SCP-2780-JP
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アイテム番号: SCP-2780-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-2780-JPの存在するアパートは現在、財団によって買収され管理されています。当該アパートの入口に警備員を配置し、一般人の侵入を防いでください。

説明: SCP-2780-JPは██県██市に存在するアパートの一室です。SCP-2780-JPは8帖の部屋とトイレ、浴室、玄関から構成されています。SCP-2780-JP内部には備え付きのものを除いて、後述のSCP-2780-JP-1以外の家具は一切存在していません。SCP-2780-JPが存在するアパートは19██年に経営不振を理由に放棄1されており、現在にいたるまで利用されたことはありません。また、SCP-2780-JP及びSCP-2780-JP-1は高い破壊耐性を有しており、経年劣化等はみられません。

SCP-2780-JP内部の8帖の部屋には羽根つき扇風機(以下、SCP-2780-JP-1と呼称します。)が13台存在しています。SCP-2780-JP-1の外見は全て異なっており、そのどれもが既存のメーカーのものと一致しません。SCP-2780-JP-1は床、壁、天井のいずれかに固定されており、現在にいたるまで移動させる試みは全て失敗に終わっています。

SCP-2780-JP-1は夜間に、SCP-2780-JPが密室状態になっていると、不定期に活性化し、一般の扇風機にみられるような挙動を取ります。この挙動は一般に「首振り」と呼称されるものであり、平均して30分ほど行われます。SCP-2780-JP-1が電力の供給無しにこれらの挙動が可能である理由は不明です。SCP-2780-JP-1がこの挙動を取っている間、SCP-2780-JP内部では様々な異常現象が発生します。この時発生する異常現象は各SCP-2780-JP-1で異なっており、また、現在まで、同時に2台以上のSCP-2780-JP-1が活性化した例は確認されていません。後に行われた実験により、同時に2台以上のSCP-2780-JP-1が活性化した例が確認されました。また、この時発生する異常現象はSCP-2780-JP内部からのみ観測が可能です。

以下は各SCP-2780-JP-1活性化時に発生する異常現象の抜粋です(便宜上、各SCP-2780-JP-1には1から13までの識別番号が与えられています)。より詳細な記録については別紙を参照してください。

識別番号 発生現象
-1 40代から50代の男性のものだと思われる人物の声で「手のひらを太陽に」が歌われる。
-4 赤子のものと思われる泣き声が発生する。
-5 SCP-2780-JP内部に存在する人間の右肘が不明な手段で骨折させられた後、裂断される。他のものと比べて活性化時間が長い。
-9 複数人の笑い声が発生する。少なくとも、10人以上によるものだと考えられている。
-11 ヒトの乳歯が大量に発生する。非活性化状態となる、またはSCP-2780-JP外部に持ち出すことでこれらは消失するため解析等は十分に行われていない。
-13 玄関のドアが外部から激しく叩かれる。

追加文書:20██/██/██に行われた実験にて、未知の現象が発生しました。以下はその実験の概要とその後に行われたインタビュー記録の書き起こしです。

実験記録(20██/██/██)

対象: D-1302

実験内容: D-1302をSCP-2780-JP内で過ごさせ、SCP-2780-JP-1による異常現象を記録する。

追記: D-1302には通信装置、映像記録装置を含む財団標準装備を装着させている。また、不要な混乱を避けるため、D-1302にはあらかじめSCP-2780-JP-1活性化時に発生する異常現象についてある程度説明している。

実験結果: 実験開始から約3時間26分でSCP-2780-JP-1-4が活性化し、約44分後に非活性化した。

インシデント記録: SCP-2780-JP-1-4の非活性化後、D-1302には撤収命令が出されたが、不明な原因により外部へと通じるドア、窓等の開閉が不可能となった。また、この時点で、不明なノイズ等の発生により、映像記録装置及び通信装置の使用が困難となり、D‐1302との連絡が途絶えた。ただちにD-1302の救出のためにSCP-2780-JP内部への侵入が試みられたが、全て失敗。インシデント発生から約2時間21分後に、突如としてSCP-2780-JP内部への侵入が可能となり、錯乱状態となったD-1302が発見された。

インタビュー記録(20██/██/██)

対象: D-1302

インタビュアー: ██博士

付記: D-1302には重度の精神的混乱がみられたため、精神安定剤を服用させています。

<録音開始>

インタビュアー: インタビューを開始します。D-1302、体調は大丈夫ですか?

