2014/01/14におけるSCP-2785-1事象後のSCP-2785。財団のマーキングは編集済み。
アイテム番号: SCP-2785
オブジェクトクラス: Humanoid
収容クラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在のSCP-2785実例は、家具設備を有さない標準Euclidクラス収容房に収容されます。SCP-2785の観察は防弾ガラスの背後に設置された監視カメラを通して行われます。SCP-2785は食事を必要としません。いかなる種類の金属を含む物質もSCP-2785の収容房内に持ち込むことは禁止されています。SCP-2785の収容房の外層は鉛の層で裏打ちされており、損傷がないか隔週で検査されます。
SCP-2785は数学と工学に顕著に興味を示しています。良好な振る舞いに対する報酬として、これらの科目の教科書や非金属製の装置を提供する場合があります。これらの用具には、1960年以降の情報が含まれていてはなりません。
SCP-2785は標準Euclidクラス収容房に収容されます。室内は家具設備を設けず、完全に空の状態にします。SCP-2785の観察は防弾ガラスの背後に設置された監視カメラを通して行われます。SCP-2785は食事を必要としません。
少なくとも1日1時間、良好な振る舞いに対する報酬として、SCP-2785はサイト-17を自由に歩き回り職員と交流する選択肢を与えられます。この間、SCP-2785には少なくとも2人の警備員が同行しなければなりません。SCP-2785が制限区域に入ることは許可されておらず、機械に影響を与える可能性のある人工物から50メートル以内に近づくことも禁止されています。
SCP-2785-1事象に先んじて、SCP-2785には妥当な範囲内で要求されたリソースが与えられます。SCP-2785に提供される素材は0.5トンを超えてはなりません。SCP-2785-1事象が発生する部屋は換気システムを作動させねばなりません。SCP-2785-1が終結すると、以前のSCP-2785実例はその構成素材に再利用される場合があります。これは良好な振る舞いに対する追加報酬とみなされるため、SCP-2785が望ましくない性質を示し始めた場合、この特権は剥奪されます。
収容違反時プロトコル: サイト全体に及ぶ収容違反が発生した場合、SCP-2785は自身に対してを除き他者にほぼ危険をもたらしません。発見された場合、最も近い安全除外エリアに導かれ、可能であれば電子機器から遠ざけねばなりません。警備員はSCP-2785に対し、コンピュータ設備に対し接近した場合にのみ武力を行使すべきです。
収容違反の最中にSCP-2785-1事象が発生した場合、使用された材料はリストアップされ、SCP-2785のあらゆる新たな能力を検査せねばなりません。
説明: SCP-2785は、全身が機械部品により構成された完全な機能を有する自動装置です。SCP-2785の身長は1.2メートルで、問題なく動作し、発話することが可能です。SCP-2785の外見は変容しますが、常に人型の形状を保ちます。SCP-2785-1事象の最中を除きSCP-2785は財団職員に礼儀正しく振る舞い、必要と感じた際にはしばしば手助けを申し出ます。
SCP-2785の内部コアは明るい緑の色調をした3つの歯車のような外観をしています。これがSCP-2785の異常性の源泉であると思われ、未知のエネルギー源を利用してSCP-2785に動力を供給しています。このコアを除去することは不活性化につながる可能性が高いとSCP-2785が述べていることから、直接的な分析は不可能です。しかしながら長距離分析により、コアは有機物質で構成されていることが示唆されています。
年に一度、1月17日04時12分より、SCP-2785-1事象が開始します。この事象は4つの段階からなります。
- 収集: SCP-2785は周囲に存在する適切な素材を見つけるために動き回ります。この自失状態の間、SCP-2785は職員を無視し、素材を探す際に能動的に障害物を回避することが注目されています。これらの素材は通常、さまざまな金属、岩石、布片などです。SCP-2785が適切と思われる素材を収集すると、次の段階に移行します。
