悪くはないですね。キノコが嫌いな人からしたらそうなのかもしれませんが、私は特にそういうわけではないので。野菜だって食べれないものはありますし、そういった意味ではあまり変わりはないのかと思いますが。

SCP-2696-JP: めちゃくちゃ変わるよ? だってよく分かんないものを口に入れたいとは思わないじゃん。じゃあ、あなたは道端に生えてる名前も知らない雑草を茹でて口に入れるの? ペットの小便とか泥とか虫の死骸とか気持ち悪いものがついたやつを?

スミス博士: 流石に雑草は食べませんが。

SCP-2696-JP: でしょ? それと同じなんだよ。ブロッコリーは色々なことがわかってて、ちゃんと調理すれば食べれる。ブルームのお陰で汚れも付かないし、基本的には道端に生えたりすることもない。安心安全の食材だからこそ、色々な場面で使うべきだと思うんだよ。

スミス博士: 例えば?

SCP-2696-JP: キノコ雲のことをブロッコリー雲って呼ぶのは当然として、マッシュルームヘアのことはブロッコリーヘアって呼ぶべきかな。それにキノコ狩りはブロッコリー狩りって呼ぶべきだと思うよ。あんな得体の知れないものを狩って食べるくらいなら、安心安全の環境で育てられたブロッコリーを食べた方が体にいいと思うんだ。キノコは毒を持ってるのもあるし、何より菌類だからね。

スミス博士: 前者2つはまあ意味が通るかもしれませんが、後者1つは意味合いが変わってくるのではないですか?

SCP-2696-JP: そうだけど、別によくない? どうせブロッコリーの方が優れてるんだし。優れてる方を選択するのは人として当然だと思うよ。あなただって、ガラケーよりスマホを使う方がいいでしょ? タップして操作できるってのは直感的で優れてるからね。

スミス博士: それとこれとは話が違うのではないですか?

SCP-2696-JP: そうかな? よく分かんないや。でも言えるのは、ブロッコリーはとてつもなく優れているってことくらいかな。優れているからキノコに変わって使われたり食べられたりするべきだし、何より美味しいし。あとキノコのカサの裏ってキモイじゃん。見るだけで吐きそうにならない?

スミス博士: それはあなたの価値観ではないのですか?

SCP-2696-JP: そんなことないよ! 僕の友達5だって「ブロッコリー最高!」とか「キノコはキモい!」って言ってたし、みんなそう思ってるんだと思うよ。

スミス博士: ……分かりました。

SCP-2696-JP: 分かったならよし。これからはキノコ雲のことをブロッコリー雲って呼んでくれると僕としては嬉しいな!

スミス博士: 善処します。

SCP-2696-JP: やったー!

«記録終了»

終了報告書: 本記録の終了から1分後にSCP-2696-JPは消失しました。また、上記の記録内容からSCP-2696-JPはブロッコリーに対する強い執着心を有している可能性が示唆されています。


補遺2696-JP.3: 出現記録

以下はSCP-2696-JPの出現とその際の状況に関する記録の一部抜粋です。記録の全容については別途資料(資料コード2696-JP-7)を参照してください。

出現記録2696-JP.1

日時: 2012/09/08

地点: 日本国宮城県仙台市

状況: 当時、該当地点ではガス爆発が発生していました。

詳細: SCP-2696-JPは出現後、現場に存在している爆発由来の煙を指差しながら「すげえ爆発じゃん。ブロッコリー雲もでかいし、中々の規模なんじゃないかな」と発言していました。その5分後にSCP-2696-JPは消失しています。なお、現場に存在していた民間人らに対してはカバーストーリー「変わった野次馬」を流布しています。

出現記録2696-JP.6

日時: 2013/07/14

地点: アメリカ合衆国コネティカット州

状況: 当時、該当地点では爆発物を所持した人物によるテロ行為が行われていました。

詳細: SCP-2696-JPは出現後、現場に残存していた爆発物を視認しながら「ありゃ相当大きなブロッコリー雲が出来上がるぞ」や「爆発テロなんてキノコ野郎のすることだな」などの発言を行いました。その3分後にSCP-2696-JPは消失しています。該当のテロ行為に関する情報はSCP-2696-JPに関する隠蔽活動の過程で一般社会から抹消されています。

出現記録2696-JP.14

日時: 2014/08/07

地点: 日本国青森県青森市

状況: 当時、該当地点では青森ねぶた祭りの一環として花火の打ち上げが行われていました。この際に花火の打ち上げに失敗し、小規模な爆発事案が発生したことが確認されています。

詳細: SCP-2696-JPは出現後、打ち上げられた花火を眺めながら「風情のある光景だ」や「ブロッコリー雲もよく映えている」などの発言を行いました。その6分後にSCP-2696-JPは消失しています。また、出現したSCP-2696-JPは浴衣と下駄を着用しており、扇子と思しき物体を所持していました。後に行われた調査により、これらの物品は地域の商店から盗まれたものであることが明らかになっています。当該事案について財団はカバーストーリー「はた迷惑な酔っ払い」の流布を行っています。

