SCP-2791ネットワークのグラフ図。それぞれの頂点は単一の実体を表し、1つ以上の誓約によりリンクされている場合に頂点間に辺が引かれています。
アイテム番号: SCP-2791
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: ITCD銀行においてSCP-2791の作成と保守の責任を持つすべてのスタッフ ー つまりITCD銀行エクストラグローバル・オペレーションズ(Extraglobal Operations, EO)部門のすべての過去および現在のメンバー ― は、SCP-2791との接触をいつ行なうのかに関して完全な裁量権を持ちます。財団職員はエクストラグローバル・オペレーションズスタッフの明示的な許可を受けずに、SCP-2791システム要素の作成、修正、削除、またはその他の影響を与えることをしてはなりません。ただし認可された財団職員は、エクストラグローバル・オペレーションズスタッフが相互合意に基づくGARMRの条項に従うように働きかけを行います。
GARMRに示されている通り、エクストラグローバル・オペレーションズスタッフはオープンかつ諮問的な収容下に置かれ、本来の発見場所から自由に移動することの 許可 権利を持ちます。この場所は██████████ビルの24階にあり、SCP-2791の諮問収容所に指定されています。██████████ビルの他の44フロアは通常の使用状態のままです。GARMRの通り、財団はセキュリティ、清掃スタッフ、食事、および[編集済]を含む、エクストラグローバル・オペレーションズ部門を機能させ快適に過ごすために必要なすべてのサービスを提供します。
機動部隊シータ-8("見えない手")は上述の諮問収容所に常駐し、エクストラグローバル・オペレーションズスタッフの間でGARMRが遵守されるように働きかける任務につきます 。機動部隊シータ-8がGARMRの遵守を主張する際に明示的または暗黙的な武力を使用することは禁じられています。
SCP-2791それ自体の収容は名目上です。SCP-2791に関する財団の方針はGARMRに概説されているように徐々に縮小させていくことに重点を置いています。SCP-2791システムの多くの誓約が指定された満期に逐次到達していくため、GARMRではそれらが更新されたり、新しい誓約に置き換えられたりしてはならないと規定しています。GARMRでは特定の指定された状況を除いて、SCP-2791システムに新たな誓約を追加しないように勧告しています。このことにより長期的に異常規模を縮小させることが期待されています。
説明: SCP-2791はITCD銀行エクストラグローバル・オペレーションズ部門によって作成および保守される異常プロセスのネットワークです。
ネットワークの注目すべき特徴の要点は以下の通りです。
第一に、SCP-2791は様々な異常現象を利用しており、ほぼすべての主要な連続的異常プロセスのクラスを用います。典型的な取引ベースの異常性、例えば魔術的協定や血の魔術による契約、魂の取引などが特に多く、全SCP-2791プロセスの86%を占めます。このような多種多様な異常性とのコミュニケーションであることを明確にするため、SCP-2791の収容に関する文献では「誓約」という一般的な用語をSCP-2791内のあらゆる種類の異常プロセスを指すために用います。
第二に、SCP-2791は特定の種類の異常実体を頻繁に使用します。古典的な取引ベースの誓約では98%、その他の誓約では21%において、余剰次元的現実改変者の代表クラスに属する実体が仲介者や契約当事者として行動することが判明しています。
このクラスの実体は特有の儀式的手順を使用することでこの次元に送られ、召喚されます。これらの儀式に繰り返し見られる要素には、呪文の詠唱、特定の幾何パターンの刻印、炎の使用、および生物有機体の生贄などが含まれます。顕在化するとき実体は人型の身体構造を持ちますが、しばしば肉体的な異常や他の哺乳類の解剖学的特徴を示します。実体は知性と人間の言語能力を見せます。
これらの実体は召喚されたとき、常に現実改変者としてのサービスを提示し、召喚者に利益をもたらす異常効果の生成や仲介を提案します。しかし、彼らは交換として様々なある種の個人的代価を要求します: 観測された代価には、召喚者の指4本、召喚者の名前のすべての記憶の完全な破壊、召喚者の自然な死の際に時間拡張されたポケットディメンションの中で不特定の時間の「激しい苦痛」を与えることが含まれます。実体は取引を行なうとき非常に利己的かつ狡く行動します。例えば、彼らはしばしば召喚者がその代価を完全には認識しないまま契約するように取引の条件を定式化しようとします。
