SCP-2781
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財団記録・情報保安管理局より通達

ファイル'SCP-2781'の全バージョン(ハードコピー及びソフトコピー)は最近、未特定の異常なソースから改竄を受けました。編集者は財団認可番号ゼータ-61374-オメガ-アルファとして記録されており、これは故エージェント トリップ・カタ(1990/08/01に死亡と断定)に対応するものです。改竄行為は“ハードコピー文書のための財団標準化編集プロトコル”(第5版)に準拠しており、削除予定のデータには上から打ち消し線が引かれ、新たなデータは青字で入力されていました。

— RAISA管理官、マリア・ジョーンズ

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SCP-2781個体を描写した浮世絵。財団の前身組織である“陰陽寮”の記録書庫より取得。

アイテム番号: SCP-2781

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-2781の生息域が広範囲に及ぶことから、従来型の収容は現時点では不可能です。機動部隊ゼータ-66(“トライアングラー・ドラゴン”)が、SCP-2781の全ての目撃情報を確証する任務を帯びています。SCP-2781個体と遭遇した民間人には記憶処理を施します。全ての民間船舶は、SCP-2781の特定された全ての生息域からの迂回措置を受けます。

更新 (1983/08/01): 財団職員はSCP-2781個体との直接接触をする、またはSCP-2781個体の存在する状況下で水中に留まるべきではありません。

SCP-2781-969はサイト-2781のタイプXLヒト型生物収容室に収容されています。

説明: SCP-2781は、分類学的に特定されていない黒色の海洋生命体の一種 自らを“公海の菩薩1”と称する969体の実体群の総称であり、推定体長5mで、2つの丸い目を特徴とします。これらの実体群は現実改変能力を有していますが、かつて仏陀は奇跡の濫用に対する警句を残しているため、能力が使用されることは稀です。現実改変能力行使の既知の一例に関しては、補遺2781-2を参照してください。 SCP-2781個体は一貫して表海水層に生息しています。

SCP-2781は肉食と推定されており、部分的または完全に水中に身体を沈めた状態の生きた人間だけを標的とします(以後、“獲物” “対象”とする)。一方で、SCP-2781は非ヒト動物、死亡した人間、および水中に沈んでいない人間を一様に回避します。これは、事実上“ 法 ”ダルマを受け入れる可能性が最も高いのは人間であるという仏教の信念に起因するものです。 食事は極めて不規則であり、SCP-2781個体は獲物を消費することなく長期間(最大およそ50年)にわたって生存できます。 SCP-2781は存在を維持するうえで如何なる栄養も必要としていません。

SCP-2781は長さ・太さの様々な不特定多数の触手を持っており、通常は体の中に折り畳んでいますが、獲物 対象を捕獲する際には展開可能です。少なくとも1本の触手が獲物 対象、もしくはその着衣と直接的に接触すると、そこから付加的な触手が獲物 対象の全身を包み込みます。この包括状態は約2秒続き、締め付けを終えると獲物 対象は姿を消します。熱画像イメージング装置の使用は、獲物 対象が触手による完全包括の直後に自発的に消失していることを示しており、装備しているGPS装置の信号は獲物 対象の消失と同時に途絶します。

対象はこの時、暫定的にSCP-2781-Aと分類される次元へと転送されています。一人称観察に基づき、SCP-2781-Aは“浄土”2であると仮定されます。現在まで、SCP-2781はSCP-2781-Aへアクセスするための唯一の既知の手段です。SCP-2781-A内部の対象は、徐々にダルマの教えに関連する自発的な認識を獲得し始めます。これは対象を涅槃に至らせることを目的として成されるものです。この後、彼らは成仏するか、或いは自らの意思で成仏を拒否し菩薩となります。前者の状況を確認することは不可能ですが、後者の場合、対象はSCP-2781個体となってこの世界へと顕現します。

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関門海峡の衛星画像。

SCP-2781は日本列島を取り巻く水域で目撃されていたため、財団の前身組織“陰陽寮”によって江戸時代(西暦1603-1868年)からその存在を知られていました。これらの記録において、SCP-2781は頭部の表面的な形状が仏教僧、すなわち坊主のそれに類似していたことから“海坊主”の名称で呼ばれていました。SCP-2781の自己定義と、一般用語としての“海坊主”の類似性は特筆に値する要素であり、SCP-2781の今後の研究のための原理と見做すことが可能です。

財団のSCP-2781に関する研究の努力は、組織の設立直後から始まりました。以来、新たな個体は東シナ海および太平洋の各所でも発見されています。SCP-2781の生息密度が最も高い領域には、鎌倉時代(西暦1185-1333年)に既知の最初の目撃例が記録された関門海峡が含まれます。

現在まで、SCP-2781個体は(生死を問わず)財団によって収容されていません。加えて、既知のSCP-2781の生息数は900体を上回ります。繁殖/出現の手段は現時点では不明です。 SCP-2781は繁殖しません。出現は自発的なプロセスです (説明の第4パラグラフを参照)。

補遺2781-1: 1983/07/03、紀伊水道でSCP-2781-753の調査を実施していたエージェント トリップ・カタの SCP-2781-Aへの入来に続き、特別収容プロトコルは安全上の理由で改訂されました。更新 (1983/08/01)を参照してください。

補遺2781-2: 2014/05/13、既知の全SCP-2781個体(~SCP-2781-968)は10分間にわたって同時に消失した後、元の位置へと再出現しました。このプロセスは、影響を受けた個体群が再出現後に未知の原理で触れることのできない半透明の無形存在と化すまで5時間繰り返されました。

これに加え、サイト-2781が紀伊水道に自発的に出現しました。この施設には969部屋のタイプXLヒト型生物収容室が設けられています。現在、サイト-2781には1体のSCP-2781個体(SCP-2781-969)が収容されており、その他のSCP-2781個体群の半透明の幻影が各々の収容室に留められています。その無形性のため、これらSCP-2781個体群の幻影との接触が対象をSCP-2781-Aへ転送し得るか否かは不明です。

彼ら 私たちは収容されています。私たち 財団の苦しみは和らげられています。収容。中道。南無阿弥陀仏。

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