アイテム番号: SCP-2783
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2783に関する完全な情報は、レベル5セキュリティクリアランスを有する人物に制限されます。SCP-2783への物理的アクセスも同様にレベル5セキュリティクリアランスの職員に制限され、監督者の許可が必要となります。SCP-2783割当の職員は再配属にあたって適切な記憶処理治療を受けなければいけません。探査は基本的な地球外探査手順に熟練した職員が実施する必要があります。全ての探査には標準的な非敵対環境探査機材と補給品が必要です。人間が携帯できる探査ドローン、人力車両(自転車など)、その他の測量機器もケースバイケースで承認される場合があります。
説明: SCP-2783はサイト-43の人工知能棟にある旧37号研究室のドアからアクセス可能な余剰次元異常です。37号研究室の敷居を越えた人物は、通常の三次元空間の外部にある場所へ転送されます。GPS追跡装置では、転送先はイラク南部のとある墓所に存在するものとして示されます。財団考古学者はこの場所から、少なくとも2種類の過去に文書化されていないメソポタミア文明に関連するアーティファクトを数点発見しました。財団とORIAの共同隔離措置は発見直後に実行に移されました。現在までSCP-2783の物理的証拠はこの墓所から発見されていません。
SCP-2783の内部空間は外見的には墓地に似ています。対象者は柵の内側、門から約1m先に入った地点に実体化します — この門を通り抜けた対象者はサイト-43人工知能棟に帰還します。対象者はSCP-2783内の様々な、相互に矛盾する相違点を報告しています。差異にはSCP-2783内部の気候・気象条件が含まれており、これらは現在内部にいる対象者の出生地、またはその人物が文化的に属していると強く自認している場所に典型的な、同時期の季節条件に概ね合致するものです。SCP-2783にある全ての墓にはほぼ一様に彫り込みがあり、この彫り込みもまた現在の対象者の出身地で典型的な習慣に適合しています。多くの対象者は軍人墓地との見た目上の類似性に着目しています。墓碑銘その他の彫り込みは全て現在の対象者の母語です。今日まで、全ての墓標は一貫して同一または類似の人物に捧げられています。
墓は常に正方格子上の区画に出現しており、一辺あたり300基、つまり一区画ごとに90,000基の墓が存在します。文書化を容易にするため、各区画には英単語2文字の指定番号が割り当てられ、個々の墓には数字指定が施されています。現在の区画と墓の番号を添えたSCP-2783内部空間の完全版マップについては文書SCP-2783/Bを参照してください。
墓の数は見たところ不定期に増加しており、必要に応じて墓地の境界は拡大して、これらの変化と新たな区画の形成に対応します。本稿執筆現在、SCP-2783には推定100万基の墓が収容されています。SCP-2783の境界は、現在の対象者の出身地の習慣に適合する柵または他の目印です。この障壁を乗り越える試みは現在まで全て失敗しています。墓地の境界外に見える気候は、内部の気候と一致しているように思われます。
地中レーダー探査試験により、墓のうち約30%に人間の遺体が埋葬されていることが示されています。残る70%は空です。これが指し示している意味は不明です。
起源/回収: ████/10/13、Marvin.aicの認知試験とSCP-1073サンプルの実験が行われている最中に、現地に保存されていたSCP-079、SCP-2522、およびSCP-2999-Aのコピーが同時に収容違反を起こしました。回収されたデータ・音声記録・保安カメラ映像は、SCP-███、SCP-████、SCP-████-█が未だ特定されていない手段を介して収容違反の事前調整を行っていたことを示しています。当該事案の時系列はまだ確立されていませんが、██████.aicとSCP-1073はサイト保安部に対し、大規模違反の被害を抑えるうえで不可欠となる支援を提供していました。この事案の結果として、██████.aicは作動不能になり、関与した全てのSCP実体は無力化され、サイト保安職員3名が死亡しました。
死亡したサイト保安職員の遺体回収に続き、終了されたSCP実体とAI構成に関連する資料は37号研究室にある安全ロッカーに移されました。事案調査員のシフト終了時、研究室は施錠されました。保守点検作業員が検査および清掃のために研究室に入ろうとした際、SCP-2783が活性化し、サイト保安部に通知が入りました。
