SCP-2801-JP
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アイテム番号: SCP-2801-JP

オブジェクトクラス: Safe

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SCP-2801-JPの平面図

特別収容プロトコル: SCP-2801-JPは鴨江寺の再建を財団主導で行うことにより、関係者以外の侵入を防止します。無関係の民間人によるSCP-2801-JPへの侵入があった場合は該当者に対するクラスA記憶処理を施します。SCP-2801-JPに対する修復工事は禁止されており、構造保持のための外付け工事のみ許可されています。鴨江寺の再建後にはSCP-2801-JPへの侵入口は関係者以外の立ち入りを禁止し、侵入者に対して上記と同様の措置を施します。またSCP-2801-JP内の部屋Eについてはいかなる人員であっても侵入は禁止されています。

SCP-2801-JP-Aは低脅威物品収容庫に保管されます。収容庫内は一定の温度、湿度を保ち、またSCP-2801-JP-A自体を定期的に清掃することにより腐敗を防止します。

説明: SCP-2801-JPは静岡県浜松市、鴨江寺の地下30mに建造された竹筋コンクリート造の施設です。SCP-2801-JPには境内の隠し扉から通じる階段によって侵入可能です。SCP-2801-JPは2.73m四方の部屋が縦と横に3列ずつの9部屋で構成されています。隣り合った部屋同士は鉄製の扉で通じています。地上からの階段は平面図中の部屋Aに接続されています。

部屋Eを除く8部屋にはミイラ化した人型実体(以下SCP-2801-JP-Aに指定)が配置されています。SCP-2801-JP-Aは共通して日本人を使用したものであり、座禅を組んだ状態で固定されています。また華美な袈裟を着用し、下記の表に示す装飾が施されています。
部屋 SCP-2801-JP-A
部屋A 女性、ハス(Nelumbo nucifera)の花を手に抱えている。
部屋B 男性、ミイラ化させたアリゲーターガー(Atractosteus spatula)を手に抱えている。
部屋C 女性、ランプを手に抱えている。
部屋D 男性、旧日本陸軍の一般兵士を模した木彫りの人形を手に抱えている。
部屋F 男性、両腕を腰に当てた状態で固定されている。
部屋G 女性、沈香入りの香炉を手に抱えている。
部屋H 男性、和弓に使う矢を1本手に抱えている。
部屋I 女性、粉末状の沈香が全身に塗られている。

SCP-2801-JPの異常性は部屋Eにヒトが侵入する際に発現します。侵入者の身体は自然に発火し始めます。この発火は侵入者の脂肪や服飾品を可燃物にすることで燃焼し続けます。燃焼は一般的な鎮火方法や部屋Eを出ることでは鎮火しません。侵入者が死亡すると燃焼は停止します。このことから発見時に居た部屋Eの人型実体はこの異常性により死亡したと推測されます。

発見経緯: SCP-2801-JPは太平洋戦争終結後の財団本部による日本及び日本の占領地域内の異常存在調査の中で発見されました。財団本部は同範囲で活動していた要注意団体「負号部隊」から押収した文書に記載された施設を調査しており、SCP-2801-JPはその1つでした。調査は本部から派遣された職員によりおこなわれました。発見時のSCP-2801-JPは全体が激しい燃焼をした形跡があり、また地上までに直径約5mの穴が空いていました。また多数の焼死体が転がっており、遺留品から旧日本陸軍関係者であることが判明しました。これは1945年6月18日に行われた浜松市への空襲によるものであると当初は思われました。しかし使用された兵器に深い穴を開けられるほどのものがないこと、SCP-2801-JP-Aの損傷が極めて少ないことから何らかの別の事象が発生したと推測されています。以下はSCP-2801-JPの関連文書の訳文です。

負号部隊作戦指令書
アマテラス計画第十号使用に関する覚書
要綱 アマテラス計画第十号は兵士を菩薩に見立てることにより人智を超えた存在へと昇華させることを目的としている。既存の儀式では本質は変えないままに悟りを開かせる手法が多く見受けられたが、第十号ではすでに超常的な立場にいる者と同化させることでより効果的に超人を生み出すことが可能となった。

追記2801-JP-A: 以下に形式部門による第一回調査報告書の概要を掲載します。

SCP-2801-JPは3×3マスの部屋にそれぞれ菩薩に見立てたミイラを配置することで曼荼羅を模した環境を構築する方法をとっている。より正確にすると曼荼羅の中でも金剛界曼荼羅 理趣会とされるものであり、これは真言宗の経典である理趣経に基づくものである。理由としてはSCP-2801-JP-Aの装飾品がそれぞれ理趣会で描かれる菩薩とリンクするものであること。また直上にあった鴨江寺は真言宗の寺院であり、理趣経とも関連が強いものであることが大きく挙げられる。

