SCP-2798-JP-EX
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アイテム番号: SCP-2798-JP-EX

オブジェクトクラス: Keter Explained

特別収容プロトコル: N/A

説明: SCP-2798-JP-EXは全ての人類が太陽による光とそれに伴う熱を認識できなくなる現象です。SCP-2798-JP-EXは世界標準時における2000年12月21日に発生し、現在に至るまで異常性が継続し続けています。SCP-2798-JP-EXの影響は人間にのみ確認されており、その他の生物に影響しているケースは確認されませんでした。

SCP-2798-JPによって太陽光は認識できないものの実際には昼間などに照射され続けている為、紫外線による日焼けや太陽を直視することによる網膜などへの影響といった、太陽光を照射された事による身体的影響に変化はありません。また熱の認識は空気熱や物体が太陽光によって熱せられた熱などにも及び、これにより人類が体感する温度は世界平均でおよそ20度低下しました。

SCP-2798-JP-EXにより、地上からは太陽と月を観測する事ができない為、空中には常に星が確認できます。この影響範囲は地上100kmのカーマン・ラインに及び、それ以上の高度に達する事で太陽光及び熱は人間にも観測可能となります。

SCP-2798-JP-EXのトリガーとなった要因・イベントについては調査を進めているものの直接的な関係性を示した例はこれまで確認されていません。

発見記録: SCP-2798-JP-EXは2000年12月21日13時17分29秒の時点で初めて観測されました。この際、太陽光を観測可能であった地域では突如として太陽が消失し、一連の混乱から少なくとも200万人の死者が発生しました。財団は当該現象にSCP-2798-JPのナンバリングを当て、その異常性の範囲や影響からオブジェクトクラスはKeterに分類されました。その後、世界各国の混乱や被害を最小限にする為の策として、O5評議会の下「アンニュイ・プロトコル」が発動されました。世界全土で一時は事態の鎮静化が見られたものの、太陽という存在が宗教的・信仰的に意味を持つ国家や宗教の存在、太陽をモチーフとしたあらゆる媒体が認識補正を阻害し、長期的な正常性維持には機能しませんでした。

当時の宇宙ステーションとの通信と観測用ロケットを用いた実験により、SCP-2798-JPの異常性は地上100kmのカーマン・ラインを境界として発現している事が判明しました。影響範囲からの脱出時、カメラは陽光に照らされた太平洋を観測しており、宇宙空間から確認できる地球に外見上の異常は見られませんでした。また、調査チームの探索により植物が通常時と変わりなく光合成を行なっている事が判明し、また他の生物も時間経過によって日中・夜間の習性に則した行動を取っていると確認された事から、影響を太陽光は地上に降り注いでいるものの、何らかの要因により人間は太陽光を認識・体感する能力を喪失したと結論付けられました。また、夜間にのみに活性化する物品系・概念系アノマリーに何ら変化は見られなかったものの、極めて人類に近い性質を有する人型アノマリーは例外的に人類と同様の影響を受けていた1事はこの結論をより強固なものとしました。

財団は2000年当時コンタクトが可能な要注意団体に当該事態に対する声明を求めましたが、どの団体も対応に追われておりSCP-2798-JPには一切関与していないと報告しました。その後の継続調査が行われたものの、SCP-2798-JPを引き起こしたと目される要注意団体の特定には至りませんでした。

当該事態の鎮静化を図る為、財団は人工的な太陽に代わる発光体をカーマン・ライン上に設置する作戦を勘案しましたが、技術的な面での問題や混乱は避けられないという理由で却下されました。またカーマン・ライン上に存在する異常性の境界面に於いて異常性の除去を目的とした様々な実験が行われましたが、望んだ結果を得る事は出来ませんでした。財団上層部及びO5評議会はSCP-2798-JPの短期解決は不可能であると判断し、LV-Zero“捲られたベール”シナリオの発生を認知。主要国政府と財団上層部による共同声明を世界に向け発信する結果となりました。またこの事からオブジェクトクラスはKeterからExplainedに変更され、SCP-2798-JP-EXに再ナンバリングされました。