異常空間の初期探査に続いて、現在の収容プロトコルが実施され、より広範な探査に続いてレベル5の保安対策が敷かれました。
注目すべき墓碑:
> 黒き月は忘れ去られた戦争の中で喪われた者たちを悼んで歌う。
注意: 以下の情報はレベル4セキュリティクリアランスを有する職員に制限されています。貴方のアクセスは財団記録・情報保安管理局によって記録されています。
以下は、記録・情報保安管理局から注目に値すると見做された墓石のリストです。認可された職員は、所属サイトのRAISA担当者に連絡を取れば完全版のリストにアクセスできます。
墓の番号 |
彫り込まれた名前 |
墓碑銘 |
注記 |
AA-00000 |
"YHWH" |
“彼は彼女の構築に不可欠だった。彼の意匠は彼女の再構築に不可欠であることが証明されるであろう” |
墓石AA-00000は全て、創造神を記念する碑文を添えた状態で出現します。一見したところ、どの宗教に対しても偏重は見られません。今日まで██種類の亜種が確認されています。 |
AA-00001 |
"アダム・エル・アセム" |
“彼は、自分が何者だったかではなく、何と化したかを思い出せるようにここに記念される” |
墓石AA-00001の全ての事例は、神話における“最初の人間”または“最初の男”の名前を添えて出現します。探索の約70%において"アダム・エル・アセム"が観測されています。 |
AA-00002 |
"アシェラトの娘ハヴァ" |
“図書館の蛇は彼女に大いなる知恵を授けた。彼女の喪失は、私たちの全てを、この聖者の世界で知恵を探し求めるように鼓舞する” |
墓石AA-00002の全ての事例は、神話における“最初の女”に言及しています。探索の約70%において"アシェラトの娘ハヴァ"が観測されています。 |
AA-00005 |
"YHWHの娘リリト" |
“彼女は大いに愛された。彼女の美しさが忘れ去られることは無いだろう” |
碑文の内容は毎回変化していません。 |
AA-00006 |
“アダムの息子セト” |
“この墓地は彼の命令によって建てられた。ここに葬られた者が再び立ち上がる時、彼らは彼の命令の下に戦うであろう” |
碑文の内容は毎回変化していません。 |
AB-21917 |
"不明" |
“肉の構築者にして、舌無き話し手の門弟。価値ある敵 — 彼の最期の瞬間は、緋冠の王の軍勢に対して費やされた故に、彼は人々の英雄たちの中に記念される” |
墓のレーダー調査は、我々の世界の人間には非定型的な生物学構造を有する実体が埋葬されていることを示します。 |
AL-21343 |
"ハンナの娘ミリアム" |
“私たちの救い主にして預言者、私たちの支えにして羊飼い。機械の女神はこの家の上に微笑み、今もなお、ここに休む者たちは労わられている” |
墓石AL-21343に記されている名前は"ハンナの娘ミリアム"、"YHWHの息子イェシュア"、"ソフィア・ライト博士"の間で均等に変化します。これが示す意味は不明です。 |
AL-30056 |
"ニコラス・フラメル" |
"偉大なる高みへと昇ったが、イカルスの如く偉大なる高みから墜ちた、尊敬篤き学者" |
現在まで、この人物に関連する異常事象が発生した証拠は発見されていません。 |
AL-41867 |
"セオドア・トーマス・ブラックウッド卿" |
"科学と人類の発展における彼の献身は続く" |
墓のレーダー調査は、身長1.8mの人間骨格が埋葬されていることを示します。遺体を発掘しなければ更なる情報は得られません。 |
AM-19186 |
"ピョートル・アフトゥホフ二等兵" |
"彼とその仲間たちは地獄の門を見た。彼らはそれに値する者ではないが、門が開く時、緋冠の王の軍勢と最初に顔を合わせることになるだろう" |
埋葬されている遺体の状態は不完全のようです。これが示す意味は不明です。 |
AM-19273 |
"ヴラディスラフ・ソルダトフ" |
"彼の大戦の物語は、彼自身が知り得るよりも多くの命を救った" |
生年月日と死亡日は、ロシア帝国陸軍に所属し、後のロシア革命時に赤軍へ脱走した人物と一致します。この人物が異常活動に関与したことを示す記録はありません。 |
AM-20367 |
"セオドア・ベイカー大佐" |
当情報はRAISA指令により編集されています; 要レベル5セキュリティクリアランス |