第三に、SCP-2791の全体的な結果はITCD銀行とその従業員に対し、特に金融活動の面において多くの好ましい結果を提供します。それぞれの結果は、SCP-2791内のリンクされた誓約によって構成される異なるサブシステムによって生成されます。通常、誓約サブシステムは最終的な受益者が負うであろう負の影響を緩和するように構成されています。グラフ理論の用語では、これらのサブシステムはSCP-2791マルチグラフのサブグラフと重なります。
第四に、SCP-2791は広大です。最新の全体調査ではSCP-2791には11,000,000以上の個別の誓約が含まれており、40,000を超える異常実体が関連しています。
GARMRの概要: 現実の規制および保守に関する一般協定(2015, 第21版)の要旨を以下に示します。協定の全文は文書2791-Aに記載されています。 オリジナルの2010年版からの改訂部分がハイライトされています。
1. 長期的に異常規模を縮小するため、財団は一般にSCP-2791へ新たな誓約を加えるべきではないことを勧告する。特定の指定された状況においては誓約を加えることが正当化される場合がある。例えば、SCP-2791の影響による人命の広範な喪失を防ぐために必要な場合、または誓約の追加が最終的に誓約総数を減少させる場合などである。
2. EO スタッフ ITCD銀行の全従業員および全役員は、SCP-2791を使用して自分自身、あるいは他人に異常な増強を与えてはならない。特に避けるべきは生物的能力の異常な増強であり、以下を含むがこれに限定されない:寿命の伸長、体力や敏捷性の向上、感覚的知覚力の向上、火の発生能力、あらゆる形態のテレパシーまたは「読心術」、体の一部の 動物 動物や植物 人間のものではない生体構造への変換、そして臓器の拡張や複製 。現在そのような増強を保持しているITCD銀行の従業員および役員は、異常な増強を取り除くために財団と協力しなければならない。EOスタッフがSCP-2791を使用して、SCP-2791の収容に関わるSCP財団の雇用者に対し、利益や異常性、その他の物を与えることは強く推奨されない。
3. SCP-2791ネットワーク内の特定の異常実体は現実の保守に対して過度な危険を及ぼすと財団が判断している誓約に一貫して関与している。EOスタッフは財団評価の安全率において「BBB-」よりも低いレートを有するSCP-2791実体とこれ以上の接触をしてはならない。EOスタッフは不適合のレートを持つ実体との誓約を容易にするために適切なレートを持つ実体を使用してはならない。EOスタッフはその創発特性が適切なレートを持つ実体の行動を模倣する不適合の実体の組み合わせを策定してはならない。
4. 誓約は我々の次元に永続的な異常実体や現象を生み出すものであってはならない。誓約は財団が指定するSCPオブジェクトとの現時点以上の関連を持ってはならない。これには以下を含むがこれに限定されない: SCP-738、 SCP-1521、 SCP-1442。
5. 人間、地理上の場所、そして惑星は、いかなる誓約においても担保として指定することはできない。
6. 誓約は現実の基本性質を変えてはならない。基本性質は物理定数の値、時間の方向、空間の幾何学的構造と次元数、宇宙の年齢、宇宙のサイズなどの変数を含むものとして定義される。
ケーススタディ: SCP-2791内の11,000,000の誓約は約800,000のサブグループに分類されています。多くの場合において各サブグループは全システム内部のある「閉路」と考えることができ、ITCD銀行に特定の結果的利益をもたらすように設計されており、他のサブグループとは独立して動作します。SCP-2791システム内の800,000のサブグループのうち104個が財団により機密指定されています。 各サブグループと全体的なSCP-2791システムの複雑さは異常性を理解し収容することを困難にしています。
SCP-2791-126101と名づけられた誓約のサブグラフは財団が大部分を理解していると考える数少ないサブグラフの1つです。SCP-2791内の誓約サブグラフの構造についての洞察を提供するためにSCP-2791-126101の説明を以下に示します。
