SCP-2726-JP
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TICr-Ω-α……

実行しますか?
[Y/N]
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アイテム番号: SCP-2726-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-2726-JPは現在サイト-8120の地下60m地点に設けられたセクター71-TR内に安置されています。セクター71-TRへは原則として出入り口を設けず、防酸化処理済みの鉄鋼二層、耐圧コンクリート一層、防音空圧壁一層、絶縁体壁一層によって密閉してください。
SCP-2726-JPは真空状態設定の永久磁石カプセル内で安定を保った状態でセクター71-TRに収容し、内壁部の磁石によって常時浮遊させ、如何なる存在とも物理的接触を果たさないようにしてください。

セクター71-TRでは現在、双隊混成規模の機動部隊Z-α"Darwin"によって24時間体制の警備が行われています。警備は常時、二部隊以上の機動部隊によって構成してください。
また、動体感知装置を用いてセクター71-TRを中心とした120m圏内の動的存在を常に監視してください。
サイト-8120が何らかの緊急事態に陥り、最高レベルアラートが起動された場合、セクター71-TRは更に地下400m地点まで自動沈下します。このプロトコルは再回収を前提とした措置ではないため、起動以後は地表周辺の封鎖と警備を優先してください。

SCP-2726-JPの活用は現在禁止されています。必要があると判断されうる場合、O5議会による承認を得てください。

説明: SCP-2726-JPは██████博士が所有していた懐中時計です。所有者による手作り品であり、既存のメーカー品ではありません。
SCP-2726-JPには少なくともSCP-███の肋骨、SCP-███-JPの電子回路、SCP-████の部分的な構造の模倣が組み込まれており、複数の異常性が複合したオブジェクトとして見なされています。
██████博士は勾留中に自殺した為、異常性の全貌ないし目的は現在も調査中です。

SCP-2726-JPは何らかの物体に接触したとき、その物体の持ついずれかの性質を無作為に模倣し、記録する機能を有しています。性質の記録は最大で11個まで可能であり、短針の操作で文字盤の1〜11の数字それぞれに対応させて記録させられます。
いずれかの数字に短針が合わせられている状態でSCP-2726-JPが人間に接触したとき、数字に対応して記録された性質を対象の人間が1時間獲得します。
記録される性質の、どこまでを1個とするかはSCP-2726-JP独自の基準があると考えられていますが、同じ物品に対して複数回使用した場合でも、異なる性質が記録されたとの現象が観察されています。
数字に対応して記録された性質は一度人間の接触によって顕在化されると、1時間経過後に消失すると見られています。

以下は、実験によるSCP-2726-JPの暴露実験の抜粋です。

実験記録002

模倣対象: 桐製の洋服箪笥

被験者: D-2726-01

結果: 7に記録して実施し、被験者の下腹部が引き出し様に変化。開いたところ、内部は模倣対象であった空の桐製箪笥の引き出しと同様の構造と材質であった。損傷に対して被験者は苦痛を覚えず、生体反応も正常値を示していた。

実験記録03

模倣対象: 桐製の洋服箪笥 実験002で用いた物品と同一

被験者: D-2726-01

結果: 7に記録して実施し、被験者の左広背部が桐製に変化。鋭角化して模倣対象の左後方下部の角部分と同一の形状と材質、塗装、木目文様を獲得した。

実験記録05

模倣対象: 桐製の洋服箪笥 実験002、実験003で用いた物品と同一

被験者: D-2726-03

結果: 7に記録して実施し、全身が模倣対象と全く同一の形状へと変化。1時間経過するまで一切の動作とコミュニケーションが不可能になり生体反応も停止したが、被験者の証言によると感覚は有していたものと思われる。

実験記録09

模倣対象: トヨタ████████乗用車 実験08で用いた物品と同一

被験者: D-2726-02

結果: 7に記録して実施し、被験者は任意の部位から最大50A、30000V相当の電流が放電可能な体質となる。模倣対象の持つ性質を部分的に得ながらも、明らかに模倣対象が持つ元来の能力を超えた能力を具えていた。

