アイテム番号: SCP-2805-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-2805-JPはサイト-81██の収容ロッカーに保管されています。実験を行うにはセキュリティクリアランスレベル2以上の研究員からの承認を得てください。SCP-2805-JP-1は小型生物用収容室に収容されます。基本的なネコ科動物と同様な手段で担当職員はSCP-2805-JP-1の収容を行ってください。
事案-2805-JP-Aより、特別収容プロトコルの修正が行われました。修正に伴い、実験を行うにはセキュリティクリアランスレベル3以上の研究員からの承認が必要になりました。また、SCP-2805-JP-1は窓の無い小型生物用収容室に収容され、自動給餌器などを用いて、無人状態を確保しながら基本的なネコ科動物と同様な手段で収容されます。サイト内職員にSCP-2805-JP-1の姿が認識されない状態を維持してください。
説明: SCP-2805-JPは直径22㎝、容量3.0Lのステンレス鍋です。SCP-2805-JPの異常性は、SCP-2805-JPを用いて液体を沸騰させたときに発現します。SCP-2805-JPに液体を入れ、液体を沸点に到達させると、液体が消失しイエネコ(Felis silvestris catus)と同一の生物(以下SCP-2805-JP-1)が出現します。SCP-2805-JP-1の毛色は使用した液体により変化することが確認されています。SCP-2805-JP-1の性質はイエネコと同様のもので、異常性は確認されません。 事案-2805-JP-A以降、SCP-2805-JPを使用、又はSCP-2805-JP-1を視認した人物はSCP-2805-JP-2に指定されます。SCP-2805-JP-2が液体を沸騰させると、使用した道具がSCP-2805-JPかどうかに関わらず、液体が消失しSCP-2805-JP-1が発生します。尚、SCP-2805-JP-2の異常性はAクラス以上の記憶処理で消失することが確認されています。
実験記録-1:日付20██/██/██
使用者: エージェント・██
実施方法: SCP-2805-JPに純水を入れ沸騰させる。
結果: 純水は消失しSCP-2805-JP-1が発生。SCP-2805-JP-1の毛色は灰色で、品種はアメリカンショートヘアとみられる。
分析: 3回ほど試したが、純水を使用する限りは灰色のアメリカンショートヘアが出現するようだ。しかし、現場のSCP-2805-JP-1についての報告には、別の色の猫が発生するという報告もあった。 異常性の把握の為に、液体の種類によって変わる可能性を考慮し、様々な液体で試すことを検討すべきだろう。- ██博士
実験記録-2:日付20██/██/██
使用者: エージェント・██
実施方法: SCP-2805-JPに牛乳を入れ沸騰させる。
結果: 牛乳は消失しSCP-2805-JP-1が発生。SCP-2805-JP-1の毛色は白色で、品種はアメリカンショートヘアとみられる。
分析: 予想通り液体の色から毛色は決定されているようだ。白色の牛乳のとき白色の猫が発生し、無色透明な水の場合は鍋底の色である銀に近い灰色の猫が発生した。このことから鍋の中を外から見た時の色がそのまま適応されるのだと予想できる。これについては要検証。 - ██博士
実験記録-3:日付20██/██/██
使用者: エージェント・██
実施方法: SCP-2805-JPでカレー1を作り沸騰するまで煮詰める。
結果: カレーは内容物ごと消失し、SCP-2805-JP-1が発生。SCP-2805-JP-1の毛色は茶色で、品種はアメリカンショートヘアとみられる。尚、SCP-2805-JP-1にはニンジンやジャガイモから由来すると思われる橙色や黄色の斑点が見られた。
分析: 固形物の入った液体でもSCP-2805-JP-1が発生するようだ。ニンジンやタマネギごと消えたのには驚いたが、鍋の中身が丸ごと猫に変換されているのだろう。模様も鍋の中身をそのままトレースしているようだ。 - ██博士
補遺1: SCP-2805-JPは、東京都██市██-██番地に存在する住宅敷地内の野良ネコの異常発生の近隣住民による通報を受け、財団に発見、回収されました。以下は近隣住民へのインタビューログです。
対象: 通報をした近隣住民の20代女性(以下近隣住民A)
インタビュアー: ██博士
<録音開始, 20██/██/██>
██博士: 本日はご協力ありがとうございます。あなたは今回通報をした██さん2で間違い無いですね?
近隣住民A: はい。保健所の方が来てくださって助かりました。ここ1ヶ月本当に困っていたので…
██博士: 猫による被害は1ヶ月前からだったんですか?近隣住民A: ええ、最初は我慢していたのですが、糞の臭いと鳴き声が酷くて…耐えきれなくなったので通報しました。
██博士: 1ヶ月前、何か隣の住宅で猫以外の異変などはありませんでしたか?