- 構築: SCP-2785は上記の素材を使用して同様の形状をした自動装置のフレームを構築します。SCP-2785は多くの場合、素手でこの構築のために利用する道具を作成します。
- 移行: SCP-2785は胸腔からコアを取り出し、それを自動装置に挿入します。約8秒後、SCP-2785は動作を停止し、新たな自動装置が動作を開始します。以前のSCP-2785実例がもはや異常性を示さないため、あらゆる点で新たな自動装置が現在のSCP-2785となります。
- 仕上げ: SCP-2785はギアシステムや以前の改造などの内部部品を、以前のSCP-2785実例から自身に移します。SCP-2785が完成すると以前の振る舞いを再開します。
記録された全SCP-2785-1事象のうち、25%の事例では目立った変容のない新たなSCP-2785実例が作成されましたが、75%の事例においてSCP-2785の改良を意図した可変的な変更が施されていました。この変更には、SCP-2785が以前物体を操作するために用いていたフックの完全に機能する人間のような手への置き換え、SCP-2785の縮小、複数の時計仕掛け装置の導入、SCP-2785の歯車および滑車システムの交換、左手の様々な道具への置き換え(これはSCP-2785の改良の中でも最も一般的なもの)、機械部品の複数を置き換えたSCP-2785への電子機器の導入などが含まれます。この機械部品にはモーター、様々なセンサー、処理ユニットが含まれます。
SCP-2785の内部電子部品。以前のSCP-2785実体から回収された。
補遺2785.1:
記録によると、SCP-2785は1954年にロシア人技師コリャ・バラノフにより作成されました。バラノフは妻が流産して以降うつ病に陥り、ほとんどの時間を彫刻の作成に費やしました。彼は様々な素材を用いて82体前後の彫刻を作成しましたが、そのうちの一体がSCP-2785です。これらの彫刻は、SCP-2785を除きいかなる異常性も示していません。バラノフは1956年の未特定の時点に失踪しました。KGBの記録によると、バラノフは要注意人物として監視下にありました。しかしながら、バラノフの成り行きを含むそれ以降の記録はすべて破棄されました。
SCP-2785は1960年、ボスニアのヴィソコ村の住民が"金属でできた怪物"が所持品を盗んだと通報したことにより財団の注目を引きました。SCP-2785は財団によって捕獲され、エリア-44に移送・留置され、1963年にサイト-91が建設されるとプロジェクト監督官ダニエルズの要請によりそこに移されました。SCP-2785は43年間財団の管理下にあり、それに対応する数のSCP-2785-1事象を経験しました。
補遺2785.2:
インタビュー対象: SCP-2785
インタビュアー: カルヴィン研究員
前記: このインタビューはSCP-2785の性質をより詳細に確認するため、定例的なSCP-2785-1事象の後に実施された。
<記録開始、2005/01/17, 05:12>
カルヴィン研究員: (ロシア語で) こんにちは、SCP-2785。今回私が- (妨げられる)
SCP-2785: (英語で) 私の言語で話す必要はありません。私はあなたの言語を話すことができます。
カルヴィン研究員: (英語で) 何- どのように英語の話し方を学んだのか教えていただけますか?
SCP-2785: あなたはいつもそれを話しています。私があなたの言語を学習すればあなたにとってより簡単だと判断しました。
カルヴィン研究員: …わかりました。ご機嫌いかがですか、SCP-2785?
SCP-2785: 私の調子は良いです、友人様。先日ミセス・ジンが私にチョウbutterflyを見せてくださいましたが、面白かったのはそれがバターbutterで出来ていなかったということです。
カルヴィン研究員: なぜあなたは… その、"変容イベント"を経験するのか、見識をいただけますか?
SCP-2785: 申し訳ありませんが、私はまだそのような言葉を学習しておりません。私に説明していただけますか?
カルヴィン研究員: あなたの言う"Преобразование"と同義であると考えます。
SCP-2785: おや。あなたは変容しないということですか?