実験による結果予測が困難であり、獲得される性質の幅によっては収容違反を誘発しかねないとされたため、SCP-2726-JPに関する実験は現在凍結されています。

補遺1: SCP-2726-JPの入手経路についての調査が完了しました。以下に最終報告書の部分的な抜粋を掲載します。

捕縛された██████博士の実子への尋問は尾白魏博士によるカウンセリングという中長期的な手段によって進展し、以前よりの仮説が証言に基づく調査によって裏付けされたものと確信している。
SCP-2726-JPを製作したのは██████博士であるが、実際に所持し、運用していたのは実の長女████である。第一回収部隊がSCP-2726-JP回収と██████博士拘留のために出動した際、氏は娘にSCP-2726-JPを所持させ、何らかの方法で本オブジェクトに記録させていた性質を用いて秘匿させたと思われる。
████の以後の行動から、蛇の手との接触は██████博士拘留後と思われ、████の当初の動機も父親の救出であったとの証言が得られている。

中略

██████博士の違反的行動は何らかの組織だったものではなく、個人的な動機によるものである。蛇の手の動向から言っても██████博士と連携していたとは到底思われず、MC&D、日本生類創研、GOCを含んだ要注意団体の行動は全て████の行動の結果として誘引されたものに過ぎない。
████が蛇の手の助けを得ながら財団施設に不当に侵入し、SCP-2726-JPを用いた複数の機密違反を実行していたのは事実である。だが一時的な利害の一致による関係であり、両者は既に敵対状態にあると思われる。
情報の機密性は回復したものの、既に漏洩された情報は敵対的な組織が入手したものと見なくてはならない。一部の移管可能なオブジェクトについては情報系統樹を移し、他支部への移動も視野に入れる必要性がある。

中略

証言によると████は[削除済]に於いて██████博士と再会したとのことである。当日に発生していた複数の警報の誤作動と機動部隊の出動記録から言って実現可能な事象であり、信憑性は高いと見られる。
その状況下で██████博士は救出を拒み、████は脱出。2日後に██████博士は自殺したため、当時の会話が自殺の原因と推察されるが、████の証言からは、ただ救出を頑なに拒否されたとの内容しか得られなかった。

中略

████の動機と行動の不整合については複数のオブジェクトとの接触、もしくはSCP-2726-JPの乱用が原因と思われる。確認可能な範囲で16もの異常存在の性質を模倣し自身に顕在化させていたことで、精神状態に変調を来したものである。
証言では、これらの行為によってSCP-2726-JPが完成したとの旨を得られたが、顕著な幻覚症状と夢遊病を含んだ睡眠障害を考慮すると、客観的な調査なしに確信は持てないと結論せざるを得ないだろう。

中略

SCP-2726-JPの製作に於ける計画データは██████博士が前もって処分したと見られていたが、回収されたデータを精査した結果、設計に必要と思われる容量が██████所有の機器にはそもそも存在しない点が判明。財団所有のスーパーコンピュータに痕跡や隠蔽措置も見られなかった点から、そもそもの設計データの存在に疑問が投げかけられる。
██████博士は設計を行わず、既存の設計に基づいた計画を立案したのみであると思われ、この事実は設計データを所持する第三者の存在を示唆している。
所持者であった████が起こした数々の違反を鑑みるに、この第三者を特定しない限り同様の事件が発生する可能性が常に存在すると指摘せざるを得ない。

中略

████捕縛によるSCP-2726-JP確保と収容時の状況から、SCP-2726-JPには未発見である異常存在の性質が記録されているものと思われる。それらがSCP-2726-JP固有の異常性の一部である可能性は否定し切れないが、確実な"空き"の数字は7と10である。
████の遺体解剖が許可されなかったため、SCP-2726-JP固有の性質と████の身体に残留した影響の詳細な比較が困難である。
そのため断定的には判明していないが、SCP-2726-JPと人体には、一方的ではない相互影響が存在しているものと思われる。

概して、████の証言そのものは信憑性を欠きはするものの、調査の指針を決定するには有効であり、調査の結果としての客観的事実のみを科学的に証明していくことで異常性の解明が可能である。
勾留中に死亡したためこれ以上の証言は得られないが、SCP-2726-JPの異常性の部分的解明が、残りの不明点の解明に貢献する可能性は非常に高い。
しかしながら、蛇の手を始めとした複数の要注意団体に存在が知れ渡り、有用性も証明されたオブジェクトであるため、高レベルの収容と防諜・警備体制を一刻も早く構築する必要がある。

補遺2: 緊急時自動開示情報

対象: Isha

インタビュアー: 尾白魏博士

付記: 対象は医療用寝台に拘束されている。この時点で複数の脳タンパク質の欠落が見られ、進行中である。

<記録開始>

尾白魏博士: あなたの痕跡は全く無い。戸籍もなければ口座も社会保障番号も国籍さえも無い。本当にCaesar博士の娘さんなんですか?