補遺: 以下はSCP-2798-JP-EX発生以後の大まかな世界のタイムラインです。

発生年 詳細
2001年 財団の度重なる声明発表や各国政府の尽力により大規模な混乱は鎮静化する。SCP-2798-JP-EXによって異常化した空を観測し続ける目的でチリ・アタカマ砂漠、アメリカ合衆国ハワイ州・マウナケア山にSCP-2798-JP-EX観測本部が設立される。視認できない太陽を見ようとする市民が続出し、実際に照射され続ける太陽光線の影響によって日光網膜症となり、視力低下する例が爆発的に増加し、3億人以上が被害を被ったと推測される。この事からWHOを通じて許可なく昼間の空の観測を禁止する条約が締結。各国に情報が流布される。
2002年 12月21日。日本・東京において太陽神を信仰対象とする過激派宗教組織が異常性が強化された人型アノマリーのコミュニティと結託し大規模なテロを引き起こす。死傷者は5600人に及び、主犯である教祖はその場で自殺した。テロに加担した人型アノマリーの集団は自らを「星守の子ら」と称し、いずれのメンバーも太陽が視認できない事により異常性が極端に強力なものとなっていた。尋問の結果「星守の子ら」は各国の人型アノマリーのコミュニティと合流しつつある事が判明し、以降財団では「星守の子ら」及びそれに連なる人型アノマリーコミュニティの発見・確保及び収容をレベル4の重要事項として指定する。世界的に体感気温の認識低下による凍死者の存在が一定数見られる。
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    異常存在団体-2798 星守の子ら

    団体の目的: 太陽という存在の認識抹消。太陽の再可視化・再認識化の阻止。

    組織: 日本人を中心とした星・夜を讃えるアニミズム的宗教観の元に成り立ち、複数人のリーダー格が独自に30〜100人程度のコミュニティを各地で築いていると推測されている。現在主な活動拠点は日本・中国・韓国・ロシア東部・東南アジアなど東アジアを中心とし、世界各国の当該事態によって活性化した人型アノマリーの団体・コミュニティとの独自のネットワークを有する。

    異常性: 属するアノマリーの異常性は多岐に渡るが、いずれも太陽光・太陽熱を認識できない事により異常性の活性化・暴走化が顕著である。確認された異常性の一部例として、内部ヒューム平均値12/187Hm、外部ヒューム平均値32/89Hmの現実改変能力、熱エネルギーの吸収・発散能力、肉体を影に酷似した非実体へ変化させる異常性などが確認されている。また、人類に対しては敵対的であり、しばしば人類の大規模なコミュニティで破壊活動を行う例がSCP-2798-JP-EX以降増加している。

    人員: 判明している時点では約2500人。主にコミュニティ内で家族を形成する傾向が強く、結束は強い。世代の変化に従って異常性の強化が懸念されている。

2003年 東京で発生したテロを皮切りに各地で同様のテロが発生。財団とGOC共同のテロリスト団体掃討作戦が行われ、「星守の子ら」に属する人型アノマリー54体を収容、37体が終了された。掃討作戦終了後、事態を受け止めた各国政府は以降同様の悲劇を生まない為、またSCP-2798-JP-EXの影響下にある世界の平和を願い、12月21日を「太陽デー」と制定する。SCP-2798-JP以降、平均気温の低い土地から南下、北上する難民が3400万人と過去最大となる。財団は赤道付近の国家と交渉し、各国に移民受け入れを促す。
2005年 天文学において地上からの星の観測精度が上昇した事により、超新星が9232個、太陽系外惑星が2311個、小惑星が815個、彗星が97個発見される。この事から世界的な天文学ブームが発生する。この影響で視力低下の症状が国際的問題と化した事からより強い自制が促される。
2007年 マックノート彗星が世界的に観測され、地上からの明瞭な映像分析から彗星が有するガスの噴出方向と指向性に対する複数の発見が認められる。
2008年 世界各国の電気使用量の増大によって奇跡論的エネルギーを使用した技術が用いられ始める。
2010年 奇跡論的エネルギーの普及に伴い、既存のエネルギー資源であった石油・天然ガス等の需要が低下。これらを資金源としていた一部のイスラム過激派のテロ組織による奇跡論的エネルギー発電施設の破壊行為が複数件確認される。
2011年 南極大陸に新たなSCP-2798-JP-EX観測支部が設立される2。建設チームが南極大陸全体にオーロラの発生を確認。オーロラは3日間に渡って観測され続けた。SCP-2798-JP-EXとの関連性は不明。 イスラム過激派組織「████」が「星守の子ら」を中心とした人型アノマリーコミュニティの団体と結託し、ロシア連邦最大の奇跡論的エネルギー発電施設を襲撃。施設の周囲3km圏内に甚大な被害を齎した。
2012年 事態の鎮圧の為、アメリカ・ロシア・インド・EU諸国の協力の下、財団・GOC連合チームが派遣される。テロ組織とクウェート及びイスラエル・ヨルダン国境地帯で接触し戦闘行為に発展。第六次中東戦争開戦。
2013年 第六次中東戦争終結。財団・GOC連合チーム側の勝利。捕虜として確保された人型アノマリーは「星守の子ら」メンバー382人、イスラム系コミュニティ「レイル3」メンバー295人、ドイツ人を中心としたEUのコミュニティ「レ デルネーロ4」メンバー30人。総計707人。太陽デーの制定から10年を迎える。太陽デーの折、戦闘が激化する市街地で複数人の一般人が空に向かって手を伸ばす映像がメディアやネットで話題となり、以降世界中で太陽デーの際に同様の行動を取る行いが定着する。
2015年 大都市圏では2013年の一件以降、祈祷の意味が込められた大規模なイベントが見られる。世界各国で人型アノマリーのコミュニティによる小規模なテロ行為が目立った。
2023年 太陽デーの制定から20年を迎える。世界各地ではこれにまつわるイベントが執り行われる。全世界で奇跡論的エネルギーの普及率が8割を超える。人型アノマリーの暴走は縮小傾向にあり、判明している「星守の子ら」のメンバーは9割が収容済みとなった。
2025年 コンゴ共和国で生まれた乳児の一部に、先天的に暗闇の中でも高い視認性が認められる個体が確認される。
2027年 過去10年に渡り大規模な暴動は発生していないが、世界各国で人型アノマリーが確認されており、この年には総計7093人が確保される。SCP-2798-JP-EXにより太陽や月が長期的に観測不能となった事と関連性があるかについては不明である。
2032年 2025年に観測された闇中で高い視認性を有する乳児が世界各国で見られるようになる。乳児の両親は全ての場合において2000年以降の生まれである事が判明した。該当する乳児は複数回の実験から得られたデータにより、40000lx以上の光5によって失明する可能性が極めて高い事が判明した。
2047年 闇中で高い視認性を持つ人間が全人類の11%にまで広がる。この性質を有する児童の多数が地上から未確認の天文現象を複数発見する。財団の研究チームはこの変化について、環境の変化が劇的であった事と即座に大量死を招く要因とならなかった事が視覚の環境適応に繋がったと推測しているが詳細は不明。