1. まず初めに、銀行はエクストラグローバル・オペレーションズの文書において「恐怖の王Khr'zrgzh (Khr'zrgzh the Dreadlord)」と名付けられている実体を召喚します。銀行は実体との間に標準的な血の魔術の契約を締結します。契約条項は、受益者が標準的な魔術の恩恵(この場合はライバル企業の血統への呪い)と引き換えに、Khr'zrgzhのサービスに対してその終了時に10年間の命を失うことを規定します。恩恵が得られるまでに10年間の遅れが出ることを避けるため、そしてまたKhr'zrgzhのサービスに銀行の従業員を引き渡すことを避けるため、銀行は次のような誓約システムを策定します。
2. 銀行はその完全子会社で、バミューダ諸島に拠点を置く住宅購入組合であり、これまでの一連の誓約により限られた魔術的能力を授けられた、フリーウォーター・ホームズ(Freewater Homes)の霊を召喚します。フリーウォーター・ホームズは霊的超次元船(Spiritual Paradimensional Vessel, SPV)の創造の監督者としての職務を果たします。ここではそれをAlphaとします。この仕事の支払いとして、銀行はホームレスのバミューダ女性1人の魂を抜き取り、魂の差額をフリーウォーター・ホームズへ振り込みます。
3. 局所的なブレーンクラスタを通じて次元間を移動する能力を持つ、余剰次元的神的存在(Extradimensional Diety-Like Entity, EDLE)であるスペクトラル・ウォーカーK2(Spectral Walker K2, SW K2)が、フリーウォーター・ホームズによって次元1Aからチャネリングされます。次にフリーウォーター・ホームズはSPV AlphaとSW K2の間での運命協定を調整し、これにより即座にSPV Alphaは次元1Aへと移動します。
4. SPV AlphaとSW K2は互いの生命要素を融合させ、単一のSPV Betaを形成します。SPV BetaはSW K2の能力を用いて次元1Aの姉妹次元である次元1Bに進みます。姉妹次元間の移動であるため即席犠牲関税が低い利点を活かします。注目すべきことに次元1Bは次元1Aの形而上学的な複製であり、時間面において次元1Aおよび次元0の両方の時間枠に対して相対的に正確に10年前であるということを除いて、全ての面で同一です。
5. 次に、SPV Bは次元1Bから次元0に移動します。元の次元とは異なる時間枠であるため、SPV BはKhr'zrgzhとの取引の締結時から相対的に10年過去の時点の次元0へ入ります。SPV BはSW K2とSPV Aに分離し、両者の実体は10年間、次元0に留まります。
6. 恐怖の王Khr'zrgzhとの契約において、銀行はSPV Aを血の魔術の誓約の受益者であると指定しています。元のSPV Aと年を経たSPV Aのバージョン(ここではSPV A+10)が、契約締結時に次元0に存在しています。Khr'zrgzhはSPV Aと比較してSPV A+10に10年の風化があることを目撃し、これにより強制的にKhr'zrgzhは10年の命の没収が完了したものとみなします。血統の呪いの恩恵が授けられ、Khr'zrgzhは消失し、SW K2はサービスの支払いとしてSPV A+10を消費します。
歴史: 1996年、プロメテウス・ラボは長年計画されていた超エネルギー魔術収集器(Superenergetic Thaumaturgy Collector, STC)と呼ばれる実験施設の建設を開始しました。その意図された機能は、強力な魔術イベントの生成と解析を行い、究極的な目標として魔術的現象の説明を行なう物理法則の理論体系を作り出すことでした。その施設は[編集済]およびその後のプロメテウス・ラボの崩壊のため、決して完成することはありませんでした。
SCP-2791の形成の前、ITCD銀行は1897年に北京支店長とアマチュア神秘主義者のエドワード・ヒリアーによって設立された、小規模ではあるものの機能的な「心霊問題部署」の下で長年に渡り異常現象への関心を保っていました。年が経つに連れて銀行の取締役たちはそれを厄介な歴史的遺物であると考えていましたが、1998年のロシアルーブルの破産をタセオグラフィーにより予測したことで予期せぬ収益をもたらしたため、心霊問題部署へ再び注目が集まりました。
