特別収容プロトコル: SCP-2742個体は、ヒューム値を監視するためにカント計数機を備えた水中収容チャンバーに収容します。1機の遠距離現実調整機Long-Ranged Reality Adjuster (LRRA)に常時チャンバーに焦点を当てさせ、SCP-2742個体に給餌するためヒューム値を上昇させます。給餌による変動の結果として、ヒューム値はその区域の平均付近に収めるべきです。最適なヒューム値が維持されていることを確実にするため、LRRAは毎週メンテナンスチェックされます。ヒューム値の変動が検出された場合、レベル4/2742職員に直ちに通知されなければいけません。
新たなSCP-2742個体は収容サイトに移送されるか、安全試験施設で実験に使用されます。収容違反が発生したり個体が発見された場合、LRRAに民間区域から離れた水域に焦点を当てさせ、その水域のヒューム値を上昇させます。個体がそ該当水域に到達した時点で、部隊が収容のために配置されます。
2742-VÁRDIAイベントが発生した場合、イベントの発生区域は必要な期間隔離されます。イベントの終了後は該当区域に異常が残存していないか評価され、職員はインタビューされます。SCP-2742-1個体の死骸は収集、研究されます。
説明: SCP-2742は異常な水棲動物種であり、身体形状はウナギ目に類似しています。SCP-2742個体は全長1.5メートルの三回対称の身体を有し、各側面を僅かな縁が分けています。個体の体色は濃い紫で、特定の部位に明るい斑点が存在します。頭部は四面体状で、灰色の岩のような物質からなります。基部の各縁からは、Ambystoma mexicanumの鰓に類似したひだが延びており、恐らく摂食または感覚器官として用いられているものと見られています。身体の各側面には3つの生物発光嚢が並んでおり、ランダムな色を高速で点滅させます。SCP-2742個体は血液や同様の物質を有していません。個体は無性生殖を行い、身体の嚢を新たな個体に変化させます。嚢は再生せず、一個体は最大で9回まで繁殖する可能性があります。
実体は天食動物であり、現実強度を栄養として消費します。これは個体の頭部周囲15メートルの球状領域内におけるヒューム値の低下として観測されます。単一領域内に入る個体数が多いほど、低下は深刻化します。7体が存在する場合、追加の個体は餓死し始めます。結果として、SCP-2742は群れを形成可能な一方で、集団で観察される事例は稀です。また、実体は各所を頻繁に移動し、1つの場所に留まることも飢餓の原因となる可能性を示唆しています。
ヒューム低下の影響の一つとして、通常熱波によって引き起こされるものに類似した、その場所における視覚的に歪んだ領域の形成が挙げられます。音もまた多様な形式で歪められます。被験者は不安感を報告することが多く、時折恐怖にまで悪化します。また、非異常の対象が低下の最中に現実改変者となる可能性も高まります。大部分の対象ではこれは意図せずに行われます。それは大抵、その場所に当てはまる近くの変化に起因します。異常現象が自然発生する確率も高まりますが、この最中に作成された存在がその場所から外に出ることは稀です。
SCP-2742個体が飢餓またはその他の要因により死亡すると、生物発光嚢は破裂して発光を停止します。この時2742-VÁRDIAイベントが発生する可能性があり、これは球状領域における現実の一時的な再構築を必然的に伴います。イベントの範囲は半径約30メートルです。このイベントを外部から観察すると、領域が屈曲し、捩れているように見えますが、進入したあるいは内部にいた人物はそのような現象を説明していません。イベントで発生する事象は多様ですが、幻覚や異常存在の出現がよく見られます。
イベント終了後、領域は通常に戻りますが、内部で生成されたあるいは歪曲された物体が残ることがあります。ヒューム値はおよそ5時間後に周辺の平均値へと上昇します。これらのイベントによる死傷者は発生していません。SCP-2742個体の死骸は通常、回収時に著しい損傷を負っています。死骸は腐敗の兆候を見せていません。
