SCP-2710-JP
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アイテム番号: SCP-2710-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2710-JPを中心とした収容施設、サイト-81██を建設しSCP-2710-JPが月を感知出来ないよう努めてください。SCP-2710-JPの収容室は衝撃吸収ゴム素材と耐火ゴム素材で構成されます。何らかのトラブルにより「射精イベント」が開始された場合、収容室内部の職員は直ちに避難し、カバーストーリー「予行練習」を流布してください。この手順は収容室内部のみで「射精イベント」が終結した場合には省略されます。

事案1の発生によりプロトコル"無駄撃ち"が制定されました。担当職員は当プロトコルの詳細を把握し実施してください。

説明: SCP-2710-JPは██県██市に存在する全長約1.8 mの巨大な陰茎です。地面から突出するように存在しており、2つの同じく巨大な約0.5 mの陰嚢が付随しています。陰嚢全体には陰毛が多く存在しており、度々先端が上下に動きます。SCP-2710-JPの外観はその大きさを除けば一般的なモンゴロイド男性の物のように見え、メラニン色素の配合割合の検査結果でもそれを裏付けています1。SCP-2710-JPが位置する地面下には何も存在しないことがエコー検査により判明していますが、SCP-2710-JPは不明な原理によって地面との高い結合性を有しており、現在地点より移動させて収容する試みは成功していません。

SCP-2710-JPは、日中は地面に垂れるような体勢を維持しており、それ以上の活動は見られません。しかし、時間帯が夜へ移り変わり、SCP-2710-JPの存在位置から月が目視可能2であれば「射精イベント」を開始します。これは月が目視可能になった直後に開始される訳ではなく、そのタイミングは様々です。ですがその殆どは月の南中角度が70 度~110 度の範囲である場合に開始されます。また、SCP-2710-JPは「射精イベント」を一晩で二回以上開始する場合もあります。その場合、イベント同士のスパンは毎回異なりますが最低でも1時間のインターバルが存在します。

SCP-2710-JPは上記の活動しか行わず、知性・意識が存在するのかは不明です。陰嚢部分の陰毛を引っ張ると痛がるように反応しますが、前述したようにSCP-2710-JPの地面下には神経路が存在しないため、SCP-2710-JPへの刺激が何処で処理されているのかは判明していません。

「射精イベント」は以下のフェーズを経て終結します。

フェーズ フェーズ内容
フェーズ1 SCP-2710-JPの陰茎包皮が自発的に上下し、それに伴い海綿体が膨張する3。通常の勃起と同じく血液が集中する為、血管は浮かび上がり、亀頭は充血する。またこの際陰嚢が直径約2 m程まで膨張する。その後、陰茎が月の方角に傾き、静止する。
フェーズ2 陰嚢が急激に縮み4、SCP-2710-JPの尿道部分から球状の物体(以下、SCP-2710-JP-1)が上方向に射出される。SCP-2710-JP-1はサッカーボール大の大きさであり、常に発光している。またSCP-2710-JP-1には尿道球腺液5に酷似した透明な粘液が纏わりついている。SCP-2710-JP-1が発する光はこれを通過する為少し濁った光となり、SCP-2710-JP-1の輪郭は曖昧に見える。
フェーズ3 排出されたSCP-2710-JP-1は徐々に失速し、速度を失った状態になると瞬時に破裂する。破裂したSCP-2710-JP-1の内部からは発光した精液(以下、SCP-2710-JP-2)が出現し、全方向に飛散する。これは飛散することで少しでも飛距離を伸ばす意図があると推測されている。飛散したSCP-2710-JP-2は空気と接触した箇所から発光が弱まり崩壊し、地表までには完全に消滅する。回収された全てのSCP-2710-JP-2からは同一のヒトの遺伝子情報が検出されているが、財団のデータベースに合致する人物は存在せず、また、人工授精といった方法でSCP-2710-JP-2を用いて受精させる試みは成功していない。
フェーズ4 SCP-2710-JPが急激に縮小し、「射精イベント」前の形態へと戻る。

SCP-2710-JP-2は月を構成する物体6に接触すると内部に潜り込み消失します。その後、物体は物体の大きさを維持したままヒトの胎児を模した形状へ変化します。これは変化前の物体が球状に近い程実際の胎児に酷似します。また、この形状は物体を"抉り抜く"ようにして形成されるため、変化時に物体の質量が大きく減少します。特筆すべき点として、変化後の物体には耳介に当たる部位が通常の胎児のものと比べて明らかに大きいといった特徴があります。胎児に変化できる物体の大きさには上限がないと考えられており、月にSCP-2710-JP-2が接触した場合、形状変化に伴い月の引力が変化するため地球の地軸が変動し異常気象が各地で発生、XK-クラス世界終焉シナリオが引き起こされます。しかし、実際にはSCP-2710-JP-1の飛翔距離が高度800 mを上回ったケースは確認されておらず、SCP-2710-JP-1及び内部の精液が月に到達する可能性は皆無であると結論付けられており、その収容優先度は他のK-クラスシナリオを引き起こすオブジェクトと比較すると重要視されていません。

SCP-2710-JPは民間人の「巨大な男性器が生えてきた」との通報により初めて認識されました。当初警察側はこの通報を単なる悪戯と処理しましたが、その民間人による通報回数が常軌を逸していたため、精神影響または認識災害の疑いにより財団エージェントが派遣され、発見に至りました。民間人はSCP-2710-JP出現時には立ち会っていなかったため、これ以上の情報は得られないと判断し、Aクラス記憶処理を施した後に解放しました。

事案1: 2035/9/16、SCP-████-JPの収容違反によってSCP-2710-JPの収容施設が破壊されました。事案1発生日は満月であったためSCP-2710-JPの「射精イベント」が開始されました。射出されたSCP-2710-JP-1の飛翔距離は通常時と比較すると明らかに大きく、大気圏を超過しました。射出されたSCP-2710-JP-1の速度は14.0 km/sを上回り、地球の重力圏を脱出しました。この際、本来発生するであろう衝撃波は観測されませんでしたが、SCP-2710-JPの地面下から180 dBもの鈍い音が発生しました。この音はサイト-81██から2.5 km離れた市街地でも観測され、カバーストーリー「爆破解体」を流布しました。その後SCP-2710-JP-1は宇宙空間に漂っていた小惑星と衝突し破裂しました。飛散したSCP-2710-JP-2の回収が直ちに行われましたが全てを回収することは出来ず、一部は現在も地球周辺を公転していると考えられています。

その後の調査により、SCP-2710-JPの「射精イベント」が3年間以上開始されないと、SCP-2710-JP-1の飛翔距離が指数関数的に増大することが判明しました。これを受け、プロトコル"無駄撃ち"が制定されました。

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