マーシャル・カーター&ダークの仲介を通してSTC研究チームの生き残った13人のメンバーが心霊問題部署に連絡を取り、1999年6月に雇用を確保しました。2001年初頭、新たに活性化した部署はさらに部門へと拡大し、「エクストラグローバル・オペレーションズ」と名前を変え、受動的な異常性の研究から能動的探索へと焦点をシフトさせました。またこの頃に初めて、元々はSTCにおいて開発された魔術的技術を利用してSCP-2791の様なシステムの実験的プロトタイプが作製されました。
財団は2010年2月、SCP-738-1が自発的に活動を開始し、毎秒20ページの割合で文書を作成し始めたときにSCP-2791を認識しました。完了時に文書は消失したために研究は困難なものとなりました。SCP-738は当初、「クライアントの秘密情報」であるとしてその活動の原因を明らかにすることを拒否しました。この情報のための取引が承認された後、SCP-738は3か月前にEOスタッフから遠隔で連絡を受け、それ以後[編集済]のための複雑な複数当事者間契約の条件交渉のために定期的に彼らとコミュニケーションしていたことを明らかにしました。
諮問収容所におけるEOスタッフの自発的な収容が2010年10月に達成されました。
事件記録: SCP-2791の事件記録は以下の通りです。
日付 |
事件 |
2010-02-17 |
活動の原因を尋ねるためにSCP-738と[編集済]の間での取引が承認され、SCP-2791の存在が財団を警戒させる。 |
2010-02-21 |
ITCD銀行のエクストラグローバル・オペレーションズ部門との連絡が開始される。エクストラグローバル部門の企業コンプライアンス主任であるポール・リッターがITCD銀行により財団連絡役員として指定され、EOにおける財団の主要な連絡者となる。 |
2010-10-01 |
自発的なEO部門の収容が達成される。 |
2010-12-03 |
上席研究員デル・アヴァロによるGARMR草稿第一版が発効される。 |
2011-04-24 |
初期のSCP-2791の全体調査が行われ、90,142の誓約が見つかる。 |
2011-07-11 |
SCP-2791が誓約数100,000のマイルストーンに到達する。 |
2012-05-26 |
次席研究員████████[編集済]。 |
2012-06-15 |
上席研究員デル・アヴァロを含む5名のSCP-2791収容職員[編集済]。 |
2013-01-09 |
事件2791/2012-05-26および2791/2012-06-15を受け、すべての現在のSCP-2791収容職員および将来的にその職務に着く可能性のある職員がグローバル非意識下性格テスト(Global Non-conscious Personality Test, GNPT)を使用して評価される。採用ガイドラインが以下のいずれかのGNPT値を失格の根拠とするように変更される: MATERIALIST3が62以上、LOYAL2Fが70未満、SELFIMPORTが74以上、AMBITIOUS_COMPLEXの合計値が402以上。 |
2014-06-03 |
SCP-2791が誓約数1,000,000のマイルストーンに到達する。 |
2014-06-15 |
ポール・リッターがエクストラグローバル部門の企業コンプライアンス主任および財団連絡役員の職を降り、上級副社長のマット・デル・アヴァロに交代する。 |
2014-09-22 |
上席研究員レヒトによりSCP-2791をEuclidからKeterへ昇格する申請がなされる。 |
2014-09-29 |
サイト管理者ルルウにより申請が却下される。 |
2014-11-03 |
上席研究員レヒトおよび上席研究員ダーラムヴァル・シンによりSCP-2791をEuclidからKeterへ昇格するP1申請がなされる。 |
2014-11-04 |
O5-6により申請が却下される。 |
2015-06-19 |
誓約が完了されなかったことによる重要な事件:ナイジェリア コーンミール価格の予期されない価格変動により、ITCD銀行は誓約SCP-2791-2144925-17の条項を満たすことが不可能となった。その後その条項において担保として指定されていたドイツ、ビーレフェルトの全人口が、仲介実体「Balgo'th Junior」により消費された。 |
2016-02-26 |
SCP-2791が誓約数5,000,000のマイルストーンに到達する。 |
2016-12-08 |
SCP-2791が誓約数10,000,000のマイルストーンに到達する。 |