全ての実体が、死亡した際に2742-VÁRDIAイベントを引き起こす訳ではなく、記録された9件の死亡のうち4件は一切引き起こしていません。イベントの発生確率が外部要因によって決まるのか、偶然によるものかは不明です。
発見記録: SCP-2742-1は財団巡視船上のKejel-カント遠隔監視機により通常より低いヒューム値の痕跡が検出された後、オンタリオ湖で発見されました。機動部隊ニュー-3 ("湖恐怖症") は2016/10/15、この低下の要因を追跡し収容するために派遣されました。SCP-2742-1はヨット上で発見され、船体後部の水槽に保管されていました。船員への尋問により、彼らはGoI#03088 ("第二ハイトス教会") の構成員であり、ノル・アフと呼ばれるこのアノマリーを保護のために教会の施設まで運搬することを計画していたことが判明しました。船員は現実性の変化を検知するための儀式を用いており、これがSCP-2742-1発見につながりました。
現実性低下の影響により、発見時に完全なインタビューの実施は不可能でした。船員は拘留、尋問され、その後記憶処理を施されました。SCP-2742-1は収容のためサイト-201に運ばれ、ヨットは調査のため保管されました。
SCP-2742-1の収容以降、24個体が誕生し、その内9体が死亡しました。SCP-2742-22は野生で発見されたそれ以外の唯一の個体であり、これもまたオンタリオ湖で見つかりました。当該個体は回収中に死亡しました。
補遺-1:
注: これらイベントの映像の回収が困難なため、既知の詳細のほとんどは職員の報告に基づいています。矛盾する報告も記述されています。
イベント番号: 1
日付: 2016/10/19
場所: サイト-201
個体: SCP-2742-8
個体の死因: 飢餓
説明: 細長いSCP-2742個体 (SCP-2742-E1と指定) の紫色のシルエットがエリア内を移動し始め、壁や職員に穴を空けながらそこを通過する。壁が灰色になり、3つの球体と説明される物体が出現する。シルエットは3つの球体に入り込み、その表面を波立たせる。物体はイベント終了まで残り続ける。他の職員は、視覚的に静止しているように見え、質量を持たない液体が廊下を浸水しているのを見たと報告している。
回収されたアイテム: 主に炭素からなる灰色の液体が入った標準的な財団ウォーターボトル。
イベント番号: 2
日付: 2016/11/2
場所: サイト-201
個体: SCP-2742-9
個体の死因: 飢餓
説明: エリア全体が暗転し、職員が無重力を経験する。巨大な白色の実体が遠方に見え、急速に大きさと形状を変え、時折半分に分かれては再結合する。様々な白い点や不定形の図形が実体から離脱するのが見える。SCP-2742-E1が遠方に現れる。この時点で職員は実体に引っ張られていると報告し、その周囲はヒューム値がゼロだと伝えている。これ以降の説明は異なる。
他の職員は、白色の実体が星団やいくつかの星雲に分裂していると報告した。中には、様々な構造の小型の太陽系に変形・分裂し、SCP-2742-E1が接近すると崩壊または形状が変化すると報告した職員もいた。漠然と人型の胴体、胸にある球形の頭部、下半分に大量の蔓が生えた脚、5つの不定形の物体が胴体を周回する、濃い青色のシルエット (SCP-2742-E2と指定) が遠方に出現する。このシルエットは、研究員らが突入した、巨大な円盤状となった雑多な種類が集まったガス雲の上に位置していた。
回収されたアイテム: 様々な大きさの、遺伝的にイベントの参加者と一致する人間の雑多な組織からなる11の球体; スクリーン上に「心の弱き者は羨望する」という言葉が刻まれ、デバイスの隅の1つが長さ1メートルまで伸びた、財団支給のタブレット。
その他注記: 報告に反し、この最中にヒューム値の変化は検出されなかった。
証言 - イラナ・ヴァルダ博士