補遺: 2064年9月1日。財団及び財団と連携協定を結ぶ93の国家が共同して、人類に認識可能な光と熱を放出する人工太陽を創生し、地球の周回軌道上で起動させる「プロトコル・オオヒメ」が策定されました。

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創生サイト-HSで建造される人工太陽の核

現在チリ・アタカマ砂漠SCP-2897-JP-EX観測本部に建造された創生サイト-HSにて人工太陽の基盤建造が進行中。2079年に地球の周回軌道上に射出し、以後は宇宙空間での第八世代型永続式奇跡論的エネルギー変換炉の起動・光力可視化変換フィルターの調整を経て人工太陽の運用を始動させる予定です。人工太陽の本格運用は2100年を予定しています。また、運用するにあたり人類が喪失しつつある強力な光への耐性を再獲得する為、全人類を対象に視覚異常の矯正プログラムを施す計画も並行して進められており、現在プログラムの試験が行われています。こちらは2087年の実施開始を予定しています。

この計画が発表されて以降、「星守の子ら」の残党による小規模なテロ行為が創生サイト-HSに対して複数回行われています。テロ行為による被害はサイトには及んでいないものの、度重なる襲撃は周辺の自然環境に変化6を齎しています。現在サイトでは、複数の機動部隊による警備網が24時間態勢で敷かれており、不穏な人物が確認された場合は即座の終了処分が許可されています。

以下は「プロトコル・オオヒメ」の策定に際して財団が行った宣言の抜粋です。

この空の下に生きる皆さん、こんにちは。現在私たち財団は、アメリカ、ロシア、中国、インド、ブラジル、フランス、ナイジェリア、その他主要国の政府の皆様にご協力いただき世界各国にこのメッセージを発信しています。

財団は長きに渡り、この明けない夜空に太陽を取り戻す事を使命の一つとして活動を続けてきました。しかしながら真実は残酷でした。結果として、この空に本来あるべき姿を取り戻す事は不可能であり、太陽は私たちを照らす存在では無くなってしまったという事実を我々財団は結論づけざるを得なかったのです。

しかし、皆さん。それは今までの話なのです。

このほど、財団を中心とした研究者チームは、人類に認識可能な光と熱を地上に与える人工太陽創生計画「プロトコル・オオヒメ」を策定しました。

(中略)

「人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない」「人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない」そんな理念を掲げ、私たちはこれまで活動してきました。

