SCP-2702-JP
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アイテム番号: SCP-2702-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2702-JPの存在する周辺地域の土地権利は財団所有のフロント企業が所有し、全ての住宅に一般人に変装したエージェント、機動部隊、研究員を配置してください。

SCP-2702-JPの内部調査計画は現在保留されており、1000m以降の侵入は推奨されていません。POI-2702-JPの動向は現在も調査中であり、出現の兆候が確認された場合は対象区画に機動部隊を配置の上、厳戒態勢で待機させてください。

SCP-2702-JP内から出現する新たに発見されたSCP-2702-JP-1個体は随時捕獲し、サイト-81██の異常生物収容区画へと移送してください。攻撃的、または大量に発生するSCP-2702-JP-1個体に関しては在中する機動部隊によって武力制圧し、飛散した組織片に対しても火炎放射器等を用いた焼却処分を行ってください。

説明: SCP-2702-JPは██県██市██町郊外の一般住宅内に存在する異常空間です。SCP-2702-JPは非活性状態では両開きの扉に閉じられており、それを開放し内部に何らかの生命体が侵入することで異常性が発現します。SCP-2702-JPの状態は目視出来る範囲では直線状の廊下の様子を呈していると思われますが、レーザーポインターによる距離測定でも測定不能の数値を示すため最深部の状態は未だ不明です。現在は後述する複数の生体組織および生命体(以下、SCP-2702-JP-1とする)の存在やSCP-2702-JPを構成する壁面への癒着によりその正確な実態の把握は今だ出来ていません。

SCP-2702-JPは内部への進行距離に応じて生命体の細胞組織の組成や各個体としての形態、生体的構造を変化させます。以下は進行距離で見た状態変化をまとめた一覧です。

進行距離と状態変化のリスト
進行距離 変化内容
約10m 身体機能の改善。主に疾患がある箇所の治癒や損傷個所の修復が行われる。動体視力や感覚器官の機能向上、神経伝達の速度向上、筋組織の密度など直接的な身体構成の増強などが見られる。
約50m 全身の細胞変化。変化した細胞の性質から癌細胞と似た機能を有していると思われるが、正常な細胞を過度に侵食することはなく接触した細胞を緩やかに置換していく。これにより細胞分裂による細胞の劣化が防がれ、一種の不老状態へと移行する。それに伴い脳を構成する細胞の変化による事実上の機能障害が生じる傾向があり、記憶の混濁や言語能力の喪失、知能指数の低下などが顕著に見られる。
約100m 身体の形状変化。四肢の増加や感覚器官(眼球、耳、鼻腔など)の増加、複数の生命体の特徴、内部組織の変異や増殖、見た目上の身長や体重の増加が見られるようになる。これらは侵入した生命体のゲノム変化が主な原因であると思われるが、通常これらの変化に伴って組織崩壊が起こると予想されているにもかかわらず侵入した生命体は生命活動を維持する様子が観察できる。
約500m 組織の分離。組織崩壊とは異なり生体から身体の一部が分離するようになり、さらに分離した生体から独立した生命体が発生するようになる。この段階で出現した生命体は様々な形態をとり、哺乳類、爬虫類、昆虫類、植物類と似た特徴を有しながら生殖と捕食といった生物としての活動を繰り返すようになる。この時点で新たな生態系の形成が行われる。
約1000m 主に各距離に応じた形態変化、組織変化を可能にする個体へと変化する。しかし、大抵の生命体はこの地点に到達する以前に全身の組織が分離し個体としての形状を維持できなくなるため、現状明確な変異傾向は明らかとなっていない。現在、この地点に到達したSCP-2702-JP-1はPOI-2702-JPと同行している個体のみで、それ以外は観測されていない。
1000m以降 計測不能

SCP-2702-JP内で生命体が長期間滞在した場合、激しい頭痛、眩暈、吐き気、感覚麻痺等の症状がみられるようになり内部からの脱出を試みるようになります。これらの行動は不可視の障壁により防がれ、SCP-2702-JP外部から受ける何らかの作用(外部から対象を引っ張るなど)を受けない限り脱出は不可能です。しかし、600mから1000mに到達したSCP-2702-JP-1に関しては例外的にこの影響を受けなくなる事が判明しており、時おり該当する状態に至ったSCP-2702-JP-1が外部へと侵出してくる事案が複数回確認されています。

前述したSCP-2702-JPの異常性に関する説明はPOI-2702-JPが残した記録を元に構成されており、後に行った臨床実験により全て立証されています。しかし、現在SCP-2702-JPの周囲及び内部は多数の植物型SCP-2702-JP-1により覆われ、一部の敵対的な動物型SCP-2702-JP-1による妨害などにより調査が難航しています。

補遺1: SCP-2702-JPは1995年█月██日に行われた異臭に関する通報によりその存在が明らかとなりました。この異臭の原因はSCP-2702-JP内及び周囲で増殖した多種多様なSCP-2702-JP-1によるものであり、現在これらの発生に関わったのがPOI-2702-JP(本名:梁野はりの 孝和)であると推測されています。SCP-2702-JP-1の元になったと思われる存在に関してはPOI-2702-JPの残した研究レポートから対象の妻である梁野はりの 佐代子氏であると思われ、捕獲したSCP-2702-JP-1からも一部変質した同型の遺伝子情報を持った組織が確認されています。

財団調査部による調査結果では、POI-2702-JPは19██年に██大学の細胞生物学の非常勤講師に就任し、就任の約3年後に違法な人体実験を行ったとして起訴。懲役5年の実刑判決を受け、懲戒免職処分されていた事が判明しています。なお、離職後の動向は一切判明しておらず、POI-2702-JPがどの様な経緯でSCP-2702-JPが存在する家屋を購入したのかも未だ明らかとなっていません。

POI-2702-JPは現在もSCP-2702-JPの最深部に潜伏している事が判明しており、過去2回、財団機動部隊と接触が確認されています。

以下はPOI-2702-JPが残したSCP-2702-JPに関する研究レポートの抜粋です。

補遺2: 現在、POI-2702-JPは1995年█月██日と199█年██月██日を合わせた2度の出現事案を発生させており、その都度、SCP-2702-JP侵入部近くに在中していた機動部隊と戦闘を行っています。これによる死傷者は今までに計20名確認されています。

POI-2702-JPは現在スーツの上に半透明の防護服を着用しており、背中に背負った酸素ボンベとチューブで接続したガスマスクを着用した状態で存在しています。また、酸素ボンベとは別に背負っている金属製のケースには小型化させたSCP-2702-JP-1を収納しており、時折それを解放しかつ延長させたSCP-2702-JPの各部位を自身の腕や足に装備することで敵対存在からの防御や攻撃、立体的軌道の補助や高速移動の補助に利用しています。SCP-2702-JP-1自体も自身の形態を自在に変化させる事が可能であり、時折POI-2702-JPから独立して戦闘に参加しPOI-2702-JPを支援します。また、分離させた細胞を周囲に散布させ周辺環境を変異させることで様々な影響を及ぼします。

POI-2702-JPは時折装備している試験管に保管されたSCP-2702-JP-1から分泌されるフェロモンや植物型SCP-2702-JP-1の種子を用いて、それぞれを使役または利用します。現在これらの装備で主に確認されているSCP-2702-JP-1生体は、全長30㎝の昆虫型、爆発的な成長をする樹木型、小型でかつ2足歩行の肉食型(主な機関は口部のみ確認)の3種類が該当します。

以下はPOI-2702-JPとの戦闘時に記録された音声記録です。

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