アイテム番号: SCP-2728
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-2728を観察可能な領域には私有地の標識が立てられて封鎖され、研究エリア-2728と指定されています1。研究エリア-2728は民間人の所有する土地に偽装されなければなりません。全ての監視カメラは隠されるべきで、研究エリア-2728に立ち入る個人は勾留しなければなりません。勾留した対象は尋問し、クラスC記憶処理を施して解放してください。
説明: SCP-2728はスペイン、バルセロナにある1棟のオフィスビルを含む小さな領域から構成されています。この領域は、現在研究エリア-2728と指定されている、市外25キロメートルにある特定の観察点からのみ視認することが可能です。オフィスビルに辿り着くありとあらゆる試みは失敗しており、SCP-2728の存在位置に向かうよう指示された被験者は、代わりに雑踏の中の街角のみを視認します。SCP-2728が見えている間、周囲の地域はその存在に対応するように僅かに改変されて見えます。例えば、周囲のビルはオフィスビルの存在を許すように縮小され幅を開けた形で観察されます。
SCP-2728には人が出入りしているようで、望遠による観察では業務時間は8:00から18:00だと示されています。日曜日にはSCP-2728は閉鎖され、稀に管理人と見られる個人が訪れるのみです。19██年より継続されている観察から、SCP-2728と相互作用したと思われる個人は14000名に上ります。これらの個人がSCP-2728内にいない時にどこにいるのかは不明です。
SCP-2728内の個人(SCP-2728-Aと指定)のほとんどには、現実世界に対応する人物が存在します。SCP-2728-Aの外見は現実世界の個人と完全に同一のように見え、同一の名前を共有しています2。SCP-2728の特性から、個人の性格や他の要素を決定することは困難です。SCP-2728-Aに対応する人物のほとんどはバルセロナ市内または近郊に居住していますが、南アフリカなど非常に遠くに居住する人物も存在します。
補遺-2728-1: SCP-2728観察点に配置された研究チームは、エージェント・ラフェリエールに携帯電話で指示を出しました。ラフェリエールはSCP-2728へと誘導され、その異常特性について知らされました。実験の目的はSCP-2728の振る舞いが変化しないことを確認することでした3。エージェント・ラフェリエールは振る舞いに変化がないことを報告し、「まだ街角を見ている」と述べました。しかし研究チームは、畏敬の念に打たれた様子でSCP-2728を見上げるエージェント・ラフェリエールと同一の複製体を観察しました。さらなる観察で、複製体はエージェント・ラフェリエールに与えられたものと同じ白い携帯電話に話しかけていることが示されましたが、混乱して苛立っている様子でした。エージェント・ラフェリエールは帰還するよう指示され、その後勾留されました。現在まで、これ以外の実験ではこれに似た結果は得られていません。
以下はエージェント・ラフェリエールが研究チームの下に帰還した際に行われたインタビューです。インタビューは勾留後にヒレンバーグ博士により行われました。エージェント・ラフェリエールは事件の後にSCP-2728-1と指定されました。
日付: ██/9/█
質問者: ヒレンバーグ博士
回答者: SCP-2728-1<記録開始>
ヒレンバーグ博士: 今日はどうでしたか、ラフェリエール。
SCP-2728-1: まあまあかな。未だに何が起こってるか分からないが、慣れてきた。
ヒレンバーグ博士: SCP-2728に向かうよう指示された時の体験を思い出してください。
SCP-2728-1: ええと、俺は指示に従った。これ以外に何を言わせたいのか分からない。ここを左へ、あそこを右へと歩き通し、SCP-2728の位置に到着し、いつものように街角を見て、戻るように言われた。
ヒレンバーグ博士: SCP-2728の位置に到着した時、正確には何が起こったのかを詳しく説明してください。
SCP-2728-1: ええと、街角を見て、街角を見たと報告した後に、研究チームの側で長い沈黙があった。彼らはしばらく何も言わなかった。だがその後、彼らはもう終わったと言って、俺は戻ってきた。これ以外に何を言わせたいんだ?
ヒレンバーグ博士: 事件に関しては完全に何も言うことはないと。
SCP-2728-1: 事件だって?俺は知らされてないぞ!
ヒレンバーグ博士: 落ち着いてください。我々は理由もなく何かをすることはありません。
SCP-2728-1: (沈黙)分かった。よく分かった。1箇所だけおかしな点があった。街角を見ている時に突然の目眩を覚えたんだ。つまり、視界がぼやけて音が篭っていたってことだ。立ち上がるのが速すぎるか何かして立ち眩みを起こしたみたいな感じだ。聞きたかったのはこういうことか?
ヒレンバーグ博士: その通りです。ご協力に感謝します。
<記録終了>
記録の後、エージェント・ラフェリエールは事件を知らされ通常のヒト型生物封じ込めセルに移されました。エージェント・ラフェリエールは抵抗しましたが、最終的には封じ込めされることに同意しました。
改定: 1週間後、エージェント・ラフェリエールは封じ込め下から解放され以前の配置に戻されました。エージェント・ラフェリエールが異常性を有しているのかどうかは未だに概ね不明です。エージェント・ラフェリエールは厳重な監視下に置かれ続けています。
補遺-2728-2: 20██年4月██日の21:00、SCP-2728の窓を通して明るい閃光の明滅が観察されました。初期観察の直後にこれがモールス信号であることが判明しました。以下は閃光の明滅が始まった直後からのモールス信号の転写です。
<記録開始>
[…] シテ オマエタチガ イルノカ ドウカモ ワカラナイ [休止] オカヲ ミアゲテモ サクモ ケンキュウチームモ ミエズ オレハ オキザリニ サレタノダト カンガエ ハジメテイル [休止] ソレトモ オレハ ベツノ バショニ ハイッテ シマッタノカ [休止] モンダイハ ナニガ オキテ イルノカモ オマエタチガ オレヲ ココカラ ダス ヒツヨウガ アルノカモ ワカラナイ コトダ [休止] ワカラナイ [休止] ココノ スベテハ セイジョウデ イジョウナ モノヤ オマエタチノ ヨウナ ザイダンハ ソンザイ シテイナイ [休止] オマエタチハ コンナ コトガ オコルナンテ イワナカッタ チクショウ オマエタチノ セイデ イマハ コノ バカゲタ ビルデ クソナ シゴトヲ シテイル [休止] モールス シンゴウデ タスケヲ ヨンデモ ナニモ ゲキテキナ コトハ オコラナイ [休止] ココニハ ナニモ ナイヨウダ [休止] セイジョウ スギテ オレハ [休止] コワイ [休止] オマエタチハ イワナカッタ [長い休止] クソヤロウ
<記録終了>
この事件以降、エージェント・ラフェリエールと同一のSCP-2728-A個体がSCP-2728で働いていることが観察されています。このSCP-2728-A個体はラフェリエールの実験で観察された個体と同一で、この個体がモールス信号を送ったのだと想定されています。
補遺-2728-3: 20██年5月█日の21:00、以前のイベントと同様にSCP-2728の窓を通して明るい閃光の明滅が観察されました。既に観察点に就いていたスタッフによってメッセージ全体が取得されました。以下はその転写です。
ココニハ ダレモ イナイ [休止] ヤツラハ シゴトシカ シテイナイ [休止] ココハ バルセロナ デスラ ナイト カンジル [休止] コピー デスラ ナイ [休止] ココノ ダレモ ナニモ シラナイ [休止] マルデ コンチュウデ アルカノ ヨウニ [休止] ソラハ アオクナイ [休止] クロクモ [休止] ナイ [長い休止] マチノ ソトニハ ナニモナイ