"私はあの退屈な虚空で長い時間転がりまわっていました。確かに宇宙のペイントが飛び散る様子は興味深かったですが、興奮に値するものは何一つありませんでした。蛇のようなものがこちらに這い滑ってくるまでは。私は自分を押し出そうとしましたが、何も押せるものがないのにそうするのは難しいものです。ジェームズとその他メンバーがそれに吸い込まれて醜く歪むのを見て、私は怯えて肺いっぱいに苦い虚無を吸い込みました。次に気が付いた時には、私も彼らと同じになっていました。私は伸びて、分裂して、くっついてを繰り返し、私を飲み込む色彩が不調和なドラムを叩いていました。私の目はフラクタルになり、脊椎はどこかへ伸びていき、その間あれが…… ノロス…… その9つの目がただ見つめていました。私が今その視界にいないでいられることを、どんな神にせよ感謝します。"
イベント番号: 3
日付: 2016/11/10
場所: 実験施設-31
個体: SCP-2742-13
個体の死因: 飢餓
説明: エリアの床は舞台へと曲げられ、その中心には金属の像がある。舞台は未知の実体の骨で構成され、そのいくつかは床から突き出している。像は胴体に巻き付いた蔓、三日月形の頭部、背中から生える2本の大腿骨形の突起を有した3本足の実体を表現している。舞台が黄色の星雲と暗い惑星に囲まれた宇宙にあるように見えるまで、壁が拡張する。明るいピンク色の球体がそのエリアを照らし、球体を円形のパターンが動いて通過する。
様々な実体の多様なシルエットが舞台上に現れ、像に礼拝し始める。職員はシルエットに変化するか、礼拝に加わる。このエリア内で甲高い声、うがいのような音、詠唱といった騒音がよく聞こえる。時折、実体が誤って舞台の外に押し出され、粒子の雲へと分解される。研究員の一人は、頭上にSCP-2742-E1実体が浮いているのを目撃したと述べた。
回収物: オルトサンの言語で「全惟の汝主を全讃せよ」と刻まれた像; 水、炭素、硫黄からなる液体。
証言 - セルマン・ハルク博士
"あれは美しかった。何だ、もっと詳しく言ってほしいのか? 他の奴らの説明は妄想的すぎたか? そうじゃないなら印象的だろう。そこにいて、首を垂れて叫び、それから…… 私は…… あそこにプライバシーなんてものはなかったが、何も気にすることはなかった! 私たちは互いに溶け合い、精神の川の中を踊ることができ、燃えるような懐疑的思考のうねりが全体の栄光を満たしたんだ! 誰も意を異に出来ないことは大した問題ではなかった。そんなことをする理由がなかったからな!"
イベント番号: 4
日付: 2016/11/24
場所: 実験施設-31
個体: SCP-2742-17
個体の死因: 身体的外傷
説明: イベントはイベント#3と同様の形で開始したが、始めに研究員の一人が像の形状へと変形した。やがて、職員は目の前にSCP-2742-E2が目の前に現れたと報告した。像の周囲の群衆はパニックに陥り、実体は消失したと伝えられた。この時点で職員は身体の制御を完全に失ったと報告し、SCP-2742-E2により正気を失わされたと主張した。像となっていた研究員は、像が表現している実体 (SCP-2742-E3と指定) の白色のシルエットに変化する。SCP-2742-E2の別個体が複数群衆の中から現れてSCP-2742-E3に向かって飛行し、その際に研究員は意識を失ったと報告している。SCP-2742-E2個体らは消失し、SCP-2742-E3は痙攣しながら青い光を放出する。ピンク色の球体が歪むと同時に舞台は崩壊する。
回収物: なし
注: このイベントは、その最中財団の収容潜水艇にいた機動部隊ニュー-3の3人のエージェントである乗組員が経験しました。関係者の少なさから、ここではエージェントの名前が使用されています。
イベント番号: 5
日付: 2016/12/1
場所: 水中、オンタリオ湖
個体: SCP-2742-22
個体の死因: 過去の時点での負傷
説明: エリアは暗転し、遠方に光の斑点の集合が見える。SCP-2742-22の死体はSCP-2742-E1に変化し、周囲を泳ぎ始める。潜水艇はSCP-2742-E3に変化し、エージェント・ガーヴァン・ニールはSCP-2742-E2となる。潜水艇の内装は白い金属製の体組織や臓器に類似したものに変わる。エージェントのアラン・ブリッジャーとケンナ・ロディナは未特確認言語の様々な言葉を繰り返し叫び始め、エージェント・ニールは段階的にSCP-2742-E3から離脱し、SCP-2742-E1に向かって移動する。彼がシルエットの頭部に入ると、数分後SCP-2742-E1は巨大な四次元迷宮へと変化し、エージェント・ニールをその内部に包む。ニールは周囲を回る、細長い三角形に変形した物体で迷宮への攻撃を試みる。迷宮の一部が破壊されて高速で回転し始め、ニールはその内側で振り回される。