近隣住民A: いいえ、覚えていません。猫も室内に居るみたいで鳴き声と臭いだけで姿を見たことはありませんし、いつあの猫たちが連れてこられたのかもよくわからないです。
██博士: 以前から野良猫などによる猫の被害はありましたか?
近隣住民A: いいえ、そもそもあの地域で野良猫を見たことがないです。
██博士: それはつまり、██市のあのあたりでは野良猫が生息していないということですね?
近隣住民A: ええ、向かいの家の人曰く昔はいたそうなんですが、何年か前から突然数が減って次第にいなくなっていったみたいです。その人は野良猫に餌をやっていたらしくて、残念がってました。普通に迷惑行為ですよね…餌やりって。
██博士: 野良猫がいないのは現在でもそうなんですね?
近隣住民A: 多分そうだと思います。隣の家から猫が脱走してない限りはあの地域に猫はいないと思います。
██博士: ありがとうございます。次に、件の家に住んでいる住人の方についてお聞きしたいのですが、何か不審な点などはありましたか?
近隣住民A: いくつかあったと思います。そもそも、隣の人についてあまりいい噂を聞きませんでした。引っ越しの時に挨拶に行ったのですが、無愛想なお兄さんで差し入れを受け取るなりドアを閉められてしまいました。
██博士: 他に何か男性について知っていることは?
近隣住民A: 挨拶に行った時に見たのですが、以前から猫を飼っているようでしたね。丸々太ったサバトラ猫を多頭飼いしているみたいでした。でも、今回みたいに通報するほどの頭数じゃなかったですし、臭いとか鳴き声も気になりませんでした。酷くなったのは1ヶ月前からです。でも、半年前に実家から送られてきたみかんを消費し切れなくてお裾分けに行った時には猫を見かけませんでした。
██博士: 半年前から猫は見なかったのに、1ヶ月前から急に増えたんですね?
近隣住民A: はい。また飼い始めたのかなと最初は思ったんですけど、それにしても異様でした。2,3匹飼っている程度じゃ臭いも鳴き声もあんなことにはなりませんよ。
██博士: 半年前から1ヶ月前にかけて、おかしなことはありませんでしたか?
近隣住民A: いいえ…[沈黙]いや、思い出しました。あります。
██博士: 聞かせてください。
近隣住民A: ちょうど4ヶ月前ぐらいからだと思うんですけど、隣の家の前によく車が止まるようになりました。セールスマンみたいなスーツを着た人が頻繁に隣の家を訪ねていましたね。
██博士: セールスマンですか?
近隣住民A: ええ、確か…と…とう…何とか重工って名乗ってました。オーダーメイドで何か頼んでたみたいで、色々と確認をしてたみたいです。そういえば、ちょうど1ヶ月前にも来てた気がします。でも、それ以来見てません。
██博士: ありがとうございます。他に思い出したことはありますか?
近隣住民A: えっと…何とか重工とは関係のない話なんですが…[沈黙]
██博士: どうかしましたか?
近隣住民A: いえ、少し思い出してて…あれは2年前ぐらいの出来事でした。その日は燃えるゴミの回収日で、ゴミ出しをしようと外へ出たら隣の家の人と会ったんです。それで、その人のゴミ袋の中身が見えました。
██博士: ゴミ袋の中に、何が入っていたんですか?
近隣住民A: 大量の骨です。ゾッとしました。一瞬人のかと思って通報しようと思ったんですけど、よく見たら小さかったのでその時はフライドチキンを食べたんだなと思って無視しました。でも、よくよく考えたら朝昼晩フライドチキンを食べてない限りあんな量にはならないと思って…
██博士: 大量の骨ですか?
近隣住民A: ええ。これは私の推測でしかないのですが…今この話をして思ったんですけど…あの時私が見た骨は猫のものだったんじゃないかなって…
██博士: 隣の家に住む男性は、猫を殺していたということですか?
近隣住民A: ええ、殺して…いや、好んで食べていたんじゃないでしょうか? それなら、この地域に猫が全くいない理由も、あの家の猫が増えたり減ったりする理由も説明がつきます。[沈黙]…ごめんなさい、気分が悪くなってきました。そろそろ帰ってもいいですか?
██博士: いえいえ、こちらこそすみません。今日はありがとうございました。
<録音終了>
補遺2: 回収時、住宅の建物内部で20代後半とみられる男性の白骨遺体が発見されました。遺体からはネコに噛まれたと思われる形跡が見つかっています。現在、財団は死亡した男性と要注意団体である東弊重工との関係を調査しています。