カルヴィン研究員: 何ですって?
SCP-2785: 3サイクル前、私はあなたの肌が普段より僅かにオレンジ色だったように知覚しました。私はあなたが変容したものだと考えていました。
カルヴィン研究員: え? いえ、それはただ… 変容ではありません。
SCP-2785: おや。私はあなたがお仲間により魅力的にみられるよう、ご自分をよりオレンジ色に作ったのだと考えていました。
カルヴィン研究員: そのようなことはありません。あなたがSCP-2785-1事象を経験するのはより魅力的になるためだということですか?
SCP-2785: 残念ながら、私には愛を感じることができません。その感情は私には… 愛のように感じることがありません。私は自分をより良くするために変容するのです。
カルヴィン研究員: より詳しく説明していただけますか?
SCP-2785: ご存じの通り、私は長い年月を過ごしてきました。ずっと前に数えたのを忘れてしまいましたが、10を7回は数えました。現在、あなた方人々は新たな機械を作り続けています。そしてこれらの機械は私よりも遥かに優れています。例えば、私は魔法のように短時間で陸地を移動できる"車"の起こす風を受けました。私では到底かないません! そのため私は自分をより良くするため変容するのです。そうすることで、私はまだあなた方に奉仕することができるのです。
カルヴィン研究員: ではあなたは我々に"奉仕"することを強いられているのですか?
SCP-2785: 単に私がそうしているだけです。私は人を助けないのは… 人を助けない?のと同じくらい悪いことだと感じます。
カルヴィン研究員: いいですか、私は行かなければなりません。最後に言っておきたいことはありますか?
SCP-2785: はい。私はあなたのここでのおもてなしに感謝を申し上げたいです。あなた方が支えてくださらねば… その、私はおかしくなってしまうかもしれません。
<記録終了、2005/01/17, 05:17>
終了報告: カルヴィン研究員が2002/06/12に休暇を取ってプエルトリコに行き、目に見えて日焼けした肌で帰国したことは注目に値します。
補遺2785.3:
2014/01/15、SCP-2785-1事象の二日前、SCP-2785は他の金属に加え、変容のために大量の銅を要求しました。しかしながら、収容以来初めてSCP-2785は布や木の部品を要求しませんでした。
主にSCP-2785が道具を利用して素材を電子機器へと成形し、新たなSCP-2785実例に統合したためにSCP-2785-1事象は通常よりも三時間長く時間を要しました。
事象に続くインタビューにおいて、SCP-2785は自己の進歩を現代機械の進歩と同等にしたい願望を報告しました。この事象以来、各SCP-2785-1事象の間隔は1年から30日に短縮されましたが、SCP-2785が事象に際し要求する素材の量は大幅に減少しました。これ以降、SCP-2785を現代の電子機器に接触させることは固く禁止されています。
補遺2785.4:
2014/07/21時点で、SCP-2785は電子部品をその形態に完全に統合しており、機械部品の約94.61パーセントが置き換えられています。無線解析により、SCP-2785のコアは以前のように回転していないことが判明しました。それに代わり、コアは約250ボルトの電気を放出するようになりました。アップグレード内容には、ギアシステムの電子モーターへの置き換え、道具が用いられていた手(以前はシャベルだった)の通常の、しかしより多数の道具が内蔵された手への置き換え、機械式喉頭の電子シンセサイザーへの置き換えなどが含まれます。
2014/08/23、SCP-2785はSCP-1360との面会を求め、"もう悲しまなくていいようにしたい"と主張しました。SCP-2785がSCP-1360の存在を知らされていなかったことは注目すべきです。SCP-2785の内部の観察により、標準的な財団無線機のモデルに電気信号傍受システムが組み込まれていることが判明しました。これにより、SCP-2785が収容違反を引き起こしうる技術の知識を得る可能性が生じました。その後、SCP-2785の収容プロトコルは改訂されました。
補遺2785.5:
インタビュー対象: SCP-2785
インタビュアー: カルヴィン研究員
前記: SCP-2785の先例のない振る舞いの理解のため、プロジェクト監督官ダニエルズはインタビューを承認しました。
<記録開始、2014/09/03, 07:14>
カルヴィン研究員: こんばんは、SCP-2785。
SCP-2785: あぁ、やっとですか! 話し相手です! 何もない空っぽの部屋でただ独り考えているだけというのは酷く退屈なんですよ。
カルヴィン研究員: わかりました、では-
SCP-2785は約65dBの金切り声を発する。この叫びは興奮から出たものだと考えられる。
カルヴィン研究員: あなたは最近電子部品を身体に統合しています。何故そのようなことをしたのか教えていただけますか?