突如、世界から光が失われて100年。その記念すべき年に、私たちは光を取り戻すのです。

もちろん、中には生まれてから一度も太陽を見た事のない人もいる事でしょう。不安に思うのも当然です。

しかし、太陽が与えるものはあなたの不安を悉く打ち払ってくれる事でしょう。写真でしか見ることの出来なかった青から赤へ、そして黒へと変わりゆく空と白い雲の美しさ、澄んだ水の色、鮮やかな花々、萌える緑。白亜の城、黄金の石碑、陽光を反射し輝くビル群。先人達が見せたいと願った景色がそこにあります。それらは多くの場合、私たちの体だけでなく、心さえも暖かく包み込んでくれるものです。

もう視力が弱まる心配をする必要はありません。
寒さに耐える必要もありません。
恐ろしく冷たい鉄に手を震わせる必要もありません。

私たち人類は、この空に太陽を取り戻し、真に一つとなるのです。

いずれ暖かな日の光の下で、喜びを分かち合おうではありませんか。

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    2080年12月21日13時01分44秒。人工太陽の初期起動実験時、軌道修正及び変換炉の運転状態等を管理する制御デバイスが人型アノマリーの集団による襲撃を受けました。これを受け創生サイト-HSに展開されていたSRA15台が展開され、襲撃を仕掛けた集団は改変能力による異常性が行使不可となり、間もなく財団の機動部隊により拘束されました。第八世代型永続式奇跡論的エネルギー変換炉と創生サイト-HSとの接続は想定通りマニュアルに変換され、起動までの最終シークエンス段階まで進んでいました。

    13時17分29秒。人工太陽周辺を飛行していた人工監視衛星は起動直前の人工太陽周辺に高速で飛行する12の人型実体を認めました。実体は概ねヒト型で外見は不明な金属によって覆われた形状となっており、一部は人間の皮膚と完全に同化していました。即座に人工太陽周辺の宇宙空間特化型攻撃用ドローンによるSRAの機構を備えた機銃による掃射攻撃が為されましたが、実体群は攻撃を受けつつも人工太陽に突貫し、うち一体が内部の奇跡論的エネルギー循環炉に激突、改変能力と奇跡論的事象による誘爆によって、人工太陽は、自己修復機能による修復とその後地上からの機能停止命令が発信されるまでの3分42秒間、中央アジアから南アメリカ大陸西部全域にかけての地域に莫大な熱と光を照射しました。地上の建造物は半数が融解。直接的な人工太陽の熱と光による死傷者は32億7500万人に登ると推定されます。また、熱による被害を免れた地域では強烈な光によって視覚の機能不全に陥った被害者が確認されており、こちらは推定7億人に被害が及ぶとされています。さらに、太平洋全域が熱せられた事により多量の水蒸気と激しい上昇気流が発生、大気の激しい乱れが観測され、地球全土で熱風が確認されました。特に激しい被害を受けたインド・ムンバイでは観測史上最大の秒速203mの風が観測され、都市はほぼ全壊状態となりました。

    当該案件の原因となった人型アノマリー38人の襲撃については創生サイト-HSが熱により完全に融解した為に詳細は不明な点が多いものの、通信を行なっていた音声ログから、この集団が全ての個体において「星守の子ら」のメンバーに一様に見られるタトゥーを付けていた事。人型アノマリーは人工太陽の暴走直前、日本語で「上で仲間が」「仇は取った」「ざまあみろ」等の譫言をひたすら呟き続けていたと報告しました。また、人型アノマリーの集団は襲撃時、人工太陽との通信設備の場所を正確に理解していたかのように移動していた形跡があり、施設内の構造は創生サイト-HSに携わる職員にしか通達されていなかった事から、施設内に当該実体との内通者がいた可能性は非常に高いと推測されています。なお、人工太陽に突貫した人型アノマリーの詳細については判明していませんが、地上を襲撃した人型アノマリーの言動から「星守の子ら」のメンバーが自身の肉体を改変し、人工太陽を襲撃したのではないかと推測されています。

    以下は、当該事案後、全体の82%が熱によって融解したマウナケア山SCP-2798-JP-EX観測本部の通信設備からサルベージされた未送信のメッセージです。これは人工太陽暴走時における当時の様子を記した唯一の記録であり、当報告書と共に永久に保存されます。

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      受信日時: 2080/12/21 13:23:55

      発信元: マウナケア山SCP-2798-JP観測本部

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      人工太陽

      このメールが誰かに届く事をねがって

      仲間mは溶けて消えた。このへやももう持たない。

      わたしには何mできない
      何もできないの怖い。だからこの事世界に伝える

      わたしたちは、朝を迎えるのには早すぎた。

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