本事例において特筆すべき点は中央の金剛薩埵に相当するものがないという点にある。ありふれたパターンとしては9人の人物を用いて曼荼羅として完成させるものが多い。そういった場合は作成者自身が儀式の効果を受けることになる。押収した文書に"兵士を菩薩に見立てることにより人智を超えた存在へと昇華させる"という記述がある。このことからSCP-2801-JP-Aが存在しない部屋Eには金剛薩埵に見立てられた兵士が配置されたと考えられる。わざと抜けを作った曼荼羅であるために、その配置された兵士を疑似的に金剛薩埵と同質の存在にすることで曼荼羅を完成させる。負号部隊はこれを該当人物を超人化させるために利用したと考えられる。

SCP-2801-JPにおいては負号部隊が想定していた効果を発揮せず、未知の発火現象が発現している。これについては現時点では原因は判明していない。現在は儀式の失敗によるものとして調査している。

追記2801-JP-B: SCP-2801-JP使用当日の生存者であり、建造に携わった皆塚辰雄氏を発見しました。発見時の皆塚氏はSCP-2801-JPに対して忌避感を抱いており、言及することをも拒む状況でした。以下は精神状態がある程度安定した皆塚氏に対するインタビュー記録です。

インタビュー記録2801-5


対象: 皆塚辰雄氏
インタビュアー: フランコ研究員


<記録開始>

[重要度の低い内容のため割愛]

フランコ: それでは当時のことについて話せる範囲でいいので教えてください。

皆塚: あの時は第十号を始める直前に空襲が来たんだ。俺たちは地下だからよく分からなかったが、外から大慌てで連絡が来た。だから急いで終わらせないといけないと思って準備を急いだんだ。最後に大月君1を部屋に入れて、俺たちは出たんだ。

皆塚: しばらくしたら大月君がこっちを呼んだんだ。念のために部屋には入らず外から見たが確かにそこには比喩じゃなく後光が指している大月君がいたんだ。俺たちは思わず大月君相手に平伏した。どうしてかは分から…いや、あの時の大月君はすでに仏を教えを説く立場になっていたんだ。そうだ。それで俺たちは確信したんだ。第十号は成功した2。成功は、したんだよ。そう、間違いなく…

[皆塚氏の動悸と呼吸が激しくなる。]

フランコ: 皆塚さん、続けられますか。

皆塚: …すごい音がしたんだ、大月君がいた部屋から。轟音なんてものじゃない。雷と地震が同時に起きたような、それだけで体が震えたんだ。目を開けたら部屋中が燃えていた。大月君を連れていこうとしたやつは部屋に入った瞬間燃えた。天井の端っこから空が見えた。空襲によるものだと思ったがここまで的確に、こんな大穴開けられるものはない。それに何故燃えたかが説明つかない。

フランコ: それはあなた方の儀式が失敗したのが原因ではないのですか。

皆塚: 違う、俺たちは第十号を失敗していない。焦ってはいたが準備は念入りにやった。完璧なはずなんだ。俺たちは失敗していない。間違いなく成功したんだ。

フランコ: それではその発火現象等はどう説明がつくのでしょうか。

皆塚: …それは分からない。どう調べてもらってもいい。俺たちは間違いなく成功した。それは大月君を見たら分かった。ただ

フランコ: ただ

皆塚: もしかしたら、もしかしたらだが、俺たちは何かの逆鱗に触れてしまったのかもしれない。人が、そのまま天に昇るなんてことはあまりにも危険なことだったのかもしれない…いや、すまない。今のは忘れてくれ。久しぶりに思い出して動転しているのかもしれない。もう俺は関わりたくないんだ。

フランコ: 分かりました、ありがとうございます。

<記録終了>


これまでは負号部隊による儀式が失敗したことによりSCP-2801-JPが現在の異常性を発現したという考えに基づき調査が行われていました。しかしSCP-2801-JPのモデルとなった曼荼羅や類似するものの中で炎に関連するものは無く、調査は難航していました。しかし皆塚氏の証言は儀式自体は成功したものの、外的要因によって発火などの現象が発生したという内容になっています。皆塚氏は精神衰弱状態にあるものの、SCP-2801-JPに対する知識の深さから証言には一定以上の信憑性があると判断されました。以降の調査ではアマテラス計画第十号外の要因も視野に入れた上で調査が行われる予定です。
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