この時点でエージェント・ブリッジャーとロディナは極度の疲労により気を失う。潜水艇のカメラの破損した映像によると、エージェント・ニールは迷宮が崩壊するまで振り回され続ける。SCP-2742-E1は再形成し、複数のそれ自体の小型版へと分かれる。
回収物: 潜水艇のバラストから発見された、SCP-2742-22のものと考えられる組織片11片; 多様な未確認の奇跡論シンボルが彫られた、赤い金属製の大釘1本。
追記: イベントが終了したと思われる時点から1時間後に潜水艇は浮上し、その際に全エージェントは回収された。エージェント・ニールは指を繰り返し叩いており、その最中回復物質に無反応かつそれを認識しないことが判明し、現在医学的・心理学的治療を受けている。SCP-2742の死体はイベントの最中に内臓を抜き取られたと考えられている。
心理学的問題は2742-VÁRDIAイベントの結果として現在認識されており、実験施設-31でのSCP-2742に関する今後の実験は全て中止された。施設に保管されている個体は付近のサイトに移送中である。
証言 - エージェント・アラン・ブリッジャー
"ロディナと俺はお互いに話せませんでしたけど、同じ地獄を体験していることはわかりました。あれが何だったにせよ、俺たちは詠唱を強いられたどころか、無理やりそうさせられていました。何かが俺の思考を押しのけ、こじ開けて、俺に喋らせる何かをかき集めてました。床に身体を打ち付けても、それがしがみついて、脳を通ってあらゆるダメな場所までたどり着くのを感じ続けました。覚えてる最後の記憶は、必死になってしばらくの間彫っていて、それから止まったことです。"
補遺-2:
イベント番号: 6
日付: 2017/1/18
場所: エリア-12
個体: 不明
個体の死因: なし
説明: 周囲が暗転し、全ての壁が床に溶け込み、その後3つの白い球体が出現する。3つの球体に沿って様々な赤い亀裂が現れ、1分後に球体は破裂、そこからSCP-2742個体の灰色のシルエットを放出する。シルエットはエリア内を漂い、新たに3つの球体が出現するとそこに入る。進入後に3つの球体は消失し、イベントは終了する。
回収物: SCP-2742の皮膚組織で構成された高さ4メートルの塊。形状はSCP-2742-E1に似ており、蔓で地面に固定されている; 実例収容室内のSCP-874、1リットル。
追記: このイベントの最中、エリア-12の全スクラントン現実錨が停止し、ヒューム値の大幅な上昇を伴った。SCP-2742収容室に通じる複数の廊下も崩壊し、研究員5名が負傷した。イベント直前の収容室の監視映像では個体死亡の兆候は見られず、2742-VÁRDIAがいつでも起こりうることを示唆している。
SCP-2742個体の適切な収容を保証するため、確保収容委員会により収容プロトコルが再評価中である。このイベントに関する情報は、下級職員による大規模な現実改変の恐れを防ぐため制限されている。SRAの停止がアノマリーによるものか、外力によるものかは調査中。
以下の文書は、エージェント・マルス・カリンによりドイツ、イエナのオルトサン教会から回収されました。この物語における語りと特定の2742-VÁRDIAイベントの類似性のため、本文書に添付されています。全文がオルトサンから日本語に翻訳されています。
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読者への注記
この物語は第一ハイトスで起きた出来事を含んでいる。物語が古く、またそれが関与する出来事のため、物語の一部の詳細は最初に語られて以来改変されているものと思われる。読者は、ここに記された情報が完全に正確だと考えるべきではない。これに関する質問や物語についての追加情報は、何であれ教会学者に提出されたし。
