クレジット
タイトル: SCP-2784-JP - 何処かで誰かが貴方の事を話している
著者: ©︎rokurouru
作成年: 2022
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:7245815-9-aef7
本記事は、CC BY-SA 4.0ライセンスの下で提供されます。これに加えて、本記事の作成者、著者、翻訳者、または編集者が著作権を有するコンテンツは、別段の定めがない限りCC BY-SA 3.0ライセンスが付与されており、同ライセンスの下で利用することができます。
「コンテンツ」とは、文章、画像、音声、音楽、動画、ソフトウェア、コードその他の情報のことをいいます。
アイテム番号: SCP-2784-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-2784-JPの発生後に機動部隊は-17("大胆な庭師")が派遣され、SCP-2784-JPによる被害の修復・隠蔽が行われます。
説明: SCP-2784-JPは日本国内で発生する異常性を伴った突風です。SCP-2784-JPはおおよそ上空10~50m地点から突発的かつ瞬間的に発生し、その瞬間最大風速は現在123.2m/sを観測しています。瞬間的にしか発生しないという特性上被害範囲は発生地点から80m程に限られますが、発生地点付近には壊滅的な被害を齎します。
また、SCP-2784-JPは未知の粘性の高い水分(以下、SCP-2784-JP-aと呼称)を大量に含んでいます。SCP-2784-JP発生時にSCP-2784-JP-aが地面や建造物の壁面等に付着すると、付着地点から大量の苔・植物・樹木が生成され、急速に成長し付着地点周辺に生い茂ります。生成される植物類に規則性は無く、現在までに██種類の未確認植物が発見されていますが、その全てが非異常性物質で構成されている事の確認の末に新種の植物として登録されています。
インタビュー記録: SCP-2784-JP-202█/█/██
以下は清伝教団の関係者であった成雨 隆大氏に行ったインタビューです。
インタビュアー: エージェント・ 禄路
対象: 成雨氏
[ログ開始]
エージェント・禄路: では、インタビューを始めていこうと思います。
成雨氏: はい、よろしくお願いします。…あの、これって別にずっと拘束されるとかじゃないんですよね?
エージェント・禄路: はい。質問に答えて頂ければ、すぐに終わります。成雨氏: あぁ、そうですか、そうですか。良かったです。質問とは一体何でしょうか?
エージェント・禄路: 本日は貴方に清伝教団及びSCP-2784-JPについて聞きたいんですが。
成雨氏: …清伝教団!?いや、私はもう清伝教団には入っていないです!私は何もしてませんよ!
エージェント・禄路: はい、その事についてはわかっています。貴方に危害を加える気は無いですので、そこはご安心を。
成雨氏: …ならまぁ、いいんです。[数秒の沈黙]…わかりました、私が知ってる事でなら、可能な限り話しますよ。
エージェント・禄路: ありがとうございます。[資料を見せる。]まず最初に、SCP-2784-JP…こちらの突風は清伝教団ではどのように認知されていたのでしょうか?
成雨氏: はい、清伝教団ではそれの事を『神風』と呼んでいます。まあ文字通り、神様が起こす風だと。
エージェント・禄路: 成る程。詳しく教えて下さい。
成雨氏: まあ、神様と同じく信仰対象ですね。神様への言霊がある程度に達すると、現世に顕現する物とされています。
エージェント・禄路: 言霊、とは。
成雨氏: えっと、清伝教団は言霊を重んじるんですよ。言霊ってのは、簡単に言うと言葉に宿る力です。なもんで、我々人間達はその言霊によって神様と繋がる事ができるとされているんですよ。
エージェント・禄路: 成る程。つまり、SCP-2784-JPはその言霊によって引き起こされているという事でしょうか?
成雨氏: まあそういう事ですね。
エージェント・禄路: 更に質問しますが、SCP-2784-JPが起こる条件として言霊はどのように関係しているのでしょうか?
成雨氏: えっと、まず、清伝教では神風が起こる日の事を「言霊が濃い日」と表現していました。
エージェント・禄路: 言霊が濃い日。
成雨氏: はい。言霊が濃いってどういう事かといいますと、清伝教ではある人物への言葉にはその人物への言霊が宿る、とされているんですよ。あぁ、言葉であれば言霊は宿るので、文などにも宿ります。で、言霊はしばらく残る物なので、言霊が積み重なって多くなると、言霊の力が濃くなってその人物に様々な影響が出る、と。
エージェント・禄路: ふむ。
成雨氏: で、その言葉が神様に向けられた場合、言霊の力によって神様を顕現させる事ができるのではないか?というのが清伝教の考えとしてあるんです。さすがに言霊は永遠に消えない、なんて事は無いのですが、様々な人が神様に対して言葉を紡ぎ、神への言霊が一定以上濃くなって力を持った結果、神様が顕現する一つの予兆として神風が起こるとされています。
エージェント・禄路: 成程。では、清伝教団はSCP-2784-JPを意図的に引き起こそうとしているという事ですか?成雨氏: …少なくとも私がいた時はあくまで起きたら吉兆、というだけの扱いでしたが、今はどうなんでしょうかね。ほら、最近清伝教団のカルト化が結構すごいじゃないですか。犯罪に手を染めているとの噂も結構聞きますし。神風ってかなり周囲への被害とかもすごいですし、そういうテロ目的も兼ねて良くない使われ方はしてそうですよね。
エージェント・禄路: 神の顕現の指標という扱われ方と共に、一種の兵器のような使われ方をされているという事ですか?
成雨氏: そういう事になりますね…。今の清伝教団はもう立派な犯罪集団ですよ。…まぁ、神風については今のところ大丈夫だとは思いますけどね。
エージェント・禄路: というと?
成雨氏: えっと、現在の教団がやろうとしてる事自体は物騒っちゃ物騒ですけど、その上で彼らができる事といえばやっぱ演説とかしかないじゃないですか。そんな事を地道にやっても信仰者も神への言及もあまり増えないでしょうし、今のところは正直そこまで深刻な事態では無いのかなとは思ってます。
エージェント・禄路: ふむ。
成雨氏:まぁ、それでもやろうとしてる事が事なんで普通に警察とかにも動いてほしいですけどね。…どうせ神風の事を警察に言っても意味不明なんでしょうけど。
エージェント・禄路: 成程、ありがとうございました。これにて質問は終了です。お疲れ様でした。
[ログ終了]
付記: その後、成雨氏は記憶処理の後に解放されました。
音声記録-SCP-2784-JP-20██/█/██
20██/█/██、日本海上空█m付近でSCP-2784-JPが発生しました。以下は巡査中のヘリコプターが記録した音声記録です。