D-1302: あぁ、先生。だいぶ良くなったよ。

インタビュアー: それは良かったです。では、あの時に何が起こったのか説明してください。

D-1302: [約5秒の沈黙]あの部屋に入ってから、3時間ぐらいしたら、あんたたちの言ったように一台の扇風機が動きだしたんだ。

インタビュアー: SCP-2780-JP-1のことですね?

D-1302: あぁ。でも、実験する前に、あんたらから大体何が起こるか聞いてたから、赤ん坊の声が聞こえてきてもそこまで怖くはなかった。危害を加えられることもないって分かってたしな。

インタビュアー: 続けてください。

D-1302: そんで、たぶん30分ぐらいして、扇風機が止まって赤ん坊の声も止んだ。そのことを報告したら、撤収してくださいって言われたから部屋から出ようとしたんだ。

インタビュアー: それで開かなかったと?

D-1302: あぁ、凄い力で押さえつけられてるみたいにドアは動かなかった。窓から出ようとしたけど、そこからも出れなかった。[約30秒の沈黙]

インタビュアー: インシデント発生以降、D‐1302、貴方からの連絡が途絶えました。何が起こったのか説明してくれますか?

D-1302: [約10秒の沈黙] あれから、今度は別の扇風機が動き出した。陰気臭い部屋にそぐわない、やけに陽気な下手くそなおっさんの歌声と一緒にな。気づいたら足元には人間の歯みたいのが大量に転がってて、さっきとは別の奴が動き出してた。それでも俺はなんとか耐えられた。時間が経てば、あんたらが助けにくるって思ってたからな。

インタビュアー: 続けてください。

D-1302: あぁ、それから、扇風機は止まるどころか、どんどん動き始めた。3台、4台、5台。たぶん、最終的にはあいつらの半分以上がいっぺんに動いていたと思う。もう、俺は耐えられなかった。部屋の中からは、たくさんの人のバカみたいな笑い声が聞こえてきたし、歯が大量に散らばった床からはドンドン、ドンドンと叩く音が聞こえた。ずっと誰か、いや、何かが叩いてたんだと思う。玄関のドアもすごい勢いでノックされてたから、俺は部屋の隅でうずくまることしかできなかった。それで、それで。[約20秒の沈黙]

インタビュアー: D-1302、大丈夫ですか。休憩を入れることも可能ですが。

D-1302: いや、大丈夫だ。それで、どれだけの時間が経ったかは分からんが、ピタリと音が止んだ。一気に静かになった。

インタビュアー: 音が止んだ?

D-1302: あぁ、急に不気味なほどに静かになった。笑い声も、床やドアを叩く音も、おっさんの下手くそな歌も、赤ん坊の悲鳴も一切聞こえなくなった。もちろん、さっきまであれだけ動いてた扇風機の音も。意を決して、俺は部屋の中を見渡した。部屋の中の扇風機は全部俺を見てた。全部、俺の方を見て止まってた。部屋の中にあるの全部だ。いつのまにか、俺の目の前には一台の扇風機があった。俺の顔を見上げてた。絶対に、最初からそこにはなかった。あいつら、動けるんだ。動いて、俺の前まで来てたんだ。それで、あいつら俺を見て、俺を見て。[約30秒の沈黙]

インタビュアー: D-1302、続けてください。

D-1302: [約10秒の沈黙]あいつら、あいつら全員、俺を見て歌ってた。抑揚の無いひどく無機質な声で、翼がほしい、翼をくださいって。2

[以下、重要度が低いため省略]


<録音終了>

終了報告書: D-1302が使用していた映像記録装置に複数のSCP-2780-JP-1が同時に活性化している様子がわずかにではあるが捉えられていたため、D-1302の発言が裏付けられました。一方、SCP-2780-JP-1が動いていた痕跡及び発声していた証拠は発見されませんでした。今回の実験記録を踏まえて、SCP-2780-JPにはまだ判明していない異常性があると考えられており、追加調査の計画が立てられています。

また、再度、SCP-2780-JPの異常性の起源について調査が行われましたが、特筆すべき事象は発見されませんでした。

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