神聖なる第四位が永遠に我らを護らんことを。
~イーフ学者ダイアナ・オリヴィエ、歴史部門
肉体なきウラフォル
ハイトスは第四イオンの刻であった。全能のヴィズ神らが銀河面を支配する中、下位の神たちは次元の奥深く、ごく僅かの領域を求めて争い、殺戮に走った。第一次動乱の絶望を経て、全ては安息を得た。
オズロック・マインドの神たるウラフォルは、恐怖と強い敵意を込めて耀く銀河面を見上げた。ヴィズ神らはさほど大きな力を持つべきではない、あれほど巨大な王国を手中に収めるべきではない、存在すべきではない。彼は、多大な努力を注ごうとも、彼らとその領土を打ち倒すことは不可能だと知っていた。ウラフォルが心の亀裂は、捩れ曲がり、その全てを消し去る企みが練られていった。血が星座を穢し、最後の銀河腕が散り散りになると共に、この考えは実を生した。
彼は砕かれしユ銀河を去り、フシ・マインド エルヨの支配する思考複合体の帝国へと飛んだ。黄色星雲、銀河、灰色の刈り取られた星々の大いなる帯が、想像を絶する精神の核の外れを周回していた。群がる肉体のないテレパスらは、フシ・マインドの意志に従い働いてピンク色の光を放出していた。兆もの信者は首を垂れて主を讃え、自由意志は何世紀も前に失われ、全存在を彼女の崇拝に捧げていた。彼らは、かつては生きていた不従順な者たちの残骸でできた星の警告の下に踊っていた。
ウラフォルは彼らの精神の潜在性を知っており、それを利用するために力を用いた。信者たちの精神は一人一人入れ替わり、全員がウラフォルとなった。エルヨは信仰が失われるのを感じ、問題を解決するために自らの肉体を送った。兆のウラフォルはエルヨに精神砲撃し、彼女の意識は徐々に溶け、吸収されていった。負担により彼の物理的肉体は荒れ、バラバラであったが、それは重要ではなかった。
ウラフォルの肉体は荒廃した帝国から、太古のノロスが刻んだ虚空である "喰らわれし混沌" へと飛び立った。獣は漆黒の狂気を泳ぎ、創意とともに流れる領域を形成していた。奇妙な色と形が囁いては消える中、彼は不自然を通り抜けた。生と死の狭間にあったものは終端へと手を伸ばし、他の浚渫機へと剥がされた。原初の者さえ乗っ取ることができたなら、残りのヴィズ神らも続かせうるだろう。ウラフォルの顕現と共に超自然的な力が彼の内を流れ、周囲の知覚を領域外部の実体に委ねた。これで周辺空間では彼が集中する際の過負荷とはならないであろう。
代理の者らが原初の者の周囲に格子を組み立てると、彼は自身の精神をそこに向かわせ始めた。薄片と化した心の波という波がその脳を取り囲む精神の障壁を引き裂いたが、獣はただ待ち受けていた。一見永遠にも思える時を経て、障壁に裂け目が穿たれ、ウラフォルは彼を待ち受ける深遠の中へ突き進んだ。
その中で何を知り、何を目撃したのかは依然として知られていない。侵入の日、宇宙とそのあらゆる次元の居住者らに叫び声が轟き渡った。暴かれた秘密がウラフォルを捕らえ、打ちのめし、外より来る未知の者らが彼を取り囲んでいた。それは彼が自身に取り込んだり制御すること適わなかった一方、ウラフォルに対してそうし返し始めた。彼は正気を保たんと抗ったが、無駄であった。彼が恐怖に暴れると、ノロスは振動して自身を数多の子供へと引き裂き、名もなき創造者の認識できる限りへと子供らを噴出させた。
ウラフォルは肉体を把持する力を失い、何兆もの肉体が崩壊し、意識を失ったもぬけの殻へと変化した。精神の核の説得力ある温かみは薄れ、帝国は最後の残響を放出した。消費された領域は、もはや多様の色を持つ混沌ではなかった。広大な地を以前の所有者が手放したことで、第二次動乱が始まり、平和は忘れ去られた概念となった。ウラフォルは狂気の中であらゆる肉体と永続的に繋がる能力を失い、流浪する精神体の役を強いられた。
精神はハイトス中を彷徨い、存在から存在へと漂って彼のものと言える肉体を探し続けている。未知の存在に彫り込まれるのを感じ、心の糸や繊維が一瞬心を引いて異質なアイデアが溢れ出したならば、それは肉体なきウラフォルがあなたを通り抜けたのだ。