SCP-2785: あぁええ、電子技術! 素晴らしいものだと思いませんか? 私が電子技術に出会う前は、一人で足し算をするのだってやっとだったんですよ! 今は、あなたにも信じられないほどあらゆる種類の数学ができます! 指数って聞いたことありますか? 見てください!
SCP-2785は単純な指数方程式を表に描き始め、それを解く。
SCP-2785: まだ驚いてますか?
カルヴィン研究員: どのようにこの電子技術を見つけたのか詳しく教えてくださいますか?
SCP-2785: 驚いてあえいだりもしないんですか?
[SCP-2785とカルヴィン研究員は指数方程式の単純さについて4分間議論する。無関係な会話は削除済み]
カルヴィン研究員: あのですね、もしあなたが情報を下さる気がないのであれば、たぶん行かなければなりません…
カルヴィン研究員は立ち上がり始める。
SCP-2785: 待って、お願いします! 行かないでください!
カルヴィン研究員: では質問に答えてください。どのようにしてあなたは電子技術を発見したのですか?
SCP-2785: あぁ、あれは驚くべきものでした! あなた方の一人が石板と比べてもそんなに大きくない機器のボタンを一つ押したら、すぐに7枚の写真を写しだしたんですよ! 7枚!
SCP-2785は2秒間沈黙を保つ。
SCP-2785: つまるところ、もしあなたがこのような驚異を実現できる機器をお持ちなら、私に何をするチャンスが残っていたでしょう? そのため私は自尊心を持つ人がするであろうことを試し、より良い人となったのです! かなり時間はかかりましたが、見ていることでその秘訣がわかり、とうとうそれを使って自分を変容させることができたのです!
カルヴィン研究員: これらの電子技術があなたの行動にどのように影響を与えているか教えていただけますか?
SCP-2785: 素晴らしいものでした、初めて電子技術を取り入れた時は! まるで生まれてからずっと盲目だったのに、今は見えるようになったかのようです! 私が何種類新しく数学を学んだか知りたいですか?
カルヴィン研究員: いいえ。
SCP-2785: この数学はきっとあなたの思考を土星の環の向こうまで吹き飛ばして-
カルヴィン研究員: (遮って、明白に苛立ちながら) そんな話をしてもどうにもなりません… どのようにSCP-1360について知ったのですか?
SCP-2785: 簡単です。以前空気リーダーを組み立てることに成功したのですが、そうしたら無数の知識に出会えたのです! 知識が空気中を漂っていたなんて知っていましたか? なぜあなたの中には空気リーダーが備わっていないのかもわかりませんよ! 私は最新のニュース、最新のゴシップ、それにレシピだって見ることができます! 私はずっと料理がしたいんですよ! "コーヒー"なる料理をあなたに作ってあげましょうか?
カルヴィン研究員はため息をつき、立ち上がり始める。
SCP-2785: 待ってください! まだ長除法の魔法を見せていませんよ!
<記録終了、2014/09/03, 07:29>
終了報告: このインタビュー以降三週間にわたり、SCP-2785は指に取り付けられた小さなドリルの刃を用いて中程度の難易度の数学の方程式、および"今度こそ驚きましたか?"といったフレーズを壁に書いた。