財団セキュリティレベル5の機密情報を直接参照している最初の墓標。これとすぐ後に続く数基の墓標は、オペレーション・ハンマーおよびオペレーション・アンヴィルを取り巻く明白なセキュリティ違反を提示しています。この違反の原因に関する調査は進行中です。 |
AM-20381 |
"RIC-437" |
当情報はRAISA指令により編集されています; 要レベル5セキュリティクリアランス |
埋葬されている遺体は、目的不明の機械であるように思われます。 |
AM-21450 |
"アルト・クレフ博士" |
"愛する父親。彼は自分が要求された以上に多くの物を与えた" |
墓石に記されている名前は"アルト・クレフ博士"、"エージェント ウクレレ,"、"アダム・エル・アセム"の間で均等に変化します。記された死亡日は、SCP-450の収容監督員を含む職員2名が死亡した収容違反未遂事案の日付と一致しています。 |
AM-21488 |
Marvin.aic |
"彼の前に立つ機械の女神と同じように、自らの構築者を守るために命を捧げた機械の精神。楽園には常に、彼のように我が身を投げ打った者たちのための場が設けられている" |
初期探査において、墓石AM-21488はSCP-2783の入口から最も遠い場所に位置しており、一番新しく追加された墓であることが示されていました。墓のレーダー調査は、ドローン探査で37号研究室から紛失していることが判明したコンピュータ・ハードウェアが埋葬されていることを示します。 |
探査ログ926:
> 黒き月は失われた子供たちを哀悼して吠え、生き残った者たちは戦に備えて武装する。
レベル5セキュリティクリアランス資格情報承認。貴方のアクセスはRAISAに記録されました。ようこそ、監督者様。
2017/10/15、SCP-2783の定期探索を実施していたエージェント フィリップ・マククリーンは、過去にSCP-2783内で遭遇例の無い複数のヒト型実体の存在に気付きました。これらの実体の姿は視聴覚記録装備によって捉えられました。
記録された実体は計13体で、女性と推定される者が6体、男性と推定される者が7体でした。実体群の人種的/民族的プロファイルは、記録やエージェント マククリーンの証言では判明していません。全ての実体はSCP-2783内部空間の境界近くにある新しい墓標に近接した場所に出現しました。全実体は同一の黒いドレスコートとスラックス・灰色のドレスシャツ・黒のネクタイを身に着けていました。全てのコートは、白い円形の盾に等距離で3つの突起部を設けた紋章のパッチが両肩に施されていました — 盾の内部には、3本の等間隔の黒い矢が、黒い輪郭を有する白丸を刺し貫いている図像が描かれていました。加えて、全ての実体は正面に同じ記章を有する白黒の官帽を被っていました。
それ以前に出現した新たな墓石とは異なり、墓標の前には深さ約1.8mの墓穴が掘られていました。実体のうち6体は飾りの無い1架の棺を担ぎ、残り7体は製造元不明のボルトアクション・ライフルを掲げた姿で出現しました。実体群は墓に向かって密集状態で行進していく様子が観察されました。墓に到着すると、棺を担いでいた実体はそれを整然と墓穴に降ろし始め、その間ライフルを持っていた実体は一列縦隊で脇に寄り、立ち止まったままで“捧げ銃”の体勢を取っていました。作業を終えた棺実体群は敬礼の姿勢になり、ライフル実体群は弔砲を撃ちました。この後、全ての実体は一列縦隊でSCP-2783の門へと行進し、非実体化しました。その後の検査では、新たな墓は手付かずの状態であるように見受けられました。
墓標の碑文の内容は以下の通りです。
墓の番号 |
彫り込まれた名前 |
墓碑銘 |
注記 |
AM-21530 |
“カリ・ミッチェル・ホリス隊長、機動部隊ゼータ-9” |
“彼女は奇妙にして遠く離れた場所で、顔には笑みを浮かべ、手には武器を持ち、全方位を敵に囲まれて死んでいった。彼女は全ての戦士が見習うべき事の例を示したのだ” |
探査926は、SCP-1730からの十数名の財団職員の救出、並びにその直後のSCP-1730無力化の48時間後に行われました。ホリス隊長はこの救出任務中に消息を絶っており、任務中死亡と推定されています。現時点では、SCP-2783に埋葬されている遺体がホリス隊長と一致するか否かは不明です。発掘調査の可能性については現在、倫理委員会のレビューが行われています。 |