Isha: 先生、あなたは私の話を聞いてくれる。信頼関係を傷つけたくない。私はIshaで、パパはパパよ。

尾白魏博士: 日本支部にあなたが移されてから、もう2ヶ月です。その間どんなに調べても、あなたに訊ねる以外では見ることも聞くことも出来ないものばかりなんです。

Isha: パパか、それか他の連中の誰かが消したんでしょうね。記憶とか記録とか、アテにならないから。でも、世界は見てくれている。見えも聞こえも覚えもできないものが、ちゃんと見て聞いて覚えてくれるの。

尾白魏博士: 初めはCaesar博士の救出が目的だったんですよね?

Isha: ええ、でもパパに断られちゃって、逃げ帰って途方に暮れてたら、ポータルで協力してくれてた蛇の手の人にこう言われたの。「逃げることを望んでいないのなら、本当の望みを代わりに叶えてあげるべきだ」って。今にして思えば、私を引き入れようとしていたのよね。でも結果的に、私はパパの望みを叶えようと思ったわ。

尾白魏博士: それは何ですか?

Isha: 全異常の消滅よ。ママを死なせた異常を、パパはずっと憎んでた。

尾白魏博士: その達成のために、以降の271件もの機密違反を実行したんですか?

Isha: そういうことになるかなあ。そうなるとは思ってなかったんだけど。

尾白魏博士: どういう意味でしょうか?

Isha: パパの救出を、私は結局諦めきれなかったの。だから知りたかった、本当はいま何が起きているのかを。パパがどうして私を拒絶したのか、答えが欲しかった。

尾白魏博士: Caesar博士の死をいつ知りましたか?

Isha: 2週間後よ。蛇の手の奴ら、知ってて私に黙ってた。

尾白魏博士: あなたが最終的に投降したのは、それが理由でしょうか? 戦う理由をなくしたから?

Isha: 違う。

尾白魏博士: では何でしょう?

Isha: 知ったからよ、いま何が起きているのか。

<記録終了>

対象: Isha

インタビュアー: 尾白魏博士

付記: Ishaが活動の中でどの収容中のオブジェクトに暴露・遭遇したのかを特定する聞き取り調査である。

<記録開始>

尾白魏博士: サイト-8141は?

Isha: どうやってかはわからないけど、蛇の手が騒ぎを嗅ぎつけて「今ならどさくさに紛れて潜り込める」なんて言ってきたもんだから、ついその気になってポータルを通っちゃった。だから私が着いた頃にはもう壊滅してたのよ。

尾白魏博士: あなたの神経系の一部は、10回を超える記憶処理を受けた事実を示しています。それも全て当時サイト-8141にあった記憶処理システム規格の、です。あのサイトは新型記憶処理機材の導入が遅れていて、独特の痕跡が残る旧型を使用していました。

Isha: なら分かるわよね? 覚えてないわ。いくつか書類を見たり、誰かに追い回されたことなら覚えてるんだけど。

尾白魏博士: その時の状況をできるだけでいいので思い出せませんか?

Isha: 黒いスーツを着た、男だったわ。エージェントだったと思う。銃と、ぐしゃぐしゃの紙束を握りしめながら追いかけて来た。血走った目は縁から出血してて、すごく怖かった。そして私は、なんかの紙を持ってた。小さい、お手製の人形の写真が載ってて、それに助けられたような、朧げな記憶がある。覚えてるのはそれだけよ。

尾白魏博士: SCP-2726-JPを使用した記憶はありますか?

Isha: 使った覚えはないけど、使ってなかったら多分死んでたと思う。

<記録終了>

 
 
 
 
 
 
 
 
 

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