出現記録2696-JP.19

日時: 2015/02/01

地点: イギリス、ロンドン

状況: 当時、該当地点では民間人が自身の頭髪を変更することを目的として加熱機材を使用していました。しかしながら加熱機材は故障し、結果として小規模な爆発が発生したことが明らかになっています。なお、これにより民間人の頭髪はアフロヘアーと呼称される状態になりました。

詳細: SCP-2696-JPは出現後、民間人と故障済みの加熱機材を交互に視認しながら「ブロッコリー雲だけじゃなくてブロッコリーヘアも見れるとは」や「危ないから今度は床屋に行くんだぞ」などの発言を行いました。その2分後にSCP-2696-JPは消失しています。また、出現したSCP-2696-JPはサングラスとアロハシャツを着用していたことが明らかになっています。これらの衣類・装飾品の出処は明らかになっていません。当該事案について財団はカバーストーリー「変質者」の流布を行いました。



補遺2696-JP.4: 事案記録

2015/04/06、サイト-81-109の第1実験室にてSCP-2696-JPが出現しました。この際、SCP-2696-JPは通常通り「キノコ雲という名称は間違っており、正しくはブロッコリー雲と呼称するべきである」旨の発言を行いました。しかしながら、その1分後に多数の女性的特徴を有する人型実体の出現が確認されました。この実体(SCP-2696-JP-1に指定)はSCP-2696-JPに対して「ブロッコリー雲という呼称も間違っている」という旨の発言を行いました。その後、SCP-2696-JPとSCP-2696-JP-1は5分間に渡って会話を行い、その1分後に消失しました。以下はSCP-2696-JPとSCP-2696-JP-1の会話内容を記録した音声の一部抜粋です。

音声記録2696-JP.2
Record 2015/04/06

話者:

  • SCP-2696-JP
  • SCP-2696-JP-1
  • 加藤博士6

«記録開始»

SCP-2696-JP: ブロッコリー雲って呼び方が間違ってるって、どういう意味ですか。

SCP-2696-JP-1: その通りよ。ブロッコリー雲という呼び方はナンセンス。言ってしまえば品性に欠ける呼び方なの。

SCP-2696-JP: じゃあなんて呼ぶのが正解なんだ?

SCP-2696-JP-1: カリフラワー雲よ。

SCP-2696-JP: は?

SCP-2696-JP-1: カリフラワーって美しいでしょう? どこぞのくすんだ緑色の野菜とは違って真っ白で品性があると思いません? キノコ雲がナンセンスなのは当然として、ブロッコリー雲もそれに並ぶくらい品性のない呼び方だと思うの。

SCP-2696-JP: お前、邪道過ぎないか? カリフラワーなんてブロッコリーのパチモンの名前を呼ぶわけないでしょ。

SCP-2696-JP-1: 偽物はそっちよ。あの白さ、上品な佇まい。あれは偽物に出せる美しさではありませんから。逆にブロッコリーこそ汚らしい色をしているし、偽物だと思うんだけど?

SCP-2696-JP: は? そんなことないだろ。鮮やかな深緑は野菜ならではのものだし、素朴な美しさがあると思うんだけど? だから、あれはブロッコリー雲って呼ぶべきなんだって。

SCP-2696-JP-1: 小うるさいわね。あれはカリフラワー雲なの。マッシュルームヘアはカリフラワーヘアだし、キノコ狩りもカリフラワー狩りにすべきだと思いますよ?

SCP-2696-JP: くそ、埒が明かない。

SCP-2696-JP-1: それはこっちの台詞よ。

加藤博士: あの。

SCP-2696-JP: なんですか。

SCP-2696-JP-1: 今忙しいんだけど。

加藤博士: おふたりが議論している中申し訳ないのですが、あれはブロッコリー雲でもカリフラワー雲でもなく、キノコ雲です。ほら、形がキノコに似てるでしょう? だから──

SCP-2696-JP: [遮る] それはない。

SCP-2696-JP-1: ナンセンスよ。

加藤博士: そう言われましても。

SCP-2696-JP-1: 第一、キノコって気持ち悪くないかしら。

SCP-2696-JP: そうだ。そんなやつの名前を使うのはどうかしてるよ。

加藤博士: ええ……。

[以降、SCP-2696-JPとSCP-2696-JP-1は2分間に渡って"キノコは気持ち悪いものである"という旨の発言を行った]

«記録終了»

終了報告書: 上記内容から、当該事案にて出現した女性的特徴を有した人型実体とSCP-2696-JPの間に何らかの関係性が存在している可能性が示唆されました。現在、SCP-2696-JP-1に対する調査が実施されています。

当該事案が発生して以降、SCP-2696-JPの出現に付随してSCP-2696-JP-1が出現するようになりました。なお、SCP-2696-JPとSCP-2696-JP-1は出現すると同時に「キノコ雲はブロッコリー雲と呼ぶべきかカリフラワー雲と呼ぶべきか」という内容の口論を行っていることは特筆に値します。

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