SCP-2778
評価: +30+x

アイテム番号: SCP-2778

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2778は異常物品研究サイト-4 (AIRS-4) に位置し移動することはないため、封じ込め手順は最小限のもので十分です。SCP-2778の下階には新しいDクラス用トイレが建設され、以前にAIRS-4に割り当てられていたDクラス職員は異なるプロジェクトに再割当てされました。不正侵入を防止するため、SCP-2778へ通じるドアにはレベル3パスコードロックが取り付けられました。

説明: SCP-2778は異常物品研究サイト-4のDクラス用トイレ全体を包含する時空間異常です。この異常空間にはAIRS-4に割り当てられたDクラス職員1のみが進入できるようです。SCP-2778には一度に1名しか進入できません。Dクラス職員へのインタビューによってSCP-2778の内装の大まかな説明が得られましたが、財団研究員はこの異常を調査できないため、これらの説明は信頼できないと見なされるべきです。

SCP-2778に進入したDクラス被験者はAIRS-4から消失します。進入時点で通信、記録装置は直ちに機能を停止します。続いて、Dクラス職員は1軒の家の玄関口に出現したことを報告しています。この家は3部屋の寝室、2部屋の浴室、キッチン、リビング、玄関、ガレージから構成される、面積およそ2800平方フィートのランチ様式の家屋です。Dクラス職員の証言による完全な間取りは文書2778-3を参照してください。外部に繋がる窓とドアは開きませんが、正面玄関は例外です。このドアは柔らかな白い光に包まれた固い平面に通じており、この光を抜けて進むことでAIRS-4に戻ることが可能です。SCP-2778内の時刻と天候は進入時のAIRS-4のものに一致し、進入後も通常のパターンに従います。SCP-2778の壁は総じて白かオフホワイト色で、家具はモデルハウスにあるものに似ていると表現されています。電気と水は使用可能ですが、インターネット、ケーブルTV、電話は繋がりません。キッチンには十分な生鮮食品が保管されており、リビングには多数の本、映画、音楽が存在します。

SCP-2778内にいる間、被験者は時間が60倍に拡張されていることを経験します。これにより、Dクラス職員がSCP-2778内で数時間過ごしていることは、異常の発見以前には財団職員に気付かれないままでした。SCP-2778が利用されない状態で少なくとも12分経過すると、SCP-2778の内部は「リセット」され、消耗品や持ち去られた物品の再補充、以前の利用者による損傷の復元が行われます。また、SCP-2778は不定期に「更新」され、新しい食品や最近公開された映画が追加されます。1キログラム以下の物体はSCP-2778から持ち帰ることが可能で、持ち帰った物体は後のリセットの影響を受けません。実験では、持ち帰られた物体に異常な性質はありませんでした。

Dクラス以外の職員はSCP-2778を異常のないトイレとして知覚し、トイレとして支障なく使用することが可能です。Dクラス被験者がSCP-2778内に存在する間は個室のドアが閉鎖されるようで、開くことはできません。個室の下からはDクラス用ユニフォームの裾と靴を確認できます。Dクラス被験者は、SCP-2778内の位置にかかわらず個室から3メートル内の話し声は明瞭に聞き取れると報告しています。SCP-2778から退出した被験者は個室内に出現し、ドアは通常のように開くことが可能となります。

インタビュー2778-1: SCP-2778は研究員によるD-23588へのインタビュー中に発見されました。彼は実験中に、投獄後に公開された映画に言及したことでインタビューの対象となっていました。この映画を見た現地の研究員は存在せず、現地の4名のDクラス職員は過去█年間配置転換されていなかったことから、この知識が異常な形で得られたことが疑われました。尋問の後、D-23588は最終的にSCP-2778の存在を明かしました。以下はSCP-2778に関するD-23588への初期インタビューの、異常が確認された時点より後の部分の転写です。質問者はリチャーズ博士です。

記録開始

リチャーズ博士: それで、我々は君がトイレから消失して再出現するのを目にした訳だが、どこへ行っていたのか正確なところを教えてもらえないかな。

D-23588: ええと、さっきもお前らに言ったように、家だ。かなり良いやつだ。快適なソファとベッド、たくさんの映画とゲーム、すげえ食べ物。時間の流れは速くて、俺達が午後いっぱいそこで過ごしても、お前らはただ便所に行ってるんだろうと思うだけだ。窓は開かないし家からも出られないが、まあ何もかも手に入るなんてことはないんだと思うよ。

リチャーズ博士: では、いつから異常について知っていたんだ?

D-23588: ここに来た時からだ。俺は前にここにいた奴らから聞いて、奴らはもっと前にここにいた奴らから聞いた。その前にどうだったのかは知らんが、きっとこの建物ができた時からあったんだろうな。そうだ、前にここにいた奴の一人は、ここに来た最初のD共の一人がどうにかしてこれを作ったんだと言ってたな。

リチャーズ博士: よく分かった。すぐに他のDクラスにもこの異常についてインタビューする。その後で、君の証言が変わらないか確認するためにもう一度戻ってくる。

D-23588: その前にちょっといいか?

リチャーズ博士: 何だ?

D-23588: ええと、俺が言いたいのは、ここの奇妙な物全てをテストするのに俺達は4人しかいないってことだ。休む間もなくテストをしながら俺達の一日は過ぎていく。鉛筆を投げて回ったり、石ころをポケットに入れたり、つまみを捻ったりボタンを押したりして何時間も過ごしてる。何のため?それが光ったり、歌を歌ったり、俺達を嘔吐させたりするのを見た後で、箱に投げ込んで忘れ去るため?そんなことに意味なんてないじゃねえか。

リチャーズ博士: 希望するなら、何かもっと……意味のある作業に君を転任させることもできるんだが。

D-23588: ち――違う。そういうことが言いたかったんじゃねえ。ただ、そういうことを一日中やってたら、その後でなにか面白いことをしたくなるだろう、って言ってるんだ。映画を見て、本を読んで、いいものを食べて。お前らがそういうのをほんのちょっとしか与えないなら、こんなこと続けられねえよ。畜生、一晩中寝言を言い続けるハリーみたいなお喋りがいるせいで、俺は夜もまともに眠れないんだよ。

リチャーズ博士: 何が言いたい?

D-23588: ……俺達からこれを取り上げないでくれよ。頼むよ。

記録終了

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。